2020/06/25 のログ
ご案内:「第一教室棟 保健室」にラピスさんが現れました。
■ラピス > 今日のへっぽこ教師は、各教室棟の保健室を渡り歩くだけの何かと化していた。
理由は単純。備品の薬棚を点検して、消費した薬や物品を補充するお仕事のためだ。
幸か不幸か、所持する異能は物品や薬剤を用立てるのにお誂え向きなものばかり。
包帯だろうと消毒液だろうと、その場で生み出してしまえば問題ないのだから。
ともあれ、第三、第二の教室棟をぽてぽてと巡り、やってきたるは最後の一つ。
「はーい、ごきげんよう。備品補充のラピスちゃんですよー?」
からりと横開きの戸を開けたなら、若干疲れ気味のちびっ子白衣がひょっこりと。
ついでに、しっかりとサボりじゃないアピールも忘れなかった。
■ラピス > 部屋に入って最初にやることは、部屋のどこかにある踏み台探しだ。
体躯は齢にして12程。それもどちらかと言えば低めに分類されるサイズである。
先生や学生の皆が普通に使えるサイズの家具でも、へっぽこ教師には大きすぎるのだ。
「っと、今日はラッキーですね。踏み台がこんなに近くにっ……!」
近場に置かれている踏み台を、うんとこしょ、と薬棚の前へ。
どうにか運び終わったならば、上にひょいと乗って、棚のガラス戸を開く。
「んしょ。それじゃ、右から順番に……」
踏み台に乗っかっても、上の段は背伸びが必要。
ミニマムサイズの補充係は、ぴょこぴょこと忙しなかった。
■ラピス > 消毒薬、整腸剤、鎮痛剤に傷薬。少なくなっているものを足しつつ、後は今の季節を考慮。
試験で寝不足な子用に、と頭痛薬なんかはちょっと多めに突っ込んでおいたり、風邪薬を取りやすい所にずらしておいたり。
なんとなく使いやすそうな収納方法を考えてみつつ、ぽいぽいと薬棚を満たしていく。
「これ終わったら、甘いものでも食べたいですねぇ、むむぅ」
少女の異能は何でもかんでも生み出せはするが、相応の魔力を持っていかれる。
故に、理論上は作れる霊薬や魔法具なども、実際の所は作れやしない。
出来るのは、日常の便利グッズやらそれなりなお薬やらが精一杯なのである。
それでものんびり生きるには十分便利だし、準備すればもう少し良いものも作れるのだが――。
「ま、とりあえずはお仕事をさっくり終わらせてしまいましょー!」
戦いだって出来なくはないけど、基本がのんびり気質故、こうしている方が気楽で良い。
ふんふん、と鼻歌交じりに手を動かして、少しずつ空瓶や空の棚を埋めていく。
ご案内:「第一教室棟 保健室」に神樹椎苗さんが現れました。
■神樹椎苗 >
鼻歌交じりの作業中に、小さなノック音が入り込む。
静かに開けられた扉からは、これまた小さな姿が現れた。
「ちょっとお邪魔するのですよ。
楽しそうなところ恐縮はしねーですけど、包帯とガーゼをよこしやがれ、です」
その十歳にも満たないような見た目の子供は体の至る所に包帯を巻いており、左太ももと右手の包帯には赤く血が滲み、右手の出血はやや多いのか、染み出していて今にも滴り落ちそうなほどになっている。
「仕事の邪魔はしねーのです。
場所だけ使わせろ、ですが、かまわねーですね」
そう言いながら、勝手知ったる様子で棚に向かっていく。
■ラピス > こんこん。響くノックの音に、へっぽこ教師はふと我に返る。
そう言えば、養護の先生は居ないのだっけと、扉の方へと視線を向けて。
からり、と開いた先から現れた影に、ぺこんとひとつご挨拶。
「どぞどぞ、病気ですか、怪我ですか――って、わりかし重患ですねっ!?」
見た目は、自分と同じ位の背格好で、包帯まみれの血まみれである。
むむむ、と難しい顔をしつつ、先程補充した包帯とガーゼ、それから消毒液を見繕って。
「ん、勿論、治療目的なら好きに使ってかまわねーです、です。
あぁ、ご注文の品はこちらに。手当の手伝いはご入用です?」
ちょっとだけ気が動転して、口調が移ったような気がする。
しかしそれも平常運行。とりあえず、ちらと様子見してみる所存。
■神樹椎苗 >
包帯など一式を渡されると、椎苗は礼儀正しく頭をさげた。
「重そうに見えるのは見た目だけです。
こんなのただの古傷だから、傷口が開いただけでなんでもねーのですよ」
難しい顔をさせてしまったのを気にしたのか、なんでもなさそうにぐっしょり濡れた赤い右手をわきわきと動かしてみせた。
「治療目的で保健室使わなかったら何に使うのですか。
あれですか、ふじゅんいせーこーゆーしやがる連中のたまり場ですか。
どいつもこいつも盛りやがってサルみてーです」
受け取った道具を持って椅子に座ると、教員らしい小柄な女性を眺めて眉をしかめた。
「別に手伝いはいらねー、です。
それに、手伝っても気分のいーもんじゃねーのです。
包帯の下は未成年お断りでグロテスクなすぷらったーですし」
状況には慣れているのだろう。
近くにあった医療廃棄物用のダストボックスを引き寄せて、右手の包帯をはがし始めた。
■ラピス > 一礼する様子につられて、こちらも一緒になってペコペコ。
その後、どうぞどうぞ、と奥へ入るように促して。
「おおう、結構出血している様ですから、貧血とか大丈夫そうです?
