2015/07/14 のログ
ご案内:「アンヘルの隠れ家。その一室。」にアンヘルさんが現れました。
ご案内:「アンヘルの隠れ家。その一室。」にヴィクトリアさんが現れました。
■アンヘル > 落第街の一画。アンヘルの隠れ家はそこにある。
見た目の、まるで打ち捨てられた廃ビルのような外見とは裏腹に、
居住区となった場所は清潔が保たれている。
ヴィクトリアを、抱きしめるというには少々強すぎる力で抱きかかえながら、
アンヘルは自分の寝室にまっすぐに入り込む。
ガン、ガン、ガン。
ひとしきり、自分の隠れ家にすら当たり散らし、
手も使わずに器用にブーツを脱ぎ捨てた。
そのままベッドにヴィクトリアを放るだろう。
■ヴィクトリア > ……っ!?
【放られれば、戸惑いと怯えと諦めの混じった表情で見上げる
意図の読めないことはわからない
いつもであればアンヘルの性格もだいたい読めるのだが、コトここに至っては
まず、なぜコイツが自分なんかに興味あるのかもわからない
人形は……過去に何があったのかも知らない】
■アンヘル > 「あー、ああぁああ……」
気だるげな様子で制服からアンプルを取り出した。
ドラッグではない、ただの栄養剤。それを口で噛み砕きながら中身を飲み下していく。
アンヘルの、いわばスイッチだ。表面上、これでアンヘルの怒りは収まっていく。
苛立ちは押さえつけられたまま滾り続けるために。
精々が女を抱くときか、あまり叫びたくないときにしか使わない。
己の叫びを懸念しているわけではなく。単にアンヘルの狂気に触れながら抱かれる女が少ないだけだ。
アンプルのかけらを吐き捨てると己の服を脱ぎ捨てた。
背には天使を思わせる白い羽のタトゥー。傷だらけの身体。
無言のままヴィクトリアに迫り、口と、手でもって、
まるで獣のようにヴィクトリアの服を脱がせていくだろう。
■ヴィクトリア > ……っ。
【目を背けるように、為すがままに許す
いつもの態度と雰囲気からすると、だいぶ上等な肌を晒し
パーカーを脱がされるだけでも発育しかけの、過去2体よりバージョンアップされた肢体を晒す
……よくわからないし混乱している
とは言え若干回復した頭はどうしても回ってしまう
だいたい、アンヘルは他人に縛られるのが嫌なはずだ
言葉ですら煽られれば我慢できない
それがなぜボクの取り巻きまで提案した?
そして取り巻きのくせになんでボクより上のつもりでいるんだコイツは
しかもボクを抱くだの何だのと
そもそもどうしてコイツはボクの唇を奪った?
価値がわかるときはボクがボクでなくなるとか、何だコイツ】
……おまえ、ボクのナンなんだよ?
【人形は知らない。過去に何があったのかを
特に、1機目がどういう過去をたどったのか、まったく知らない】
■アンヘル > 相手を、ショーツ一枚まで脱がしてそれをベッドの隅まで放った後。
アンヘルはじっとヴィクトリアを見つめていた。
狂気に浸る男の瞳は、いつにも増して濁っている。
猛る憤りを全て抑えこんで、ぐらつくような熱さを封じ込め。
少し冷静になってきたヴィクトリアの姿を見ながらベッドに完全に着地する。
直後に問われた言葉には、
「あァ?」
いつも以上に低い響きで返す。
「ダチでも恋人でもねえ家族でもねえ。今のテメエはクライアントの間柄でもねえ。
ただの他人だ、そうだろ、ヴィクトリア」
違うか、と尋ねながらヴィクトリアの身体を抱き起こす。
そのまま、まるでヴィクトリアの背中を自分の胸板に押し付けるような形で座り込むだろう。
■ヴィクトリア > 【……他人?
ただの他人をコイツが面倒見るのか?
別にその場の勢いでもなければ、同情でもない
だいたい、狂気というよりはそれに酔いたい、そうでなければやってられない、といったような態度のコイツが
気が向いたとか一時の気の迷いを取るのか?
