2021/01/17 のログ
ご案内:「第一教室棟 屋上」に天野 創一さんが現れました。
天野 創一 > 「うーん…異能かぁ。」

先ほどの受けた異能学系について考え込んでいた。
風が直に来る1月の屋上は身に染みる冷たさであるが逆を言えば知恵熱で温まり過ぎた頭を冷やすのには最適だった。
"身体は熱く、頭は冷たく"と山籠もり時代で師範代に言われた言葉だ。


「頭は冷たく…だから俺の能力が凍らせる奴なのかな。よく分からないけどさ」

悩みというほどではないが考えていることがある。それは自身の異能について。
どうして創一が冷気や氷結させる能力に目覚めたのは不明だが、ある一説では異能は感情に左右される場合が多いだとか。武芸者として常に冷静さを保つメンタルはそういった事に起因したのかは不明だが。
ともあれ異能の学問はまだまだ発展途上にも感じられる。なにしろ魔術学の方がまだ分かりやすい。異能学は感覚っぽいところがある。

天野 創一 > 「異能はちょっと苦手だなぁ魔術の方が式の組み立ての繰り返しと応用なだけだから簡単。…でもなんで発動しないのは不思議なんだよなぁ。いくら苦手でもしっかりとした式と手順を踏んでるはずなんだけど。やっぱり気持ちの持ち様かな」


魔術学の座学はしっかり聞いており、いくら凡人とは言え魔術は発動できるほどの理解力だった。
だが実際は魔術は不発に終わっている。原因は本人も理解しているようで、例えば速く動ける魔術ならば術を唱えている間にも走った方が速いと心の中では魔術をそこまで求めていないので使えないのだろう。


「まぁ、魔術はしょうがない。問題は異能だ。こっちは感覚でやれって感じだから練習あるのみだよね」


悔いてもしょうがない、と魔術に関しては一旦置いておくことにし異能について。
屋上を選んだのも異能を練習するため。右手を空に掲げ


「はぁっ!出ろっ!」

そんな気合と共に手先から徐々に霜が走っていく

ご案内:「第一教室棟 屋上」に藤巳陽菜さんが現れました。
天野 創一 > パキリ、パキリ…
何かが急速に固まって凍り付く音。穏やかな寒天下の中で鳴り響き、冷たい風を更に冷たく感じさせるような凍り付く音。
宙に手をかざした創一の右手の指先に1~2㎝程度の小さな氷の爪が形成される。
尖っていて硬いがそれだけだ。更に言えば硬いが故に脆く崩れやすい。

「はぁ、はぁ……前回は人差し指、中指、薬指の3本が限界だったが今回はしっかり5本指…」

これで成果が上がったと少し満足する少年。
たったこれだけでかなり息が上がっている。校庭を20周した方がまだ疲れない。かなり効率は良くないようだ。

藤巳陽菜 > 蛇の下半身を覆うもこもことした寝袋のような防寒着。
寒さという弱点を補うそれを身にまとえば寒い冬でも苦ではない。

……陽菜はもともと冬は嫌いではないのだ。

冷えた空気も早く落ちる日もたまに降る雪もどれも好きだった。
好きではあるのだけど……度を越した寒さには流石に耐えられない。

「えっ?何?」

室内の暖房で熱くなりすぎた熱を少し覚まそうとやって来た屋上。
そこで陽菜が見たのは……手から霜を出す男子生徒の姿。

こんな寒い中で更に氷の何かしら……爪だろうかを出して……
見ているだけで凍えてしまいそうになる…

天野 創一 > 視線。声よりもまずは突き刺す彼女の視線にて気づく。
彼女は創一の後ろにいる立ち位置だろう。創一は誰か来たしあんまり見苦しい鍛錬をしてもしょうがない、と場所を明け渡すつもりでいる。

