2020/09/18 のログ
ご案内:「第一教室棟 保健室」にラピスさんが現れました。
ご案内:「第一教室棟 保健室」にセレネさんが現れました。
ご案内:「第一教室棟 保健室」に藤巳陽菜さんが現れました。
ラピス > へっぽこ教師は、せっせせっせとお茶会準備に勤しんでいた。
丸いテーブルにテーブルクロスを敷いて、ランチョンマットをひょいと乗っけて。
しゅんしゅんと鳴るやかんの音を聞きながら、お茶っ葉をいくつかセットして。
るんたった、るんたった、楽しみがあると気分も勝手に上がるもの。
今日はきっと仲良しさんが増えるから、とごきげんなへっぽこ教師である。

「っとと、こんな感じかなー?」

ごそごそ。後はお湯をいくつか用意したティーポットに注げば準備完了。
後はお客様を待つのみ。保健室のヘビーユーザーはホストな気分満々だった。

セレネ > 手作りのケーキを手に、通い慣れた保健室へと歩く。
形を崩さないよう平行に持ち扉の前で立ち止まればノブに手をかけ開ける。

「ん、準備は万端といったところでしょうか。」

予想済みではあったがやはり張り切って準備をしていた彼女に蒼を細め一旦扉を閉め、
片手に持ったケーキボックスを軽く掲げる。

「私も手作りケーキ作って来たので、皆で食べましょうー。
お口に合えば良いのですけど。」

テーブルの空いているスペースに箱を置けば、香る茶葉の香りを呼吸と共取り入れて。
後は先輩だけだな、と時刻を確認しつつ待った。

藤巳陽菜 > 「し、失礼します。」

その長い蛇の身体をいつもより小さくまとめながら市販品のようなケーキの箱を持って一人の少女が入ってくる。
藤巳陽菜は人見知り。初対面の相手は苦手なのだ。

お茶会の場所が保健室だと聞いた時は少し驚いたがよく考えたら薬学の先生なので保健室で主に仕事している。
そこで開催されるのはおかしなことではない……。

「…今日お願いしますセレネさんと…先生?」

かわいらしい先生であるとは聞いていたけど……その姿にどうしても疑問形になってしまう。
思っていたより小さく、可愛い。

ラピス > 先に入ってきたのは、いつも仲良しさんだった。
今回のお茶会の発起人で、お友達を紹介してくれるらしい。
もちろん仲良しを増やす気満々なへっぽこ教師は、るんるんと乗り気だった。
お湯が良い感じに湧いているのを確認しながら、まずはセレネを手招きして。

「んしょ、皆揃ったら早速始めちゃいましょうかー!」

尻尾があったら降ってそうな感じの雰囲気でニコニコ。
それからほんの少しすると、もう一人の参加者がやってくる。
へっぽこ教師的には初対面の彼女。どんな子かしらとちらり。

「うにゃ、どもですよー、はいな、先生です!」

にこぱー。ぺこり。しっかりとご挨拶を忘れない。
そしてそのまま彼女を手招き。どうぞどうぞと奥に用意した円卓を示そう。
どんな子かわからなかったから、椅子普通に用意しちゃったけども、大丈夫かしら。
とか、彼女を見てちょっぴりひっそり思ったのは内緒だ。

セレネ > 「――あら、先輩も丁度来たみたいですね。
集まって頂き有難う御座います。宜しくお願いしますね。」

再び開けられた扉に振り向き、蒼を向け
待っていた人物は緊張した面持ちで入ってきた。
もしかして人見知りだったのか、と内心申し訳ない気持ちで沢山。

…でも、これで一つ縁が増えればプラスになるだろうし、厳しそうならフォローを入れれば良い。
教師である仲良しさんは結構人を良く見ているから察して話題も振ってくれるだろうから。
そこもしっかりと信用している。

互いに挨拶する二人をニコニコして眺めていれば
促された席へと移動して、先輩と先生の椅子を引いて待機。

藤巳陽菜 > もし、これで先生じゃないですよーとか言われてたらそれはちょっと恥ずかしかった…。

それにしても、この先生見た目通りにしゃべり方も可愛い…。
だが、油断してはいけない。ここは常世学園見た目で年齢を判断してはいけないと陽菜は既に知っている。

「あっありがとうセレネさん。」

知ってる人が一人いるというだけでとてもありがたい。
そのことに感謝しながら引いてくれた椅子に座る。
腰を掛けて椅子の足の周りを蜷局を巻くような座り方、ソファーのような椅子でなければこの座り方で座れる。

「あのっ!私は藤巳陽菜、3年生です。よろしくお願いします。」

緊張している。緊張して固くなっている。
尻尾を見れば分かる……これは緊張している者の尻尾!

