2020/06/11 のログ
ヨキ > 「有難う。済まないな、図体が大きくて」

照れ笑いするように頭を書いて、ありすの隣に腰掛ける。
彼女が離れた分、もう一人は座れそうな隙間が空いている。

「いや、気にすることはない。君はまだ一年生だろう?
自分の異能のことで手一杯だろうに、周りにも同じように悩みを持った者たちばかりの、デリケートな環境だ。
それでいて新しい学びに一所懸命なのだから、頭がいっぱいになるのも致し方ないことだ」

紙袋を開いて、パンを取り出す。カレーパン、クリームパン、ベリーたっぷりのデニッシュ。
昼食なのかおやつなのか判別しかねる、食べたいものを素直に買ったようなラインナップ。

「だから、ヨキの前では楽にしていてくれていい。今はまだ慣れなくとも、いずれ。
教え子を受け止めるだけの度量は、身に着けているつもりだからね」

城之内 ありす > 「あ、すみません、そんなつもりじゃなかったんですが。」

むしろ、長身で、綺麗な顔をしていて、見惚れてしまいそう。そう思ったけれど、口が裂けてもそんなことは言えない。
そんなヨキ先生が名前を覚えていてくれて、隣に座って、話しかけてくれる。

「本当に、色んなことが変わってしまって……でも、変わらないこともあって。
そうですよね、まだ一年生ですもんね…ありがとうございます、ヨキ先生。」

「あの……ヨキ先生は、ここで働き始めて、どのくらい経つんですか?」

そんな質問をするのと、貴方が沢山の菓子パンを取り出すのはほぼ同時。
ちょっと意外だな、と、心の中で思う。

ヨキ > 「むしろ女性に遠慮させてしまって、申し訳ないくらいさ」

笑い掛けるのと同等の軽やかさで肩を竦める。
顔も仕草も日本人離れしているが、語り口はまったく日本人のそれ。

「君にとって、変わらないこともあるんだね。
それは良いことなのかな、それとも悪いこと?
よかったら、ヨキの話と交換しよう」

微笑んで、クリームパンの袋から手に取る。
ペットボトルの緑茶を片手に、大きな一口。
口は大きいが、口の端に汚れが付かないほどには清潔な食べ方をする。

「ヨキかね。もう十年以上になるよ。
もう数えきれないくらい、沢山の学生を教えたよ。
数えきれない、とは言っても、ひとりひとりが大事な教え子だがね」

城之内 ありす > 「…生徒に向かって女性なんて、そんなこと言う先生珍しいですよ。」

ほんの僅かに、くすくすと、笑ってしまった。

「え、話を交換するんですか?面白い話じゃないですよ?
えっと……良いこともありますけど、悪いことも…あります。」

ヨキ先生が食べ始めるのを見て、自分もおにぎりの封を開けた。
でもまだ、それに口を付けることはしない。

「10年…長いんですね。
ヨキ先生、ここで勉強した人たちって、みんな……異能を上手く使えるようになるんですか?」

ヨキ > 「たとえ師弟関係であっても、礼儀は大事なものさ。
むやみに男だから無遠慮に振舞うとか、女だから優しくする、ということはないがね。

……ああ、よかった。ふふ、君の笑顔が見られて、嬉しくなってしまったよ」

はにかみ、くすくすと笑う。

「もちろん、無下に聞き出そうとは思わない。
食事が喉を通るくらいにしておいてくれれば、それでいいよ。
込み入った話は、また落ち着いたときにでもすればいい」

パンをよく噛んで飲み込み、茶を飲む。
一口をじっくり噛むために、早食いというほどではない。

「みんな……なる、と言いたいがね。
残念ながら、そうでない者も居ることは居るよ。

百人居れば、百通りの異能があるくらいだ。どうしても、という無念を失くすことはまだ出来ないんだ」

城之内 ありす > 「…変わってますよね、ヨキ先生って。」

笑われてしまったことが恥ずかしかったのか、そうとだけ言って視線を逸らす。
けれど、嬉しくなると言われて…もちろん嫌な気はしなかった。

「ここに来たら、すぐに、全部変わると思ってたんです。
みんな異能に悩んでて、だから…自分だけ、我慢したりしなくていいのかなって。
……でも、やっぱり、我慢しなくちゃいけないのは変わらなくて……やっぱり、みんなと一緒に何かするのは苦手なままで。」

