2020/07/09 のログ
■セレネ > 「…でも、それでラピスちゃん…あぁいえ、猫ちゃんは満足してくれるでしょうか。」
うっかり相手をちゃん付けしては慌てて訂正。
時折こういう癖が出てしまうのは、未だ此処に慣れてないからか。
尽くすタイプだという推測、ご明察。
「……お香、ですか。
煙草の利点としては、肺から吸入すれば肺胞から血中に運ばれる速度は口腔や消化器官に比べて速いので、全身に素早く回りやすい、という点でしょうか。
ただ煙草でもありますから当然、ニコチンの依存もありますし
肺胞の破壊もあるので寿命を縮めかねないという心配もありますね。
…純粋なお香なら、吸入するという点では同じなので…もしかしたら…。」
ただ、お香故においそれとどこかしこで吸えるものでもない。
相手の言葉に思考を回し、唸る。
ただそのアイデアは己ではきっと浮かばなかったろうから、やはり相手に相談して良かったとも思った。
「……そう、ですね。
今すぐ必要で、そうでもしなければ死んでしまうとかそういうものではないので…。」
己は少し、焦り過ぎていたのだろう。
言葉を受けて考え直した。
少しずつでも良いから信頼を築いていけば、もっと話してくれるかもしれない。
俯いていた顔をあげて。
「有難う御座います。
――あ、あともう一つ。
先生に似合いそうなペンダント見つけたんですよ。」
言っては小さな袋をポケットから取り出して相手へ差し出した。
中身はホワイトゴールドで作られた猫のペンダント。
首のリボンには小さなサファイアが埋め込まれたもの。
■ラピス > 「あぁ、良いんですよ?オフのときはちゃん付けでも。
代わりに、先生もオフの時はセレネちゃんと呼ばせてもらう感じで。
にゃんこな先生はまぁ、セレネさんが相手ならだいたい満足するかと」
これだけ仲良しなのだし、そもそも呼称にはあまりこだわりがない。
なにせ、普段からして生徒には『ラピ先』とか『ラッちゃん』とか呼ばれているのだ。
ちゃん付け位はむしろ微笑ましくて、そのままで居てね、とか思ってしまう。
「えぇ、お香です。煙草に頼らないように魔力を消費するために日常生活の一部で魔法を使うのです。
お香であれば、プライベートな空間で炊けますし、ニコチンの様な有害物質を吸うこともないです。
即効性がない、という欠点は、そもそも強力な魔法をすぐに使わないといけない状況を排除すれば良いです。
普段の生活のちょっとしたこと、例えば洗い物を水の魔術で行うとかすれば、消費は出来ますからね。
戦闘の様に、すぐフルスロットルで魔術を使いたい時だけ、煙草に頼るように習慣を変えるのですよ!
――まぁ、ニコチン中毒になってたら、どうしても煙草に向かうので禁煙ガムもセットになりそうですが」
彼女の意と友人の意の妥協点を勝手に探ると、まず初めにするべきは煙草の使用頻度を減らすこと。
事態をいきなり解決するのではなく、折衷案で様子を見て、時間を稼ぐのである。
その間に彼女が、もっと友人の心を解きほぐして、上手いこといくなら重畳。
そうでなくても、より詳細な情報があれば、もっと良い手段が思いつくかもしれない。
現状でへっぽこ教師から出せる最上の手は、そのくらいだった。
「案じる気持ちはわかりますが、相手の都合や感情もあるのでしょう?
それなら、今はセレネさんが我慢する部分もないと、お互い様には出来ません。
遠慮しがちなセレネさんのことですから、煙草も結構な無理を言って拝借してきたのでしょう?
それだけ、自分の意志をちゃんと向けられる相手なら、時間をかければきっと、大丈夫です」
それに、相手も相手で頑なに拒絶することは出来たはず。
そうじゃないなら、きっと大丈夫だ。彼女の友人として、そう思うことにする。
「いえいえ、お気になさらず――っとと、これは……?
