2015/10/18 のログ
ご案内:「保健室のついたてのむこう」に蓋盛 椎月さんが現れました。
蓋盛 椎月 > 保健室、衝立の奥、並ぶベッド。
気怠そうな表情の蓋盛が汚れたシーツを予備のものにぴん、ぴんと張り替えていた。

女性に生まれてよかった、と思うことは度々ある(よくなかった、と思うこともある)。
そのひとつは、向こうからは、自分が悦んでいるか、いないか、
どちらであるか看破することはほぼ無理であろうということだ。

蓋盛という養護教諭は誰にでも股を開く、という話は半ば公然の秘密のようなものである。
その悪評を積極的に否定するつもりはなかったが、
訂正が許されるなら、別に誰とでもは寝ないし、色情に狂っているつもりはない、とは言いたかった。

ご案内:「保健室のついたてのむこう」におこんさんが現れました。
おこん > しづきー。 変えの枕かばーとか、使い捨てアイテムの類を持ってきたぞー。
(保健室を根城にしているのは、静かであるためと、もう一つ…しづき先生がするように、
 自分も使うためだ。 したがって、お部屋の整備もお手伝いするのがおこんなりのやり方である。
 ちっちゃな手で枕カバーとか、連なってる正方形のビニールとかを持ってきて、彼女にはいと手渡して。)

お手入れも大変じゃなー。 生徒の怪我も耐えぬし、ワシみたいに常用しているものもおる。
もっとも、ワシの場合は体調如何でなくて、ただ便利だから使ってるだけじゃけどー。
(いひひーって笑いながら、なんかけだるそうな顔の彼女をぽんぽんと尻尾で軽く叩いて。) 

蓋盛 椎月 > 「あ、どうも。わざわざありがとうございます」
覇気のない微笑みを浮かべてそれらを受け取り、所定の位置へと仕舞う。
……ベッドの周囲に金色の毛が落ちていたりするのを見つけると、
ああこの狐が使っていたんだな、とわかったりする。

「いえ。大したことじゃあないですよ。これもいつもの仕事ですし」
叩く尻尾をそっと愛おしげな手つきで撫でる。
ベッドの整備を終わらせると、いつものデスクに戻る……
のではなくて、ベッドにそっと腰掛けた。
白衣の下にじっとりと、運動をしたように汗をかいているのが、
近くに寄ればわかるであろう。
要するにおこん先生がここを訪れる前に、することをしていたのだ。

おこん > なに、使わせてもらってる身じゃからな、これくらいせんと…おお、っ…。
(しづき先生の顔を見て、ちょっぴり不思議そうに首を傾げる。
 尻尾に触れられると、小さく声を上げた。
 ともかく渡し終えて、整備が終わったとわかると一息。
 ベッドのふちに腰掛ける彼女の隣に座る。
 鼻をひくひくさせて、なるほどと心の中で頷いた。)

なんじゃ、しづき疲れておるのかと思ったわい。
調子が悪いなら、今すぐにでも治療を…と思ったんじゃが、
その必要はなさそうじゃな。
(しづき先生のお膝の上に尻尾を載せて、触れるような体勢。
 撫でたりするとリラックスできるっていうし。)

蓋盛 椎月 > 「……調子が悪いように見えました?」

こちらも首をかしげて見せた。
ふう、と一息ついて。

「……そうですね、調子が悪いのかもしれませんね。
 あたし、たまに自分のことが判断できなくなるもので。
 何かあった……というわけでも、ない、はずなんですけど」

そう、特別嫌なことがあったというわけではない。
少なくとも、蓋盛の中ではそうだ。
先刻まで共に遊んでいた相手のことも、別に嫌いというわけではない。
しかし、蓋盛の表情には、陰りが見て取れた。

目を細めて、猫を愛でる老婆のように、膝に乗った尾を
毛の流れにそってさら、さらと繰り返し撫でた……

ご案内:「保健室のついたてのむこう」に奥野晴明 銀貨さんが現れました。
おこん > 悪い!と断言はできんが、首を傾げる程度にはのう。
…よいか、しづきよ。 何かに耐え忍ぶのは、他の皆もそうしている時なら美徳じゃ。
しかし、他の連中がそうでもないのに、おぬしだけ耐え忍ぶのは良いことではないぞ。
(なんとなくどんよりしてるしづき先生に優しく語りかける。
 尻尾を撫でる手もとても優しいのだけれど、なんだか少しさびしそうに思えて、
 もぞもぞ動いて、身体をぴたりとくっつけた。)

相談して楽になることがあるなら、いくらでもワシに言うてみい。
こう見えても年の功はそれなりじゃぞ。
(しづき先生は、時々すごく危なっかしく見える時がある。
 話しかけながら、尻尾を撫でる彼女の手に、自分の手を重ねて。)

奥野晴明 銀貨 > こんこんと規則正しいノック。保健室の固い扉をたたく音のあとにそっと開く。
現れたのは蓋盛がよく知る生徒だった。

「失礼します」

静かな足音ともに少年が保健室の中へ踏み入る。
ベッドに座る蓋盛と、その隣に座ってしっぽをのせるおこんを見つめて

「ああ、やっぱり蓋盛先生いらっしゃいましたか……。
 すみません、お邪魔でしたか?」

薄い笑みを表情に張り付けてそっとおこんに会釈する。
二人の手が重なっていることを目の端にとめるが特に言及はしない。

蓋盛 椎月 > 「………………」
前にも似たようなことを言われた気がする。
けれど蓋盛としては、けして耐えたり我慢しているといった自覚はない。
別に……これといって、悩みなどはないのだ。

「心当たりは……ないわけでは」

(さっきの“遊び”……)

