2020/06/15 のログ
ご案内:「第一教室棟 教室」に水無月 斬鬼丸さんが現れました。
■水無月 斬鬼丸 > 教室。席に付き、ノートを書き写している少年は時計を見上げる。
まだ授業が終わるまでは少し時間があるか。15分くらい?
教員の声とペンが走る音。正直眠気を誘う。
今やっている授業は近現代史。
正直くっそ退屈だ。くぁぁぁ…とあくびが漏れそうになるが、教員に見つかれば不興を買うだろう。
単位のためには真面目なフリはしないといけない。テストもあるし。
「……(とはいえ…つまんないな…)」
これが終われば今日はもう授業がない。
部室に顔を出し、ゲーセンに行ける。
■水無月 斬鬼丸 > などと油断していると睡魔は容赦なく襲ってくる。
……まぁ、ちょっとあくびするくらいいいやろ。
声殺してひっそりと…
「ふぁぁぁ……」
あ。
数人の視線が集まる。教員のそれももちろん。
…苦笑い、では許してくれなさそうだ。
この授業は運が悪いことに古いタイプの頭の固いおっさんが教員だ。
■水無月 斬鬼丸 > ……40分後
テーブルに突っ伏す少年の姿が!!
寝ているわけではない。
くどくどくどくどと嫌味と説教を食らっていたのだ。
寝てるわけじゃなかったってのにひどい話だ。
ただ、あのおっさんは自分の話をつまらないことはわかってはいるが
生徒がそういう態度を出すのを嫌った。それだけのことだ。
周囲も薄々そんな空気を出していたそのさなか…自分が決壊した。
丁度いい不満のはけ口がそこに現れたというわけだ。
「…………(ただあくびをしただけなのに…)」
搾られ尽くした少年は、その気力を奪われぐったりとしていたのであった。
ご案内:「第一教室棟 教室」に群千鳥 睡蓮さんが現れました。
■群千鳥 睡蓮 > 話のつまらないおっさんと廊下ですれ違った――すなわち、そろそろ頃合いと言うことだ。
教室に忘れ物。学び舎が変われどそうしたケアレスミスは起こり得る。学生だから。
財布や携帯電話の貴重品の類ではないけれど、自室で読みふけりたい類の本だったから、
しばらく時間を潰してから戻ってきたわけだ。タイミングドンピシャ。
「うわっ」
ではなかった。待機から解放された上機嫌で少し勢いよく扉を開けてしまったが――
おっさんとのねっとりした時間の被害者が残留していたのは誤算である。
ご愁傷さま、成仏しなよと声をかけて立ち去りたいのはやまやまだが、
群千鳥睡蓮は、そういう学生としては振る舞っていないのである。
「……えと、水無月クン。 だったっけ?
災難だったね。あの先生、明らかに八つ当たりしてた感じだったし……」
殆ど絡みのない――そもそも絡んだ男子生徒自体指折り数える程度だが――男子生徒にも。
心配の声をかけるのが、真面目な生徒というもののはずだ。
比較的新参な自分が、彼に記憶されてるかも定かではないが、社交辞令として。
■水無月 斬鬼丸 > 声がする。
ぷしゅーと煙が出そうなほどにぐったりとしていた少年は
ゆっくりと、ぐるりと
突っ伏したままに声の主の方に顔を向ける。
なんか名前呼ばれたような…
そこにいたのは黒髪の女生徒。なまえ…なんだったか。
この学校は単位制、授業がかぶらないことも多く、教室も一定ではない。
だから、名前を覚えていないこともしばしば。
彼女の方は覚えているようだが。
「ぁぁ…ぉぉ、うん…次、ここで授業かなんか…?」
なまえ、なまえ…なんだっけ…
「えーっと…………んにゃんやさん…」
おもいだせなかった。
■群千鳥 睡蓮 > 「群千鳥(むらちどり)だよ。千鳥の群れって書いて。
わたしみたいに地味なのは、そうそう記憶に残んないだろうけど……変わった名字は覚えやすいかな」
苦笑しつつも、女生徒の名前を抑えるなんてマメさを同輩に期するなんてそれこそナンセンス。
自分だって、下の名前が目に留まったから名字も覚えていたに過ぎないから。
隣の席の椅子を引くと、机下に押し込まれていた分厚い本を二冊抜きとった。
「忘れ物。 わたしも今日はこれで帰りだから。
おはなし中にお邪魔しまーすって言いづらかったから」
鞄を開く。共通の話題があるかもわからない。
