2020/10/04 のログ
セレネ > 「元々何かをしていたなら兎も角、一般なら受け身の取り方を知らないのは当たり前でしょう。」

風紀委員でもない一般生徒が咄嗟に受け身を取れるような訓練はしないだろう。
いやもしかしたら居るかもしれないが、少なくとも己は知らない。

「そのご友人に怪我はなかったのですか。
…今此処に一緒にいないのなら大丈夫なのかもしれませんが…。」

確定しない言葉ではあるものの、説明された言葉を信じるしかない。

「――異状無し?」

記憶が一部欠落しているのに?眉間の皴が深まる。
包帯については問題なかったようで、笑顔で礼を述べてくれる相手から視線を逸らして少し考え込む。

気にはなるが、己は此処では”医者”ではない。まして生活委員でもない。
ならば、その医者の診断に納得するしかない。浮かぶ猜疑心を押し込んで。

「…そう、ですか。
今も身体や頭に異常はないのでしょうか。
もし今後、酷い頭痛がしたり、眩暈や手足が痺れたり、呂律が回らない…等の症状があれば必ず病院に行って下さいね?」

表情を険しい顔からほんのり眉をハの字に変え、少し心配そうに告げた。
注意をするに越した事はないのだ。
それが大きなお世話だったとしても。

火光雷鳥 > 「ですよねぇ…まぁ、実際に異能に目覚めた以外は普通の一般生徒なんで。
魔術なんてこの島に来てから詳細知ったし、戦闘技能なんて勿論何にも無いし」

元々、自分が暮らしていた街が魔術や異能を持つ者が少なく、身近とは言えなかった、というのも大きな要因だ。
だから、この島に来てからはカルチャーギャップが中々に激しくて困る。
自分の常識が通用する部分は大きいが、同時に通用しない部分がそれ以上に大きい。

「あーーちょっと衣服がボロボロになったんで、応急処置で俺の制服の上着を羽織らせて、着替えに行かせたくらいすかね。
友人はこう、水系の能力者でそれで水の膜みたいなのでガードしてたみたいなんで」

友人の能力の一部をうっかり口にしてしまったが、まぁ個人名は出していないからセーフ!
それに、彼女の方の容態を説明するなら、そこの辺りも多少話す必要があった。

「一応、こう脳波とかスキャン?とかして貰ったりとか。それで、なーんか難しい顔で呟いてたんで不安だったんすけど。
異常無しって事でホッとしたというか…流石にヤバかったら何かしらちゃんと伝えてくれると思うんで」

医者の言葉だから信憑性がある――そもそも、一般の生活を送ってきた少年だ。
医者を疑う、という発想はあまり無いし良くも悪くも人が好いというか猜疑心があまり無い。

「ああ、今は特に頭痛も無いしまぁ、この火傷も順調に回復してるみたいなんで」

左腕の少女に巻き直して貰った包帯を軽く示しつつ笑う。特に無理はしていないし何時も通りだ。

「まぁ、異能に目覚めた?時に1年くらい入院してましたけど、それ以外は特に持病とかも無いんで」

とはいえ、少女の言葉は最もだ。大きなお世話ではない。ありがたいお言葉である。

(実際、この島に関しては全部が全部初心者だしなぁ…)

だから、島の住人の警告や忠告は出来る範囲できちんと聞いておきたい。

セレネ > 「自身の身を守る程度の技術は持っておいて損ではないとは思いますが
その一般的な思考は今後も持っておいた方が良いと思います…私個人の感覚ですけどね。
此処は色々と突飛な事が多発する島なようなので…。」

異常やギャップに悩まされず、そのままで居て欲しいと思ったのは。
己が異常であるからか。

「――相性的には真逆、といった感じなのですね?
まぁ、大事でないのなら良いのです。
火傷は治りにくい怪我ですし、ケロイドになれば肌も晒せなくなりますから…。」

彼の言葉から察するにその友人は特に怪我もしていないらしい。
それならそれ以上は聞かないと言及する事はせず。

「…ふむ、そうですか。」

MR等、きちんとした診断を受けた結果の異状無し。
世界は違うとはいえ己が医者であるからこその猜疑心だが、
普通ならば疑いの気持ちは抱かないだろうから相手の考えは正しいのだろう。