てっきり殴り飛ばされるか蹴られて終わりだと思っていた
なぜそうしなかったのかはわからない
分からないがそこまでしておいて他人扱いだ
だが、いまのヴィクトリアは何もわからない、だから、頷くしかない】
……そうだな、ただの他人だ
【そういえばコイツはボクのことをネコミミと呼ばない
……なんでだ?
名前を隠す意味もあってボクは落第街はおろか、学校でもなかなか名前を話さない
とくにこの周辺じゃネコミミで通している
なのにコイツは何度言っても名前で呼ぶ……よくわからない
たいして意味は無いのかもしれないし、そうでないのかもしれない……
そう思いながら、背中を預けた】
■アンヘル > 「聞け」
背中を預けられれば、端的にそう告げて。
抱きしめるというには少し強すぎるぐらいの強さをこめる。
激しい心臓の鼓動。当然だ。男の心は今も煮えたぎるような苛立ちに包まれている。
だからこそだ。むしろヴィクトリアの心臓に重ねるかのように抱き寄せ、
まるでその心拍を合わせるかのように肌を合わせる。
この部屋の防音は徹底している。
今聞こえるのは精々、ベッドの軋む音と、互いの動悸、鼓動の音。
ただ、ゆっくりと。まるでヴィクトリアにその猛る熱を移すように。
やんわりとヴィクトリアの肌を撫でるだけ。
■ヴィクトリア > ……???
【ますますわからない
ヴィクトリアは、その性質上、異性であれ同性であれ、抱きたくなるような
……正確に言えば「自分の都合よく解釈したくなるような」肢体をしている
本来、一般女性より凹凸の少なく性的でないその肢体は、それでいて劣情を催させるようにできている
そういう道具だ
それは意識する意識しないに関係なく無意識を刺激する
そういった彼女もアンヘルも知らない事情をまったく抜きにしても、アンヘルの態度は変だ
脱がせておいて、心音を合わせるよう重ねるように触れ合い密着しあうだけだと言うのはよくわからない
ただ……アンヘルの胸は、妙に落ち着くような気がする
だからそのまま体重を預けていた】
■アンヘル > 「テメエとオレは他人同士だ。
ダチでもダーリンの間柄でも、ましてや親とガキの関係じゃねえ」
お互いの心音が釣り合うぐらい。
どちらがどちらの肌か分からなくなるぐらいに慣れ親しんだ時。
ゆっくりと手を肌へと這わせていく。
それは劣情めいた焦りに満ちるものではなく。
その肌に触れ、ゆっくりとその形を確認するようなものだ。
「そうだろう、ヴィクトリア。だが、今この瞬間だけは、オレはテメエが必要だ」
心拍。その高鳴りは、最初の鼓動に比べれば少しは落ち着いているはずだ。
まるで心音を合わせるようにして、ヴィクトリアの拍動も最初より高くなっているはずだ。
まるで己の熱を、狂気を、或いはそれ以外の何かを移しこむように。
激情と猛りの言葉ではなく、ただ肌で会話するように太ももと、そして腹をなぞっていく。
「テメエにオレは必要か?」
いつになく理性的な言葉だ。いや、理性的なはずはない。
単に押さえつけているだけだ。単にスイッチを切り替えただけ。
男の本質は変わるはずもない。
■ヴィクトリア > ……何が、したいんだ、お前?
【他人だ、と言い放っておいて確認する
一度言やぁわかるんだよ、と普段言いそうなこいつが、だ
なんだ……なんだ、これは?
ボクは何を確認されているんだ?