彼がなぜここに居る、どのような存在なのか……という興味はあるが。
さっさと退散しちゃおうかしら。そう考えると鞄の中、さっき買った未開封のキャラメルラテが目に入る。
押しつぶしそうなので、抜き取って、突っ伏す彼の眼前に置いた。鞄に本を入れる。
「甘いの大丈夫? あげるよ。 助けなかったお詫び」
■水無月 斬鬼丸 > 「群千鳥さん…何かの授業で一緒だったっけ。
ごめん。俺午後の授業とかあんまでないし…その…
なんつーか…まぁ、いいや…ともあれごめん」
言いよどんだが、つまるところ…友人だったり親しい相手じゃなければ
そうそう記憶に残らないのだ。
それはそれとしてあまりに失礼。だから、言うのは控えた。
「じ、地味とかいったら俺も地味だし、そういうんじゃなくて…」
それに地味さは関係はない。彼女の言葉には慌てて首を横にふる。
忘れ物を回収した彼女…だいぶ待たせてしまったようだ。
「ああ、ごめん。またせちゃったみたいでさ。
って…いいの?」
あとは帰るだけであろう少女。
彼女がかばんからなにかを抜くと、自分の目の前においた。
ゆっくりと体を起こして手に取れば…冷えてるとは言えないまでもつめたい。
キャラメルラテ。と、かいたパッケージ。
「お詫びって、むしろ俺がしたほうがよくない?」
■群千鳥 睡蓮 > 「……思ったよりそういうの気にするタイプなんだね、水無月クン。
いいのいいの。気にしてないから。私は、だけどね。
気になる子にだけリソースを割くほうが健全だと思う。単位制だと得に」
自分に気を遣っているような言いよどむ有様に、
長い前髪の裏で、黄金の瞳を見開いた。思ったより可愛いところがある。
口元を微笑ませながら彼をなだめた。自己顕示欲は言うほどない。
「ん?ああー、だって、私もあの先生の話、ちょっとな……って思ってたし。
あくびするのは私だったかもしれない。助け舟出せたかもだけど、出さなかったわけだから。
何よりほら……"キャラメルラテの群千鳥さん"には、なれるから?」
渋る相手には、隣席に頬杖をついて、名前覚えてね、と苦笑してみる。
興味がそそられたのかもしれない。彼という人格、あるいは手に取る時の掌とか。
「水無月クンは、これから部活?……ていうか部活とかやってるんだっけ?」
■水無月 斬鬼丸 > 「まぁ、俺も、自分が名前覚えてるのに相手が知らないとか…
同じことやってたり、知り合いだと思ってたりしてたら気になっちゃうし。
でも、気にしてないってなら助かる」
自分が気にしてしまうことは、とりあえず謝っておく。
あまりグイグイと前に出るようなタイプではない
いわゆる陰キャというのがわかるかもしれない。
頂いたキャラメルラテのストローをとってぷすりと突き刺せば
彼女…群千鳥さんにいただきますと頭を下げてから
ストローからラテをすする。失われた気力が回復してきたのか、少し顔色が良くなった気がする。
「だしてたらそれはそれで、群千鳥さんがグチグチいわれてたかもだし…
それこそ気にしなくていいって。俺だって、群千鳥さんが怒られてたら…まぁ…なんもいわないかもだし」
ずずー。キャラメルラテをすすりつつバツが悪そうに。
彼女が見る掌…ラテを取ろうとしたときに一瞬目に入ったそれは
ゲームなどをよくやっているせいか、ちょっと痕跡がある。
それに隠れて薄く、剣術を嗜むもののたこのようなものの痕跡が見えるだろうか。
「部活…は…そうだな……一応、この間軽音部に…」
似合わねーと自分でも思う。おおっぴらに言うのも照れくさい。
■群千鳥 睡蓮 > 「じゃあー、お互い気にしないことにしよう。
だってほんとに、名前知ってるか知らないかの関係だったんだからさ。
あ、でも。ちょっと話して知り合ったよね。
今度から、私が困った時は助けてくれたりする……?」
斬鬼丸――厳つい名前に反しておとなしい男子だ。
かつてはそうした生徒をいたく"かわいがった"ものである。
しかし今、糖分補給して元気になっていく様を見れば――普通の男の子だけれども
この学園に籍を置く身。掌のたこといい、彼も"奥義書"に記す価値ある異能者のはず。
「うんうん。部活。私は帰宅部なんだけどね。あんまり覗かないからさ……