少女は、まだこの学園に来て日が浅い。
異能の制御についても、まだ本格的に授業が始まったわけではなかった。
ただ、その危険性だけは、指摘されたのだ。

「………そうですよね。」

気休めではなく本当のことを言ってくれたのは有難かった。
けれどやっぱり不安になってしまう。
後ろ向きな気分になってしまう。
自分も、最後まで異能に振り回されてしまうのではないかと。

……ふわりと,その身体がほんの少しだけ,縮む。

ヨキ > 「ああ……済まない、よく言われてしまうな。
君が笑ってくれたものだから、つい釣られてしまった」

ありすの素直な吐露に、小さく相槌を打ちながら耳を傾ける。
ひとつ目のパンを食べ終えたあと、二つ目にはまだ手付かずで。

「本当は、明るい希望だけを持って居て欲しいとヨキも思う。
それでも……そうとはいかないのが、異能という力だ。
本当には誰も悪くない、得体の知れない力のために――」

そこまで言い掛けて、ありすの身体が瞬きの合間に縮むのを見た。
居ても立っても居られず、

「――城之内君ッ」

手が伸びた。
おにぎりを手にしたままの、彼女の手首を。
まるでいまにも掻き消えてしまいそうなものを掴み取るような、ほんの少しの力で。
きゅ、と握ってしまう。

城之内 ありす > 「きゃっ……!」

反射的に声が出てしまった。
掴まれた手首は痛むどころか、優しく包まれるようでさえあったのに。
驚いた表情が目の前の教師へと向けられて、すぐ少女は目を伏せた。

「ヨキ先生、ごめんなさい、私…。」

ゆっくりと呼吸をする。気持ちを落ち着かせるように。
感情を抑えれば、すぐには身体の大きさが戻ることはなくとも、それ以上縮むこともない。

「…こんな感じで、まだ全然、制御できてないんです。
だから、ちょっとだけ不安になっちゃって…みんなと一緒に話してるときにこうなっちゃったら、どうしよう…って。」

ヨキ > 「あっ」

少女の悲鳴に、こちらもまた声が出た。
すぐに手を引っ込めて、頭を下げる。

「……失敬。君が消えてしまうのではないかと思って、つい」

はらはらとした眼差しで、相手の様子を見守る。
けれどそれ以上縮むことがないと判ると、ほっと安堵した。

「そうだったのか。それは……不安が大きくなるのも当然だ。

――そうだな。それでは、こう考えてみるのはどうかな。
不安や心配を分かち合い、和らげるために友人を作るのだと。
暗い気持ちではなく、嬉しい気持ち、楽しい気持ちを膨らませるために、人の輪へ入るのだと……。

……いや。言葉だけでは、難しいことは判っている。
すぐにそう出来なくたって、何ら不思議はない」

城之内 ありす > 「…大丈夫です、ありがとうございます。」

腕を掴む優しい力から、その気持ちは読み取れていた。
だから少女は首を横に振って、礼を述べる。

「嬉しい気持ち、楽しい気持ちを膨らませるために…。」

ずっと、悲しみや怒りを我慢することだけを考えていた。
その所為で、嬉しい、楽しい、そんな気持ちも一緒に覆い隠してしまっていたのかもしれない。

「すぐには…出来ないかも知れないです。…でも、がんばってみます、私。」

そうとだけ言って、少女はおにぎりを頬張った。
すぐにそれを食べ終えてしまう様子は、それまでの印象とは少しだけ違うかも知れない。

「あ、もう授業始まっちゃう!
ありがとうございました、ヨキ先生。その、できたら…またお話ししたいです。」

ヨキ > ありすを見つめる目は優しい。
礼の言葉に、にこりと頷いて。

「ああ。頑張りすぎることは身体に毒だ。
だが、先ほど言ったように……ヨキには君を受け止める覚悟があるから。
楽しいときも、つらいときも。君が頼る支えのひとりになれたら嬉しいよ」

おにぎりをいっぺんに頬張る様子に、笑顔が深まる。

「ああ、そろそろヨキも仕事へ戻る頃合いだ。
どう致しまして。ヨキはいつでも君を待っているよ。
君が話をしに来てくれることを……それから、君が大事なものを見つけて、成長してゆくことを」