……ボクにはその理由がわからない】
……ボクは、正直、おまえに何をされているのかわからない
だが……
【体を撫でる手、じっくりと時間をかけて確認するような、包み込むような……
これは害意があるわけでも、悪意があるわけでもない「やさしい手」だ
なぜコイツがそうしたいのかわわからない
それでも、いまのボクには……】
ああ……必要だ
でないとたぶん、ボクは寂しくて死ぬからな
【その手に……そっと自分の手を重ねた】
■アンヘル > 「死ぬと来たか。まるで青いウサギだな、ええ? 知ってるか? 知るわけねえか」
軽口だ。その肌に馴染ませるように己の肌を密着させる。
じわじわと侵食していくような、まるで相手と一体化させるような。
「お前は青いネコだからな。ネコミミだったか」
ようやく、相手の、表向きの身分を呟いた。
明らかに言い慣れていないような、適当な言い方。
いつもアンヘルはヴィクトリアと呼んでいたに違いない。
それが何時のことからかは、さて。
重ねた手を握りこむようにして、更に肌を重ねていく。
熱を持った身体がじわり、じわりと汗を掻き、
アンヘルとヴィクトリアの隙間を埋めていく。
片手が塞がれば、使うのは口だ。
一度頬にくちづけして、首元に口を寄せる。
残った手はようやくなぞりあげるようにして、
ヴィクトリアのその小さな胸をゆっくりと円を描くようにして撫で上げていくだろう。
「今晩ぐらいはテメエのそれを止めてやるよ、ヴィクトリア」
首元からまた顔を上げて。先ほどまで怯えが滲んでいた目元をついばんだ。
■ヴィクトリア > ……うさぎは寂しくても死なないぞ?
【精一杯の抵抗だったが、弱々しく、抵抗というより、相槌やつよがりにしか見えなかった
むしろ同意の言葉にすら聞こえる】
そうだ、ボクはネコミ…………んぅ……ッ
【触れられる手が、指が、唇がそれ以上余計な言葉を話させてくれない
絶妙に上手い
上手い、というよりむしろ的確だ
ボクの好きなことばかりされた挙句
潤んだ目元を舐められるまでされてしまえば、今度は抗いたくても抗えなくなってくる
胸を焦らすように扱われれば
……悲鳴じゃない、肯定する声が漏れた】
■アンヘル > 「博識だなおい。オレぁ最近までそうだと思い込んでたぜ」
言いながら、焦らすようにまさぐる手つきは変わらない。
じわりと、ゆっくりと。体の芯に通していくように。
己の手の熱を届かせるように。首元に熱い吐息を当てる。
コーヒーのプルタブを開けるのにてこずるのが嘘のように、短く爪を切りそろえた指が繊細に動く。
ヴィクトリア。もう一度その名を呼んでから、再度、口と口を寄せる。
まるで本当の睦言のように、丹念に、己の熱を与えていく。
それが必要なことだ。己にとっても、きっとヴィクトリアにとっても。
焦らすように、燃え上がらせるように。汗ばかりを振りまいて。
ただ、二人の音だけが遮音性の壁に染み入っていく。
■ヴィクトリア > んぅ………………っ
【声が漏れざるを得ない
それくらい触れるのが上手い
どうしてこんなに時間をかけてじっくりと触れるのかもよくわからないが
どう考えても行きずりの女を捕まえてする行為じゃないし
その辺の商売女に対するような対応じゃない
だってこれじゃ……大事に大事に壊れないように「これは自分のものだ」と言われているようだ】
アンヘル……ぅ
【おかしい……どんどんとろかされるように支配されていくようだ
ヴィクトリアの体は、たしかにこういう行為に対して、まるで淫魔のような誘いと反応を見せる性能を持っているが
それでも感じさせられすぎていた
だから……名前を呼ばれれば応えなきゃいけない気がして
そのまま唇を重ね、舌を重ね、互いを貪り合う行為に没頭した】
■アンヘル > 手は握りしめたまま。まるで相手に自分の存在を確認させるような力強いもの。
名を呼ばれれば、そのまま己の行為を推し進めていく。
触れた舌と舌はひどく熱く、濡れていた。
それでも渇いているかのようにゆっくりと相手の口内をなぞり上げていく。
生ぬるい甘み。プリン味の飴が溶け終えた残滓。そこを確かめるように舌で味わう。
お互いの温度と、その高まりを交換し終わった頃。更にその肌を強く押し付けていく。
恐らく男の屹立と、その熱をも背に、或いは尻に感じさせることだろう。
それでも決してヴィクトリアを押し倒すこともせず、飽きもせずに相手の身体を楽しんでいる。
呼吸を忘れたように舌を絡ませながら、とうとうその小さな胸の頂に触れ、さすり、なで上げた。
■ヴィクトリア > 【アンヘルの行動は本当にどういうことなのかわからない
ただただ、いとおしそうにじっくりと丹念に愛撫され……愛撫されて、愛撫された挙句、愛撫されている
それも、繊細にすべてを確かめないと気がすまないとでも言うように、くまなく味わいつくすように
そうした行為に、ヴィクトリアはもちろん逆らえない
相手が望めば望んだように反応を返し、可能な限りその予想を上回る
そういう反応を見せてしまうようにできている快楽人形なのだから】
ふ、ぁ………ッ!
