2021/01/15 のログ
ご案内:「第一教室棟 保健室」にラピスさんが現れました。
ご案内:「第一教室棟 保健室」に藤巳陽菜さんが現れました。
ラピス > 今日も今日とて、保健室に屯するへっぽこ少女がここに一人。
いつも通りにお茶の準備を終えて、お菓子の用意もしっかりして。
いつもと違うのは、今日のお茶会に素敵な招待客が居ることか。

「さて、準備万端ですよぅ。ふふり」

机の上には、とろりととろけるフルーツソースを添えたレアチーズケーキ。
純白にタルト生地のハーモニーを味わうのだ、という自信作を机の上に置いて。
後はお客様が来るのを待つのみ。コンロでは、薬缶がしゅんしゅん鳴いていた。

藤巳陽菜 > 「こんにちはラピス先生。」

この間と同じような寝袋のような袋をシュルシュルと引きずるような音を立てて
やってきたのは蛇の下半身を持つ女子生徒。
手には何やらもこもとと膨れたバックのようなもの。

「あっ…!おいしそうなチーズケーキ。」

入ってまず目に入ったのはそのチーズケーキ。
前に陽菜が作って来たものよりもしっかりしてる。

ラピス > 「ふふ、ようこそですよー!」

来客に、にこぱーと笑顔でご挨拶。
ペコンと頭を下げて、それからちょいちょいと手招きをして。
鼻歌交じりのへっぽこ少女。頭上ではいつものこにゃんこがなぅと鳴く。
こにゃんこも彼女に何度か会っているからか、どうやら慣れたらしい。

「ふふり、今日はちょっとばかし腕をふるってみました。
 陽菜ちゃん好きかなーって思って。さぁどうぞどうぞー!」

上機嫌なへっぽこ少女は、ぽてってとコンロの方に向かってお茶を淹れる。
こぽこぽ。紅茶の仄かに甘い匂いが、保健室の中に満ちていく。

藤巳陽菜 > 「君もよろしくね。先生この子って名前なんていうんですか?」

頭の上のにゃんこにも挨拶を交わす。
前には聞けなかったしその前はまだ名前付いてなかった……。

「おいしいですよねチーズケーキ、ありがとうございます!」

目の前の幼く見える教師の上機嫌な様子に釣られて自分もニコニコ。
部屋に漂う、ケーキと紅茶のいい匂い。

「先生って料理上手ですよね。
 前の春巻きも美味しかったですし……。」

まだ食べてないけど見た目で分かる。

ラピス > 「ん、あぁ、この子はクロっていうのですよ。ほら、クロ、陽菜ちゃんですよー」

なぅー。分かってるよ、と言わんばかりの返事である。
じぃ、と金色の二つの眼で彼女を見つつ、尻尾をゆらゆら。
撫でてもいいぞ、なんて言いそうな雰囲気で偉そうに鳴いていた。

「ん、チーズケーキ美味しいですよねー。こってりしながら酸味がさっぱりですし。
 さぁ、今日は陽菜ちゃんの為に用意したのですから、遠慮せずにどうぞー?」

彼女の前に紅茶で満ちたカップを置いて、それから自分の紅茶も淹れて。
いただきまーす、なんてのんきにパクパクとケーキを食べ始める。

「んにゅ、まぁ、食べるの大好きですからね。
 調合と同じで、レシピのとおりにやれば出来ますし」

もっきゅもっきゅ。甘酸っぱいソースとケーキのコクを味わいつつ、むふーと自慢げ。
頭上のこにゃんこは、自分にもおやつをよこせと言いたげに肉球でたしたしとしていた。

藤巳陽菜 > 「クロちゃん…ピッタリですね!」

前、公園でであった人懐っこい賢い黒猫に勝手に同じ名前つけたなあ…なんて思い出す。
思い出しながらもそーっと手をのばして頭を撫でる。

温かくてやわらかい……。

「本当ですか?じゃあ遠慮なくいただいちゃいますね。」

チーズケーキを食べ始める。
前に陽菜が作ったものよりも甘さは抑え目、フルーツのソースの甘味と酸味がおいしい。

「あー確かにちょっと似てるかも……特にお菓子とかは細かいですもんね。
 先生はどんなタイプの薬作るのが得意なんです?」

例えば陽菜にも作れる魔女が作るタイプの薬と現代の技術で作られる薬、東洋医学で扱われてる薬なんかは違う。
薬学といっても同じようにつくる……というのは難しいだろう。

ラピス > 「ん、でしょう?この子も気に入ってくれたみたいなのですよー」

なふー。彼女が撫でると、頭上のこにゃんこは満足げに目を細める。
人見知りだが、撫でてもらうのが好きなこにゃんこは、久々のなでなででご満悦だった。
ふわふわした暖かな黒い毛玉。そんな感じの柔らかな感触が伝わるだろう。

