2020/06/30 のログ
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常世島の近況 > 【異能・魔術・異世界学会春季学術大会閉幕】

 今回、6月中に特例として行われた『異能学会』『魔術学会』および「異世界学会」の春季学術大会は終了した。
 『異能学会』の一部会場にて議論が紛糾し、デモなども行われ、風紀委員などの出動もあったために学術大会の会期全うも危ぶまれたが、「国際異能発現者連絡会議」から、一部の構成員の誤解による騒動をに関する陳謝が行われ、徐々に事態は収束を見、以後の大会の開催に支障をきたすことはなかった。一部の偏向的なメディアの報道も徐々に落ち着き、別の事件の報道へと切り替わっていった
 今回の事件では、異能を発言した者と現実の社会の間にいまだ軋轢や齟齬があり、異能をどう捉えるかという見解も統一は難しいということが改めて明らかになった。常世島の外で、異能者が溶け込んで行くにはまだまだ解決しなければいけない問題は多いということである。現在のところ、異能の多くは唐突に発現するものである。発現を自由に制御できない例がほとんどであり、それ故に常世学園も必要とされている。《大変容》の時代よりは異能は世界に受け入れられつつあるとはいえ、全てが解決したわけではない。居場所を失った異能者たちの行き着く先が、この常世島――海上の果てに隔絶された異郷、常世国――であるのも、一つの事実である。
 
 異能を天与のものと考えて特別視する者、病のようなものだと解釈する者、個々人の個性と肯定的に捉える者、制御できぬ危険な力だと否定的に捉える者、人類の進化の可能性と信ずる者――様々な考えが、常世学園の内外でひしめいている。
 それらの問題に、異能を持つ/持たない学生たちはいつか直面するのかもしれない、否、もう遭遇した者たちが多いのだろう。そういった問題は、今後今まで以上に常世島の内外を駆け巡っていくはずである。
 その問題の解決の一端を示そうとするのがこの学園都市という社会、疑似国家とも言える存在である。来たるべき異能・魔術・異邦人を含んだ社会の構築、テストケース。楽土であり、あるいは混沌の巷であり、様々な価値観を包含したこの島では今後も様々な問題が起きていくであろう。その常世島のありようは、世界の注目するところである。
 異能学会の記録には、今回の事件も明確に記録された。この現実を受け入れた上で、異能学会、及び常世学園はいかに異能者と外の世界を融和させていくかを考えていくことになる。それは魔術であれ異邦人であれ同様である。

 魔術学会、異世界学会も同様に終わりを迎えた。
 魔術学会は、魔術の智識を。科学と同様人類が扱うべき「技術」などとして公開し、世界のために活かしていくために設立された学会である。しかし、魔術世界においては「秘術」を一般の人間に公開していくことに強い抵抗を持つ者たちも少なくない。常世学園の創立により、伝統的な魔術師の家系も常世学園に子弟を入学させる事例も増えており、古来より世界の裏側に存在していた魔法/魔術学校の一部が入学者を大きく減らし、存続の危機に立たされているという。
 そういった立場の者からすれば、常世学園の存在は決して快いものではない。世界魔術協会からは、魔術の安易な伝道は戒めるべきであるという例年どおりの意見も今回の学会で提出された。
 そして、それに対し、魔術を特権化するものだと批判するものも当然現れた。魔術の存在は《大変容》が発生したときに世界に暴露されており、魔術をもっと早くに人類共通の技術としていれば《大変容》による被害も少なくなったのではないかという「もしも」を考え、魔術世界を追求する者も一部では存在しているのである。
 異世界学会はまだ成立して日の浅い学会である。異世界を研究する学会だが、当然その対象には「異邦人」も含まれる。
 異邦の「ヒト」への対応はまだまだ模索中のところが多い。「地球」の人間を対象とする研究と同様、自らを研究対象として扱われることを拒否する者も当然おり、研究に際しては配慮が必要な分野である。異邦人を取り巻く問題はまだまだ未解決であり、これからも大きく問題となり、議論されていくことであろう。

 こうして春季学術大会は幕を閉じた。次の学術大会は冬季になるが、それまでの間にも小規模な学術大会や研究例会は行われ続ける。
 研究の成果を学生が発表する機会は多い。これからも、この学園都市では異能・魔術・異世界に関する研究が深められていくだろう――

【PL向け】
春季学術大会は終了となりましたが、6/30が終わるまでは開催されているという体で考えていただいて構いません。
ロールプレイの途中で6/30を超えたとしても、その時点で無理に終了させなければいけないというわけではありません。
当該ロールプレイを行っている間は開催中と見なして構いません。

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