開けてみても――いえ、そうですね、セレネさん、付けて頂いても?」
仕舞い込んだら、またいつまでも付けるタイミングを悩むことになる。
それならいっそこの場で、彼女につけてもらおう。それなら、確かに特別だから。
■セレネ > 「…え? ぇ、ぁ、い、良いんです?
あぁ私は別に全くもって構わないのですけれど。
――なんと。そう仰って頂ける程心を許してくれているという事でしょうか。
有難いですね。」
まさかの回答に思わず面食らった。
相手が良いと言うのであれば、オフの時は遠慮なくちゃん付けさせてもらおう。
「…魔法や魔術を日常的に使う、というのは…少なくとも私は見た事も聞いた事もないですから…。
恐らくそう緊急性のないものだと私は判断しておりますが。
そうですね…そこも含めて本人と話してみます。」
兎にも角にも話し合いは必要な事だ。
どこぞの誰とは違い、彼はきっと話し合いに応じてくれると思っている。
そこは少し、安心できる所かもしれない。
相手の言葉を受けて、二の句を継げなくなった。
やはり案外人を見ている。
己が分かりやすいだけかもしれないけれど。
この人には勝てそうもないな、なんて思ってしまった。
これが経験の差だというのか。
「――えぇ、良いですよ。
ふふ、日頃貴女にお世話になっているお礼です。」
つけてくれとの言葉には頷いてから、
袋からペンダントを取り出して席を立ち相手の傍へと寄る。
そうしてそっとその細い首にプレゼントをかけるだろう。
「ペンダントなので、チェーンさえ変えれば先生が大きくなった時でも付けられますし。
ホワイトゴールドなので錆びる事もないので使いやすいかと思って。」
■ラピス > 「仲良しさんなのですから、他人行儀になる必要もないでしょう。
セレネちゃんのことは、大分信頼してますよ?好きですから」
どちらかと言えば感情表現がストレートなタイプの少女は、きぱっと告げる。
同じく、オフの時はちゃん付けにするつもり。授業とかでは、さん付けだけど。
「魔力は使う魔法にもよりますが、出力のほうが大きくなりがちですからね。
ちなみに先生は、日常で魔法を使うことのほうが多かったり。煙草に火を付ける時とか。
――まぁ、何れにせよお話してみるのが一番ですよ。相互理解が一番の近道ですから」
彼女は理詰めで感情を置いてけぼりにするタイプのはず。
しかしそれがここまで焦るのだから、その相手がちょっと、いや、結構羨ましい。
こんな美人で甲斐甲斐しくて素敵な子を捕まえておきながらぐぬぬ、とか思っちゃうわけで。
彼女について分かるのは、彼女が包み隠さず彼女自身を見せてくれるからだ。
秘密にしていることがある、とかではなく、普段のあり方を演じていない、という意味で。
或いはこのへっぽこ教師が、保健室の当番を受けるにあたり、心理学を齧ったのも要因の一つかもしれない。
いずれにせよ、彼女の前で良い格好が出来るのは、彼女よりも年寄りであるからなのだろうけれど。
「そういう事ならありがたく。ずっと大切にしますよ」
首元にかけられるペンダントは、品の良く瀟洒なもの。
可愛らしい猫に、サファイアの青が綺麗だった。
「なるほど。可愛くて素敵ですねぇ……!」
これはいいものを貰った。今度なにかお返しをしなければ。
何がいいかな。折角なら彼女の喜ぶものがいい。そんな事を考えながらお茶を一口。
そろそろ湯呑の中は空になるが、女子会の様な会話は、まだまだ終わりそうにない。
この後も由無し事をゆるりと喋り倒して、結局解散する頃には大分時間が経っていたのだとか――。
ご案内:「第一教室棟 食堂」からラピスさんが去りました。
■セレネ > 「はわ…っ!
