2016/10/24 のログ
ご案内:「クローデットの私宅」にクローデットさんが現れました。
クローデット > クローデットとマリアの、女性美を讃える歪んだ祭典。
それは、クローデットの職務や研究の合間を縫うかのように続けられていた。

そうしているうちにクローデットの私宅にはマリアの「女装」用の道具さえ整いだし…当人達は意識こそしていないものの、「主人と奴隷の弁証法」の様相さえ見せ始めていた頃。

女装の「胸を作る」過程の中で、クローデットが、さりげなく

「お胸は、土台があった方が作りやすいのですけれど」

と零したのは、いつのことだっただろうか。

ご案内:「クローデットの私宅」にマリアさんが現れました。
マリア > そして歪んだやり取りを,マリアは好意的に受け止めていた。
…少なくとも,好意的に受け止めようと努力し,自分がそうしている限り,同様にしてクローデットもそれを楽しんでいてくれるのだと,そう信じていた。

こうしてクローデットという女性としての“先輩”に誘われるままに,
幾度ものやり取りを繰り返すうち,マリアも,少しずつそれに慣れていく自分に気づいてさえいた。

「…すみません。」

男としても華奢な身体をもつマリアは,クローデットの呟きに申し訳なさげにそう答えた。
それは特に深く考えたわけでもない,反射的な言葉だっただろう。

クローデット > 確かに、クローデットは「楽しんで」いただろう。
しかしそれは、「悪意」の過程としてのそれが主であり、マリアの期待するものではなかった。
…無論、クローデットは嘘を吐かず、真実を隠し…そして表面に柔らかい微笑を貼り付けることで、マリアの期待する「幻」を見せ続けていたのだが。

「…最初にお試しになられたときは、薬を使ってお身体を「寄せる」ことを拒まれましたものね。
無論、シュピリシルド様のなさりたいようになさって下さって構いませんけれど」

そんな風に返事をしながら、着付けの支度をしているクローデット。
最初に断られて以来、クローデットは「性自認」を揺らがせるような提案をマリアにはほとんどしていなかった。

マリア > マリアは他者の悪意にまったく無頓着でいられるほど純粋ではなかった。
しかし,貴女の本心を見抜けるほどの鋭敏さも持ち合わせてはいなかった。
そして,マリアの最も救われ難い性質は,その“幻”を見続けるために努力を惜しまないことだろう。

「…えぇ,怖いという気持ちもありましたから。
 けれど,もし必要なのでしたら…。」

貴女がそれを望んでいる,或いは期待していると感じたのなら,
マリアは己を曲げてでも,それを成してしまう。

クローデット > 「必要」という言葉。それを聞いて、クローデットは手で口元を隠しながらも、くすくすとおかしげに笑い出した。

「…そもそも、「肉体の性別を問わず」、このように飾ること、見た目に徹底的に手を入れること自体が、望まぬ限り「無駄」の極みだとは思われませんか?」

それから…口元を隠していた手を胸元に下ろして、勝ち気な光を放つ目を細めながら、口元に艶のある微笑を刻む。

「着飾り、装う。それも「武装」だと以前申し上げましたでしょう?
自分がしたいからするのです。自分を、誇るためにするのです。

土台があった方が、美しく仕上げることは易しくなります。
………しかし、シュピリシルド様が「女性として」どうありたいのか。それが、全てですわ」
(…ああ、本当に愚かな「男」)

マリアの期待を、クローデットはよく知っていた。半ば、呆れてすらいた。
マリアが、今、この時には「女性性を楽しむ女性」として自らを偽っていること。
その偽りを前提とすると、クローデットの美貌と、その自尊心が尊敬の対象になりうることを知った上で、そう返した。

マリア > 変なことを言ってしまっただろうかと,少しだけ不安そうな表情。

「私には分かりません…ですが,無駄…ではないと思います。
 ルナン様のおっしゃる通り“武装”なのかもしれませんが…。」

マリアの考え方は,貴女のそれとはやや異なっていた。
この哀れな“少女”は自分を誇るつもりなど僅かほどもなかったのだ。

「私は…着飾ったのなら,誰かに見ていただきたいと,そう思います。
 ですから…今は,ルナン様に見ていただけるのが嬉しいですし…。」

常に影として生きることを強要され,誰からも必要とされなかった過去がそうさせるのか,
マリアは常に,必要としてくれる,見てくれる“誰か”を欲していた。

「ですから,その…ルナン様の,思うようにしていただければ,と。」

……貴女の想定が外れた部分があるとすれば,“自尊心を尊敬すること”ができなかったという点だろう。
それはマリアがこれまでの人生で,己から削り落とし,捨て去った不要なものであったのかもしれない。