城之内 ありす > おにぎりの包みとお茶のペットボトルを処分してから、少女はヨキに深々と頭を下げて、教室の方へと小走りで向かっていった。

次に美術の授業があるのは何曜日だったかな。

教師であるヨキに会いに行く、ということはまだハードルが高いけれど、授業であればただそこに行くだけで、また出会えるから。

ヨキ > ありすを見送って、デニッシュを一口齧る。
残りは午後の間食用に取っておこうと、袋を閉じた。

「――さて。
ヨキ自身の楽しみも、ひとつ増えたな」

教え子を見守ることは、いつでも彼のよろこびだった。

口元を綺麗に拭って、席を立つ。
学生や教師らの声が徐々に教室へと遠ざかってゆくロビーの中を、颯爽と歩いてゆく。

ご案内:「ロビー」からヨキさんが去りました。
ご案内:「ロビー」から城之内 ありすさんが去りました。
ご案内:「屋上」に葉山翔一さんが現れました。
葉山翔一 > 昼飯時の校舎の屋上の一角。
流石に校舎内での商売は危険もあり大人しく昼食中。
購買で買ったパンとジュースと言う簡素なものではあるが自分では十分な贅沢なもの。

「ここで売れれば大もうけ出来そうなんだよな」

ちらほらと見える生徒の姿に勿体ないと呟き空になった袋を握りつぶし。
昼食を終えるとトランクを枕にしてベンチに寝転がって食休み。

葉山翔一 > 寝転がり目を閉じていれば周囲の話も良く聞こえ、色々な話を聞くことができ。
最近の流行やちょっとした出来事などの小話を仕入れるにも丁度よく。
そう言えば情報を求められた事もあったと思い出すと気になった話は心に止め。

「ん……?」

そんな時間を満喫していると声をかけられ目を開けばどこかで見た顔。
思い出そうとしていると先に買いたい物があるとの言葉。
客だったかと思い出すと身を起こし、告げられたものならここで扱って問題はないとトランクから取り出し代金と引き換えで手渡し。

「毎度あり、出来ればここ以外で買ってくれよ」

客の背中を見送りそれだけ告げて座り直し、大きく背を伸ばして首を鳴らす。

葉山翔一 > そうしてもう一度横になると眠り始めて。
ご案内:「屋上」から葉山翔一さんが去りました。
ご案内:「食堂」に水無月 斬鬼丸さんが現れました。
水無月 斬鬼丸 > 昼食時、食堂が最も繁盛する時間。
大勢の学生が、教師が、その他職員が
数人連れ立って昼食をとる時間。
その男子生徒は唯一人。隅の方でひっそりと親子丼を食っていた。
先日、食堂を利用したところ、変なのに絡まれて、伸びたうどんを食わされたのだ。
そのため、そそくさと身を隠すように飯を食っているというわけだ。
ぼっちで。

「……」

まぁ、学園の性質上、同じ学年でも年齢とか全然違ってたりするし
話すことなんてあまりない。
しかたのないことだ。
しかたのないことなのに、なんで他のものは普通に友達やら恋人ができているのか。
部活?部活なのか?

ご案内:「食堂」に織機セラフィナさんが現れました。
織機セラフィナ >  
一日の中で一番楽しみな時間、お昼休み。
空いた席を探してきょろきょろと顔を動かす自身の腕には大量の食事の乗ったお盆。
カレー、カツ丼、焼き飯にオムライス、サラダと味玉角煮とトドメにホットケーキ。
おおよそ一人で食べる量ではない食事を抱えて、今日の場所を探す。

「あっ」

そして見つけた、隅っこの方。
先客がいるが、そこしか座るところがないのだから仕方ないだろう。

「ごめんね、隣良いかな?」

彼に近付いて許可を窺う。
まだ席には着かないしお盆も置かない。
それは許可が取れてから、だ。

水無月 斬鬼丸 > 部活かー…なにがいいかなー…
運動部とかは嫌なんでなんか楽なやつ…
努力とかしなくていいものを…
などと考えていると……声がかけられる。そちらの方を見上げればそこにあるのは
大容量のトレイと、なんかでかい塊だ。

