2015/08/08 のログ
ご案内:「常世学園島環状高速道路」に超退魔美少女『烈雷』さんが現れました。
超退魔美少女『烈雷』 > 常世学園島環状高速道路―この島の物流を支える大動脈
多くの人々に物資を届け、また各区画へのスムーズなアクセスを行うライフライン…
しかし日が落ち、全てが眠り、闇が全て覆う時…
この道はもう一つの顔を見せる

加速者達の楽園《エデン》へと!!

見よ、そのアスファルトに刻まれたタイヤ痕を!

ここが世界だ!!そして、その黒き軌跡こそ…己自身であると!!

その聖域を汚す一つの蒼い稲妻が深夜の環状高速道路の静寂を切り裂く

その物の正体、それは妖魔が憑りつきし最新型スポーツカー!!『JB-666』(※JB=ジュテームベーゼ)!!!

世界に刻まれた爪痕を赤き鮮血で穢していく!!

なんたる暴虐行為だろうか!!

そしてその蒼き稲妻を追跡する赤き疾風!
四世代前に一世を風靡したスポーツカー
その車の名を覚える者は誰も居ない…
『蛇』の名を関したロートル、そしてそのドライバーはいったい…?!

超退魔美少女『烈雷』 > 街灯に照らされ妖艶に輝く赤き退魔スーツ!
その薄い衣は確かに鍛え上げられたカラダのラインを浮かび上がらせる…
なんたる肉体美、その鍛え抜かれた肉体はマスター級!!
切なく、そして甘く胸を尻を締め上げ肉体的緊張感を高めていく!!!

しかし何という事だろうか!このドライバーはあまりにも運転に対し初級者過ぎる…

なぜならば不遜にもボンネットに足を組んで座り吹き荒れる風を浴びていたのだ!!
ハンドルは握らない、しかし車は進む!!

なんたる陰陽術か!これこそが禅‐ドライブ!!!
無我の境地に迷い込みし達人のみがなせる神業!!
付喪神と化したスポーツカーが彼女の強烈な意志の力に突き動かされる!!
時速300kmを超え吹き荒れる暴風にたじろぐことはない
―戦が始まる
熱く火照る体にはこのくらいの風が心地よい…


女退魔士がその艶めいた唇を歪め笑う

「前略、道上より―失礼!!」

これより行われるは禍祓いではない…

世界に傷跡を残す存在証明、狂い咲き稲妻の走り!!!!!

超退魔美少女『烈雷』 > '’オォォオオオォオォォ!!!!!'’

公道を駆け抜ける魔獣は実在する
限界を知らぬエンジンの鼓動が!!アスファルトに食い込むタイヤが吠える!!

妖魔車JB-666のオカルティックパゥワーが街灯の明かりを消していく!!
幕引きの様に!この道に終わりを告げるように!!!
そして数区画走り抜けるごとに背後で強烈なフラッシュが起こる!!
速度違反者を検知したカメラがその姿を捉えんとフラッシュを焚く!!
しかし映っているのは寸分の狂いもなく施工されたフラットなアスファルトのみ!!
地面を熱心に撮影してな!!と嘲笑う、この道を!この闇を走る者の中に亀など居ない!!

さらなる加速!!
さらなるアドレナリン!!
滾れオイル!!燃えろガソリン!!!

漆黒の闇に!4本の赤い線が引かれる!!

それは魂のライン!

炎!燃え盛りし心血の証!!

いま世界は刻まれる!!加速に憑りつかれたランナーによって!!

その運命の赤い糸は決して交わることはない!!
なぜならばその愛は他者に向けられるものでhないからだ!!!

加速者が愛すのは己のみ、線を引くことはあれど交わることは無し!!

故に刻む!道へ!己の偏執的な愛を!欲情を!!加速を!!
ここにある男の言葉を引用しよう…


   ―タイヤはペンである、誰かが道を走るたび
         走り屋たちと言う壮大なオペラを綴る羽ペンだ
        ハーレーマスター レマノフ・キング         

超退魔美少女『烈雷』 > 妖魔車に取り付けられている機器に青い電流が走る
速度メーターの針などとうの昔にへし折れた
オーバスペック!性能を超える加速!速度表示に意味などない!!
なぜならば!!走る者のリアルは数値化できないからだ!!

時速300kmを超える壁は厚い!!
だが妖魔車には余裕があった…それは自分は最新式と言う傲り!
最前線と言うプライドが生み出した虚栄!!
故に!腸が煮え返る!!

『何故!何故!!!!何故何故何故何故!!!!有り得ない!!!!!!!』
『何故あんな旧式が!!俺の後ろに張り付き続ける!!!』

パワーも!!デザインも!!!オーディオも!!!
全てが勝っていた!!
しかし振り切ることは出来ない!!!

事実―退魔美少女の乗った旧式スポーツカーは博物館に展示されていた
カーテンウォールに包まれた、さながらプラスチックケースに入れられたプラモデル
だっせ!!!まじだっせ!!!!走らない車とかダッセエエエエエ!!!!カスが!!!!
そう思っていた、なのにこのクソじじいはついて来やがる!
俺の!走りに!!!


「何故か!説明しよう!!簡潔に!!!」

ボンネットに座っていた退魔美少女が立ち上がる!
黒き髪をたなびかせ!腕を組み!宣言する!!