【ヴィクトリアはそれだけで簡単に体を跳ねさせる
この調子で行けば、入れることもなく飛ばしてしまえそうなほどだ
華奢な体は、弄ぶにはもってこいで、面白いように反応を見せる】
■アンヘル > 身体を跳ねさせ、声を上げる機に合わせて口を離す。
糖を含んだ唾が少しだけ互いの間に垂れ下がった。
「ああ。……やっぱり、テメエが必要さ、ヴィクトリア」
上り詰めていくヴィクトリアの姿を横目に、濁った瞳のままゆっくりと、一本一本指を解いていく。
完全に手を離してしまうと、今度はその手をも身体に這わせて密着させていく。
まるで手を離したかわりだと言わんばかりに、だ。
そのままヴィクトリアの秘所へと片手を伸ばし、両の手で静かに、静かに快感を与えていく。
「ヴィクトリア、息を吸えよ。ゆっくり」
タイミングを見計らってそう告げる。
相手が息を吸った後に、ぐい、と、今度は力強く唇を合わせる。
まるで相手から呼吸を奪うように、全身を密着させ。
そのくせ時間を掛けて。
丁寧に。丁寧に。相手にただ己の熱病を分け与えていく。
■ヴィクトリア > ああ……アンヘル…………ぅ
ボクも…………!
【ヴィクトリアはなんだかわからない違和感に包まれながら、次第にそれすらも悦びへと変えられていく
既に秘裂の泉は溢れだして、甘露の蜜が止まらない
次第に、何をされても快楽に変わっていくほど敏感に、徐々にアンヘル仕様になっていく
アンヘルのためだけの人形に変わっていく
3機目である彼女は、こうした情熱を知らない
知ってはいるが、犬飼のそれを悪質な裏切り行為だとして思ってしまっている
1機目の記憶はない
だから少女にとってこのアンヘルとの邂逅はなぜかどうしようもなく愛おしく思えてくる
アンヘルの愛撫の意味が示す通りの感情が引き起こされる
だって、そう望まれたように反応してしまうのだから、そう熱を持ってしまうのだから】
■アンヘル > 熱病とは激情だ。激情とは苛立ちだ。
ぐらつくような熱。煮えたぎるような怒り。
アンヘルはヴィクトリアの移り変わっていく姿を眼前に収めながら、
ただ執拗に肌を重ねあわせる。
ヴィクトリアを上り詰めさせる。静かなまま、激情を表に表すこともなく。
屹立を挿入させることもなく、絶頂させる。
口と口を重ねあわせたまま。呼吸を奪ったまま。
これが望んだことか。果たして本当に望んだことか。
狂気の淵に浸るアンヘルはそれを否定もしないし肯定もしない。
ただ一つ分かるのは、それは何かを与えるような行為だった。
熱か、狂気か、それとも別の何かか。
忘我の如き狂気の中で。ヴィクトリアを絶頂させるのだろう。
■ヴィクトリア > く………………ふ、んん、ッ………………!!
……ああ、や、とまらな………………ッ~~~~~~~
ッあ……ぁあ、ああああああっ!!!!?
【抱く、と言いながら、実際には抱きもしないままの愛撫
だというのに、明らかに愛されている
そういう人形であるヴィクトリアは理解できてしまう
もともと、どんな相手だろうと感じてしまう人形だ
こんなに丁寧かつ愛情のこもった愛撫をされればひとたまりもない
理由はわからない、分からないがそれさえ悦びへと変換される
どうしようもなく、与えられる愛撫はすべて上質で感情が篭っているとなれば
少女には抗うすべもなく、アンヘルに情が向けられてしまう
どうしてここまでして熱にこだわり与えることにこだわるのかわからないまま
アンヘルの愛撫に一方的に支配され、溺れたまま絶頂を迎え、体をのけぞらせて震えさせた】
■アンヘル > ただ声だけが室内に響いた。
アンヘルの体はもう汗に濡れそぼり、空調の音すら響かない部屋で肌を重ねあわせていく。
恐らく、その後も何度か、同じようにヴィクトリアを高みに導いたはずだ。
アンヘルが満足したかどうかは分からないが、その何度目かの高みの後、小さく、ヴィクトリアの耳元で何事かを囁いた。
その言葉は、体勢を変えるために軋んだスプリングの音でかき消されていく。
身体を離し漂う熱気からほんの僅かに身体を冷やしながら。
ゆっくりとヴィクトリアをベッドに横たえる。
「…………テメエは満足か?」
寂しさで死にはしないか、などというような口ぶりだ。
狂気に浸る表情のまま、苛立ちに包まれた表情のまま。
ヴィクトリアの髪をかきあげ、撫でるようにして問う。
■ヴィクトリア > ど……して?