「何もないなら――え、入院歴があるのです…?」

異能で入院。元の世界でも今の世界でも、そう聞かない話で蒼を瞬かせた。

「そうだ。もし良ければお名前教えて頂けますか?
私は一年のセレネと申します。」

今後の経過も気になるし、と自己紹介。
友人、知人を増やすのも兼ねて。

火光雷鳥 > 「…まぁ、そうっすよね。確かにその通りなんすけど…。いやぁ、小市民なんでこういう思考は多分一生このままかなって。」

情けなく笑うが、『一般的な感覚』は確かに無くしてはいけない、と時々この島での生活で思う。
ただ、この島で暮らしていく中で、それが薄れてしまうかもしれない、という口に上手く出せない懸念はあるけれど。

「そうっすね。俺が発火能力でその友人が水を操る能力なんで対照的です。
まぁ、相性的にはあちらの方が有利っぽいんで、俺が何とか勝ち越せたのは奇跡的というか」

そもそも、一部だが記憶が飛んでいる時点で勝った実感が正直あまり無いけれど。
何処か考え込むような少女を眺めて、「何か懸念でも?」と、一応尋ねてはみるが。

「…あれ、珍しいんすかね?俺、1年前に発火能力に目覚めた時にそのまま体調崩して1年間本土で入院してたんすよ。
で、心身に後遺症も無く退院できたんすけど…あー髪と目が赤くはなりましたが」

と、髪の毛と目を指で示して。染髪やカラーコンタクトではないようで。

「あ、俺も同じく1年の「火光雷鳥(かぎろい らいちょう)」っす。何か苗字も名前も珍しいみたいんで、呼び難かったら、ライとか短縮呼びでいいっすよ」

自分の名前がやや独特な自覚はあるので、彼女――セレネが呼び易い呼び方でいいと告げておこう。

「…あ、同学年みたいだし敬語とかもしかしてしなくても平気…だったり?」

セレネ > 「人は環境に慣れてしまえば元々持っていた感覚や価値観が薄れてしまう傾向があるので…何というか。
慣れにも良し悪しがありますから…。」

上手く言葉に出来ないもどかしさに内心若干苛立ちながらも、苦笑を浮かべて。
相手のその一般的な感覚は大事なものだから無くさないでほしいとだけ伝われば嬉しい。

「水も高火力で熱してしまえば蒸発しますし、機転を利かせれば相性不利でも勝ち筋が見える場合もあるでしょう。
自分が持ちうる手札で如何に立ち回るかも、一つの戦略です。
謂わばカードゲームみたいなものですよ。」

戦闘はカードゲームだと表現する。
自身の手札で相手に如何に攻撃を与えられるか。
若しくは、手札を増やす為に如何なる努力をするか。
それも人それぞれで、だからこそ面白い。

己の考え込む仕草に対し不思議そうに尋ねられれば首を横に振って何でもないと答えよう。
仮に己が医者だと言って、免許もないのに誰が信じるだろうか。


「…そんな事もあるのですね?
あぁ、その。私の聞く限りではそういった方がいなかったので…驚いただけです、失礼しました。
ふふ、私もこれは染めてたりカラーコンタクトではないので同じですねぇ。」

お互い見た目は目立つといった感じか。

「――カギ…?
かぎ、ろい…。」

名の通り見た目の通り、己は日本人ではないので相手の名前に首を傾げた。
何度か小さく呟けば、何とか発音出来て。

「あぁ、はい。敬語でなくても良いですよ。」

相手からの場合なら、敬語では無くとも構わないとだけ伝えておく。

ご案内:「第一教室棟 保健室」に火光雷鳥さんが現れました。
火光雷鳥 > 「あーーなんとなーく分かります。慣れてしまうと、それが当たり前に感じるようになって、元々持っていた常識や感覚が薄れていく、というか。」

今はまだ、島に来てやっと1ヶ月経過した辺りなのでそこまで己の感覚は本土に居た頃と比べて大してズレは無い。
けれど、このまま過ごして本土に居た頃の…ただの一般学生だった頃の感覚を無くしたくは無い、と思うのだ。

「あぁ、実際、水を蒸発させるのはやりました。集中が必要なんで大変なんすけどね。
まぁ、でも。俺の手札がそもそも珍しくない、他にも沢山いる発火能力なんで、勝ちを狙うなら独自性、というか相手の意表を突くやり方になりそうすね」

正攻法、みたいなのは少なくとも場慣れした相手には通用しない。だって素人なのだから。
だったら、多少なり邪道でも情けなくても相手の裏を掻く戦い方をするしかない。
優れた戦闘技能も、習熟した魔術の腕前も無いのだから、発現した『ありふれた異能』を活用するしかない。