「ケーキ作ってきたのでよかったら!!」

そう言いながら出てくるのは紛れもなく手作りのレアチーズケーキ。既に6等分に切り分けられている。
それが入れてある箱はバイト先で貰って来たもの。冷却魔術の式が書かれていて冷たい状態で食べることが出来る!
……よく見れば箱の外側に『異邦人喫茶ろーるみー』というロゴを見つけることが出来るかもしれない。

ラピス > 「いえいえ、せっかくのお茶会ですし、こちらこそ混ぜて頂いて感謝です。
 さてさて、それじゃ早速お茶しましょう!色々用意しておきましたよー!」

ぽてってーと保健室の奥にある簡易キッチンから持ってくるのは、ティーポットが3つ。
何となく皆お菓子を持ち寄る予感がしたから、それぞれに合わせたお茶を淹れようという魂胆だ。
その内の1つは、既にポカポカと温まっていて、中にはたっぷりと紅茶が入っている。
お菓子以外にも色々お話するだろうから、喉を潤すのを意図してのものだ。

「ん、陽菜ちゃんですねー、先生はラピスと言います。薬学の先生です。
 先生というのにちっこくて、びっくりしたでしょう?ふふ、皆同じこと思いますからね。
 ――ですが、これでも一応大人です。お酒だって飲めちゃいます。ではでは、よろしくですよー」

にっこにこ、緊張している彼女――陽菜とは異なり、へっぽこ少女はマイペース。
差し出される箱を見ると、おおー、と目を輝かせながら。

「チーズケーキですか、いいですねー!とっても美味しそうです!
 これは、ふむ、良いお皿をちゃんと出さないとですね!ちょっとお待ちを!」

箱をうけとってとてててっと奥へ。その内、綺麗なお皿にケーキを乗っけて戻ってくることになる。

セレネ > ああ見えても立派な教師だから驚きだよね、と彼女を見て一度は思うだろうこと。
己も初見はそうだったし。

「いいえ、どう致しまして。」

先輩の蛇の下半身は椅子の足を取り巻くような形で収まっている。
成程こうやって座るのか。しかし、大分緊張しているのか尻尾が硬いように見える。
…彼女には失礼だろうが、微笑ましく見えてしまって笑みを噛み殺した。

「先輩も手作りを?この間のプリンも美味しかったので、ケーキもきっと美味しいのでしょうね。」

それはとても楽しみだと、レアチーズケーキの箱に視線を注ぐ。

そうして先生が奥のキッチンから持ってきたティーポット三つとレアチーズケーキ。
先生が座る椅子を引いたまま、彼女が席に着くまで己は両手を身体の前で緩く重ねて姿勢正しく直立。
座ったのを確認すれば、空いている最後の席に座ろうか。

藤巳陽菜 > 「お酒も飲める歳なんです!?びっくりしました…。」

そうは見えない…見た目も……なんていうか雰囲気も…。

薬学の先生でこれだけ若いと何かしたの薬の効能を疑ってしまう。
若さを保つ薬とかあるのかもしれない…。

「はい!このケーキ結構簡単にできてとてもおいしいんですよ。
 このチーズケーキ…チーズとか苦手じゃなかったです?セレネさんも大丈夫?」

本当に手軽で簡単に店で売っているレベルのレアチーズケーキになる。

ラピスがティーポットを取りに行ってる間もそわそわ、キョロキョロとなんとも落ち着かない様子で保健室の様子を見たり。
セレネの方へ視線をやったり、奥の方を見て見たり……。

「ありがとうございますラピス先生。」

チーズケーキの皿を受け取ればそれぞれの場所に並べていく。

ラピス > 「ふふり、先生は半分くらい精霊なので、成長が遅いのですよー。
 とはいえ、こっちに来た時にうっかり忘れちゃったので、何歳か解らないのですけども」

どんだけだったかなー、なんてあっけらかんと言い放ちつつ、ぴょこぴょこ。
お盆の上にポットとチーズケーキを乗せて運んでくると、陽菜がそれぞれの前に置いてくれる。
気が利く子だー、と眺めつつ、これでお茶会の準備完了。先生はおなかが減ったぞ、とケーキを見つめて。

「チーズケーキは先生大好きですよー。特にレアチーズケーキには、目がないのです。
 それに、どうやらセレネちゃんのお墨付きもあるようですから、楽しみですねー、ふふー」

