2017/09/23 のログ
ご案内:「歓楽街と落第街、境にあるビル」に鈴ヶ森 綾さんが現れました。
■鈴ヶ森 綾 > 普通の繁華街と落第街、その境界は曖昧で明確に定められているわけではない
そもそも落第街なるものが公的には存在しないものとされている以上当然の事だが
この一帯は丁度そういうどちらともつかないライン上にあり、治安が良いとは言えない場所だ
その一角、路地裏に立つこのテナントが入ってないビルは理由なく使われていない訳ではなく、
最近落第街で勢力を伸ばしつつあるグループに不法に占拠されている状態にあった
それが未だに風紀の取締を受けていないのは、そもそれを訴えるべき者がそうしていないからに他ならない
ともあれ、このビルは連日良からぬ輩のたまり場のようになっていたのだが、
今日に限っては一組の男女がそこにいるだけだった
それが偶然か、はたまたどちらかの意思によるものかは分からないが
「あら、もう終わりなの?」
床の上で絡み合う男女、男の上に跨る裸の女が嗤いながら眼下の男に言葉を投げる
男、本来の年齢は20前後のはずのその身体は、まるで末期の時を迎える老人のようにやせ衰え、
視線も何処に向けられているか定かではない
喉の奥から搾り出すように出した声はまともな言葉にならず、もはや手も、足も満足に動かせぬようだった
「ではさよならね。ご機嫌よう」
女がその白い手を男の胸に落とす
その手が黒く蠢く何かに変わったのを見ても、男は表情一つ変えなかった
その蠢くものが胸から全身に広がって男を覆い尽くし、徐々にその体積が小さくなってゆく
それからさして間を置かず、その場に残されたのは男が身につけていた金属のアクセサリーと、
いつの間にか服を身につけた女の姿だけだった