「どぞどぞ。おかわりも用意できますからねー?」

自分もまた、ひょいぱくひょいぱくとケーキを食べる。
この部屋に来た子たちに振る舞うため、という免罪符で持ち込んだ趣味の一品だ。
自分がお菓子を食べるためでもあるのは言うまでもないのだけれど。

「ん、ですです。そこに気がつくとは素晴らしい。
 そうですねぇ、先生は植物から薬を作るのが一番得意かもですね。
 薬効は色んな物を作れますが、頻度から見て傷薬が最もよく出来るかと」

理由は単純。保健室に屯していれば、怪我を治す頻度が自然と高くなる。
病気やら何やらもあるが、利用率一位はやっぱり擦り傷切り傷だ。
その辺りを治癒する膏薬や飲み薬が得意になるのも、必然と言えるだろう。

藤巳陽菜 > 「……じゃあ、全部たべちゃったらおかわりももらっちゃいますね。」

少し遠慮しがちに言う。
この肉体は食べる量が多い。
油断すると1ホールでも食べてしまえそうだけどそこはセーブしてゆっくりと食べていく。

「植物から……あーこの前のタバコも自分で作ったっていってましたもんね。
 保険室によくいらっしゃいますし、傷薬っていうのもなるほどって感じです。」

タバコもある意味薬品のようなものだし、植物からできるもの。
保健室に常駐してることを考えると納得、納得。
かなり優秀な薬学の教師なのだと思う。

だから。

「……先生は……あの……身体を変身させたりする薬って作れたりします?」

少し、真剣に尋ねる。
おとぎ話の人魚姫が飲んだ薬のような。
人の足と魚の尾を入れ替えるようなそんな都合のいい薬。

ラピス > 「ふふ、たんと食べてくれると嬉しいですよ。作りがいがあるってものですし」

美味しい美味しいと食べてくれるなら、作ってよかったと思える。
だから彼女が楽しんでくれるなら、何ホールでも作る気満々だ。
今日もホールで一つ用意しているから、それなりにおかわりも楽しめるはず。

「ん、煙草は先生の趣味であると同時に、魔術を使う時の補助具なのですよ。
 吸うことで魔力の底上げをしてくれるのです。頭もスッキリさせてくれますし」

その代わり、普通のタバコが好きな人からすると甘ったるいらしい。
香りも味も紅茶になる様に作っているから当然なのかもしれないが。
などと話していた所、彼女からの興味深い問いかけ。はてさて。

「んー……なるほど、体を、ですか。それは、一時的にですか?それとも永続的に?」

へっぽこ少女の頭の中には、彼女の望みに沿う薬も存在する。
一時的に変身する薬。或いは、一度飲んだら不可逆の変身を伴う薬。
過去に数回作ったことはあるが、最近はとんと機会のなかった調薬だ。
作れなくはないが、材料を用立てられるかどうか。ふむり。とりあえずは、どんなのが欲しいか問うてみよう。

藤巳陽菜 > 「そんな効果があるんですね。
 確かに魔女の人ってタバコ吸ってる人多いかも……。」

知ってる魔女の人もタバコを結構吸ってたりする。
そういう人たちも只の趣味じゃなかったのかもしれない。

「……出来たらずっと、二度とこの身体を見なくてすむように。」

望むのは元の人の肉体。
二本の足を持つ人間の身体。

「……作れるんでしょうか?」

ラピス > 「お手製だから出来る技ですよぅ。市販の煙草じゃこうはいきませんし。
 なるほど、煙草でもお茶でも、手軽な切り替えの手段は便利ですからね」

煙草に効能があるのか、或いは煙草を吸う行為自体に意味があるのか。
へっぽこ教師の場合は前者だが、他の人がどちらかは人によるだろう。
とは言え彼らも、煙草をわざわざ選ぶ程度には好きなのだろう、きっと。

「ふむ、なるほど。蛇ではなく、人の足が欲しい、ということですかね?」

彼女の下半身が先天的か後天的化は不明だが、その物言いから期待するものは分かる。
今の体が嫌で、なりたい先。それは少なくとも、全身を蛇にする方向ではあるまい。
だとすれば、少しでも人に近づく方向となる。なれば、その先を推測することも出来よう。
さてと、どうしたものかと少しだけ考えてから、ひょいとチーズケーキを一口食べて。

「出来なくはないですが……本当に、変わっちゃいますよ?
 それと、もし仮に魔術や異能で変質してるなら、直しても根本的解決にならない可能性もあります。
 ただ、それでも試してみたいと言うならば、時間はかかりますが用立てることは可能です」

彼女の望みに合う薬は、希少な材料を使うものだったと記憶している。
だとすれば、見かけた時に確保するとしても多少の時間は必要となるだろう。
とは言え、生徒の悩みは解決するのが教師の役目。彼女が望むなら、助力は惜しまないつもりだ。