「え?」

一瞬戸惑うも、少し視点を変えれば顔が見える。
女性。
パッと見、教員か生徒かはわからない。
服装や外見でそれらを見分けることはまぁ不可能なのでしかたがないが。

「え…あー…」

周囲を見渡せばあいている席はない。
ここくらいしか。
ならば、流石に断るわけにもいかず…

「いいっすよ、どーぞ」

少し席を離して配慮しつつ。

織機セラフィナ >  
「ありがとう」

許可をくれて、しかもわざわざ場所まで開けてくれた。
笑顔でお礼を言いながら席に座り、大量の食事をテーブルに。

「――それで足りる? 大丈夫?」

彼の食事をチラリと見て、思わず聞いてしまった。
とは言ってもきっと彼の食事は一般的な男子高校生の食事の平均ぐらいはあるだろうし、自分の食事と並べているからそう見えるのかもしれないけれど。

水無月 斬鬼丸 > 「いえ、どーも」

とりあえずは形式的な会釈を返す。
お礼を言ってくれるあたり、感じのいい人だ。よかった。
食事の量そのものは気になるが、ジロジロ見るのも失礼というもの。
他に注目すべきものはあるが、そっちはもっと失礼に値する。
今はともかく、親子丼と戦おう。
しかし、女性の方から物言いがはいる。意外!!

「え?」

一瞬なにを言っているのかわからなかった。
一般的に丼ものなんて、それ一品で事足りる。
ついて一汁一菜といったところだ。

「大丈夫っすけど……」

むしろ、この人こそ食いきれるのだろうか?
やはり体の一部がでかいせいで燃費が悪いのだろうか?
しかしいやまて、その部位はだいたい脂肪だからカロリー消費には何ら影響ないぞ。

織機セラフィナ >  
「あ、そっか、そうだよね。ごめんね」

そりゃ普通は一食に充分な量であろう。
慌てて謝る。

「――いただきます」

そして改めて手を合わせて。
まずはカレーにを一口、次にカツ丼、サラダを食べてオムライス。
一口ずつ違うものをぱくぱくもぐもぐむしゃむしゃと幸せそうに食べていく。
おいしい。

水無月 斬鬼丸 > 「いえ、おねーさんこそ…なんつーか…
いっぱい食べますね」

嫌味とかではない。
相手に気を使わせないためにちょっと会話を転がそうとしただけなので。
だが、その言葉にデリカシーというものが足りていないことは明らか。
相手が気にする人かどうかはわからないが、初対面の女性に言うことではない。

しかし、実際良く食べているのだからしかたない。
ちまちまと親子丼食ってる自分とは勢いが違う。

織機セラフィナ >  
「あはは、燃費が悪くて……」

改めて言われるとやはりちょっと恥ずかしい。
けれど実際お腹がすくのだから仕方ない。

「なんか最近食堂のご飯美味しくなった気がしない?」

忙しそうな厨房の方を見る。
何やら中年男性のような声と、しきりに昼を強調するような声が聞こえるような気がするが気のせいだろう、多分。

「あ、私事務員の織機セラフィナって言います。よろしくね」

水無月 斬鬼丸 > 「たいへんっすねー…」

やっぱり。
こう、カロリー消費がなくてもそういうものだろう、きっと。
そう納得しておく。
少し照れながら応えるお姉さん…お姉さんだよな?の答えには、そう応えるに留める。
その程度の理性は少年にもあった。

「そっすか?確かに…前よりは…」

実際にはよくわからない。
そこまで舌が肥えているわけではないし
なにより、そこまで学食を利用しない。
さぼってファミレスやらファストフードやら定食屋やらに行くほうが多いのだ。
なので、曖昧に答えつつ親子丼もぐもぐ。
たまたま同席した女性はけっこう初対面でも物怖じすることないらしく、ぐいぐいくる。