クローデット > マリアの言葉に、虚をつかれたように、目を数度、大きく瞬かせる。
その間、クローデットの唇からはしばし笑みが消えていた。
………が、「思うようにしてくれれば」という言葉には、ふわりと…先ほどとのギャップが著しい、柔らかい笑みを浮かべてみせた。

「…そうですか。
それでは、軽く試してみましょうか。シュピリシルド様が、ご自身がどうありたいかお考えになる上でも、参考になると思いますし。

…お薬を取って参りますので、しばしお待ち下さいね」

そう言ってにっこりマリアに笑みかけた後、クローデットはぱっと寝室に向かう。
彼女が青い不透明な液体の入り、小さなカップのようなもの(計量のためか目盛りがつけられている)の被せられた瓶を持って戻ってくるまで、さほど時間はかからなかった。

「初めてですし、長時間は避けましょう…お着付けをして、2時間ほどお茶を楽しむ、位でしょうか」

そう言って、カップの中に、青い不透明な液体を30mlほど注ぎ…そのカップを、マリアに差し出す。

「飲まれたら、「女性らしい身体のラインを手に入れる」ことだけをお考えになって下さい。
「女性そのものになる」とは、お考えになりませんよう。性別の垣根を越えられるお薬ではございませんので、異常が起こりかねませんから。

…ああ、苦みの強いお薬ですので、一気に飲んでしまわれた方が楽かと存じますわ」

マリアが薬を飲む前に、そう、注意事項を述べる。
性別の垣根は越えられないから、余計な部分…具体的には胴回り…にも多少脂肪がつくことは避けられないだろうが、それでも、薬を飲んだマリアが上手く念じることが出来れば、骨格等も合わせて、女性的な身体のラインにはぐっと近づくだろう。

マリア > 貴女の唇から笑みが失われたことを,マリアは見逃さないだろう。
だがそれが何を意味しているのかまでは,思い至らなかった。
……すぐに,貴方の柔らかい笑みがその緊張をほぐしてしまったから。

「すみません,お手数をお掛けしてしまって……。」

その僅かな時間の間にも,マリアは,貴女の笑みの消えた理由を考えていた。
自分の発言の中に,何か,貴女を不快にさせるようなものは無かっただろうか,と。

「……あ,えっと…私にはお薬のことは何もわからないので…。
 ルナン様に,お任せいたします。それが一番,間違いが無いですから。」

かえってきた貴女に向ける,その信頼に嘘は無かった。
差し出されたカップを手に取ってから,その説明を聞き……

「……………っ……。」

さほど躊躇することもなく,その青い液体を飲み干した。
カップをサイドテーブルに置いてから,静かに瞳を閉じる…。

女性らしい身体のライン,と言われてもそうそう明確にイメージできるものではない。
思い至ったのはメイドや社交界で見た女性たち,そしてやはり,眼前のクローデット・ルナンであった。

「…………………。」

上手く念じたかどうか,それを判断するのは見ている貴女だろう。
マリアの華奢な骨格はより一層細く女性的になり,僅かながら女性らしい膨らみが生まれる。

…貴女がそれに気づくかどうかは分からないが,クローデットを模倣した,というのが最も近い表現になるだろう。
そういう意味では,マリアの想像力も捨てたものではない。

クローデット > 「いえ、良いのです。
…ただ、あたくしの力及ばなさを突きつけられてしまっただけですから」
(………ああ、本当に愚かな「男」………!)

穏やかな表情の裏に、悪意の大願成就の足音を感じる喜びを隠しながら、マリアの申しわけなさそうな発言に、そう解答する。
…意味するところは反転しているが、この言葉ですら嘘ではない。
これだけ飾ってやり、本人も嬉しそうなそぶりを見せて………その上で、この「少女」には、「女性性」を「自尊心」の拠り所にする素養すら、育たないのだと。

そこまでの、「玩具」なのだと。クローデットが「勝利」を確信して歓喜したのも当然だった。

「………。」

薬を飲み干したマリアの…変容を、静かに見守る。

予想以上に、上々だった。無駄なところの脂肪はほぼ最低限に抑えられ、全体的なシルエットは華奢ながらも「美しい」。
これならば、ウエストラインも無理なく出せるだろう。

「………お見事ですわ。よく、ご覧になっていらっしゃいますわね。
それでは、お着付けを致しましょうか」

マリアの上半身の下着が取り払われれば、クローデットはボディメイクの準備に入るだろう。

「よく見ている」という言葉を、マリアは、この状況でどう受け取るのだろうか。