2020/10/13 のログ
ご案内:「第一教室棟 保健室」にラピスさんが現れました。
ご案内:「第一教室棟 保健室」に鞘師華奈さんが現れました。
■ラピス > 本日のへっぽこ教師は、久々に保健室でせっせと何やら準備をしていた。
引っ張り出してくるのは、いつもと同じお茶のセット。それからとっておきのおやつ。
今日は来客があるから、とルンルン気分なわけだが、傍から見ればサボタージュである。
「っとと、これで、後はお湯が沸いたら完璧ですねー?」
火に掛けた薬缶がカタカタと音を立てる。それ以外はのんびり静かだ。
時折廊下や外の音が聞こえてくるが、どことなく世間から切り離されているような気がする。
いつでも快適な室温が保たれている小さな楽園は、今日も平常運行だった
■鞘師華奈 > 本日は教師であり友人でもある少女ととある約束の日。待ち合わせ場所は保健室だ――まぁ、夜の保健室は利用者が少ないだろう、というのもある。
保健室まで足を運んでくれば、既に彼女は居るようで明かりが点っていた。
一応、ノックはしておこうかと思い扉の前で足を止めれば、軽く3度ほどノックをしておく。
「ラピスさん、華奈だけど……入って平気かい?」
と、一応彼女の返事があるまでは入らずに扉の前で待機しておこうかと。
ちなみに、仕事帰りなので何時ものスーツ姿なのは言うまでもない。
私服は持ち合わせが極端に少ないし、せいぜい休日かつ非番の時じゃないと着ないのだ。
■ラピス > 昼でも夜でも、へっぽこ教師が居る保健室は、ゆるっとした空気が流れるスポットと化す。
それ故か、お茶やお菓子を目当てにやってくる者がそれなりに居るのは秘密だ。
実際の所、お茶やお菓子で釣って、相談事などを吸い上げて、とやることはやっているらしいが――。
「っとと、どうぞどうぞ、空いてますのでー!」
閑話休題。ノックの音に、へっぽこ教師は朗らかな返事を返す。
今日の待ち人がやって来た。それなら、さぁさぁと案内するのがホストの役目。
開く扉の向こうに彼女を見ると、にこぱー、と笑顔でご挨拶。
「こんばんはー、ですよ。今夜はもう人も来ないでしょうから、遠慮なくどぞどぞ」
スーツがぴしっとした彼女を招いて、お茶会用の円卓に案内しよう。
■鞘師華奈 > 彼女の声が聞こえれば、そのままガラガラと引き戸の扉を開いて中へと。
後ろ手に扉を閉めつつ視線を彼女――と、その頭上で寛ぐ黒い子猫を見て小さく笑う。
「やぁ、こんばんわラピスさん。今日はよろしく。クロもこんばんわ」
と、彼女だけでなく黒い子猫にも挨拶をしつつ彼女の案内でお茶会用の円卓に――いや、これラピスさんの私物?
確か、記憶違いでなければ保健室には無かった気がするのだけど…まぁ、いいか。
「それで、えーといきなり本題なんだけど魔力鑑定、って実際どうやるんだい?