るんるん。皆のカップに紅茶を注ぐと、ぽわぽわいい匂いが立ち上ったりして。
へっぽこ教師は臨戦態勢。楽しみだなー、と椅子の上にちょこんと登って。

「それじゃ、乾杯の音頭ってわけじゃないですけど、セレネちゃんに始めてもらいましょう。
 先生と陽菜ちゃんを結びつけたのはセレネちゃんですからね。なんて、無茶振りしちゃいますよぅ」

むふー。へっぽこ教師は、そわそわとセレネを見つめる。
はやくぅ、はやくぅ。無茶振りしといて我儘なちみっこだった。

セレネ > 「この見た目で飲酒してたら確実に風紀から目を付けられそうですがね…。」

驚いている先輩の言葉に苦笑する。
見た目で年齢は判断出来ないのは分かっているが。

「えぇ、特にアレルギーもないので大丈夫です。
私はмедовик(メドヴィク)…あー、伝統的なケーキを作ってきたので、これも後で食べましょうか。
蜂蜜を練り込んだクッキー生地を何枚か重ねて作るものなのですが、美味しいですよ。」

ケーキの皿をそれぞれの場所に並べてくれる先輩に礼を述べつつ
己が作ってきたケーキも少しだけ説明。
淹れたての紅茶の香りも良い感じ。

「へ?!私ですか?!
え、えーと…じゃあ、その。
ラピスちゃんと藤巳先輩が今後も仲良くなれる事を願いつつ…。」

飲むのはお酒ではないから、カップをかち合わせる事はしないけれど。
小さく乾杯、と言いながらカップとソーサーを持ち上げて不慣れな音頭を取った。

藤巳陽菜 > 「へー、半分精霊なるほど…言われてみれば精霊っぽさもあるような。」

言われれば急に精霊っぽさを感じるが恐らく気のせいだ。
残念ながら陽菜は精霊との親交がないので分からない。

ふと、ラミア……というか自分は身体の成長どうなんだろうとか頭をよぎったが振り払う。
今日は楽しいお茶会なのだ。

「本当ですか?良かった…。
 ……そのケーキもおいしそうメドヴィグ…初めて見たわ。」

何にせよ苦手でもないし、アレルギーもないというならばうれしい。
レシピ通りに作っただけの物でも褒めてもらえると嬉しい。
そして、初めて見たケーキを見れば目を輝かせるのだ。

「この島いっぱいいそうじゃない未成年っぽい見た目でお酒飲む人…風紀委員の人大変そう。」

種族によっては成人する年齢とかも違うだろうし……頑張れ風紀委員!

「えっ、えーと…えーと?乾杯!!」

お茶会って乾杯してたっけ?
一瞬疑問に思うけど他の二人に合わせてカップとソーサーを持ち上げる。

ラピス > 「でしょー、精霊っぽさがあるのですよー、ふふー!」

呑気にニコニコ、陽菜の言葉にこくりと頷いてみせる。
実際、精霊っぽさはよくわからないけどフィーリングは大切だ。
ドントシンク、フィール!つまり考えずに感じろ、というやつだ。

「うにゅ、メドヴィクですか、はちみつたっぷりで美味しいのですよねー。
 っとと、それじゃ先生の用意したお菓子も出しましょうかねぇ……」

ぴょんこ、と椅子から降りて、ぽてりこぽてりこ、保健室の隅へ。
そこから引っ張り出してくるのは、教師愛用の異次元トランク。
外見は小さめのアタッシュケース位の革トランクだが、中の容量は数十倍。
それこそ、子猫や子犬の一匹くらいならば入れたまま飼える代物だ。
ぱちりと留め金を外してゴソゴソ。ひゅぽ、と取り出したるは――。

「ふふ、洋菓子で来るかなとちょっとばかり予想してたので、変わったものを用意しました。
 というわけで、とっておきの一品、ラピス先生お手製のどきどき春巻きを提供しちゃいますよぅ!」

取り出したるは、ホカホカに上がった春巻きが乗っかった丸い皿。
大きさは一口大より少し大きい程度で、揚げたてっぽい香ばしい匂い。
中身は普通の餡に、バナナチョコレート、バター&粒餡の三種類。
ついでにこっそり用意していた中国茶のポットもドデンと置いて。

「というわけで、こっちも食べてみたら良いかもですよー」

和洋中の要素を取り入れてみた、創作中華なデザートを振る舞って見るへっぽこだった。

セレネ > 半精霊にラミアに神族のお茶会とは、随分と種がバラバラだなぁと内心で思いながら一人諸々を笑みの下に秘匿する。
人の口に戸は立てられぬが、己が口には戸を立てられる。

