2020/06/10 のログ
ご案内:「廊下」に小玲(シャオリン)さんが現れました。
■小玲(シャオリン) > 満月が空に昇る時間。
太陽を受け光る月は、さらに地上を照らし。
その地上で生きる者に、夜への対抗策を少しだけ分け与える。
例えば、彼女もそう。
夜を歩く者ではあるが、夜に生きる者ではない彼女にとって
その光は恵みである。
そんなわけで、月光を受け多少明るい学校の廊下。
そこを、全速力で走るシャオリン。
■小玲(シャオリン) > 「なんでぇ~!
ちょっと邪魔しただけじゃない~!!」
片手に木琴を叩くための棒を持ちながら廊下を爆走するシャオリン。
現在二階の廊下。
広い学校から抜け出すために爆走するが、走れども走れども校門にはなぜか届かず。
代わりに届くのは――
「――ぴゃぁっ!?」
強化された身体能力を持って察した結果のスライディング。
その直後、頭の上を飛んでいく扉。
■小玲(シャオリン) > ガシャァン!と廊下を跳ねながらあらぬ方向へ飛んでいく扉。
周りを見れば、少し後ろの方の教室の扉がなくなっている。
あれが吹き飛んだのだろう。
当たっていたら痛かっただろう。
「~~っ!
いいじゃん!ちょっと楽しそうに弾いてるところをセッションしただけじゃない!
なんでそんな怒られなきゃならないの!!」
がーっ!と叫ぶ。
思い返せば原因は自分だろうか。
■小玲(シャオリン) > 夜の学校探索。
七不思議なのかはしらないが、音楽室に響くピアノの音。
誰もいないはずなのに音色が響くのは異能か、幽霊か。
そんなわけで好奇心旺盛食欲旺盛、虎穴に入らずんばずびずんばのシャオリンはそれを確かめに来たわけだ。
そして噂は大当たり。
ポロロンポロロンと、何かの曲を弾くピアノの音が聞こえてきたので音楽室に行くが、誰の気配も、姿もない。
■小玲(シャオリン) > 誰もいないのに弾かれるピアノ。
そこで彼女は閃いた。
(これは初心者向けセッションなのでは?)
誰もいないけど音のなるピアノ。
しかもご丁寧になにかの曲を弾いている模様。
間違いない、これはセッション初心者のための機構だ。
■小玲(シャオリン) > 分かってしまえば話は早い。
準備室から木琴と棒を持ってきて、ピアノの音に合わせてポコポコポポポン。
ノリに乗ってチャカポコチャカポコ、ポッポコポン。
ピアノの曲は知らないのでてきとうに。
曲の終わりに合わせてポコポコポコ。
「――へいっ!!センキュー!」
――そして今に至る。
つまるところ、音楽を馬鹿にした罪は重かった。
■小玲(シャオリン) > 「ぴゃぁん!?」
今度は近くの水道から水が噴き出し、鞭のようにしなってシャオリンを叩きつけようとしてくる。
もちろん、それも回避するが、水しぶきまでは回避できずにちょっとずつ濡れる。
「なんでー!
音楽室の幽霊さんなら音楽室だけを範囲に力を使いなさいよー!
なんで学校中をそうやって扱うの!」
■小玲(シャオリン) > それに対する言語の返答はなく。
ただ、代わりの返答は物による回答。
「中身!
中身出てる!
それちゃんと元に戻るのよね!?」
椅子が、机が。
知覚の教室から無数に浮いて出てくる。
その際に、机から教科書やらカビたパンが落ちている。
片付けはやらないぞ。
■小玲(シャオリン) > 「よいっ!
はっ、にゃいっ!」
そして飛んでくる物体を回避しながら前へと進む。
階段を降り、走り、走り、走る。
長かった追いかけっこも終わりだろうか。
下駄箱が見えてきて、その先、校庭に繋がる扉を開けて――。
「あれ?」
屋上に出た。
■小玲(シャオリン) > 階段をいつの間に上っていただろうか。
いや、記憶上では完全に降りた記憶しかなく。
ほんの数秒前の記憶も、扉の先は校庭が見えていた。
のに、屋上に出ており、屋上の扉が後ろにある。
「……んー?」
首をかしげる。
■小玲(シャオリン) > だが首をかしげている暇はない。
まるでご招待を受けたかのように、おそらくご本人が目の前にいた。
「もー、こんなに追いかけまわして最後はご招待とか。
まじサイアク。
というか、その姿きもーい」
目の前の人。
人といっていいのかはわからない。
黒いモヤがうねうね動いており、なんとなく人型に見えるだけだから。
■小玲(シャオリン) > 「ねー、おいかけっこ飽きたー。
もうお家かえってお風呂入りたいから帰してくれない?