私の方で何か準備とかがある、って感じでは無さそうだったけど…。」
彼女がわざわざ用意してくれているお茶や茶菓子は気になるが、それよりもまず本題だ。
一度、自分の魔力の質や属性、”潜在的な魔力適性”をどうしても知っておきたい理由がある。
■ラピス > 彼女の声に、頭上のこにゃんこは『なぅ』と小さくご挨拶。案外懐いているらしい。
招いた先の円卓は、机そのものは保健室の備品。上に乗るお茶会セットは、全てへっぽこ教師の私物だ。
アンティークっぽいティーセットに、にゃんこ模様のテーブルクロス。甘々美味しいおやつの類。
机上だけ見れば、完全に楽しげなお茶会そのもの。保健室じゃなくても良さげな気配満載で。
「ん、とりあえず、今日は魔力の鑑定ついでにお茶でもなんて。
あぁ、鑑定はですねぇ……なんと、先生の異能力を使うのですよ」
むふー、と自慢気に胸を張るへっぽこ教師。褒めどころだよ、と言わんばかりだ。
というのも、へっぽこ教師の持つ異能力は、視認した対象の鑑定能力。
それは物品だけにとどまらず、異能や魔術の解析・理解にも効果を発揮する。
それを応用して、彼女の魔力についての色々を確認するつもりなのである。
「という訳で、まぁとりあえず座ってくださいな。
先生もしっかり準備しておきましたので、大船に乗った気持ちで!」
席を薦めるとともに、ポケットからはシャープリムフレームのメガネを取り出す。
へっぽこ教師が精密鑑定を起動するためのスイッチだ。それを掛ければ、鑑定開始となる。
■鞘師華奈 > どうやら、この黒い子猫は意外とこちらに懐いてくれているらしい。ちょっと嬉しい。
招かれた円卓のそれは、しかしよくよく見れば保健室の備品だ――お茶会セットの印象で気付けなかった。不覚。
何やら高そうなアンティークなティーセット、にゃん…猫模様のテーブルクロス、そして如何にも甘そうなおやつの数々。
これだけ見れば、空気的に保健室というより何処かのお店か誰かの私室である。
「…へぇ?ラピスさんの異能は鑑定系の異能なのか。」
リアクションは薄いが、それでも僅かに目を丸くして。身近に鑑定系の異能者が居ないので新鮮だ。
もっとも、可愛らしく胸を張る彼女の態度からして、鑑定といっても、おそらく相当の精度を持つか鑑定内容が幅広いのかもしれない。
(…どちらにしろ助かるな。裏常世渋谷の探索前に凡そ把握しておきたかったし)
そう心の中で呟きながら彼女の促しに応じて用意された椅子の片方に腰を落ち着けて。
と、彼女が取り出したのは――眼鏡だ。シャープなリムフレームデザインの物。
おそらく、鑑定に必要なのだろうと納得しつつ、何時でも開始はOKとばかりに真っ直ぐそちらを見据えて。
■ラピス > 黒のこにゃんこは、くりくりした金色の瞳で彼女をじぃと見つめている。
そして、ほんの少しの後に飽きたのか、へっぽこ教師の頭を肉球でぺふぺふ、ぺふぺふ。
とはいえ、こにゃんこの仕草にも慣れたもの。時折視界に現れる黒い前足が愛おしくすらある。
お湯も沸いたし、とティーポットにこぽこぽと紅茶を作りつつ、彼女の言葉には是と返す。
「ですね。メインは物品の鑑定ですが、魔術や異能の詳細も分かるみたいでして。
薬学の研究にも、保健室で症状を診るのにも役に立ってくれる便利なスキルですよぅ。
まぁ、常に鑑定し続けていると頭がパンクするので、眼鏡かけた時だけにしてますけれど」
へっぽこ教師の精密鑑定は、生まれ持って体得した唯一の異能だ。
精霊魔術や錬金術のように、研究や学習などの努力の末に身に着けたものではない。
実際の所、魔術の学習の要点なども精密鑑定で見抜けたりするから、使い勝手はかなりのもの。
逆説的に、精密鑑定がなければ、へっぽこ教師はもっとへっぽこだっただろう。当社比。
「さて、それじゃ、早速始めちゃいましょうか。
華奈ちゃんは気を楽にして、魔力をちょっと表に出すようなイメージでどぞ」
ちゃき、と眼鏡を掛けて準備完了。あとは彼女をじぃと見る。
彼女の魔力がどの様な性質を持つものか、しかと見極めるつもりである。
■鞘師華奈 > 黒い子猫の金色の瞳を、赤い瞳でじーっと眺めていたが、やがてあちらが飽きたのかラピスさんの頭を肉球で叩き始めた。
とはいえ、飼い主の彼女は慣れたもので特に動じた様子も無さそうに見える。むしろ普通にお茶の用意をしていた。
「――異能の詳細…。…あぁ、いや今夜は取りあえず魔術方面に絞ってお願いするよ。
パンクって事は情報量の処理とかの制限かな。頭の中に流れ込んでくる感じとか?」
