2020/06/24 のログ
ご案内:「第一教室棟 教室」に院瀬見 周さんが現れました。
院瀬見 周 > 「わっかんなーーーーい!!!」

(廊下まで響くほどのアニメ声が、教室に響いた。
 部屋を自由に使っていい、とは言われていたけれど、
 まだ期末試験までは時間がある。だから、真面目に勉強してる生徒なんていなくて。)

「課題出せば試験を受けなくてもいいって聞いたのにー!!
 その課題が試験と同じくらい難しかったら意味ないじゃーーーんっ!!」

(ラクしちゃおっと、なんて選んだ授業が難しかった。
 授業自体はもう、あとは出席自由だからこのレポートを仕上げるだけなんだけど。
 そのレポートが、そう。ぼく、院瀬見周は全く終わっていないのです。
 こうして、真面目に勉強会に参加するような誰かがいればいいなって思ったけれど…)

「真面目ちゃんもいないなんて聞いてないよ!!」

(ひとり、第一教室棟の教室で顔を突っ伏しているのです。)

院瀬見 周 > (そして――その、くだんの授業というのは。
 理数系でも、文系教科でもなく。ただの、『異能基礎』という授業だ。
 この島でしか見たことのない授業に目を輝かせたのだけど…)

「自分の異能を分析して、レポートにまとめて、
 それがどういう異能かを客観的に、なんていわれても…」

(そう。ぼくは、自分の異能のことがよくわかっていない。
 よくわかっていないけど、そういうものって思いながら暮らしてきたから。
 だから、客観的に、なんて言われても困ってしまうのです。
 ほら、呼吸の仕方を明確に示しなさい、なんていわれても困っちゃうでしょ?)

「こんな授業、だれが得するのか全然わからーーーーん!!
 異能のこと、教えてくれる教科なんじゃなかったの…??」

院瀬見 周 > (教科書代わりに配られたレジュメが机に散乱している。
 ああもう!ぜんぜんわかんなかった。
 それに、他の教科と違って異能学なんて答え、あるわけないじゃん。
 …ないものの答えなんて、どうやって探せばいいの?)

「もーむり…。
 なんか甘くて冷たくておいしいもの、たべにいこ…。
 こんな時期からテスト勉強なんてやってる人はいません!!」

(クリアファイルにプリント類をしまい込んで、
 リュックにテキトーに突っ込んでから八つ当たり気味にチャックをしめる。
 …それにしても。異能学の最初の試験代わりが自分の異能について考える、なんて。)

(どうしてそんなわかりにくいこと、試験の代わりにするんだろ)

ご案内:「第一教室棟 教室」から院瀬見 周さんが去りました。
ご案内:「常世島女学生ペンケース密室蒸発事件」に倉橋 龍さんが現れました。
倉橋 龍 > 常世島某所某教室にて二年生「田中京子」さんのペンケース一式が紛失するという事件が起きた。
時刻は放課後。容疑者は結構な数。
田中さんは「ヒステリ」の異能(本人がそういって若干ヒステリ気味のことの言い訳にしている。多分異能でもなんでもないが、田中さんは顔がいいし、クラスの女子内でのヒエラルキーはかなり高いため、みんなやんわりと黙っている)を持っているため、このままだと彼女の異能の餌食になってしまう。
なんとしても事件を解決する必要がある。
(ここまで部屋情報のコピペ)

田中さん > 「おねがい……私も事を荒立てたくないの……犯人の方、大人しくでてきてくれないかしら……?」
倉橋 龍 > 教室に容疑者無理矢理に集めといて今更何言ってんだよ。
「オタクっぽいから」という理由だけで容疑者にされた倉橋龍は内心で強かに舌打ちをした。
実際オタクであることは事実だが、オタクってだけで容疑者扱いクソ可笑しくないか?
そんなこといったらこの島に居る連中だいたい全員容疑者じゃないか?
魔女裁判より酷いだろ。

田中さん > 「じゃあ、容疑者ナンバー1番の倉橋君……弁明をどうぞ」
倉橋 龍 > オーディションか何かかよ。
倉橋は全く遺憾だったが、ここでクラス内の女王である田中さんに逆らう度胸は勿論ない。
そんなことしたら次回からは欠席裁判である。
渋々立ち上がり、しまりのない腹を揺らしながら、不敵な笑みで倉橋は両手を上げた。

「俺にはまず動機がないぜ、俺は田中さんの文房具に興味がないからだ」

周囲が騒めく。
みんなそれは当然分かっている。
でも、それ面と向かっていっちゃうってことは。

田中さん > 「そんな、ひどい! 倉橋君は私に何の興味もないってことなの!? 友達なのに!」
倉橋 龍 > ざわざわと田中さんの周囲の物が僅かに浮遊し始める。
こっちが田中さんの本来の異能、「テレキネシス」だ。
ヒステリを起こすとこっちが暴走する。本人はあくまでヒステリのせいでコントロールができない悲劇のヒロインみたいな感じでいってるけど、制御する努力をハナから放棄しているだけだ。
実際、常世島の本気でヤバい異能に比べると全然可愛い方なので大したことじゃない。
だが、それの餌食になったらやっぱりちょっと痛いし、面倒な事は間違いなかった。