「ふふ、お口に合えば良いのですけどね。」

事実先輩の作ったお菓子はとても美味しかったのだ。
例えレシピ通りでも、その通りに作るのは案外難しかったりするのだし。

「あら、ラピスちゃんはご存知なのですね。嬉しいです。
――彼女のお菓子、とっても美味しいのですよー。」

先生もやはりか、と一旦椅子から降りて隅へと向かうのを眺め。
夏休みの際、共に遊びに行った海でもその大容量を発揮していた魔法のトランク。

「これは…春巻き?」

取り出された皿に盛られているきつね色の揚げ物。
しかしお茶会なのだから中身は甘いものだろう。蒼を瞬かせて驚く。

「――ん、そうだ。
ちょっとお二人にご相談したい事があるのですが宜しいですか?」

ソーサーとカップを置き、ポケットからスマホを取り出す。撮った写真をスクロールしつつ

「えとですね、実はこの間公園で捨てられていた仔猫ちゃん達を拾ったのですけども。
里親を募集してまして…お二人とか、どうかなーって。
今居る子はこの子達なのですが。」

言うと、それぞれ白、黒、キジトラ、茶トラの毛並みを持つ
生まれてまだ間もない仔猫の写真を二人に見せてみた。

藤巳陽菜 > 「えっ?春巻き?春巻き??」

春巻きと言えばご飯のおかず。
陽菜とはスーパーのお惣菜コーナーや給食で顔を合わせたことがあるくらいの関係。
デザートであるという認識は全くない。

「相談…あっ!可愛い猫ちゃん!!」

猫の写真を見せられれば超速度で反応する。
猫、猫。

「……私飼ってあげたい気持ちはやまやまなのだけど。
 アパートがペット禁止で……。」

この前もそれで公園の猫を連れて帰るのを泣く泣くあきらめた。
心底、悔しそう。だが、その為にアパートを変更するのは経済的に厳しい……。

「私にはこの子達を幸せに出来ない……。」

経済的に余裕がない生き物を飼うための資格が足りないのだ。

ラピス > 「えぇ、春巻き。中身は甘いのもありますが、口直しに普通のも混ぜてあります。
 普通のは、タケノコとしいたけと細切り肉とを醤油餡でぐつぐつしたやつですね。
 それぞれ分けたゾーンが3つと、ランダムまぜこぜゾーンが1つなので好きなのどうぞ」

春巻きは全部で36本。12個ずつ作って、9/9/9/3+3+3という配分で四方に置かれている。
皿を東西南北で分けた時、東が普通の、南がチョコバナナ、西があんこバター、北がまぜこぜ。
どこから取るかで食べられるものが変わる仕組みだ。好みに応じてつまむと良いかも知れない。

「んにゅ、それでー、うや、猫ちゃんです?」

相談事、として差し出される写真。そこには可愛らしい猫が数匹。
ちっちゃいなー、かわいいなー、と眺めつつ、捨て猫と聞くとほむー、と考えをこねこね。

「なるほど、なるほど。そういうことでしたら、先生も一匹貰いましょう。
 この中だと、黒の子がきれいな毛並みで素敵ですねー。他も可愛いですけども。
 寮に猫を置いてくのは危ういですが、先生はあのトランクがありますからねぇ」

トランクの中に、ちゃんと猫が入るスペースを作ってあげればいけるはず。
入れるものを仕分けられる仕組みだったはずだし。今まで使ってない機能だけれど。
多分大丈夫なはず。無理だったら引っ越せばいいし、などとやっぱりマイペースで。

「それじゃ、陽菜ちゃんも先生の猫ちゃんを一緒に可愛がればいいですよー。
 それと、里親の話は保健室にもチラシかなんかで貼っときましょうか」

何もしないよりマシですし。へっぽこ教師にしてはまともな提案である。

セレネ > 「可愛いですよねー。
もう、動いてるだけで可愛すぎて。」

反応が速かった先輩。もしや同じ猫好きか。
しかし彼女からの返事は残念ながら、駄目だった。

「私も寮暮らしなので本当ならペットは駄目なのですけど
一人くらいなら大丈夫かなーって思って養うつもりではあります。
防音とか壁や家具を傷つけないように魔術をかければ平気かなぁ、なんて。」