鑑定や測定、あとは未来視とかの予知能力系はそういう脳への負荷が相応にあると聞いた事がある。
勿論、例外も幾つもあるだろうが、基本的に膨大な情報量の処理がネックになる訳だ。
彼女の精密な鑑定の負荷はおそらく鑑定内容や相手次第で変わるのかもしれないが…。
さて、自分の場合はどうなるのだろう?そこは鑑定して貰わないと流石に分からない。
「気を楽にして魔力を――ん、了解。」
軽く一度深呼吸をしてリラックスしつつ、魔力だけを緩く己の周囲に漂わせる感じに。
自身はまともに魔術を習った経験が無く、ほぼ独学と自身の勘で磨いたものだ。
ともあれ、彼女が眼鏡を掛けてこちらへの鑑定を始めれば、まず露になるのは――…
■鞘師華奈の魔力 > 基本属性:火、風、影の『三重属性』
潜在属性:不死鳥、■■鳥の『二重属性』
魔力容量:上の下――ただし潜在属性発現時は■■■(エラー)
習得魔術;偽装隠蔽、初級精霊魔術、■■■(エラー)
魔力適性:固有特異属性以外全ての属性に高水準適性
■ラピス > 『なぅー、なぅなぅ、ぅなーぅ』ぺふぺふぺふ。おでこに当たる肉球の感触はぷにぷにだ。
このままのんびりしていれば癒やされそうなものだが、今日はしっかり所用がある身。
彼女の依頼をこなすのが先決だ。極力、全て見抜いてやると言わんばかりにやる気である。
「ですです。普通の視覚に大量の情報が書き込まれて見える感じですね。
ただまぁ、保健室は勝手知ったる場所なので、他より負担は少ないです。
ん、良いですね。それじゃ、後は、安定させたままキープでお願いします」
眼鏡の奥の瞳が、ほんわかした光を湛えた普段のものから研究者のそれに変わる。
彼女の周囲に浮かぶのは、彼女についての大量の付帯情報。その殆どは、鑑定には意味をなさない。
雑音となりうる情報を意図的に消していくと、徐々に彼女の魔力についての輪郭が見えてくる。
基本属性――これについては、完全に鑑定することが出来た。結果が動くことは稀なはず。
潜在属性――二つ見えるもののうち、片方が黒塗りされた文章のように不鮮明。
魔力容量――彼女の平常時の魔力容量は確認。限定的な状態に置かれた場合は不明。
習得魔術――その内の一つは、彼女との会話でも知っていた。もう一つは初見。最後の一つは不明。
魔力適正――なるほど、彼女は全体的に優秀であるらしい。それ以外は、理解の及ばない何かだ。
そこまでを確認すると、へっぽこ教師は手元に筆記具を呼び寄せ、情報を書き込んでいく。
端的な事実のみに留めて、さらりさらり。一旦、結果を書き留めてしまえば。
「……ん、これ以上詳細に見るのは、結構骨が折れるかもしれませんね。
ダメ元でやってみるなら、それなりに集中してみますが、どうしましょうか?」
とりあえず、現時点で得られた情報を彼女に渡し、目を閉じる。
彼女を待つ間、頭と目を休めるつもり。ちょっぴり甘いものが欲しくなった。
ご案内:「第一教室棟 保健室」に鞘師華奈さんが現れました。
■鞘師華奈 > うーん、やっぱり子猫は可愛らしい。まぁ、元から動物全般はそれなりに好きなんだけど。
これが特に用件も無いお喋りの延長なら、子猫も含めて和やかに過ごすのだが。
今は魔力鑑定をして貰うのが最優先。今後の”指針”になるかもしれないし。
「私、元・二級学生だから魔力放出とかは我流なんだけど…ん、この状態をキープだね。やってみる」
魔力放出といっても微弱なものだし、問題はそれを彼女が鑑定している間常に体を薄っすら覆うように固定維持する事。
これが地味に難しい。本格的に魔術を勉強し始めたのは最近だからしょうがない。
彼女の眼鏡の奥の瞳…ほんわかしたそれが研究者の如き怜悧な眼光を帯びる。
――こちらは、ただ静かに魔力の維持をするのみで、後は彼女の鑑定結果待ちだ。
「――いや、大まかに分かる範囲で”今は”構わないよラピスさん。
そっちもちょっと負担があるだろうしね。私が知りたいのは現時点で分かる大まかな情報でいいさ。」
どうやら、一応鑑定は終えたようで彼女が何かを書きとめるのを眺めていたが、あちらの言葉に小さく首を振ってそう返す。
そして、彼女がメモした情報を受け取れば、軽く視線を走らせる。
(――不死鳥…やっぱりか。でも、もう一つの鳥は何だろうな…情報が少なすぎる。
基本属性は…火は予測してたけど、風と影か…そっちの魔術も覚えてみようか。
魔力容量は――あ、意外とあるんだな私。ただ、不死鳥とかの属性を発現したら測定不能って事かな?
