2020/12/02 のログ
■神代理央 >
風紀委員会の活動や入院などで出席日数の危うかった授業も、こうして補講を受けて取り敢えずは何とかなった。
まあ、単位そのものは足りているのだが、折角受講した講義であればきちんと単位は手に入れたいな、と思ってしまうのは己の拘り…でもないだろう。
普通に学生をしていれば、自分の講義単位くらいは取得したいものだろうし。
「……取り敢えず、冬休みまでに何事も無ければ、後期の期末は問題なさそうだな。
委員会の仕事が此れ以上重なるようだったら、諦めるつもりだったが…」
教室で講義を受ける己に向けられる視線は、何とも言い難いものばかり。教師はまだしも、他の生徒は興味や不信。軽蔑や忌避感をそれとなく含ませた視線を送るばかり。
まあ、己のやってきた事を考えれば仕方のない事だし、別にどうという事も無いのだが。
「…他人の事を気にする余裕があるのなら、学生らしく勉学に励むべきだと思うけどな…」
まあ、表だって喧嘩腰になる生徒がいないのは、風紀委員としての己の評判を知る者が多いからだろう。
別に異形で撃ったりするわけでもないのだから、言いたい事があれば言えば良いのに――と、思わなくもない。
ご案内:「第一教室棟 教室」に夢莉さんが現れました。
■夢莉 >
「まるで腫れモンだな」
ひとの履け始めた教室に残る少年に、声をかける者が一人。
高く、女性的な声。
その声に違わず、振り向けば長い金髪を下ろした人物が立っている。
その顔は少し不機嫌そうで、睨んでるようにも見えるだろう。
「ま、そりゃあそうだろうな?
スラムとはいえ人間大虐殺したヤツと同じ教室で仲良くしろって方が無理だわ。
オレにゃなんで問題にならねぇのか不思議でならねぇな?鉄火の支配者サンよ」
その言葉には棘があり、言いたい事をそのまま言ってるかのように辛辣だ。
当然だろう。彼がやった事は隠されている訳ではない。
知っている人間からすれば、そんな評価だ。
そういう事をしたのだから。
■神代理央 > 投げかけられた声に、視線を向ける。
此方に言葉を投げかけたのは、金色の髪をたなびかせるもの。
「……まあ、それが一般的な思考であり、当然抱くべき考えだと私も思う。
問題にならない、という事も無いさ。現に、問題になったから私はこうして、補講を受ける余裕があったのだし」
目の前の少女――と、此方は思っているのだが――の言葉には、否定もせずに頷きながら、小さく肩を竦めるばかり。
今現在、己に向けられている感情は全て理解出来る、と告げながら、小さく苦笑い。
■夢莉 >
「ハンッ、せいぜい補講でお勉強楽しむんだな。
暴れ回る野猿にゃ丁度いい檻だろ」
あからさまな嫌悪。
おっかなびっくりに腫れものを見るようにする他の者と違い、真っ直ぐ少年を睨んでる。
明らかに良い感情を抱いていない、というのは分かるだろう。
「とはいえ補講受けてはいオワリってんなら凝りてねー証拠だけどな。
大人しくイスに縛り付けられてハンセーしてんだな、猿。
公安に釘刺されてんだ、後がない事くらい分かってるよなぁ?」
■神代理央 >
敵意と嫌悪を隠そうとしない相手の言葉。
まあ、それ自体は落第街だのスラムだので散々浴びて来たものであるから慣れたものだが、こういう場所で此処迄敵意を向けられるのは何だか新鮮ですらある。
「……ふむ?何だか知らんが、私が狩りたてた者達の中に、知古の者でもいたのかね。
であれば、残念な事だ。私も、鼠を狩る時に一々顔と名前を覚えたりはせぬ故、誰の事で憤っているのか分からぬでな。
それとも、あの区域に住む者達への義憤かね?であれば、その正義感はこれからも大事にして欲しいと思う所ではあるが」
敵意を向けられる理由が――あり過ぎてどの事か分からない。
まあ、"彼女"の知人や友人を吹き飛ばしてしまったかな、と思案しながら、肩を竦めてみせて。
「さてね。公安からの訓告を受け入れはしたが、別に私は何かしら校則を犯していた訳でも無ければ、風紀委員会から罰則を与えられた訳でも無い。
まあ、訓告を尊重はするし、その理由も理解は出来るから同じ事を繰り返すつもりは無いが。後が無い、というのは些か首を傾げる言葉だな」
公安の名前が出れば、そっちの関係者かなと思案顔。
とはいえ、秘密厳守の公安委員会ともなれば、此方も所属人員に明るい訳でも無い。
しかし、それだと益々彼女が憤る理由が分からないな、と。
不思議そうな表情と共に、首を傾げてみせるだろうか。
■夢莉 >
「思った以上のカス野郎で逆に安心したぜ。
よくもまぁ風紀委員はお前みてえなカス野郎抱えてやがる。
上の苦労が目に浮かぶぜ。
あーあ、カワイソウに。
こりゃ風紀の他の連中も仕事し難そうで同情するぜ」
あぁ、コイツは最低のカスだ。
本当に殺した奴の中にオレの知り合いがいたとして、その言葉がどういう意味を持つか分かってんのか?