す、好きだなんて…いや、その、わ、私もその…
ラピスちゃんの事は好いて居るのですけど…!」
きっぱりと「好き」と告げられるとちょっと照れる。
ただやはり、己も相手と同じ気持ちだから同じように伝えたい。
「ほほぅ、貴方も魔法をお使いになられると。
今度、詳しく聞かせて頂きたいものです。
…そうですね。焦らずゆっくり、いきたいと思います。」
想像以上に相手から己の性格やタイプを理解されているとは露知らず。
そして同時に悔しく思っているという事も。
こうやって”素”を見せられる相手というのは本当に貴重で、有難い存在だと感じる。
相手が話しやすい雰囲気だからか。それとも、己の警戒心が思っている以上に緩んでしまっているからか。
何れにせよ、居心地の良い存在というのは心の安寧を保つ点においても重要な事だから大事にせねばなるまい。
「ふふ、有難う御座います。
でもこれは、日頃の感謝の気持ちなので…
これからも仲良くしてくれたら良いなって、
私の望みはそれだけですよ。」
仮にも神である己が望みを持つのは良くないことかもしれないが。
それでも望まずにはいられない程、良い人で、良い関係で。
喜ぶ相手を微笑まし気に、嬉しそうに眺めて。
止まっていた食事を再開し、温くなった紅茶を飲みながら話す会話は
とても楽しく、時間などあっという間に過ぎて行く――。
ご案内:「第一教室棟 食堂」からセレネさんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 屋上」にラピスさんが現れました。
■ラピス > 穏やかな夜。夏と言うには少々涼しい空気の中、少女は屋上に居た。
いくつか備え付けられたベンチに腰掛け、口には細巻きの煙草を咥えて。
火の精霊に呼びかけて指先に炎熱を灯せば、煙草の先を撫でるだけで火がつく。
息を大きく吸って吐けば、漂うのは紅茶の香り。思いつきで拵えた新作だ。
「んぅ、中々良い出来ですねぇ。紅茶の匂いが豪華な感じ」
ぷかり、ぷかり。紫煙を燻らせながら、ぽけーっと空を見上げる。
何もすることなく、ただ息をしているだけ。それは瞑想にも似ていた。
■ラピス > ぼんやりぽやぽや。見上げる先の空は、厚い雲に覆われた闇だ。
彼方からの月の光は、微かに降り注ぐのみ。梅雨の空模様はなんとも重苦しい。
「あー、だからじゃないですけど、やる気でねーですねー」
何もする気が起きないぞー、とうだらうだら。
今夜のへっぽこ小娘は、いつもよりもポンコツだった。
■ラピス > 息を吸う。煙草の先が赤く光る。溜めた煙でぽわぽわと、輪っかを作ろうと遊んでみる。
これが案外難しいもので、どっちかと言うと空気砲みたいな感じになってしまう。
ぽわ、ぽわ、ぽわぽわ、さして楽しくもない遊びだが、暇つぶしには十分だ。
「――あぁ、退屈ですねぇ。こう、暇つぶしの何かを所望しますよぅ」
とは言え、人気もなく手持ちの何かもなく、あるのは煙草のみ。
ソシャゲの周回も飽きたしなぁ。時たま訪れる、暇の憂鬱が現在進行系だった。
■ラピス > なんだか眠たくなってきた。あふり、と小さく欠伸が漏れる。
こういう時は欲求に素直に従うのが良い。眠いならば、眠るのだ。
煙草も都合よく、後少しばかり吸えば燃え尽きる程度の長さ。
最後に一つ、大きく息を吸う。フィルター以外が灰に変わって。
「――はふ、まぁ、こういう日もある、ということで」
それじゃ、今日はこのくらいで御暇しましょうか。
ぽってぽってとのんびりな歩みで、少女は寮へと戻っていく――。
ご案内:「第一教室棟 屋上」からラピスさんが去りました。