そっかー軽音部か。なるほどそんな感じするよねー……軽音部っ!?」
探ってみるか――そうして振った釣り餌にかかった情報が予想外だったので、
うっかり流しかけた事実を受け止めると、時間差で驚いて声を上げた。
前髪の隙間でぱちぱちと眼が瞬く。顔を寄せる。これが軽音部の面構えなのか。
……沈黙が気まずいので、浮かんだ疑問を脊髄反射でぶつけた。
「……パートは?」
■水無月 斬鬼丸 > 「あー…そうだね。名前もおぼえたし…キャラメルラテももらったし…
せめてそのぶんくらいは助けないと恨まれそうだし…
あ、いや、怖いとかじゃなくて。
恩のぶんくらいは報いないとなーっていうあれで…」
完全に名前負け。
そして、彼女の名前を知らないのと同様
本性も、過去も、もちろん異能に関しても知るはずもなく
普通の女生徒として会話している。
察しがよくても気付けるようなものではないだろうが
それにしたって無防備がすぎるだろう。まるでただの学生だ。
「……いや、まぁ、うん。わかる」
穏やかな調子で話す彼女の様子が一転した。
うん、わかる。誰だってそうなる。
俺も俺が軽音部だって言われたらそうなる。
だから気を悪くはしないし、むしろ深くうなずいた。
「今、ギター習ってる…あと歌も…入ったばっかだから練習してるとこだけど」
■群千鳥 睡蓮 > 「ギターと……ボーカルも……」
この無防備そうな男子がだ。女子にも随分消極的な態度をしてくれたが――
感覚は幼稚、被った猫の裏に押し止められない感性というものも残っている。
その顔立ちをじっと見つめてみる。たとえば前髪を上げて――セットしたりしたら……
まさか剣だこに見えたそれは楽器の練習痕だったのか。いやそれは誤魔化されない。
欺瞞なのか――? 何を以て何から私を欺こうとしている……? そんな分析のさなか、
「え……格好良い……格好良くない?
練習してるってことは上手くなるってことだし……え、そうなんだ……」
ギター。軽音部。ロック!そうしたギラギラした響きへの感性は捨て去れるものではなかった。
椅子を引っ張って彼のすぐ隣につけた。
「音楽、好きなの?どゆの聴いてる……? 激しいヤツ?
最近はちがう世界からも色々入ってきてるっていうじゃん……?」
携帯電話を取り出す。名前を出されればすぐに調べられるように。
きらきらした瞳。さっきまでとは別種の興味が黒糸の隙間から放たれていた。
■水無月 斬鬼丸 > すごい、なんか…動揺している。
それが何となく分かる。
次になにを言おうか迷ってる、そんな感じだ。
わかる、わかるよーそれ。といった眼差しで、少女の戸惑いを眺めている。
もちろん、その心情を完全に汲むことなどできないわけだが。
「似合ってないのはわかってるんで…まぁ、なんつうか…
たまたま部活探してて見せてもらったのがそこで…
女の子のバンドだったんだけどなんかかっこいいなーって」
理由としては、そこまで歪んでいるわけではない。
っていうか、なんか急に食いついてきた。
見た目とは裏腹に、そういうのが好きなのだろうか?
というか、口調もなんか変わってない?
「え、ああ、嫌いじゃないけど今まで聞き専だったからこう…」
戸惑いつつもいくつかアーティスト名を上げる。
そこはまぁ、この年頃の男子らしく、激しくアップテンポなものが多い。
■群千鳥 睡蓮 > 「あーいいね……。特にここらへんは歌詞がナヨっとしてないのがいい。
豪雨みたいに刻むドラムからお臍のところにベースがずんって来るあたりがほんともう……
……あ! いや、あの。 音楽っていうのはね……昔から異能、魔術と密接に関わりが深いとされてるんだよ」
うっかりした――探りに飛び込んだつもりがこちらの懐を探られる羽目になった。
頬に朱を昇らせて咳払いして距離を取りつつ、もっともらしい言葉をまくし立てる。
ヘヴィメタルやハードロックへの親和性は学術少女には不要なものである。
「聞く者の精神に訴えかけるというかね? 気持ちがあがったり、落ち着いたりするでしょ。
異世界との交信に使われていた言語やツールであるという学説もあるわけで……
そういう学術的な興味がね? あるというだけでね……変な勘違いはしないようにね?