けれど、どういうわけかそれを、特におこん先生に告げるには……
ひどく口が重くなってしまう。

言葉が途中で止まってしまったところで、銀貨が現れた。

「ううん、大丈夫だよ。
 何か御用?」

その姿勢のまま動かず、にっこりと彼に笑いかける。

おこん > そうか、無いわけではないんじゃな。おぬしの気が楽になるようなら、後で話してくれ。
ワシはおぬしと仲良くしたいし、おぬしが笑っているところがみたいでな。
(なあるほど、と彼女にうなずきかけ、わかったという意思表示にぽんぽんと手を軽く叩く。
 無理やり喋らせるべきでもない。彼女が語るべきにそうするだけのことだ。)

おや、客人じゃ。 運がよかったのう。 もう少し遅かったら、一戦の最中に遭遇するところじゃった。
(こいこい、と生徒に手を振って見せる。 しづき先生も先生モードになったし、
 しばらくは大丈夫だろう。)

奥野晴明 銀貨 > 「いえ、特に用事は……いや、蓋盛先生の顔が見たくなってきました」

微笑みかける蓋盛の表情に陰りが見て取れるのを眺め、平坦な調子で返す。

実際、銀貨がたまたま外の廊下を歩いているときにちょうど保健室の方向から足早に歩いていく生徒とすれ違っただけだ。
その生徒の襟がずれて、首筋に赤い跡が見えたりあるいは蓋盛の煙草の匂いと体臭がほのかに香らなければ銀貨はここに来る気も起きなかった。

ただそうは言わずに、何か二人で内緒話をするような教師二人の様子をじっと見下ろして首を傾げる。
(まるで”火遊び”をして”やけど”してしまった子供みたいだ)
蓋盛のしおれた様子をそんな風に思って、おこんに招かれるまま近くのパイプ椅子を引き寄せてそこに座る。

「一戦……そうだったんですか。やっぱりお邪魔だったみたいですね、ごめんなさい。
 もし今からだというなら、僕は失礼しますけれど……」

わずかに眉を寄せて申し訳なさそうに告げる。
その間におこんを上から下まで眺め、どんな教師だったかを思い出す。
コミュニケーション学の……ああでも、蓋盛が好みそうな相手だというのは一目見て分かった。

蓋盛 椎月 > 「ええ、そうですね……気が向いたら、そのうち」

そうは返しはしたものの、きっとおそらく、
そのことをこの狐に話すことはないだろうな……とも確信していた。
話せないことがあることを、申し訳なく思う。
その代わりに、ぽんぽん、とおこん先生の頭を軽く撫でた。

「そうなんだ。へへ……嬉しいな」

少し照れくさそうに笑う。子供の表情。
二人を交互に見て、こちらはおこん先生であたしのお友達、
こちらは銀貨くんであたしの彼氏、とごく普通の調子でお互いに対して紹介をする。

「……だから、邪魔じゃないって。
 そもそもあんまりそういう元気はないからね、今は。
 あたしも、きみの顔が見られて、よかったよ」

そう言うとベッドから立ち上がる。
おこんからも銀貨からも少しの距離を取り、近くにある窓を開けた。
吹き込む風に亜麻色の髪がなびいた。

「銀貨くんはあたしのこと嫌い?」
二人に背を向けたまま、特に深刻さも感じられない、何気ない調子で尋ねた。

おこん > なに、誰かこなければという話じゃよ。 気にすることなぞあるまい。
(相手を見てからからと笑う。何かあるから、彼?もここに来たのだろうし。)

んもー、なんじゃよしづきー。
(頭を撫でてもらうのは気持ちいいけど、なんだかごまかされた感。
 でも気持ちいいから許しちゃう。 目を細めてうっとり。)

えっ、彼氏じゃったのか…年下食い…まあワシも人のこと言えぬのう。
そうじゃよー、おこんじゃよー。
(銀貨くんに手を振ってご挨拶。 先生だからね、ちゃんと挨拶しないといけないし。
 なんか立ち上がって風を浴びるしづき先生を見てから、銀貨くんを見る。
 きっとしづき先生もせんちめんたるな気持ちになることがあるのだなあ。)

奥野晴明 銀貨 > 「ご挨拶が遅れました、奥野晴明 銀貨です。はじめまして、おこん先生」

彼氏と紹介されれば面はゆいような、特に気にしてもなさそうなあいまいな表情で笑う。
おこんに姿勢を正して、丁寧に頭を下げると風にあおられる蓋盛の髪とその後ろ姿を眺めた。

「嫌いだったら顔を見たくなんてなりませんよ。
 どうしたんですか?遊び疲れてしまったみたいに」

ふ、と口の端だけゆがめて苦笑いをする。子供みたいな彼女の言葉に肩をすくめた。
新しく整えられたベッドとシーツに視線を移すと、そっと掌で撫でる。

「せっかくシーツ張り替えたんですから、寝ません?
 みんなで一緒に。何もしないで、ただ横になるだけ。
 遊び疲れたら、寝てしまうのが一番ですよ」

ね、おこん先生?といって誘うようにふたりに呼びかけてみる。

蓋盛 椎月 > 「そーですよー。おこん先生は百倍ぐらい年上だしぃ」

年下食いというおこん先生のセリフに反発するだけしてみた。
実際の年齢がどうとか外見の年齢がどうとかいうのは、
この常世島においてはあまり参考にはならない情報なのだが。
おこん先生は自分にとって年上なのか、年下なのか、よくわからない。

「“遊び疲れた”? あたしが?
 なるほどね、そりゃ面白い考えだ」

くるりと振り返ったその笑みは、すでに瑕疵のないものへと戻っている。
銀貨の提案に、じゃああたし一番乗りー、とスキップして
張りたてのシーツの上へと跳んで転がって、猫のように目を細くした。