拉致監禁とか変態じゃない?」
煽る。
これで怒るのかはわからないが。
煽って煽って煽って。
■小玲(シャオリン) > 『――』
飛来する椅子、机、扉。
その様子を楽しそうに、赤い目で見つめる。
「あはっ♪
怒ってる怒ってる。
おじさんなのかおばさんなのかしらないけど~。
ちょっと煽り耐性低いよね♪」
――自分より年下だったら、知らないけれど。
それはともかく、今の光景を待っていた。
■小玲(シャオリン) > 黒いモヤへと走る。
自分目掛けて落ちてくる椅子をくぐり、机を飛び越え、扉を踏んで。
くぐり、飛び越え、踏みつけ。
黒いモヤが必死に自分を近づけまいとするが、しかし近づいたその時に、
「――バイバイ♪」
耳元で呟いてやり。
黒いモヤを通り過ぎ、屋上から校庭へと飛び出す。
■小玲(シャオリン) > 校庭へと飛び出せば、なぜかそれ以上モノは追いかけてこない。
後ろを見れば、何事もなかったかのように元に戻っていく光景と、消えていく黒いモヤ。
悔しがっているのか、あるいは邪魔者が消えたと安堵しているのか。
それはわからないが、とりあえず言ってやりたい言葉は
「楽しかったよ。
またセッションしにいくね~♪」
パタパタ手を振りながら、地上へと落ちていく。
さぁ、今回のお遊びはここまで。
次はもっと面白いものにであれば嬉しいな。
ご案内:「廊下」から小玲(シャオリン)さんが去りました。
ご案内:「ロビー」に城之内 ありすさんが現れました。
■城之内 ありす > 昼休み。学生はみな、思い思いの場所で昼食をとったり、自由な時間を過ごしている。
そんな中、ロビーのベンチに座って、静かに本を読んでいる少女の姿があった。
普段から人付き合いが良い方ではない少女は、購買部で買ったおにぎりと自販機で買ったお茶をテーブルの上に置いたまま、本を読む。
「………………。」
いつもそうしているわけではないけれど、少女はこんな風に、一人で過ごす時間が多かった。
昔からそうだから、今更それを気にすることなんてない。
■城之内 ありす > けれど、この島に来たら何かが変わるかもしれない。
そんな風に思っていた時期も、もちろんある。
何も気にせず笑ったり怒ったりしていた時と同じように過ごせるかも知れない。
そんな風に思っていた時期も、もちろんある。
「…………………。」
教室から楽しそうな声が聞こえて、少しだけ気分が沈みそうになった。
「駄目駄目…!」
それを抑え込むように声を出して、お茶を流し込む。
本を閉じたけれど、なかなか、おにぎりを食べる気になれなかった。
ご案内:「ロビー」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > かつり、こつり、とヒールの音。
学生街のパン屋で買い求めた昼食を手に、職員室ででも食べようかと校舎へ戻ってきたところだった。
目にしたのは、少女が茶を呷った一場面。
手付かずになっているおにぎりと彼女の顔とを交互に見比べながら、足を止めた。
「――もし、君。何か悩み事でも?」
こつり、かつん。控えめな間合いまで歩み寄り、首を傾いだ。
■城之内 ありす > 「えっ……?」
突然声を掛けられて、少女は驚きに顔を上げた。
立っている人物を見て、考える……美術の時間に見た教師だ。
背が高くて、丁寧に教えてくれたから、記憶に残っている。
「…ヨキ先生、こんにちは。」
きっと、授業で目立ったことのない自分は、名前も覚えてもらっていないだろう。
「いえ、大丈夫です……ちょっと、疲れてるだけなので。」
少女は、表情をあまり変えないまま答える。
■ヨキ > 「こんにちは。君は――」
そこでようやく、少女の顔を真正面から見た。
硬い眼差しと目が合って、一瞬ののち。
ああ、という声と共に、顔が柔和に綻んだ。
「――城之内君、だったか。
授業以外の時間に会うのは初めてだな。
そうか、疲れているところに声を掛けてしまって悪かった。
君はヨキの授業の時にも、あまり浮かない顔をしていた記憶があってな……。
少し、心配していたよ」
隣、座ってもいいかい? と空いたスペースを指差す。
香ばしいパンの匂いがする紙袋が、腕の中でかさりと音を立てた。
■城之内 ありす > 「あ……。」
名前を覚えてくれていた。それだけで少し嬉しい気持ちになる。
「はい、もちろんどうぞ。ごめんなさい、寄りますね。」
そんなことをしなくても十分座れるのに、ベンチの端に寄ってスペースを広げた。
それから、お茶とおにぎりも少し、テーブルの端に寄せる。
「授業の時にも……すみません、みんなと一緒にやるのって…あんまり、慣れてないので。」
顔に出さないようにしていたつもりだった。
だからそれを指摘されて、少女は言い訳をするようにそう言う。