「いや、まぁ田中さんに興味がないわけじゃないけどよぉ!!
 だけど、俺がやるならペンケースなんてケチなもん狙わねぇってんだよ!!」

バンダナを締め直しながら、倉橋は叫ぶ。

倉橋 龍 >  
「俺がやるなら最初から体操着とかそういうの狙うからよぉ!!」
 
堂々と、拳を握り締めて主張する。
当然、女子からは冷めた目で、田中さんからもゴミを見るみたいな目で見られているが……とりあえずペンケース窃盗容疑から外れるならなんでもいい。
どうとでもいえ、俺はこんなつまらないことにいつまでも関わってる暇はないんだ。
さっさとゲーセン寄って家に帰りたいだけなんだよ。

田中さん > 「まぁ……倉橋君の言い分はとりあえずわかりました……それじゃあ、容疑者ナンバー2番の高坂君どうぞ」
高坂くん > 手の平の中でチャカチャカとバタフライナイフを閉じたり開いたりしながら立ち上がる三白眼の男。
高坂高次。名前に「高」が2個入っている事を弄られ続ける人生を送ってきたが、高校生になったことでついに「高」が3個になってしまい、「高」の呪縛から逃れるために非行に走った悲劇の男。
舐められる事を何より嫌う彼は今回容疑者≒割と悪い奴と認識されていることに微かに満足している向きがあった。
もしかしたら、田中さんはその辺配慮して彼を呼んだのかもしれない。

「ヒヒッ! どうだろうなァ!?
 俺は確かにその時間教室にはいたけどよぉ……だからって俺を疑うのはお門違いじゃねぇかァ!?
 田中ァ……お前ェも俺を舐めてんのかァ!?」

田中くん > 「は? クソザコが何イキってんの? さっさと質問に答えてくれない?」
高坂くん > 「ヒッ、ごめんなさ……お、俺、その時間は寝てたからわかんないです……」
倉橋 龍 > 高坂君がやってない事はまぁもうみんな半分くらいわかっている。
倉橋も高坂君が密かに教室の花瓶の水を毎朝替えている事を知っていた。
しかも、彼の異能は短時間の「光学迷彩」異能である。
音も匂いも誤魔化せない上、練度も低いのでなんか、「ちょっとだけ存在感が薄くなる」だけだ。
その時間、彼が寝ているところはみんな目撃しているので、逆説彼は容疑から半分は外れている。
一応呼ばれただけだ。

田中さん > 「……じゃ、次。容疑者ナンバー3の新田君」
新田くん > 呼ばれて立ち上がるのは金髪の色男、新田伸介。
スタイル良し、顔良し、成績下から数えたほうが早いの残念イケメン。
だが、彼はいわゆる高校デビュー勢であり、しかも女の子と付き合った経験は皆無。
挙句、モテるためにファンシーグッズ集めが大好きという設定を自分で付与したが、逆にドハマりして強火のファンシーグッズオタクと化してしまい、逆に女子を話が合わないという、ミイラ取りがミイラになるをこの令和に体現したモンスターである。

新田くん > 「ふふふ……ボクは確かに田中さんの持っていたシャリシャリメロンの限定販売シャープペンシル(プレミア価格1200円)は常々欲しいと思っていたけどね。何せそれは会場限定販売だったものが偶然駅前のシャリメロショップで再版され、しかも店長や販売員も知識を持っていなかった為にただただ普通に店頭に並べて売ってしまったという愚かな経緯があり、以前からずっと交換したりしてくれないかなと思って、声を掛けるタイミングを見計らっていたところは確かにあるよ。ただね、田中さんとはあまりしゃべったこともないし、何よりもし、田中さんがボクと同じシャムメロのファンだとするならそれは」
田中さん > 「悪いけど要点だけいってくんない?」
新田くん > 「あ、はい……未開封だったら理性を保てた自信はないですけど、開封済みの奴にそこまでするのはちょっと……」
倉橋 龍 > 未開封ならじゃあやったのかよと教室に集まる一同が強かに心中で呟いたが、今回、テレパス異能者は室内にいないため、心を読まれる心配はなかった。
新田君が名実ともにファンシーモンスターであることは今回の証言でわかったが、まぁ、彼も多分犯人ではないだろう。
彼の異能は「風」の異能なのだが、怖ろしく出力が低いため、前髪をさらさら揺らす程度しかできない。
というか、もっぱらそれに使っているところしか見たことがない。
彼は全教科満遍なく落ちこぼれであるため、異能も当然落ちこぼれなのである。
モテるために全てのリソースを費やした結果、こうなってしまったのだ。

