2016/06/15 のログ
ご案内:「落第街・薄暗い路地」にエルナールさんが現れました。
エルナール > ヒュン、と、僅かな物音が聞こえた。
その程度の音で振り向く者は、この場所には誰も居ないだろう。
続けて聞こえてきた音にも、誰も、振り向きはすまい。

「あら可哀想…その足じゃ、もう、歩けそうにないわねぇ?」

ポリバケツやペンキ缶が打ち捨てられていた路地の隅に、若い男が倒れている。
男は足を引き摺り、目も前のものをなぎ倒しながら、必死に“何か”から逃げようとしていた。

「あら残念、そっちは行き止まりよ?」

エルナール > 既に両足を撃ち抜かれて立ち上がることさえできない男を見下ろして、その女は笑っていた。
露骨に胸元の開いた服、短いスカート、ロングブーツ。
……その服装を見る限りでは、歓楽街やこの街ではそう珍しい人種でもないだろう。
唯一、普通でないのは…

「アンタ、随分好き勝手やってくれたわねぇ。
 何だっけ、一晩中可愛がってやる?雌豚には躾が必要?
 アタシの幻術でゴミ箱相手に踊ってただけなのにさ。」

…彼女が銃を持っており、そして何の躊躇もなく引き金を引いていることだ。
倒れた男の頬を掠め、地面に弾痕が残る。
男は少しでも女から離れようとするが、その背をロングブーツが踏み付けた

「ふふふ、今の方がずっと良い顔してるじゃない。
 今ならもっと、可愛がってあげられそう……。」

男の背中に銃を押し付けて、顔を近づける。
男の耳元で囁くように、舌なめずりをしながら、女は語る。

「……アタシと一つになりたい?シたくて仕方ない?
 そうよねぇ、無理やり襲うほど溜まってたんでしょう?
 もっとアタシを楽しませてくれたら、考えてあげてもいいわ。」

エルナール > 許してくれ、助けてくれ、壊れたおもちゃのように、男は喚く。
命を握った女は妖しく笑い、静かに目を細めた。

「ほんと、可愛い子。」



「……でも、駄目。
 アタシさ、異能者って嫌いなの。」


「殺しちゃいたいくらい。」


足を乗せたまま、銃口を男の頭へと向ける。
左手は自然と、下腹部へと伸ばされていた。
か細い指が引き締まった脚を撫でて、そのままスカートの中の、下着をなぞる。

エルナール > ──────────。
エルナール > 人差し指をたった1cm動かすだけ。
サプレッサーのついた銃から聞こえるのは、小さな小さな物音。
しかしたったそれだけの動作で、全てが終わる。

男の声は途切れ、女の荒い吐息だけがかすかに聞こえていた。

ご案内:「落第街・薄暗い路地」からエルナールさんが去りました。