藤巳陽菜 > 「料理でもですけど、やっぱり自分で作れるといいですよね。
 好みにあわせて調整したりできますし……。」

レシピを理解してアレンジができるようになってからの話ではあるのだけども。
……タバコなんてそれこそしっかりと理解してないとできないだろうし。

「はい。」

人の身体。元の身体。

「……私、2年ちょっと前までは普通の足だったんですけど……。
 異能が発現してしまった影響でこうなってしまったそうです。
 
 初めの頃はこの学園でならすぐに元に戻る方法も見つかるって思ってたんですけど。
 一年経って、二年経って……全然そんな方法見つからなくて。

 もし、それが効かなかったとしても試したいです。試させてください。お願いします。」
 
……元の肉体を手に入れたとしてもこの異能がある限りいつまた蛇の身体に戻るか分からない。
それでも可能性に手を伸ばさずにはいられない。 

ラピス > 「ですね。薬も料理も、自分で作れると効き目や美味しさが異なってきますよ。
 先生が薬学を教えるのも、その辺りを知ってほしいって部分がありますからね」

自分の体質に合わせた特効薬を自分で作れるようになる。
その可能性を体感できる科目として、薬学の講義を置いている。
無論、才能やらなにやらによっても変わってくるから、皆が皆とは言えないが。
何れにせよ、会得すれば役に立つことは確約できる。料理などへの応用も効くし。

「そういうことなら、先生は助力を惜しみませんよ。
 治らなかったら、別の原因を一緒に探ったって良いのです。
 治ったけど戻ってしまったら、違うアプローチをすれば良いのです。
 先生は、陽菜ちゃんが願いを叶えるのを目一杯に応援しちゃいますよぅ!」

将来彼女の足が戻るかはわからない。だが、目標へと至る手助けはいくらでもしよう。
へっぽこ教師も、なんだかんだ言ってちゃんと教師なのだ。むふー。やる気は十二分だった。

藤巳陽菜 > 「他の人にも効くちゃんとしたレシピの薬はもちろんなんですけど。
 自分の体質を知って自分に合わせた薬を自分で作れたりしたらかっこいいですもんね!」

まさにプロの薬学者?薬剤師?
薬マスターと言ったところだろう。

「あっ、ありがとうございますラピス先生!
 私もこれからもっと頑張ります!

 ……ちょっと失礼なんですけど改めて先生はやっぱり先生なんだなあって思っちゃいました!」

その小さな身体から溢れんばかりの頼りがいを感じる。
一人で歩いてきた暗い道に柔らかい光が灯ったような安心感。

「……本当にセレネさんにはまたお礼言わないとです。」

ラピス > 「一般的に効くだろう薬もありますが、オーダーメイドのほうが効果は上がりますからね。
 先生の場合は、体質なんかを確認してから調薬してますから、効き目は保証しますよ?」

薬学や精霊魔術は元から体得していたものだが、後天的に目覚めた異能もある。
精密鑑定――へっぽこ教師の本気とも言える、あらゆるものを見通して解析する力だ。
対象が難解であるほど、希少であるほど体力やら何やらを消費するが、お陰で体質も見抜ける。
これを彼女に対して用いれば、彼女の足が変質した原因に少しは近づけるかもしれない。
とは言え、得られた知識を応用できるかは運次第ではあるのだけれども。

「ふふ、構いませんよ。この見た目で先生っていうと皆驚きますからね。
 ですが、先生はちゃんと先生ですから、生徒の夢は助けますし、守ります。
 とは言え、頑張り過ぎもなんですから、程よく気を抜きましょう。はい、おかわり」

彼女ならきっと食べてくれるだろうから、もう一切れを更に乗せて渡す。
フルーツソースもしっかり添えて、紅茶も一杯入れ直そう。

「巡り合わせの妙ですねぇ。出会いというのは良いものです」

ほっこり。紅茶をちびちび飲みながら、彼女の様子を見て頷く。
外見の割に円熟したへっぽこ教師特有の仕草だ。婆臭いとか言ってはいけない。

藤巳陽菜 > 「……色んな体質の子がいる学園ですもんね。
 市販薬だと危ない事もあるのか。」

異世界からの存在や、異なる種族がおおくいるこの常世島。
種族によっては露骨に効きが悪かったり逆に効きすぎたりすることもあるだろう。
……とても難しい。

「この島にきてから結構たつのに……そろそろ見かけで判断する癖なんとかしなくちゃって思ってるんですけどね。
 あっ、ありがとうございます。」

この異形の身体を持ちながらも未だに本土の価値観。
人を見た目で判断してしまう癖が抜けていない。

……そのせいで自らのこの身体を普通以上に嫌悪している部分はあるのかもしれない。

「本当にありがたいですよね。
 私はいい人ばっかりに出会って、助けられてばっかりな気がしますけど。」

苦笑いしながらいう。