「事務員…さん?あー、えっと…水無月斬鬼丸っす」

事務員。あまりピンとこない。職員ではあるが、教員ではない。生徒には馴染みの浅いところだ。

織機セラフィナ >  
「うん。なんだろう、こう、とは言えないんだけど」

自分もそこまで繊細な舌を持っているわけではないので、毎日食べているから何となく程度だが。
サラダをもしゃもしゃ。

「よろしくね、斬鬼丸くん。あー、生徒にはあんまり馴染みないよねぇ……学生証なくした時とかぐらい?」

自身も学生時代は事務員さんに用事なんてほとんどなかった気がする。
学生の用事と言えば、言ったように学生証なくした時とか、自転車通学などの許可とか、あとは。

「――あ、訓練所の使用許可とか? 斬鬼丸くんは使わないの?」

水無月 斬鬼丸 > なんとなく美味しく感じる。
まぁ、なんとなくだがわかるような。
わからないような。
しかし、なんとなく美味しいならそれはそれで得なので
気にする必要はあるまい。

「そっすね、なんとなく美味しい…んじゃないっすかね」

当たり障りのない答え。
こんなんだからボッチなんだぞ。

「よろしくおねがいします。
まぁ、そうっすねぇ…事務室ってどこにあるかよくわかんないですし…」

彼女のいう訓練施設の使用申請も出したことはない。
正直…訓練などは、自分の考えでセーブしている。
自分に発現した特殊能力は厄介なものだから…

「あー、そうっすねー。いや…はははは…」

笑ってごまかす。
そのごまかし方は流石にないわ。

織機セラフィナ >  
「やっぱり? そうだよねぇ、美味しくなってるよねぇ」

やっぱり間違ってなかった、と言うように笑顔で角煮を頬張る。

「あー……用事のない場所ってわからないよねぇ」

普段用事がなければ行くこともないだろうし、だったら場所も良くわからないだろう。
たまに生徒が来るときもあるが、ひっきりなしに来るわけではないし。

「ふふ。さてはおさぼりさんだな?」

何となく誤魔化されたのはわかる。
きっと触れられたくないんだろうな、と察しつつ、冗談のようなトーンで誤魔化されておいた。

ご案内:「食堂」に小金井 陽さんが現れました。
小金井 陽 > 「フッフッフフーン…」
鼻歌歌いながら両手を制服のズボンに突っ込んで、小走りに食堂に入ってくる男子生徒。
どことなく猫めいた雰囲気を漂わせるソイツは、話してる二人を見かければ、迷いなく近づき…

「おーっす、斬チャン!っと、キレイなお姉さんとお昼中に邪魔しちまったかな?

っと、初めましてッス。二年の小金井 陽ッス。」
顔見知りの後輩クンに、楽しそうに笑いながら近づき、初めましてと思しきオネーサンにも目線を向けて、軽く会釈して挨拶。

水無月 斬鬼丸 > 「……ちす」

…ゲェッ!陽キャ!?
心のなかで銅鑼がジャーンジャーンと鳴らされている。
きやすく挨拶してくる男に対しては手短な挨拶。
既知の先輩であるが…正直苦手だ。

コミュ力の塊。
陽キャ。
パーソナルスペース狭いやつ。
陰キャの天敵。小金井 陽。名前からしてもう陽キャだ。正直お近づきになりたくない。
自分など、無に斬に鬼だ。どう転んでも陰キャだ。

織機セラフィナ >  
「こんにちは、事務員の織機セラフィナです、よろしくね」

口の中のカツとごはんを飲み込み、こちらも自己紹介。
にこっと笑ってコミュ力の高さを見せつけていく。

「――ふたりはおともだち?」

そして何やら仲良さげな二人――それは片方だけな気もするが――の顔を交互に見比べて首を傾げる。
何やら斬鬼丸くんのテンションが落ち込んでいるが、苦手なのだろうか、と心の中でもう一度首を傾げた。

小金井 陽 > 「ちっすちっす、なんだよー元気無いじゃんかよー。ほれ、また斬チャンの好きなフレーバークッキー焼いたから、三時にでも食えってー。」
軽く笑いながらぽんっぽんっと斬鬼丸の肩を叩き、ココナッツフレーバーをかけたクッキーの入ったビニール袋を後輩のテーブルに置く。

「セラフィナさんッスね。よろしくッス!そうッス、友達で先輩後輩ッスよー。な、斬チャン!」
めっちゃ笑顔で見てくる銀髪パイセン。…なんだろう、この…悪い奴ではないんだろうけど、人との距離感測るのが苦手オーラというか、距離感下手くそマン的な、気配…!!