【わからない……
ボクはコイツを不満にさせるような態度でも体でもない
それにいくらガキっぽい体だからって、別に興味が無いわけでもないのはコレを見れば一目瞭然だ
だいたい、コイツの愛撫は度を超えてる
丁寧で優しくて暖かくて……これじゃ、まるで恋人や父親と言ったそういうレベルだ
なんでそこまでしてくれるのかも、抱かれないのかも何もかも謎だ
……あまりに切なくて胸が締め付けられる
これじゃコイツはまるで自分を罰するようにおもえるからだ】
アンヘルは……おまえは満足なのかよ?
……そんな顔……しやがって
ボクを、バカにしてるのか?
【何度も達したあとの荒い息を吐きながら、泣きながら言った
バカにしてないのなんかわかってる
わかってるけど、アンヘルのやさしい手を両手で掴んで必死にそういうのが精一杯だった】
■アンヘル > 「は。そうだ、バカにしてんだ。今頃気づきやがったか。あぁ?
今までさんざん人をコケにしてよぉ。ええ、おい。
真剣ゼミでも通ったらどうだ」
普段のような。それでいてどこか別の誰かのような。
今まで彼女を愛撫していたアンヘルでも。狂気のままに猛りを叫ぶアンヘルでもないような。
狂気に満ちた、狂気の淵にある低い声で。
<最初の生贄/The first>。そんな単語がヴィクトリアの脳裏によぎるだろうか。
その意味は分からない。
記憶をたどれば、アンヘルの保有する何の役にも立たない異能の名前の片割れであることが分かるはずだ。
「オレぁこうしてりゃあ満足だがな。オマエはどうだ、ええおい」
熱を放つままに、まるでヴィクトリアを覆う天蓋のように手を付くアンヘル。
ヴィクトリアの両手に片手を委ねながら、じい、と。涙で濡れた瞳を見つめ返した。
狂気に満ちたアンヘルは。自由を好み縛りを嫌い。
ただ荒れ狂うことを良しとするが。本質的な意味で、自分から何かを選ぶことは極端なまでに少ない。
■ヴィクトリア > ……なんでそんな嘘をつくんだよ
満たされたってこんなんじゃ満足できねーじゃんか……
【だめだ、涙が止まらない】
バカにしてんなら、こんな……こんな熱のこもった愛撫なんかできるわけねーだろ!
おかしいだろこんなの!
愛情たっぷりに慈しむよーな……愛情たっぷりの悲しい愛撫しやがって!!
それで抱くだのバカにするだの……なんだよコレ!
ボクはどうしたらいいんだよ!
他人だと?
ふざけんなよ、ただの他人がこんなのできるわけねーだろ!
ナンなんだよコレは!?
【ヴィクトリアは正直混乱している
だって、今だって守られているのだ、おかしいだろこんなの!】
……最初の生贄ってやつとなんか関係あんのかよ
【だから、聞くだけ聞いてみた】
■アンヘル > 「阿呆か? こりゃオレの手癖だ。こうして女の頭をドロドロに溶かすのが好みでな」
事実、といえば事実だ。いつもはここまで丹念にはしないが、
それでも不能者でもないくせに前戯に強く執着する傾向は強い。
奔放な割に愛深く錯覚するかのような性交は、アンヘルに虜になった女たちの数がその威力を示している。
悲しい愛撫、という言葉が響くと同時に、ギシ、とベッドをきしませた。
片手はヴィクトリアに委ねている。片手はベッドに手を突くのに必要だ。
頭を掻き毟るわけにもいかず、しかし今は激情を表に出すようになっていない。
だから、苛立ったような表情をヴィクトリアに向けるだけだ。
相手の哀哭は、部屋の外に拡散することなくアンヘルにたたきつけられる。
だが。最後の問い。それに
「チッ」
舌打ちして。
「テメエはバカか? 電池の切れた時計かよおい。学習能力ねえのか?