田中さん > 「えーと、じゃあ最後の容疑者……容疑者ナンバー4の藤吉くん」
藤吉くん > 最後に立ち上がったのは鋭い視線の逆毛の男、サッカー部の藤吉林太郎。
常世サッカー部レギュラーメンバーの一人であり、かつては常世サッカー部のライバル、違反部活裏常世サッカー部の主将であったが、常世サッカー部との激しくも熱いバトルの末、「本来のサッカーを愛する心」を取り戻し、裏常世サッカー部との因縁に自らの必殺技「ダークリバイバルクロスシュート」で終止符を打った静かながらも熱い男。
一人だけ作画が違う事でも定評がある、危険な男だ。

藤吉くん > 「……俺が興味を持っているのはアスカ(常世サッカー部主将。実は女)だけだ。
 田中……お前の『強さ』は比類ないものかもしれないが、お前のペンケースにそれはない」

田中さん > 「えーと……何が言いたいわけ?」
藤吉くん > 「俺がお前に興味を持つことがあるとしたら……お前自身にだけだ」
田中さん > 「え……!? そ、それって……!!?」
藤吉くん > 「……風が哭いているな」
倉橋 龍 > 満更でもなさそうな田中さんを後目にそのまま座る藤吉君。
まぁ、藤吉君は良くも悪くも住んでいる世界が違う男なので、多分関係ないだろう。
何より、藤吉君の異能も今回の件ではまるで役に立たない。
彼の異能「ダークリバイバルフォース」は自らのシュートに「ダークエナジー」(藤吉君の作った造語)を込める事以外は何もできない異能であり、しかもサッカーボールを足で蹴った時しか発動しない。
そも、「ダークエナジー」が具体的に何であるかは藤吉君以外多分誰も知らないので、ぶっちゃけ異能であるかどうかすら全く分からない正体不明の能力である。
とりあえず、ボールがなんか黒い靄みたいなオーラを纏うことだけは視覚的に理解できるらしいが……それもサッカーやってる人達にしか見えていないようなので、倉橋からするとただの勢いの良いシュートにしか見えない。
ちょっともじもじし始めた今の田中さんには見えるかもしれないが。

倉橋 龍 > 「……いやまぁ、でも……これどうすんだよ」

思わず、倉橋が口を挟む。
容疑者は無理に集められたが、多分誰もやってない。
つーか多分、真相は「田中さんが自分のテレキネシス暴走させてどっかにやった」である。
それを隠したいのか、それともマジで無自覚なのかのどちらかで「なんか多分やってそうな奴ら」を事件当時の教室から無作為抽出しただけなのである。
しいて言うなら新田君が一番怪しいといえば怪しいが、彼に密室トリックを作るだけの頭が無い事はみんな知っているのでINT面で彼の無実はやはり証明されている。
教室を重苦しい沈黙が支配した。
そう、これはもうすでに魔女裁判。
誰がやったかではない。
誰が『やったことにするか』なのである。
誰が田中さんの異能の餌食になるか、哀れな子羊を選ぶだけのただのルール無用の残虐ファイトでしかないのだ。

倉橋 龍 > 倉橋が脂汗をかき、高坂君が震え、新田君がシャリシャリメロンのキーホルダーを弄り、藤吉君が風を感じたその時。
徐に、田中さんが溜息を吐いた。

田中さん > 「もう、いいわ……誰も出てこないなら、私もこれ以上、クラスメイトを疑うなんて悲しい事はしたくないし……私、我慢するね。私、こういう異能だし……我慢は慣れてるから!」
倉橋 龍 > この場で一番何の我慢もしてねぇ奴が何言ってんだよ。
むしろ、この世で最ものびのび生きてる女の一人だろうがお前。
お前より飼い猫とかの方がまだ我慢しとるわ。
心中で倉橋は無限に突っ込みを続けたが、心中の声が誰に届くこともない。
そんな倉橋の見えない悪態を他所に、田中さんはつかつかと歩き出し。

田中さん > 「だけど、個人的にはアナタが一番あやしいから、ちょっと放課後話をきくわね!!」
倉橋 龍 > そういって、藤吉君の手を取った。
田中さんも案外モテないのだ。
まぁ、顔はいいんだけど、ああいう性格だから。

藤吉くん > 「……いいだろう、俺はもう逃げない。何人の挑戦も受けて立つ。それだけだ」
倉橋 龍 > そういって、田中さんの手をライバルのそれでも握り返すかのようにガっと藤吉君は握り返し。
 
そのまま、二人で教室を出ていった。
 
なんか、少しだけ浮かれてる田中さんの背中に……微かにハートマークみたいなのが浮いているように幻視された。
新手の異能か?

倉橋 龍 > 「……」
高坂くん > 「……」
新田くん > 「……」
その他大勢の女子とか > 「……」
倉橋 龍 > 「……帰るか」
ご案内:「常世島女学生ペンケース密室蒸発事件」から倉橋 龍さんが去りました。