水無月 斬鬼丸 > 「あざす」

なんで当然のようにこちらの好物を把握してたのかもわからない。
正直コレに関してはいつの間にかだ。
めっちゃ触ってくるし。
しかも困ったことにお菓子は美味しい。
だから余計にこう…なんていうか…うぎぎとなる。

「ちが………そっすね」

違うと言おうとするも、陽パイセンの勢いに流されて、渋々同意する。
表情はフラットなためそういう気配は感じられない人には感じられないかもしれないが。

織機セラフィナ >  
めちゃめちゃフレンドリーな陽くんと、なんだか悔しそうなオーラの斬鬼丸くん。
なんとなーく二人の関係性が分かったような気がして、苦笑のような愛想笑いのような曖昧な笑顔。

「わ、美味しそう。それ陽くんが作ったの?」

しかし彼の取り出したクッキーを見てぱぁ、と表情が明るくなる。
見るからにおいしそうだ。
目の前の山のような食事はもう八割がた消え失せ、もはやウイニングランと言った感じでもぐもぐしている。

小金井 陽 > 「んーんーんー、前も言ってっけど、センパイコーハイで喋りにくいんならよ、タメ語でいいかんなー斬チャン。ンな気にするもんでもねーだろうし。」

斬鬼丸の内心も知らずに、ざっくりざっくり話してくるパイセン。
(陽視点で)お菓子を食う時の斬鬼丸は、旨そうに食っているから毎回おすそ分けしていることはまだ教えてない…というか教え忘れている…距離感下手センパイ…!!

「うっすうっす、俺が作ったんスよー。セラフィナさんもいっちょどうスか?」
まだあるようで、小分けにされた別フレーバーのクッキー袋を取り出す。各々に付箋で『イチゴ』やら『バナナ』やら『紅茶』やら『チョコ』やらの付箋が貼られていて、マメである。

水無月 斬鬼丸 > 「あ、大丈夫なんで」

別に先輩後輩だからしゃべりにくいとかそういうのではなく
単純に話しづらい。
主に距離感というか、バスケのゴール前のディフェンスかといわんばかりに
つめにつめてくるスタイルが苦手というだけだ。
なんか斬チャンとかよばれてるし。

しかもこのコミュ力よ。
親子丼のお米粒を一粒一粒丁寧に食べ尽くし、ようやく丼をおく。

「センパイ飯はどうしたんっすか」

そういえばこんなところで当てなくウロウロとかないだろう。
ここにいるということは食事のために来たはずだ。

織機セラフィナ >  
「学生の一年って結構離れてるように感じるからねぇ」

ちょっと助け船。
とは言え実際今の一つ違いと学生の頃の一つ違いと言うのはだいぶ印象が違うのは確かだと思う。
この島だし、年齢の違いも一つ違いかはわからないけれど。

「わ、いいの? ありがとう」

お礼を言って紅茶クッキーに手を伸ばす。
食事は既にホットケーキへと取り掛かっている。
彼らの会話が一往復する間に残りの食事を全部平らげたようだ。

「ごはんまだなの? 早くしないと売り切れちゃうよ?」

小金井 陽 > 「んー、そっかー。タメしたい時は遠慮なくなー?」

グイグイグイっと来るパイセン継続。ディーフェンス!ディーフェンス!!これが女子ならばワンチャンあっただろうに…

「おっすおっす、まだありますんで!
って、セラフィナさんムッチャ健啖家っスね…あ、俺弁当なんで大丈夫なんッスよ。それとは別の用事で食堂来てたんッス。……んー、斬チャン、セラフィナさん。まだ腹の余裕あるかい?具体的にはデザートとか?」
二人の様子見ながら、そんなことを聞いて。

水無月 斬鬼丸 > 「あー…まぁ、そういう感じっす。はい」

事務員さんの言葉に同意するようにうなずく。
はっきり言えばそれ以前の相性の問題なのだが敢えてそれを口にする必要はあるまい。
ていうか、こいつもこいつでメゲねぇな、おい。
迫るパイセンに対してはフラットな表情で「そっすね」と答える。

「……まぁ、多少は」

そう、なのに、なのに…
困ったことにお菓子は美味しい。
事務員さん…セラフィナさん…はめっちゃ食っていたけど
なんか食事のペースを見る限り、余裕そうに見える。

織機セラフィナ >  
「ふふ」

かみ合っているようでかみ合っていない二人の様子を見て思わず笑い声が漏れる。
なんとなく良いコンビな気がした。

「デザート、もしかして陽くんが作ったケーキとか?」

余裕も余裕、別腹どころか本腹にまだまだ余裕がある。
お菓子作りでデザートと言えばケーキだろうと目を輝かせて。

小金井 陽 > 「そっかー、そんな感じかー。ウンウン」
揶揄しているわけではなく、斬鬼丸のテンションに合わせている感じがする、が、合わせきれてなくて妙に明るい。水と油なのだが気づいてない!!