悔しがる彼女に己も少し残念そうな顔。
先生からの春巻きの説明については、結構作ってるのだなと感心しつつ。

「ラピスちゃんは白の子を選ぶと思ってましたが、黒の子ですね。
…あのトランク、動物も入れられるのですか?」

トランクから動物が出てくるとか、そんなファンタジー映画があったような。

「じゃあ、あとで連れてきますね。
――あ、宜しいのです?それなら是非ともお願いしたいですね。」

残るは白とキジトラと茶トラの子。
己はどの子を養うか、まだ悩み中。だってどの子も可愛いのだもの。
チラシの提案には是非、と軽く頭を下げた。

藤巳陽菜 > 「ねー。本当子猫ってもう……天使…。」

……この異能に目覚めてから避けられがちなのだけども。

「甘い春巻きとかあるの?世界広いわね……。」

陽菜の世界はあまりに狭い。
この常世島という場所で3年間、勉強してても知ることが多い。

甘い春巻き、カリカリしてておいしそう。

「本当?私も…私も猫を可愛がって良いの?私、猫と戯れるために保健室通うわ……。」

通う、猫と戯れるためにこの場所に通う。
普通に体調不良者の迷惑になるかもしれない。
だが、通う猫の為に…。

ラピス > 「子猫は結構手間かかりますからねぇ。予防注射とかも色々。
 先生も、子猫用の調薬をお勉強しておかないと、必要になるかもですね」

もふもふふわふわちっちゃいにゃんこ。見守っていないと危なげな気配がある。
こんなにちっちゃいのが、一生懸命に生きようとしているなら、守ってあげねば。
庇護欲をそそられたへっぽこ教師は、引き取る気満々だった。

「んー、セレネちゃんは白い子選ぶんじゃないかなーって。
 それから、黒猫は不吉を呼ぶからと引き取られなかったら可愛そうですし。
 まぁ、一目見て気に入ったからでもあるのですけれど……うい、入りますよ」

トランクの中に生物を入れると、それなりに住みよい環境が用意されるらしい。
最適な環境で保存する、という設定が働いているのかもしれない。

「ん、保健室は皆のために開かれていますから、急患が居なかったら平気ですよ。
 実際、今だって利用者が他に居ないからお茶会やってる訳ですし。そんなものです」

怪我人が来たら、お茶会の途中でも対応するつもり。
ともあれ、せっかくのお茶会だから、とレアチーズケーキに手を出そう。
フォークをすっと通して、白いクリームを一口ぱくり。爽やかな甘さでポワポワ幸せ。

「んぅ、さっぱりなのに濃厚な甘さ!素敵ですねぇ、むふー!」

食べ終わったら、次はメドヴィクに手を出そう。そう決めながら、ぱくぱくもぐもぐ。
レアチーズケーキは、結構な速さでへっぽこ教師のお腹の中に消えていった。

セレネ > 「自分が可愛いという事実を知ってるような動きしかしませんものね…。」

動く殺人毛玉。短くて小さい手足でぽてぽて歩く姿なんてもう最高だと思う。

「まぁ、異世界もありますからね…世界は案外広いし多種多様なものですよ。」

元の世界で複数の世界を渡っていた己が言う。
己の父は、もっと沢山。

「一応獣医の知識も頭に入れてますが、この際もう一度おさらいしておかないといけませんね…多分忘れてる…。」

動物を診るより人を診る方が圧倒的に多かったし。
引き取る気満々な先生には、お茶会が一段落ついたら連れてこようと決め。

「…白い子にやたら懐かれているのは、もしかして親だと思われてるから…?
ヨーロッパでは逆に幸運の象徴なのですけどね、黒猫って。
流石のトランクですね…。」

改めてその凄さを感じたトランク。
いつかは己も欲しいものだ。

そうして己もそろそろケーキに手をつけねばと、
まずはレアチーズケーキにフォークを入れる。
甘すぎないさっぱりとした味と風味。

「んー、これも美味しい。」

己の想像通りだと、口元に笑みを浮かばせる。
紅茶も一口含めばお互い邪魔をせず良い感じに調和する。
美味しいからついつい、食べ過ぎないようにしなければ。

藤巳陽菜 > このトランクがあれば自分も猫が飼えるのでは?
……うーん、難しいかもしれない。
可愛いってだけで飼っちゃうののは不幸にしてしまう……。

「確かに……確かに?」

よく考えたら、今楽しくお茶してるここがそもそも保健室。
体調不良者がいないから楽しく過ごせている。平和なのが一番。

「ねー。絶対、自分の事可愛い知ってるわよね。この…!」

分かってる。絶対全部わかってやっている。
……だけど、可愛いから全部許しちゃう!!

「甘くておいしい…。かなりはちみつ効いてるわ。」

メドヴィグを一口食べてみる。
なるほど、しっかりとはちみつの味を吸っていておいしい。
……その甘さに紅茶がよく合う。