――で、習得魔術は…最後の一つは何だこれ?身に覚えがないんだけどな…。
最後に……え、これってつまり特殊属性以外は一通り使える素養があるって事かな?)
メモの内容を見ながら、頭の中でざっと情報を検分するが…さて、これはどう判断したらいいやら。
メモからラピスさんへと視線を戻せば、苦笑気味に緩く肩を竦めてみせる。
「うん、これだけでも十分、というかここから更に詳しく、となると私の理解が追い付かないかもだし、今回はここまででいいよ、ありがとうラピスさん。」
それに、彼女の負担もやっぱり心配だし。礼を言いつつメモは折り畳んで懐に仕舞い込む。
■ラピス > こにゃんこは、魔力鑑定を行う主人に配慮したのか、肉球遊びを一休み。
ちょっとだけ不満げに小さな尻尾を揺らしつつ、頭上で上手くバランスを取るのみだ。
彼女曰く魔力放出は我流とのことだが、魔力を纏う様子は魔力操作が適切に行われている事を示す。
彼女が内に秘めているという高水準の適正。その一端を垣間見たような気分だった。
「――そうですか。それじゃ、もう少し知りたくなったら、またやりましょう。
それにしても……読み取れない部分はともかく、適正はかなりの物を秘めている様ですね。
魔力容量も、この島は色々規格外も居るとは言え、一般的に考えたらかなりのものかと。
習得魔術の点は、華奈ちゃんに不都合がありそうなら忘れときますけど、どうしましょうか?」
へっぽこ教師の鑑定は、読み取れる範囲内であれば全てを無差別に詳らかにしてしまう。
彼女が情報の開示を望む望まないに関わらず、見て、読み取れて、分かってしまうのだ。
それ故、へっぽこ教師は不要なものを意図的に忘れるようにしている。1,2のポカンだ。
とりあえず、メモには書いた。それは彼女に渡すため。後は、必要なときまで思い出さないように努めよう。
「ふふ、ご満足頂けたなら何よりです。先生としても、好奇心は疼きますけどね。
これで華奈ちゃんが、何かを始める切っ掛けとかになれば嬉しいなぁ、なんて」
彼女が望むなら、ちょっとばかし頑張ってみるつもりだったが、これで良いならそれで良い。
他者の秘めたるものを知ることは、必ずしも良いことばかりではないのだから。
■鞘師華奈 > 黒い子猫に「ごめんね、君のご主人様を少し借りてるよ」と、淡い苦笑と共にお詫びを述べ。
そして、残念ながら我流で磨いてきたのもあり、彼女が鑑定した高水準の適正、という自覚が残念な事に本人にあまり無い。
「――うーん、忘れなくてもいいんだけど出来れば他には黙っていて欲しいかなぁ。
――正直、ラピスさんが読み取れなかった部分が気になるのは事実なんだけど、今はまだそこは保留でいいさ。
個人的には、意外と私は魔力容量があって適性のある属性が幅広いって事が収穫かな?」
情報の開示は非公開を希望するが、だからといって忘却まではいらない、と口にして。
とはいえ、彼女の気遣いや配慮は感じているので、小さく礼の会釈を一つ。矢張り彼女も”教師”なのだ。
「――ラピスさん、やっぱり教師なんだなぁ…いや、研究者肌というか。
まぁ、この情報は有り難く活用させて貰うよ。自分自身の事は知っておきたいからね」
だが、更に深い鑑定は今回は止めておこう。――正直、今はまだ知るのが”怖い”。
今の情報だけでも、色々と自分なりに思う所が多いのに、それ以上の何かが出てきても対処に困る。
「――ラピスさん。…あーー何だ…んー…私が”何であっても”また鑑定とか相談とか乗ってくれるかな?」
と、そこでやや視線を泳がせながら。彼女は友達で教師で、喫煙仲間であり魔術方面の頼れる人、という感じなのだけど。
だからこそ、独りよがりになりそうなので、恐る恐るそう尋ねてみるのだ。
■ラピス > 彼女の言葉に、黒のこにゃんこは『なふ』と短く、金の瞳を細めて鳴く。
きっと、主人のお節介は今に始まったことじゃない、とでも言いたいのだろう。