「お、セラフィナさん察しがいいッスね!
おっしゃ、そんじゃ昨日ココで焼いたシフォンケーキがあるから、斬チャンとセラフィナさんに振る舞うぜー?」

ちょいと待ってくれよーっと言い残し、「お邪魔しまッス!」と調理場の方へ…入る前に制服の上から割烹着と帽子を被るのが、見た目のウェーイっぷりと反してシュールである。

水無月 斬鬼丸 > バカにされているんだろうか?
いや、おそらく他意はないそういう男だ。小金井 陽。
とはいえ、こういうふうに揶揄されたような言い方をされるとイラッとするのもまた事実。
事務員さん誤解しないで。いいコンビとかツンデレとかそういうんじゃないんで!!
そういうんじゃーないんで!!!

「はーー……」

厨房に向かう姿を見送りつつも、クソデカため息。
かといって、事務員さんと話すこともなく…少し気まずい。
これが陽キャとの差である。

織機セラフィナ >  
「わぁ、シフォンケーキ。あれ難しいんじゃないかな?」

作ったことは無いが、ただのケーキではなくシフォンと付くケーキなのだ。
なんとなく難しそうな気がする。

「楽しみだねぇ、シフォンケーキ」

割烹着と帽子をきっちり被る彼を見送って、残った斬鬼丸くんににこやかに話しかける。
わくわくが抑えきれない無邪気な笑顔である。

小金井 陽 > ぐもぐもしてるオーラを放つ斬鬼丸と、きらきら期待してるセラフィナの視線の先では、厨房に入った陽がナイフを使って、ケーキ型から生地を切り離している様子が見える…
『おっしおーし、よーく焼けてくれたなー』
…皿に取り分けながら口にしてるのは、そんな呟きだろうか?
そして生クリームと砂糖を取り出してボウルに注ぎ、ハンドミキサーで撹拌……したものを添えて。

「うぃーっす、お待たせぇ!プレーンシフォンケーキだぜっとー。」
にっかにかの笑顔で、皿に盛った厚切りケーキ&たっぷりのホイップクリームを持ってきて、二人の前に置くのだった。

水無月 斬鬼丸 > 「そっすね…」

楽しみなのは、まぁ、うん。それは、そう。
そして、それが失敗していないことも
とりあえず一定以上の品質なのも、だいたいわかる。

でてきたものは思ったとおり。
美味しそうなシフォンケーキだ。

「あざっす、いただきます」

この人は苦手だが、お菓子を作ってくれたことには変わりないので
ちゃんといただきますはするしお礼もいう。
苦手だからそういうことも怠っていては、一方的にこちらが悪いだけだもの。

フォークて小さく切ってから、そのケーキでホイップクリームをすくい取りぱく

「……うまいっす」

織機セラフィナ >  
厨房で最後の仕上げをしている陽くん。
わくわくしながらそれを待つ。

「うわぁ、すごい、お店で出てくるケーキみたい」

そして出されたシフォンケーキは、とても美味しそうだった。
きらきらした目とエフェクトを纏って喜ぶ。

「いただきまーす」

こちらもナイフで切り分け、ホイップをたっぷりつけて一口。

「~~~~~~!!」

目を閉じて笑顔のまま両手をぶんぶん。
胸もぶるんぶるん。
美味しくて言葉にならない。

小金井 陽 > 「おう、食え食え。

――その一言が聞きたかった。」
にっかり。満面の笑みで無邪気に嬉しそうにするパイセン。闇医者みたいな事言ってるクセに、反応は純粋である。

ぷわっぷわモッチムチに焼き上げられた食感の程よい甘味のシフォンケーキに、とろふわに仕上げられたホイップがたっぷり絡み、正味いくらでも食べられそうなくらいの出来に仕上がっている…

「ん、ん、んっ。セラフィナさんも良い反応ッスねー!ごちそうのし甲斐があるってモンッス!」

眼福だなー、とニコニコしながら見ている陽。この男、遠慮ねぇ…!!!