分かってんだろうな。その上で言いやがる。
だからカスだ。
「理解できてたらそんな言葉は出ねぇと思うがね。
どうせ立ち回りミスったとしか思ってねぇんだろ、テメェ。
それでまた同じ轍を踏んで周り巻き込むんだろうな。
あーあー、オレなら一緒に仕事したくねぇや。
風紀委員じゃなくてよかったよかった」
こいつはどうせやらかす。
言葉から根本を理解してないのが分かる。だからこの先どうなるかも分かる。
別にコイツが勝手に自滅するのはどうでもいい。
勝手にくたばれ。その方が清々する。
が…何より気に入らないのは。
■夢莉 >
「……なんでサラはこんなクズに惚れたんだか」
■夢莉 >
誰に向けるでもなく、吐き捨てるようにつぶやいた。
見てて分かる、コイツは関わった奴らを不幸にする奴だ。
近づいて火傷するから、自分からも周りからも過度に近づかない方が身の為のカス。
…でも多分、アイツは何も分かりもしねえで惚れて突っ込んだんだろうな。
結果どうなるかも知らずに。
自爆したのはアイツの責任だが、するまでに何があったのかくらいは予想がつく。
ホント……最悪だな。
「……一つ忠告しとくぜ。
”テメェは、もう、何もすんな”
迷惑なんだよ、テメェみたいに周りまで巻き込んで面倒事引っ提げてくる奴。
どうせ死ぬなら他所で死ね。
この島でこれ以上面倒事起こすな。
……テメェは、もうシステムもクソもねぇんだよ。
ただの迷惑なガラクタだ。弁えろ」
嫌悪をむき出しに、吐きつける。
こういうカスに優しくする筋合いなんてねぇ。
どうせ何言っても知らぬ存ぜぬ、自分が正しいの一点張りだ。
そんな奴の説得なんかする気はねぇ。
オレは御免だ。
■神代理央 >
「褒めても何も出ぬよ。それが私の仕事だからな。
上が苦労していそうだと。他の風紀が仕事し難そうだと。
それは事実だ。何せ、此の島の組織など所詮は"ごっこ遊び"だ。
世間も碌に知らない学生が、統治機構の真似事をしているのだ。
其処に、純然たる"体制側の理念"を持ち込まれれば、拒絶反応を示したくなるのも、大いに理解出来るとも。
何せ本来は、そういう体制側に反発しがちな年齢の生徒が集まっているのだからな」
分かるかね?と言う様に首を傾げながらも、別に相手の理解を求めようとする訳でもない。
そも、最初から負の感情を抱いて此方に接してきている相手に、今更そういう事への理解を求めるのも酷だろうし。
「仮にそうだとして、其処に何か問題があるのかね。
君が何処迄、何を知っているかは知らぬ。
しかし、私はあくまで風紀委員としての役割を果たしただけ。
私自身が、私利私欲のためにあの区域を焼き払う等と言う事はない。
然るべき理由と利があり、正当な命令を受けての行動。
まあ、やり過ぎだと問われれば其処に否定の言葉は持たぬがね」
訥々と、言葉を続ける。
相手が小さく呟いた言葉は、確かに己の耳を打ったが――
「……ああ、成程。
いや、そうだな。そういうことであれば、感情的になる理由も理解出来る。
理解は出来るが、もう少し社会理性に基づいた思想も考慮して欲しいものだ。御伽噺の正義の味方の様に振る舞えば、世界が良くなるなどとは決して思ってはいないのだろう?」
驚く程、冷めた声だったかもしれない。
相手が、彼女を知る者であるのなら。或いは、何かしらの関係者であるのなら。