一般的には、血液が体内で作られるまでに、結構な時間がかかりますからねぇ」
言葉をかわす限りでは、意識はしっかりしている様子。
気にしすぎかしら、とは思いつつも、気になるのはお節介の宿命か。
「んー、それもありますが、仮病でおサボりとかもありますからねー。
一応これでも先生なので、そこらへんはちゃんと見ないといけないのですよ」
くるんと彼女へと向き直り、ぴょいと踏み台から下りて、そのまま台に腰掛ける。
手伝いは要らないと言われた以上、手を出すのは流石に踏み込み過ぎというものだろう。
とは言え、このまま作業を続けるには、お節介であるが故に少々気になりすぎてしまう。
ならば、ここは大人しく見守ることにしよう、などと結論付けて、彼女の様子を眺めることに。
無論、他に必要なものがあったなら、お手伝いする気満々である。
■神樹椎苗 >
「貧血は今のところ大丈夫みてーです。
でも、元々血が少ないですし、たまにふらふらするですね」
と、返しながら包帯に触れるが、わざわざ見守ってくれる教員に小さく頭を下げた。
「お節介でお人よしなちみっこですね。
のんびりしてそーな割にちゃんと見てるし、抜け目ねーです」
そう言いながら包帯を引きはがしていく。
その下からは、真っ赤な傷口が現れる。
まるで皮膚が溶けたかのように肉がむき出しになっており、組織の間から滲みだすように血があふれている。
普通に怪我をしたのではない事はすぐにわかるだろう。
そこに消毒液のボトルを開けて、直接エタノールをぶちまけて傷口を洗う、が。
「……今日はいつもよりひでーです。
仕方ないからお前にも手伝わてやるのです。
棚に止血用のゴムチューブがあるから、それでしいの手首をきつく縛るのですよ。
あ、その前にゴム手袋するの忘れるなです。
しいはどんな病気持ってるかわからねーですから、感染しても責任とれねーです」
ぽたぽたと血が滴りはじめた右手の手首を押さえながら、手伝いを求めた。
■ラピス > 「それならよかったですー。っと、たまにふらふら、ですか。
鉄剤でも処方しましょうか?作られる血の量が多くなるですよー」
一応これでも教師である。生徒が居るなら見守るのが本分というもの。
頭を下げる様子には、気にしないで、と言わんばかりに手を軽く振って答える。
「むぅ、お節介でお人好しはともかく、ちみっことは……。
文句を言えるほど大きくはないですけどね――うわぁ、痛そう」
剥がされていく包帯。その下の傷を見ても、引かない程度には大人なつもり。
擦過傷などではない、超常の傷。ともすると、異能によるものだろうか。
或いは魔術かもしれないが、ともあれ今が原因を詮索するタイミングでないことだけは確かで。
「あー、そういうことなら、えぇ、先生を頼ると言いでしょう。
えーと、ゴムチューブにゴム手袋……っと、あったあった。
逆に先生が傷に雑菌を付けちゃう可能性もありますから、ちゃんと防護しますよー」
踏み台を上がると、チューブと手袋、それからお節介用に鉄剤が入った瓶を持ち出す。
次いでぴょいと飛び降りたなら、足早に彼女の隣に、ぱたぱたと白衣を翻しつつ駆け寄って。
瓶はサイドチェストの上に。ゴム手袋を手に嵌めたなら、チューブを手にとって。
「それじゃ、ささっと縛っちゃいますから、きつかったりしたら言ってくださいねー?
あと、そこの瓶の中身が鉄剤ですから、後で飲んでおくのがいいです。一個で良いはず」
これでも一応生活委員で、手当についてはそれなりに経験済み。
へっぽこな割には手際よく、ゴムチューブを巻いて、きゅっと縛り上げていく。
■神樹椎苗 >
傷口にも慌てず、手際よく対応する様子に椎苗は感心したように声を漏らした。
「ちみっこなのに、しっかりしてやがるのです。
ちなみにしいは子供でロリなので問題ねーのですよ」
言いながら、きっちり止血されたところを手慣れた様子でガーゼを当て、包帯で巻いていく。
右手全体を包帯で綺麗に覆うと、自分の手でゴムチューブを押さえた。
「後は出血が止まれば問題ねーです。
手伝ってくれてありがとーございますですよ」
言いながら置かれた鉄剤を眺めるものの、首を振る。
「しいに、薬の類はきかねーのです。
抗菌剤も軟膏も鎮痛剤も栄養剤も、しいにとっては役立たずなのですよ。
でも、気にしてくれたことには感謝してやってもいーです」
チューブを押さえながら、椎苗は教員から照れ臭そうに目をそらした。