水無月 斬鬼丸 > めっちゃ荒ぶってる。
おもに首から下の部位が。
陽キャはガン見しているが、こちらは流石にそんな度胸はない。
これだから陽キャは。
はもはもとシフォンケーキを減らしていき、すぐに食べきってしまう。

シフォンケーキは重さが少ないため、スイスイ食べることが出来る。
あっという間に平らげれば、ふうと一息。

「ごちそーさんでした、クッキーも」

もらったもんに対してのお礼はする。
どうやら事務員さんも気に入ったようだ。
すぐに食べきってしまうだろう。さっきの様子を見れば。

織機セラフィナ >  
「んんー、ぷわっぷわでもっちもちでおいしい~」

幸せそうな顔でもぐもぐ頬張っている。
斬鬼丸くんの予想に反してゆっくり一口一口味わいながら食べている。
しあわせなものはゆっくり時間を掛けて食べる派だ。

「陽くんお菓子作るの上手だね、えらいっ」

そうしてもにゅもにゅ食べながら陽くんの頭を撫でようと手を伸ばす。
立ち上がったことでゆさりと二つの塊が揺れる。

小金井 陽 > 「おーう、良い食べっぷりだ。そんだけ勢い良く食べてくれると作り手としても嬉しいぜ。」

比較的少食の斬鬼丸でもガッツリ食べ切れたことに満足そうなパイセンである。

「これからは暑い時期になっからなぁ。ココナッツフレーバーのアイスでも準備しておくか…?」
顎に手をあてて、次のメニューについて考えている…このパイセン、後輩狙い撃ちである。

「セラフィナさんにも気に入ってもらえたようで何よりッス。シフォンケーキ好きなんスよねー、お、撫でてもらえるんスかー?そんじゃ、遠慮なく…すげー。」

最後の呟きはアトミックブルンバストに対するもので。身長170超えの青年が、身長160センチ足らずの女性に撫でられようとすれば、屈み込まざるを得ず、視線は下がらざるを得ない。つまり……合法!!!

水無月 斬鬼丸 > 「……」

流石に言葉も出ない。このパイセン…
飯も食い終わったし、突然降って湧いたデザートも平らげた。
そもそも事務員さんともたまたま一緒になっただけだし
そろそろいくとしよう。

あまり居心地のいい空気でもない。

「んじゃ、俺行きますんで。おつかれさんっした。
事務員さんも、しつれーしました」

二人に頭を下げればトレイを持って歩き出す。

織機セラフィナ >  
「うふふ」

にこやかになでこなでこ。
撫でる腕の動きに合わせて身体が僅かに左右に揺れ、それに合わせてブルンバストもゆさりゆさりと左右に揺れる。
なんたるムボウビ!

「――あ、私もそろそろ行かなきゃ、斬鬼丸くんも陽くんも、ありがとうね」

同席を許してくれたことと、お菓子をくれたこと。
それぞれにお礼を言って、残ったシフォンケーキをささっと片付け大量の食器を持って席を立つ。
陽くんとすれ近った際にまたね、なんて微笑みかけ、返却棚で斬鬼丸くんにも同じように微笑みを向けて。
もらったクッキーをもぐもぐしながら事務室に戻る事務員さんであった。

小金井 陽 > 「おう、また何か作ったら試食してくれよ、斬チャン。あと、他に好物でもありゃ教えてくれ。それも作るわ。」
頭撫でられ終えて顔を上げれば、手を振り見送るセンパイの顔。その後頭を軽く掻く。

「うっす、セラフィナさんも試食ありがとうございまッス!よかったらまたよろしくお願いするッス。

っと、俺も行かねぇと!」

残りのケーキをラッピングして包み、自身も食堂を後にするのだった。

ご案内:「食堂」から織機セラフィナさんが去りました。
ご案内:「食堂」から小金井 陽さんが去りました。
ご案内:「食堂」から水無月 斬鬼丸さんが去りました。