2020/08/23 のログ
ご案内:「第一教室棟 教室」にオダさんが現れました。
オダ > 中途入学者向けの授業を終えた。
今日は理科の授業であった。
正直、これまで生き残るために最低限の知識と隠秘学部の専門科目しかアメリカの通っていた学校では受けてこなかった。
そういうのもあって、この夏休み遊ぶ時は時間を作ったりしたが、バイトにこの夏期講習に顔を出していてあまり自由な時間というのもすくなく感じるところだ。

教室とは言え外とは隔絶され、夏を忘れさせる涼しさに思わず寝てる生徒もいるが、そういうのはなんというか微笑ましい『平和』だ。

そんな事を思う青年もまた上機嫌であった。
朝にお世話になっている食品販売系の部活動の先輩からティーパックで簡単に淹れて飲めるハーブティーの新作を箱で頂いたのだ。
香りを楽しむホットでもよし、アイスティーにする際は輪切りのレモンを添えてヨシの代物らしい。

それで、この教室に残る男子諸君は未だ夏は終わってない俺たちも青春エンジョイドリームをみたい!
と言って授業の後に僅かな時間であるが、何故かオダ講座が開かれた。

Q、好きだと思う子がいる。 どうしたら仲良くなれるだろうか。

A、
「共通する事があるなら、それを話題にして声をかけてみればいい。

 ただし、それは面白い話題にしておけ。 例えば昨日やっていたテレビドラマの話題を……とか、
 夏の間にやってるセールの話なんて振って好感触なら買い物に付き合ってもらないか誘えば言ってしまえばそれはもうデート、という訳だ。
 難しく考えるから動けないんだ。 君等は私にこうして場を設けてくれと言った勇気に比べれば未だ好きかどうかを確かめたい相手に声をかけることに戸惑っている段階なら軽いものだと認識したほうが楽だぞ。
 ま、好きだと認識しても焦ったら叶うものも叶わないので気をつけたまえ」

既に仲がいいなら同じ趣味を持てないか模索する提案をしてみればどうか、とか。
友達関係から進むのが怖いだとか、中々悩ましい問題を抱える奴らもいた。

そんなやり取りを幾つかした。
やり取りが終わって一人教室に残ってぼんやりとして息を吐いた。

「……相談されるって言ってもな。
 私は実年齢不詳の魔女どもに囲まれて育った身だぞ」

見た目イコール実年齢みたいな年頃の異性相手の恋愛は少し専門外だ。

オダ > なぜこういう流れになったのか自分でもよく分からないが。
世話になっている部活動の先輩方と楽しく調理したり集合写真を取った写真を
「夏だけどなにしてる?」みたいに聞いてきた男子に送ったらこうなった。

好かれるのは悪くないが、
こういうのは人に聞いたからと言ってそれを答えにしてはいけないとは思うところだ。

教えは理解し、自分の中で噛み砕き再構成してこそ成り立つ。

故郷で習う魔術への心構えでもある。
それは、さておきではある。

「……今日でようやく本来前期で習うべき部分までやったか」

これで憂いなく、後期の選択授業の事も考えられる。
九月に入れば、後期が始まる。
時の歩みは、充実しているほど早いものだ。

オダ > 後期授業が始まれば、今のバイトをそのまま続けるってのも難しい。
授業割を考えれば週多くても三くらいのシフトが精一杯だな、と至るところではあるが。

そろそろ、国の方でも自分を派遣したおえらいさんが別のおえらいさんと言う名の魔女に絡まれてる頃とは思う。
それがどうにかなれば国からの若干の支援金も出てくるだろうし、割と生活が楽になる見通しだ。

それに、次世代魔導融合機関という常世学園でも最先端の技術で作られている動力源について、仮に報告すりゃあそれだけでしばらく仕事しなくてよくなりそうだ。

「しかし、授業が終わって人もいない校舎っていうのは、静かなものだな」

オダ > カバンから少し取り出し紙を見る。
後期選択授業の申請書。
ネット上でも申請出来るが、折角申請書があってこうして校舎に来る機会があるんだ。
提出を手でするのも悪くないと考えた。

「ヨキ先生に真琴先輩か……。
 芸術に打ち込む人っていうのは皆、魔女や魔導師みたいな空気を持ってるわけじゃないよな……

 ただ、惹かれる輝きではあったな」

先日参加したバーベキューで知り合った芸術に関わる二名。
芸術家というのは少なからず、人とズレている。
そして、人にはない感覚を持ち得ている場合もある。
異能や魔術という特別とも言えるチカラがあるせいで薄れてはいるが、
己の情念をカタチにするものは、どこかしらおかしい部分があるものだ。
上手いものはそれを隠しているに過ぎない。

故に、オダの感じたその輝きを別の呼び方で言うならば、

――魔性。

答えのない世界で、ひたすらに自分の解答をし続ける者たちにお似合いの性質である。

「美術とかそういうの、はじめてなんだよなぁ……」

今、青年にはそんな事はわからない。
ただ、初めて触れる分野に心踊らせる少年のようなハートで近い将来について思いを馳せた。

ご案内:「第一教室棟 教室」からオダさんが去りました。