それと共に、自分をちゃんとことして認めてくれる彼女なら、と認めたのかもしれない。
いずれにせよ、こにゃんこは邪魔立てすることなく、主の精密鑑定をぽぇっと眺めていた。
「そういうことなら、頭の片隅に置いておきましょう。必要な時が来るかもしれませんし。
……恐らく、先生が知らない事柄か、或いは華奈ちゃんが表にしたくないと強く思ってるのかも。
先生の精密鑑定も、一応、精度にはそこそこ自信ありますが万能ではないですからねぇ……。
とりあえず、全てとまではいかないけれど、満足な結果が出たならそれで良しとしておきます」
と言いつつも、へっぽこ教師は教師でもうちょっと勉強しないとなぁ、と思ったとかなんとか。
そう、精度には自信があるのだ。だから、見抜けなかったという事実が、単純に悔しいのである。
次はもう少し深く、しっかり読み取れる様にしよう。教師としての成長を、内心ひっそりと誓う。
「そうですかね?まぁ、そう思ってもらえると嬉しい限りではありますが。
ん、是非活用してくださいな。そうしてくれれば、先生も骨を折った甲斐があるというもの」
にへら、と笑顔でメガネを外す。精密鑑定の異能を非活性に切り替える合図だ。
次いで目を開けば、そこはいつもの保健室。浮かんでいた無数の情報の羅列は、存在しない。
さて、それじゃこれからはティータイムだ、とお菓子に手を伸ばした刹那、何やら意味ありげな問いには。
「……何を考えてるかは分かりませんが、友人の頼みならば喜んで、ですよ。
もしも気が引けると言うなら、おすすめのお菓子を持ってきてください。それでチャラです。
華奈ちゃんが何者であっても――例えば、猫耳と尻尾が生えてあざと可愛くなっても、気にしませんから!」
例えに趣味が入っているのは、勿論気のせいではない。へっぽこ教師は可愛いものが好きなのだ。
実際の所は、煙草仲間で生徒で友人。手を差し伸べない理由がない。だから、さっきのは照れ隠しだ。
■鞘師華奈 > 黒い子猫――クロの鳴き声や瞳を細める様子に、結構頭が良い子なのかもしれない、と漠然と思いながら。
先ほどの情報をもう一度思い返す――矢張り、自分は”不死鳥”とは切っても切れないものらしい。
――矢張り、何としてもいずれ黄泉の穴――あの場所へ赴く必要があるだろう。
勿論、それは双方の準備や情報を整えてからになるのは言うまでもないが。
「――多分、私自身知るのが”怖い”と思ってるのと…まだ知るのは”早い”気がして。
自分が何者なのか、というのは大袈裟ですけど――私はソレを知らないといけないから。」
私の”物語”の一部ならば、尚更にそれを解き明かさないと私は過去を吹っ切れない。
だからといって、ここで足踏みをしている訳にはいかないのだ――私は前に進みたいのだから。
鑑定が終わったので、緩やかに魔力放出を解除しながら一息。矢張り慣れていないので疲れる。
とはいえ、ちょっと倦怠感があるくらいで他は特に問題は無いのだけど。
「――むしろ、折角鑑定して貰ったのに、それを生かさない手はないからね。
…まぁ、このお礼は何か返せればと思うけど…。」
と、口にしたが彼女からの言葉に僅かにそちらをジーッと見遣る。それから笑って頷いた。
「勿論、いいお店をリサーチして美味しいデザートでも用意しておくよ。
――うん、それは私的には勘弁かな?女の子らしいあれこれは苦手なんだよ」
いや、猫耳と尻尾が女の子らしいかは兎も角だ。ただ、彼女からの言葉にほっとしたのも事実で。
(――まぁ、私が生贄で人為的に不死鳥を宿らされた存在、とか流石に今は言えないし…)
それに、それも”彼女”の推測を元にした過程で、実際はまだ裏がありそうだけど。
まぁ、鑑定の時間は終わりだ。あとはのんびりとティータイムと洒落込むとしよう。
「…あ、美味しい。これ、もしかして結構良い茶葉使ってる?」
などと、彼女に尋ねつつ、お菓子も頂きながら後はのんびろとティータイムを楽しむとしようか。