此方に向ける敵意も、刺々しい言葉も、大いに納得がいった。
だから、一応は相手を理解しようと努めていた感情も、氷の様な理性で覆われる事になる。
少なくとも、此方は相手の事を知らない。会話をしたことは無い。
つまり、目の前の相手は、一方からの情報で此方に負の感情を向けている。それに気遣う程、此方も善人では無い。
「そうして欲しければ、風紀委員会へ正式な書面でもって嘆願書を出すと良い。
それがしっかりと稟議され、審議され、私へ正式な布告となって風紀委員会から発せられるのであれば、従うとも。
"ルール"を守りたまえ。私は何時だってそうしてきた。
私を止めたいのなら、そうすればいい。それだけの事だ」
向けられる嫌悪も、理由が分かれば何という事も無い。
己の正しさを言及する事も無ければ、相手に訴える事も無い。
此方が何を言ったところで、納得する筈もないだろうし。
呆れた様に溜息を吐き出すと、荷物を鞄に纏めて立ち上がる。
「話はそれだけかな。であれば、そろそろ私は御暇させて貰うが」
特務広報部も、活動再開に向けて諸々手続きを取り始めなければならない。
先ずは、隊員達の基礎訓練からかな、などとぼんやり思案しながら、相手に向けて首を傾げてみせるだろうか。
■夢莉 >
「…つくづくカスだな」
苛立ちが積る。
こいつは何も変わりやしねぇ。
何を見てたのかすら怪しい。
「体制?セイギノミカタ?ハッ、知ったこっちゃねえんだよ。
そんな大層なハナシしにきたんじゃねぇんだよこちとら。
テメェが女のトラブルでやらかした事に文句言ってんだよ」
怒気が強まる。
体制だなんだと、ルールだなんだとぬかすコイツが。
個人をまるで見ないコイツが。
心底気に食わない。
気に入らない。
「テメェみたいなのはモテんだろうな?
女からすりゃ美形で金持ちで?それで歪んでて危ういから『私が支えてあげなくちゃー』なんつってな。
テメェ構いにいって火傷した女も随分いそうで。
オレァそういう男が大嫌いなんだよ。
吐き気するぜ」
そういう奴は散々見て来た。
クソ野郎ほど心酔したバカ女が群がる。
ま…魅力的に思う部分もあんだろうな。
別にとやかく言うつもりもねぇさ。
「手前の女もロクに責任持てねえなら最初から関わるんじゃねぇ。
責任持てなくなって不幸にするから別れましょーってか。益々軟弱なカスだな。
ま、別にそれはどうでもいいけど。
それでテメェは暴れまくって?テメェの元カノは歓楽街ブッ壊して?
テメェらの痴情のもつれに他人様を巻き込むんじゃねぇよクソが」
睨む。
今日ここに来たのは仕事でもなんでもない。
ただ個人的に文句を言いに来ただけだ。
コイツと、仲良くする気なんざねぇ。
オレは個人的な感情で、コイツが嫌いだ。
「仕事優先すんなら今度から求めんのはカラダだけにしとくんだな。
不幸になる女増やすだけだ。
そうでなくても…少なくとも女一人不幸にして消えねぇ傷つけてんだ。
その事すら自分が正しいって戯言ほざくなら、オマエは完全にただのクズだよ。
テメェの行為であの子をこれ以上傷つけんな。
それもできねぇならさっさと死ね。
さっさと死んで、サラを解放しろ。
この学園で一番ガキなのはテメェだ、クズ野郎」
理念だとかなんだとか。
そんな事をのたまう前に自分の身の回りをどうにかしろ。
それができねぇのに体制?
