2019/02/13 のログ
ご案内:「屋上」にラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが現れました。
ご案内:「屋上」に鈴ヶ森綾さんが現れました。
ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > よく晴れた穏やかな日の昼。
人がまばらな屋上のベンチに座る二人の姿があった。

「ごちそうさまでした。
 えっと、綾さんてこの後空いてましたよね?ちょっと渡したいものあって」

ご飯を食べ終え、お弁当箱のふたを閉じて一息つくと意を決したように声をかける。
渡したいもの。何でもないような日常であれば難しいだろうが、今日は2/14。
どれだけ鈍くてもそれなりに親しければ察するだろう>

鈴ヶ森綾 > 「ごちそうさま。
 ええ、大丈夫よ。…なあに、そんなに畏まって。
 今年もチョコレートをくれるんじゃないの?」

二人で軽い昼食を摂り終え、空になった弁当箱を持っていた手提げ袋にしまい込み
代わりに水筒から温かいお茶を注いで一つを相手に差し出し、もう一つを自分で味わう。

そうしていると何か隣から妙に緊張した声音で話しかけられるものだから
ついついからかうように相手の行動を先読みするような事を口にして
その続きを促すように軽く首を傾げながら相手の言葉を待った。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「ああん、もう。
 そういうのはわかっていても言わないのがルールですよ……。
 いや、もちろんチョコは渡します」

今年はそれだけじゃないんです。
そう言って、まずは透明な袋にラッピングされたチョコとクッキーを渡す。
去年渡したものよりも格段に見栄えがよくなっているあたり、
料理やお菓子作りを勉強したことがうかがえるだろう。
ただ、あまり装飾が得意ではないのか、ラッピングは簡素だった。

そしてこちらが本命といわんばかりに、丁寧に包装された箱を取り出した。
これら二つを渡して、彼女の反応を見る>

鈴ヶ森綾 > 「あら、可愛らしい。
 ありがとう、いただくわね。」

可愛らしい、ともすればからかいにも用いられる言葉だが
今口にしたそれにそのようなニュアンスは一切含まれておらず。
極々素直な感想としてそう告げると、受け取ったチョコとクッキーの包を大事そうに膝に乗せて感謝の言葉を告げた。

「じゃあ私からも…ん?まだあるのね。……開けてもいいのかしら?」

手提げの中身に手を伸ばさそうとして、まだ彼女が何かを渡そうとしているのに気づいてその動作を一旦中断。
手渡された箱を少し持ち上げ、自分の顔を動かして様々な角度からためつすがめつ眺め
最後に手の平の中に乗せたまま、そう相手に伺いを立てた。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「えへへ、かなり練習しましたから。
 綾さんに料理を教えてもらえたおかげですね。
 ぜひぜひ。開けて中身を見てください」

かわいらしい。そんな反応をもらえば素直に喜んだ。
昨年の様に失敗作を上げなくて済んだ、それだけでだいぶ自信になる。

開けてもいいか、そう問われると、開けて中身を確認するように促す。
中身は――バングルだった。
華奢な彼女がつけても似合うよう、非常に細くデザインされたバングル。
やや赤みを含む白銀のそれは、何か凝った彫刻が刻まれているわけでもないし、
石が埋め込まれているわけでもない。
何よりも、メーカーやブランドが明記されていないのだ>

鈴ヶ森綾 > 「私は特に大したことはしてないわ。
 あなたの努力の賜物よ。ふふっ、食べるのが楽しみだわ。」

幾らでも話を続けられるが、そこで一旦チョコの事は忘れ、意識を手元の箱へと移して。
包装を破かぬように丁寧に接着面を剥がし、それから両手を使って慎重に箱を開く。
そしてその中身を取り出して、先程外箱にそうしたようにじっくりと観察した。

「これは…腕輪ね。…どうかしら、似合ってる?」

シンプルなデザイン。華美でも豪奢でもない作りだが、優美という言葉が相応しいように思えた。
右腕に通すと見せつけるように軽く手を揺らし、相手の方に顔を向けながら感想を求めた。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「でもああいうことがなかったら、
 きっと私は料理を勉強しようなんて思わなかったわけですし」

そんな話をするうちに、彼女が包装を解いて中身を把握したようだった。
腕を通した彼女が、腕を揺らして見せてくれる。

「ええ、にあってます。よかった……」

自分が思っていた以上に、彼女には似合っているようだった。
そして、本題はここからといった風に構えて

「実はこれ、ただの腕輪じゃないんです。
 ちょっと”昔馴染み”にお願いして作ってもらったんですけど、
 魔力を検知すると非常に柔軟で、強靭に伸びるよう加工された合金で作られています」

つまり、もし彼女が”人間ではない姿”にならなければならなくなっても、
この腕輪は壊れたりしないということである。
昔馴染み、そして合金をそのように加工することのできる技術。
言わずもがな、軍隊にいたころの知り合いだ>