ああ、ねえんだよな、そりゃ。
だからテメエは……ああ、あーあぁ。あー……言っても無駄か」
天蓋めいた身体を無理やり寄せる。
今度こそ。涙の浮かぶ目元に口付けて。
「ならよォ。オレが満足できるようにしてやる」
未だ秘所は濡れそぼっているだろうか。ヴィクトリアの手を握り直して、
少しだけ相手に体重をかけ。残った片手でヴィクトリアの身体を刺激しながら、
その屹立を埋めていく。
■ヴィクトリア > 【好みとかでは納得しない、出来ない
だってコイツはボクを一方的にここまでやるんだ
しかもいたわって気遣いしながらだ】
……むしろ拒んでるのはおまえだろ!
ボクがそんな魅力ねーのかよって言いたいとこだが、そんな理由じゃねーだろーがよ!
むしろボクを抱いちゃいけない理由があるから我慢してるよーにしか見えてないんだからな
なんだよそれ、学習しねーのかって、納得行かねーこと学習するわけねーだろ
優しすぎて悲しいんだよお前の愛撫はさァ!
【目元を舐められれば、すべて許すように自分からも身を寄せる
手を握り返し、抱かれたくなってしまった気持ちを素直に出す】
言いたくねーんだったらその生贄やらファーストやらについては聞かねーよ!
でもボクを満足させたいならテメーも満足しやがれ
ボクで満足しねーとかそんなの許せるかバカ!
そんな悲しそうな目でボクを見やがって!
■アンヘル > 「別に拒んでるわけじゃねえよ。挿入れない理由が欲しかったか?」
悲しい愛撫。そこまで言われると調子も狂う。
身体を離したのがまずかったか、喋ったのがまずかったか。
「あー、ああー。あああー……クソ」
八つ当たりも今は出来ない。眼下に見えるのはヴィクトリア。
どう八つ当たりしても被害を受けるのは下だから。
「言いたくねえってことで構わねえよ! ああ、クソ。
これからに文句言うなよ。好きなようにやる」
舌で涙を拭うと、そのまま首筋、鎖骨、胸、そしてその先端。
強めに吸い付くように、そして離すときにはわずかに舐めるように口を動かしていく。
小さな身体を愛撫するために、ややも身体を縮こまらせながらも。
手は太ももをなぞりへそをくすぐり。口と入れ替わるようにして指が胸をいじる。
舌はへそを撫で、秘芯をなぞり。秘裂へ這わせられる。
先ほどの愛撫よりも強く、速く。楽しむように。
相手に己の軌跡を残すように。
■ヴィクトリア > そうだよ、理由が欲しいに決まってんだろ!
……おまえボクに何見てんだよ
だってさ……あんなに丁寧に確かめられて悲しく愛おしそうに優しくされたら気になるじゃんか
ボクだって女なんだよ、こんなにされたら気付くに決まってんだろ
気分屋のお前がボクを死ぬほど気遣ってんだからさ!
触れちゃいけないものに触って、せめて最大限のもてなされてるよーに感じるんだよ
【再び愛撫が始まれば、今度は素直に身を任せていく
……だってこんな悲しい抱かれ方は嫌だ
体を重ねるんだ……せめて一緒に感じたいって思うのは、わがままじゃないだろ?
……ヴィクトリアが人形でなく、過去の記憶が改竄されないならその考えは正しいのだが】
■アンヘル > 相手の慟哭を耳に響かせながらアンヘルは苛立ち進めていく。
そう、記憶の改竄。望んだままに変化する意識。
気に食わない。何もかもが気に食わない。
カリ、と少しだけ秘芯に歯を立てた後、とかく相手を感じさせるように没頭する。
減らず口を叩けぬよう、ややも激し目に愛撫を続け。
相手が濡れそぼるのを確認してから、
「注文の多い料理店かなんかか? いいぜおい。
じゃあ一つこっちからオーダーしようじゃねえか」
思い切り、俺の背に爪を立てろ、バカみてえにネコみてえによ。
そう告げてから、その太い剛直を突き入れた。
■ヴィクトリア > ……気になるに決まっ……っあ、ぁああッ……や、ひぁッ……!!?