笑わせやがる。
結局何もわかっちゃいねぇんだコイツは。
それが分からない限り何度でもやる。
だから気に入らない。
こんな独りよがりのクズに、人生狂わされてる奴が身内にいるのが、気に入らない。
「ルールを守ってるから?違うだろうが。
ルールに守られてるだけだろ、オマエは。
『がんじがらめになって仕方なくやりました。僕は悪くありません』
そう言ってるようにしか見えやしねぇんだよ。
その前にもっとできる事があったのに、それをしないでやらかすからこうなってんだろうが。
どうなんだ?
ちげぇのか?」
話もせずに不満積らせて、自分の女が爆発するまで放置して。
それが周りに迷惑かけてんなら自分の責任だろうが。
それを見ろって言ってんだ、こっちは。
でもそれも見やしねぇ。
どうしようもねぇ。
「…テメェはもうサラに会うな。
テメェが近づくと不幸になる。
テメェの存在そのものがサラ不幸にしてんだよ。
自分の女とロクな別れ話も出来ない奴が、体制だとか語ってんじゃねぇよ」
吐き捨てるように言い放つ。
もう話す事も何もない。
そう言うかのように、そのままその部屋を後にする…
ご案内:「第一教室棟 教室」から夢莉さんが去りました。
■神代理央 >
「分かっているさ。君から、沙羅の名前が出た時点で、そういう事だろうとは思っていた。
それで、彼女に構い、気をかけて、その原因となった私に文句を言いに来た。
良く分かるよ。それは人として正しい感情だ」
それは、嘘偽りない本心である。
仮に、己が相手の立場だったとすれば、面と向かって言いたくなる事も山ほどあるだろうし。
――だからこそ。
「……それで、私の話は聞こうとしないのだろう?
別れた原因や、その後の騒動について、少なくとも私は君に話した覚えは無い。
いや、それでも別に構わぬよ。人と言うのは、どうしても感情で生きるものだ。私だってそうだ。
一方の話を聞いて、激憤して行動に移す。私にだって、その覚えはある。
だから、その行動を咎める事もしないし、間違っているとも言わない。それに、君の得た情報は概ね間違いでも無いのだし」
己だって、感情で動く事は儘ある。
システムの様に振る舞おうとして、それが出来ない事は幾らでもあった。
だから、相手の発言や行動を否定したりはしない。
彼女と面識があり、今回の騒動を知っている、或いは、関係者だったのなら。大凡現れている事実を統合すれば、まあ、相手の結論に至るのも仕方のない話。
「まあ、君の方も私と話をしたくはないのだろうから、別にそれをどうこう言うつもりはない。
君が得た情報が、偏っているとも思わない。
"コイツの話を聞かずとも、クズだとカスだと責めるに値する"と判断した君の選択を、私は別に否定しない」
「否定はしないが、それを聞き入れる理由は無い。
此方の話を聞かない者の言葉を、何故受け入れる必要があるのか理解出来ない。
罵詈雑言の類は、まあ、受け入れても良い。
言いたい事を言えて、すっきりしただろう?」
対話というのは、対になって話をする、と書く。
であれば、こうして会話をしていても、それは対話ではない。
互いに言いたい事を一人で喋っているだけの独り言。
「私がどう思おうと、もう沙羅の方が私に会うつもりもないだろう。
そこについては、別に心配する必要も無いさ。
後は、まあ、そうだな――」
「……いや、何でもない。
どうせ、もう会わぬだろうしな」
と、出ていく相手を一瞥した後。
人の感情とは難しいものだ、と溜息を吐き出して此方も教室を後にするのだろう。
特務広報部の面々は、未だ己の庇護を求めている。
彼等の為にも、何時までも休んでいる訳にはいかないのだし――
ご案内:「第一教室棟 教室」から神代理央さんが去りました。