2017/10/27 のログ
ご案内:「ヨキのアトリエ」にヨキさんが現れました。
ヨキ > 日差しのあたたかな午前中。

研究者か、用事のある人間の他には、うっかり迷い込むくらいしか人通りのない研究区。
ヨキは長らく、この閑静な区画を住居としている。

インターホンの傍らには、手ずから拵えた季節ごとのオーナメントが飾られている。
今は真鍮で細やかに作られた、金色のスワッグがぶら下がっていた。
来客はこの飾りを表札、あるいは目印に、このヨキのアトリエを訪ねてくるという訳だ。

当のヨキはといえば、奥の私室に鎮座するダブルベッドでスヤスヤと寝息を立てていた。
裸である。それでもって、部屋には女の残り香が薄らと漂っている。

そういう休日である。

ヨキ > ヨキの傍らに、既に女の姿はない。
独りになったあと、とりあえずもうひと眠り、という具合に二度寝を決め込んだらしい。

アトリエは作家や教師として住所を広く公開しているが、今の時間帯は特に予定も入れていない。
死んだような静けさで眠るヨキの寝息以外は、空調の音がひそやかに響いているきりだ。

ヨキ > サイドテーブルに置いていたスマートフォンのアラームが鳴る。
衣擦れの音を立てて身じろぎすると、小さく唸って薄く目を開いた。

「…………、んん……うううん。…………」

もそもそと腕を伸ばし、端末を手に取る。
徐に上体を引き起こして、下半身を布団に潜らせたまま大きく伸びをした。

「んああ……、死ぬかと思った。相手がサキュバスではな」

裸眼の目頭を指先で掻く。
起き抜けの顔からしてさんざん搾り取られたようだが、その一方でたっぷりと楽しみもしたらしい。

ヨキ > のろのろとベッドから足を下ろす。立ち上がろうとして――
すとん、とマットレスに尻餅を突いた。

「おや。……あれ」

身体に、思うように力が入らない。
獣人の頃には、どれほど荒淫を重ねてもピンピンしていたものだったが。

「…………。これが人間の体力か……」

実際のところ、ヨキは人間にしては十分すぎるほど精力が旺盛なのだが、比較のしようもないので知る由もない。
動き出すのを諦めて、再びベッドに寝転がる。布団を綺麗に被り直すのも億劫なほどだった。