鈴ヶ森綾 > 「そこまで考えてくれていたの…。ありがとう、大切にするわ。」

説明を聞きながらバングルをつけた手を持ち上げ、陽の光にすかすようにして見上げる。
彼女が自分のために用意してくれたそれに大事そうに手で触れたかと思えば
礼の言葉と共にそのまま右腕を伸ばして彼女の頭を撫でた。
なんなら少し頭を抱き寄せるようにして、互いの身体をピタリとくっつけようと。

そうしているとじんわりと相手の体温が伝わり、その心地よさに暫しの間そのまま動かずにいたが
何分か経過してからゆっくりと身体を離して。

「じゃあ今度は私ね。手作りでなくてなんだか申し訳ないのだけど
 受け取ってもらえるかしら。」

改めて手提げ袋の中から一つ綺麗に包装されたチョコの箱を取り出し、それを相手へと差し出して。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「なんていうか、”今の綾さん”だけを見るのは違うなと思って」

アクセサリーをプレゼントしてはどうか。
そんな助言をもらって店を見て回ったが、ふと
『彼女が人間じゃない姿にならざるを得なかったらどうなるのか』
そんなことを考えたのだ。
以前、部屋で片手だけ見せてもらった時のことを思い出せば、
身に着けるようなものは何らかの工夫が必要だと考えたのだ。

そして彼女のやさしく抱き寄せられると、少し身体を預けるようにする。
そしてこちらも彼女の体に腕を回すと、そっと抱き着く。
日の光に相まって、彼女の体温はとても暖かく感じた。

「受け取らない理由がありません」

今度は私。そう言って箱が差し出されると普段はあまり見せない満面の笑みを浮かべた。
こんな風に笑って見せるのは、今のところ彼女の前だけかもしれない。

「何なら、一緒に食べませんか?」

そう言って、箱の包装を解いてもいいか尋ねる>

鈴ヶ森綾 > 「ありがとう。味は保証済みよ。
 …ああ、ちょっと待ってちょうだい。私もね、用意してきたのはチョコレートだけじゃないの。」

チョコレートを手渡した後、それを食べようという流れになるのを制止すると
再度手提げの中に手を入れるてそこからリボンのついた少し大きめの紙袋を取り出し、相手へと差し出して。

「あんまり綺麗な包装じゃなくてごめんなさい。
 そのまま渡しても良かったのだけど、せっかくの贈り物だから裸のままでは味気ないと思って。」

そうして手渡された紙袋の中身は、毛糸で編まれた淡黄色のマフラーだった。
これもまた彼女に贈られたバングルと同じように、メーカーのロゴやマーク等はついていない代物で。

「ラウラにはね、こういう明るい色が似合うと思ったの。
 でもあなた、あんまり派手な色は好きじゃなさそうだから…色々候補はあったのだけど、結局これにしたわ。
 どうかしら?」

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「……?
 ふふ、お互い考えることは一緒のようですね」

チョコに続いて彼女が何かを取り出す。
渡された紙袋を開けて中身を見てみると、入っていたのはマフラーだった。
とてもきれいな色だった。この国は色の名称が非常に多いと聞いたが、これは何色なのだろう。

見たところ、これは彼女の手作りのようでだった。
袋から出して首に巻いてみる。くすんだ銀髪に混ざるような淡い黄色。
巻き終えて視線を彼女に戻すと、どうでしょう?似合いますか?と>

鈴ヶ森綾 > 「そうみたいね。ただチョコを贈り合うだけじゃ、ちょっと物足りないと思ったの。」

偶然にも互いの考えが合致したことの少し擽ったさを覚えるが
その擽ったさもまた自分には得難いものであると感じ、嬉しそうに目を細めて。

「ええ、思ってた通り、とてもよく似合うわよ。
 巻き心地はどうかしら?日本の冬はもう少しで終ってしまうけれど
 少しの間でも使ってくれたら嬉しいわ。」

自分の手編みのマフラーを身につける彼女
その頭に揺れるくすんだ銀と毛糸の黃
二つの色のコントラストを確かめるようにマフラーの端を摘んで軽く髪に寄せ
それが自分の思い描いたままであった事に満足そうに笑みを浮かべて手を放す。

ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「ふわふわしてて、暖かいです。ええ、さっそく今日帰るときに巻いて帰ります!」

こうやってお互いのことを思って、同じように考えて笑える時間は、
自分一人だけでは決して味わえないものだ。

「もう少しで終わるといっても、ここは島ですからね。
 本島よりも冬は長いはずです」

彼女がマフラーと髪の色を比べて満足げな表情を浮かべると、それにつられるようにこちらもほほ笑む。
そうしてお互いにプレゼントを交換すれば、また仕切り直してチョコを食べるのであった。
彼女が渡してくれた暖かいお茶は、チョコを食べるにはもってこいの味。
昼のあたたかな時間は、ゆったりと流れていった>