2020/09/09 のログ
ご案内:「エントランス」にジャムさんが現れました。
ジャム > 放課後。
授業後に追試を受けていてやや遅くなった頃。

エントランスから一歩飛び出したとたん、
鼻先にぴちゃんと雨粒ひとつ。
そこから、輪が一気に広がるように雨音が周囲を取り囲んだ。

「あぁー……。僕が家に帰るまでギリギリもってくれると思ったのになー……」

午後遅くから雨です、という天気予報に従わなかった異邦人。その場でくるんと踵を返し、3歩目で屋内へ戻ってくる。

「思ったよりけっこう降るねー。
……こういう時は誰か他の人の傘を奪って……、
いやいや、じゃなくて。
上がるまで雨宿りかなー」

秋空のスコールらしい。
真夏なら天然シャワー、だけれども今はちょっと寒い。
雨中突破はやめておき。一瞬よぎった邪悪な思考を振り払い。
大人しくエントランスの脇で佇んで雨上がりを待つ。
もしくは、誰か傘が空いてるような人が通りかからないかと時々振り返り。
一瞬濡れた制服の肩やスカートを軽く手で払っている。

ジャム > 雨が地面を打つ。
そういえば雨音だけの音楽もあるんだっけ。
覆う雲から露しずくと流れ落ちる雨模様の空をしばらくぼーっと見上げた後に。

「雨を止める異能が僕にあったらなあー。
――お願い、雨よ、止んで!」

手持ち無沙汰、ならぬ尻尾無沙汰にふりふり揺れる黒尻尾。
不意に、前に映画で見たシーンの真似事。
天候を変える天気の巫女になりきって。ぎゅっと瞳を閉じて両手を胸に祈り。

――ざぁぁぁぁぁ……。

「はいっ!そんなの映画の中だけだったー。だけだったー。
わかってたー。
もう覚悟決めた!帰ったらそのままシャワー浴びようー」

祈りは届かず当たり前の雨音が返ってくる。
1人で自分につっこみながら、姿勢を低くする。
クラウチングスタートだ。
レディセットゴー。セルフカウントで雨の中駆け抜けてく、異邦人の姿が勢いよく――。

ご案内:「エントランス」からジャムさんが去りました。