「意地だ!!!!!」


 

超退魔美少女『烈雷』 > この旧式スポーツカー(便宜上、以下『蛇』と呼ぼう)は
20mx20mと言うガラス張りの空間に捻じ込まれる前は…夜のハイウェイを走り続けていた
ストイックに!誰の目も気にせず!己の愛のままに!!加速!
しかしこの『蛇』にも別れが訪れる
オーナーのマカダミアナッツアレルギーによる突然の死
担い手を失った車は…博物館へと送られた
その栄光を称賛するために、人々の歴史のトロフィーとして…
どれだけ悔しかったろう、どれだけ悲しかったろう
走るために生み出されたものがその道を閉ざされたのだ
眺められるために俺は存在するのではないと
どれだけ嘆いたか…

その悲しみが、狭き箱の中に押し込められていたリアルが!!
一気に爆ぜる!!

理論的な話をしよう…風を縛ることなど物理的に不可能!!
故に吹き荒れるのみ!!加速のままに!!!


「さぁ!!吠えろ!そして語れ!!!貴様と言う魂の輪郭を!!加速して浮き彫りにしろ!!!!」


環状高速道路にピリオドなど存在しない
狂ったように回り続けるのみ
しかし聞こえてくる…終着への歌が!!

超退魔美少女『烈雷』 > オーバースペックxオーバースペック=破滅!!
覆せない方程式!!
無理をすれば綻びが生じるのは必然!!
先にそのカラダが悲鳴を上げ始めたのはやはり旧式の『蛇』!!
フレームが悲鳴を上げる!!
加熱によりタイヤが溶け始める!!
エンジン!炎!炎!炎!!!
如何に禅‐ドライブと言えど崩壊を始める車でのドライブは不能!!
徐々に妖魔車との距離は広がり始める!!
ロートルには死を!しかし意地がある!!漢の子には曲げれぬフレームがあるのだ!!
エンジンが咆哮を上げた!炎をまき散らしそれでも先へ進もうとする!!

「その魂・・・確かに聞いたぞ!!!!」

退魔美少女の背負った剣が魂の呼応に反応し変形した!!
武具が望むならば答えるのが使い手!!
この車の覚悟は受け取った!
加速の先へ、閃光と共に消えるならば答えよう!!

「退魔弦!!――紫電桜!!この先に進むならば!!聞け!!清めの音を!!!」

''ギュンギュギュィーーーーーーン!!!!!''

一心不乱に刻まれるギター音!!最期を飾る合図!!!

駆け抜けろ!己の意志のままに!!己の道を!!!

鬼となるのだ!!!!!!!

''ギュンギュィンギュォーーーーー!!!!''

指先から迸る稲妻!!
蒼き光がエンジンに走り込む

― 超 電 磁 ア ク セ ル

エンジンが!青く光る!!
電磁分解により赤い塗装がはがれ銀のボディが剥き出しになる!!
おぉ、なんと美しい!!刀のように光を反射する!!

「何人も許さない…平和を壊す魑魅魍魎よ!!!」
「動き出せ!」

''ギュンギュィィィィィン!!!!''

掻き鳴らす音が空に轟く!!

その誇り、胸に走り出す!!!

烈雷・蛇「オォオオォオォオォオ!!!!!」

妖魔車と並ぶ!魂の共鳴がさらなる加速を生み出したのだ!!!

超退魔美少女『烈雷』 > しかし妖魔車を追い抜くことは出来ない!!
酷使による酷使!憑りついたからこその憑依先を破壊してもいいと言う悪魔のセンス!!

ニトロ!!!

加速!!!

ニトロ!!!

加速!!!

ニトロ!!!!!

バーーーーストオォーーーーーー!!!!!!

マフラから烈火が噴き出した!!
車体が火を吹き荒れる!!それはロケットエンジンにも似たか!!
車体が浮かぶ―? 否、強烈な加速に飛んでいるのだ!!

自壊を始める自身の体!しかしほくそ笑む!
駆け抜けるつもりだ…追い抜かれるまま光の向こうへと!!

決着の時はあと数秒…
妖魔車が自壊して追い抜いてもそれは真の勝利ではない
壊れたから追い抜かれたのか?ハッ!壊れたもんなぁ…追うじゃねえと追い抜けねえようなぁ!!!
と言う口元をした

崩壊のビートが消える前に追い抜かねばならないのだ…
超電磁アクセルを使っての並走…もう手は無いのか?
終わりなのか…?






 N O



赤龍を模ったマスクの奥に燃える瞳が輝く
切り札は無い…が、斬ることは出来る
共に魂を重ねたこの『蛇』と言う刀があれば!!不可能ではない!!!

鬼道流 抜刀術  鋼走り

     が

崩し 変異抜刀術 大蛇

超退魔美少女『烈雷』 > 火花が散った

『蛇』は何者にも縛られず、遮られず、先へと消えていく

確かに抜いたのだ
妖魔車を…誰も居ない彼方を走り続ける…

遥か彼方背後から悲鳴が聞こえる
爆破を起こしながら妖魔車が崩れていく

「貴様の進むべき道は…地獄だ!!!」
「閻魔帳に書かれた違反記録をあの世で清算するがいい!!」

''オォオオオオオオォオォォ!!!!!''

爆破!炎上!!…炎により妖魔は浄化された…


不思議な高揚感
静かな深夜の公道を走る…終わりはとうに通り過ぎた…
『蛇』は去れと語る。なにも死への旅に付き合う必要はないと…

退魔美少女は笑った

「水臭いことは言うな…いいじゃないか、今度は最後まで共に走ろう…」

そう言って助手席に深く腰を下ろす
運転席には白い光に包まれたドライバーがサムズアップをして答えた

心地よい月の光が環状高速道路を照らす

『蛇』は涙し最後の夜を走り抜けたのだった…

ご案内:「常世学園島環状高速道路」から超退魔美少女『烈雷』さんが去りました。