【嬲られれば面白いように声を上げ、反応する
少女はそういう意味でもコントロール出来てしまう、全てにおいて都合のいい完璧に近い快楽人形だった
触れれば応えてしまう
弄られれば溺れてしまう
嬲られれば濡れてしまう
そして、入れられれば、どうしようもなく吸い付いて絡まってくる
アンヘルが望む通りにアンヘルの予想を少し超え、アンヘルが口惜しく思うほどに
理想の感触だった
そして感じさせるほどに自身も感じ、溺れ合うほどに爪を立てしるしをつける
せめてこれだけは嘘ではないというしるしを】
■アンヘル > 苛立ちだ。苛立ち。己の屹立を包む感触に歯を食いしばりながら息を漏らす。
ただ滾るような熱情の中、乱暴ではない、己と相手が上り詰めるのに必要なストローク。
熱は高まり、心拍もまた高まっていく。
ヴィクトリアの爪がアンヘルの翼のタトゥーに傷をつけていく。
わずかに血が滲み、その印を受け入れる。
「ヴィクトリア。…………テメエは、そこに価値がある」
爪。その突き立てられたそれは、きっと他のどんな意志も介在しない印に違いない。
だから囁き、ただ貪っていく。何度も唇を交わし、熱を交わし。
どろどろに溶け合うを良しとするような。
ただ突き立てるだけでは満足できないと、執拗なまでに肌をすりあわせて。
ヴィクトリアとともに上り詰めていく。
「お、お……ッ!」
どんな商売女よりも上等だ。その感触に怒りと何か。
それを含めて白濁を迸らせた。
■ヴィクトリア > んん……っ、ふ……ぅ…………っあ……ぅん、アンヘルっ……!!
【抱きしめる腕を回し、アンヘルの望む通りに爪を立てる
コレしか出来ないことか悔しいとでも言うように
だって……きっとアンヘルはコレで救われない
……だというのにボクの価値を保証する、というのだ
こんな悲しいことはない
だから、可能な限り、せめてできることをしたかったし快楽を与えたかった
ただ気持ちいいとかだけではない
……まるで狂ったような快楽を、せめて
ヴィクトリアが理解できない何かを少しでも何とかしたかった
だから彼女の体はそれに反応し、人間ではおよそ与えられないだろう快楽のレベルまで引き上げて、与えた
せめて大切な何かを失ってしまった罪滅しでもするかのように
……それが、他の普通の人間では与えられない快楽であり、ヴィクトリアでしか感じられない感触であり
一度それを感じてしまうと通常の行為では及ばないのがなんとも皮肉ではあったが
それでも、アンヘルが望んでいたであろうそれを与えることで、その白濁を吸い上げた】
■アンヘル > 「――――!」
吸い上げられる。吸い上げられる。脳の焼き切れるような快楽。
それは頭に渦巻く狂気と混ざりあい、弾け、刺激を拡散させていく。
爆ぜるような怒りが。爆ぜるような苛立ちが。
背筋を突き抜けて走って行く。
普通ならば燃え尽きてしまいそうなほどの快楽を受けて、なお。
それでも。アンヘルの行為は続くのだろう。
今晩ぐらいは、その寂しさを止めてやる。
その言葉を明らかにするように。
お互いが力尽きるその果てまで情事は続くだろう。
立てられた爪。その翼の傷の深さだけが、その営みの長さを知っている。
■アンヘル > 恐らく、全てが終わった後も。きっと肌を重ねあわせるようにして眠ることだろう。
目覚める頃にはまた、アンヘルの強烈な苛立ちと、ジャンキーめいたハイテンションが戻ってくるはずである。
ご案内:「アンヘルの隠れ家。その一室。」からヴィクトリアさんが去りました。
ご案内:「アンヘルの隠れ家。その一室。」からアンヘルさんが去りました。