2020/10/18 のログ
ご案内:「第一教室棟 ロビー」に輝月奏詩さんが現れました。
輝月奏詩 >  さぁさぁと外からは雨の音が響く。元々日曜日ということもあり生徒が少ないのだが。そこにいたのは一人の生徒。

「あーあ、やらかした」

 外を憎らし気に見つめるのは男子生徒。傘立てには何本か傘が刺さってはいるが、それを使わないというのはつまりそういうこと。

「能力使うとクッソうるさいし……やむまで待つかぁ」

 一応自身の能力ならば雨を防ぎながら歩くこともできなくはない。だが自身の能力はその衝撃に応じて金属音に等しい音がする。
 雨程度ならば別に回りへの迷惑になるレベルではないだろうが……自分自身は別。小さい音とはいえ体中からキンキンと音をさせ続けるなど精神的にもよろしくないわけで。

輝月奏詩 > 「雨……あんまり好きじゃないんだがな」

 雨はかなり寂しい雰囲気になる。別に明るい場所が好きってわけじゃない。でも寂しいのは……嫌いだ。

「つっても流石に雨は消せないし……はやくやまないかな」

 玄関で待っていても仕方ないので椅子に座って自販機で適当なジュースを買って待機する。
 目線は窓からその向こう。灰色の空を眺めている。

輝月奏詩 >  寂しがり屋というのも変な話だが。雨だとまるで一人になってしまったような気分になる。
 そしてそうなってしまうと頭の片隅にどうしても浮かんでしまうものが寂しさ。罪悪感そして……間違ったのではないか。そんな漠然とした不安である。

「……ホント雨は嫌いだな」

 視線をフッと窓から廊下へと外しそちらを眺めている。音もしない静かなロビー。そこには雨のサァサァとした音だけが響いていた。

輝月奏詩 >  携帯電話が震える。それを見た時軽くため息を吐き出す。

「まったく、こういう天気だからか……元気な奴らだ」

 傘もないのに外へと歩きだす。そうしてフードを目深にかぶった。
 携帯電話の内容はパッと見はふつうの遊びの約束しかし……見る人が見れば内容も変わる。
 雨の降りしきる灰色……否、黒くなりつつある空の雲を眺める。

「こりゃ冷えそうだ」

 そう言い残すと甲高い金属音を最後に彼の姿が玄関から消える。
 否、すさまじい速度で空へと浮いていた。それからもう一度金属音がすると……すでにその姿は雲の上。黒い雲に1点の穴を開いて。

ご案内:「第一教室棟 ロビー」から輝月奏詩さんが去りました。