(手持ちのカードは最初からバレてるようなもので、増やそうにも直ぐには無理だし…)

だから、矢張りカードの『使い方』を足りない頭を捻って模索するしかないのだ。
――考え込む仕草に、つい尋ねてしまったが、何でも無いならそれでいいだろう。
もし、少女が医者だと告げたならば、驚きはしても常世島なら有り得るかも?と、何とか納得はしたかもしれないが。

「え?そっちも?じゃあお互い大変というか…あ、いやでもセレネって名前だし外国の人?それとも…えーと、アレだ…異邦人?」

見た感じ、異邦人という感じはしないがあくまで少年の印象だ。そもそも異邦人、と接した経験がほぼ無い。
だから、そういう身近な異邦人といえば矢張り外国人という事になるのだが。
しかし、見た目が目立つというのは正直良い事が余り無い。変な因縁付けられたりからかわれたり。

まぁ、待ち合わせとかしていたら遠目でも一発で分かるだろうからその点は便利かもしれないが。

「良かった、敬語とかあんまり慣れてないから…あー名前の方でいいぞ。言い難いと思うし。雷鳥…なら多分発音はまだマシ、だと思うし」

明らかに苗字の「かぎろい」の言い方がぎこちなかったので、苦笑気味に名前のほうを提案してみて。

セレネ > 己が言いたかった事は相手に伝わっていたようだ。
良かったと内心安堵しつつも、うんうん頷いて。

「戦闘行為そのものには邪道も何もない…のだと、私は思っておりますが。
実際貴方の言う通り相手の裏をかくと言いますか。意表を突くやり方は有効な手段です。
勿論手札を増やすのも有効ですよ。時間がかかろうとも、モノにすれば手札の一つになり得ますし。
色々経験して、様々な手札を増やすのも戦闘のみならず将来を考える手段になりますから。」

沢山経験をして、自分の糧として。
視野を広く、道を広く、手札、人脈、思考や価値観を広げておく。
そうすれば柔軟な発想も出来るし、一つの答えに囚われない考え方も出来る筈で。
――己が一番尊敬する、父から言われてきた事だ。

己が自身の事について秘匿するのは警戒心もあるが、元々の気質が故。

「あー。えぇ、私は日本人ではないです。異邦人ですよ。」

本来の意味での異邦人でも、この世界での異邦人という意味でも。
何方の意味でも合っている。
色素が極端に薄いので太陽が苦手だし。

「……では、失礼ながら雷鳥…さん、で。」

日本人の名前は大体難しい。
名前の方でも少しばかり言い難そうだが、多分大丈夫だと思う。

ご案内:「第一教室棟 保健室」に火光雷鳥さんが現れました。
火光雷鳥 > 「まぁ、そもそも俺は一般生徒で出来るだけ居たいから模擬戦闘くらいが限界というか、実戦はあまりやりたくないなぁ。
自衛くらいきちんと出来るようになるのと、異能の制御。このくらいだと思ってる。」

そもそも、島に来た理由が『異能の制御』だ。だから最低限そこは出来る様にならないといけない。
沢山の出会いと出来事がこの先、あるのかもしれないが…『一般的な感覚』を無くさない為にも物騒だったり血生臭い出来事はなるべく避けたい。
非日常的な出来事が日常的になるのは避けられないかもしれないが、感覚だけは最後まで残っていて欲しい。

(――だって、俺はただの学生でただの人間で――強くなんてねーんだから)

そこらを探せば普通に居る男子学生の一人に過ぎない。そしてそれを忘れてはいけない。
だから、一般的な感覚を保ちながら、この島で見聞きしたモノを糧にしていくつもりだ。

「おーー…あ、ごめん変に好奇心丸出しみたいで。異邦人の人とこうして話すのも初めてでさ」

こういうの、あんまり良くないよなぁ、と思いつつ苦笑い。彼女が慣れていても慣れて無くても失礼だろう。

「あぁ、最悪、言い難いならもう短く「ライさん」とかでいいと思うよ。
あまり言い難そうなのを無理して呼ばせたくないしさ」

そう笑って肩を竦める。…ふと保健室に或る壁掛け時計を見る。もう良い時間だ。

「あ、やべそろそろ帰らないと。えーと、セレネさんはどうするんだ?俺はもう行くつもりだけど」

時間にぎょっ!?としつつ座っていたベッドから立ち上がれば、セレネにそう尋ねて。

セレネ > 「男性にせよ女性にせよ、いくら治安が良い場所でも何があるか分からないですからね。
自衛の術は心得ておいて損はないですし、発火の異能であれば猶更制御しなければいけませんから…。
自分の出来る事を、出来る範囲で、と。貴方のその姿勢はとても好感が持てます。」