私はそういうことを学びに、ここに入学してきたんだ。
……水無月クンのも、そういう意味では気になってるよ。正直に話すとね」
早口で弁明を終えた。胸を撫で下ろし、深呼吸。
自己の抑圧が成されていないのは未熟な証拠。
なれどもと頬杖の姿勢に戻り冷静さを取り戻すと。
「でも……似合ってないとかは考えなくていいんじゃないかなって。
努力は実を結ぶものだって信じたいよ。どんなものでも。
……私の中では水無月クンは格好いいバンドマン、見習い。って印象」
頑張ってね、と肩をぽんぽん。
そうして頃合いと見て、席から立つのだ。
■水無月 斬鬼丸 > 少しおとなしそうな女子…という印象からはかけはなれたように
まるで濁流のように語り始める。
好きなんだろうなぁ…。彼女は異能だ魔術だと言っているが、どう考えても単純に好きなだけだ。
だが、あえて、それを突っ込むような真似はしない。
それくらいの慈悲は少年にもあった。
「あ、うん、おう」
とってつけられた理由に戸惑いながらもうなずいて。
キャラメルラテの群千鳥さんよりはハードロック好きの群千鳥さんのほうが覚えやすそうだ。
「あっはい。そういうこと、確か授業でも言ってたような?たぶん?
あんまおぼえてないけど、まぁ、はい、うん。
……まぁ、俺はまだ新人だし、異能も魔術も大したもんじゃないんで…」
謙遜…ではない。
音楽に関してはほぼ素人なのは確かだし
剣術だって能力のイメージのためにすこしやっただけ
その異能もぶっ壊れたすげーパワーってもんでもない。
ただ、それは今は。というだけ。
それを鍛え上げたときどうなるか…なんとなくわかってしまうから、異能や自身の鍛錬は控えているのだ。
平静さを取り戻した少女。
大丈夫だろうか?キャラメルラテもらってしまってよかったのだろうか?
「…まぁ、そうだね。
実がでかすぎるのも困りもんだけど……
かっこいい…かはどうかは置いといて、バンドマン見習いではある、のかも?しれない?」
自覚はあまりない。
不意に少女の手が方に触れれば
思わずその手、そして、少女の顔をみてしまう。
女の子に触れられただけでこの動揺。あきらかに、あれだ。女慣れしていない。
■群千鳥 睡蓮 > 誤解が残ったままではある気がするが――これ以上の説得は昔のやり方になる。
印象の修正は困難と分析する。……今後の学内での振る舞い方は改めねばなるまい。
ただ、不義理をするタイプではなさそうに見えた。黙っていてくれるだろう、きっと。
可愛らしく動揺する"男の子"なわけだし――
「…………水無月クンってさ、結構物騒なひとだったりするでしょ?」
その動揺にかこつけて、囁くように声をかけてみる。
わずかに見えた間隙、心理の動き。正確に把握できているかはわからない。
彼が己の能力(異能/魔術)に対して見せた感情はなんだ。嫌悪、忌避、不安…あるいは畏怖?
唇は微笑んだまま、前髪の奥の瞳は表情を失している。
「私は、そっちのほうで格好良くなっても……良いと思うよ?」
きっと素敵な実が結ぶはず。喰らいがいのある凄いのが。
それが奥義書に記された時、自分に齎されるものがなんなのか。
想像が飛ぶ前に、指先で艶かしく肩を擽ってやってから、離した。
「なんてね……やっぱり好きなこと、頑張りたいよね。
応援してるよ、バンドマンの水無月クン。 いい感じになってきたら聞かせてね。
今度おすすめの盤教えるからー」
ぽん。再び叩くと、鞄を肩にかけた。
深入りは禁物。観察の機会も対象もいくらでもある。
――音楽の話できたのはちょっと楽しかったな、と思いつつ、次にまみえるのがいつかもわからぬ同輩に背をむけて。
ご案内:「第一教室棟 教室」から群千鳥 睡蓮さんが去りました。
■水無月 斬鬼丸 > 苦笑も交えてうなずいていたが
ふと…空気が変わったような。
ささやく彼女の…見えづらいその目を思わずおってしまう。
「へ?」
間抜けな声が出た。
当然、物騒…なんてことはない。たぶん。
だが、自分の異能がどこまで成長するか…その恐れは、ある。
自分がある程度の時期から成長の限界がなくなった。
それを知っているからこそ。
だが、そんな話は全くしていない。彼女は知らないはず。
あとの話は少し…頭に残らなかった。
なんだ?なんで?
去っていく少女の背中をただただ見送る。
「物騒に見えたかなぁ…」
だが、実際はどうなるか…なんてのはわからない。
そのため、ピンとしない表情のまま立ち上がり、教室を去るのだった。
ご案内:「第一教室棟 教室」から水無月 斬鬼丸さんが去りました。