変に欲張らず、手を伸ばせる範囲の事をやろうとしている相手は己にとっては良いと感じた。
無理に手を伸ばして自滅した人を見てきているから猶更かもしれないが。
彼が”一般的”であれるよう、願うばかりで。

「いいえ。自身の経験のない事を知りたがるのは当然ですもの。
…もう少し仲良くなれば、色々お話するかもしれませんから。
これを切欠に仲良くして下されば。」

そう簡単には言うつもりはないけれど、
気が向いたら話すかもしれない。
それは己の匙加減。

「――いえ、流石に親しくない方を愛称の形で呼ぶのは失礼ですし。
…がん、ばります…。」

己がそれは許せないのだ。
だからちょっと意地を張るが名前のままで呼ぶ事にする。

「…? あら、もうこんな時間…。
そうですね、私ももう帰らないといけないので…。」

己も時刻を確認し、蒼を瞬かせてから問いに答える。
寮で待っている仔猫が寂しがっているに違いない。
急いで帰らねば。

火光雷鳥 > 「まぁ、ほら。出来ない事は出来る人に頼るべきだし、何でもかんでも一人で出来る完璧超人、なんて居ない…いや、この島だと普通に居そうでこえーけど…。
ま、まぁ兎も角!分不相応な事をするつもりはねーさ…。」

己を弁えている。良くも悪くも――異能に目覚めても、所詮は己は凡人なのだと強く思っている。
強大な能力も、優れた身体能力も、深遠の叡智も何も…何も持たない。
だからこそ、見えるモノがある。だから、物語の端役程度で己は構わない。

「まぁ、そうだよなぁ。普通、初対面の相手同士で腹を割ってあれこれ話す、というのはねーよなぁ」

うん、これは今までの生活でもそんなものだった。家族同士でも腹を割って話せない時もあるのだ。
それを、初対面の赤の他人に話すというのは普通に考えて無理であろう。
だから、これを切欠に、というセレネの言葉には笑顔で頷いており。

(まぁ、セレネさん生真面目というか話す時と場合、相手を選びそうな気もするし)

凡人の自分に対してそんな気が向くかは、それこそその時の少女次第なんだろう。

「あーー…な、成程?じゃあ雷鳥で一先ずはよろしくな。」

そこは彼女のこだわりか何かなのだろうか?よく分からない感覚だが、そこはセレネを尊重しよう。
ともあれ、軽く左腕の包帯をもう一度確認してから一息ついてから視線を彼女に戻して。

「じゃあ、そこまで一緒に行こうぜ。わざわざ別々に保健室を出て行く必要も無いだろうし」

彼女も帰る様子なので、自分にしては気軽に提案できたと思いたい。
ともあれ、彼女がどう答えるにしろ少年は保健室をそのまま後にするだろう。

セレネ > 「――そう。貴方の仰る通りです。
自分に出来ない事は素直に他者に頼るべきですし、私個人的には一人で何でも出来る方というのは…良い印象は持てません。
それでは支え合って生きていく意味がないのですから。」

きちんと弁え、不相応な事はしない。その姿勢に手を打って称賛した。
だからこそ己はその力になりたいし、必要ならばいつでも力になるつもりだ。
己に出来る限りの事は、だが。

「それに、初対面で色々と話してしまっては今後の楽しみもなくなるじゃないですか。」

仲良くなってから話す秘密の事とか、そういった事を己はなるべく隠しておきたいのだ。
ミステリアスな方が魅力もあるかもしれないし。
笑顔で頷いてくれる相手、小さく安堵の息を吐いて。

己は人によって開示する情報を忖度する節があるので
相手のその考えは間違いではない。

「はい、宜しくお願い致します。」

己が敬語口調で、きちんと話すのもひとえに日本語が若干不得意だから。
いつか相手を愛称で呼べる日が来るだろうかと思いつつ。

「えぇ。これも何かの縁でしょうし行けるところまでご一緒して頂けると嬉しいです。」

相手の提案に微笑みを浮かべて同意しては、彼と一緒に保健室を後にして。
暫し別れるまで歓談に興じる事と――。

ご案内:「第一教室棟 保健室」から火光雷鳥さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟 保健室」からセレネさんが去りました。