ぐ、と拳を作って握り込めばパキィ、とガラスが割れるような音と共に氷の爪は解除され、さらさらとした砂のように崩れ落ちる。崩れ落ちた氷の結晶は穏やかな風に乗ってほんのり白く空を彩っただけ。



「ああ、悪いね。こんな寒いときに寒い能力なんか出して。ちょっと自主練習中だったんだ。ちなみにさっきのが全力。」


夏の暑い日であれば歓迎されたであろうが冬場は見るだけで寒い能力。
幸いにして規模は爪先程度しかないという事だろう。爪先程度が全力と自らの口で言うのだから。

藤巳陽菜 > 見た時は冷たそうだとしか思わなかったが…。
綺麗だった氷の爪、なくなってしまえばもったいない気持ちになってくる。……我儘なはなしだけども…。

「こ、こっちこそごめんなさい……邪魔しちゃったみたいで……。」

陽菜が男子生徒の方へと近づけば蛇の下半身を覆う布がシュルシュルと音を立てる。
布が擦れる音、蛇が這うような音。

「えっと、能力っていう事は異能なの?……最近異能が発現した人だったりする?」

……言葉を選ぶように話す。
口ぶりから見て異能に目覚めてそこまで日は経ってないのだと思う。
……綺麗な異能だと思いながらもまだ口には出さない。

天野 創一 > 「邪魔でもなんでもないよ。どうせ1、2発撃つと疲れるし。」


身体の鍛錬に関しては校庭数十周だの1時間だの2時間だの結構時間がかかるが、異能の鍛錬に関してはものの数分で終わってしまう。
それほどまでに異能に関しては浅く、身体と異能のレベル差がある。

クルっと相手の方へと向き直る。野太刀を背負ったりとこちらも大概な格好だが目につくのは彼女の下半身。寝袋のようになっている防寒具は人間の足ではない事が伺える。先ほど、こちらへ近づく際も人の足音ではなくどちらかと言えば蛇やトカゲなどに近いモノだった。



「結構最近だねぇ~。みんな炎とか電気とかガンガン撃ってるぽいけど俺のは全然なんだよねぇ。…ところで君は異邦人?」


蛇の様な足音からして純粋な人間ではないと推測。
異邦人との差別問題は今日も続いているにもかかわらず、それすら知らないかのようにストレートな尋ね方。

藤巳陽菜 > 「そ、そうなの?」

だとしたら余計に貴重な一回分を使わせてしまったのかもと思うが……
実際に気にしてなさそうな様子なのでそんな事もないのだろう。

「やっぱり最近なのね。確かに派手な異能使う子は本当に派手だものね。」

予想通り。
異能を扱いなれてない感じ、制服の新しさ、一年生だろう多分。
自分の予想が当たった事にちょっとした喜びを感じながら話を続けていたが

しかし、異邦人であるかと問われれば一瞬凍り付いたような表情になる。

「えっ……いや……。」

悪気はない、一年生だ、間違えるのは仕方がない、こんな身体をしてるほうが悪い。
一度、胸に手を当てて息を吸い込んで。

「あの、この身体は異能の暴走でこうなってるの……紛らわしくてごめんなさい。」

感情を抑えて言い慣れた言葉を言う。

天野 創一 > 「そそ、最近なんか目覚めたばかりでさ。本当にどうして目覚めたかも分からなくてどうして使えたかも分からないんだ。
 一応異能に関する講義を取ってるけどこれがちょっと感覚的な講義で難しいんだね。」


異能などがなくとも自分には"コレ"がある。と背中に差してある野太刀を左手でコツンと軽く叩き、次いで腰に差してある鞘無しの刀を抜いて白刃を見せる。
鞘無しの刀から抜く際は見る者の意識の間を縫うかのような曲芸を超えたナニカとも言える芸当だろう。武芸者でなければいつの間にか抜いていたようにしか見えない。ちょっとだけ白刃を見せてから。カン、と小気味の良い音と共に鞘に納められる・



「あー…なんか悪い。藪蛇だった。にしても能力の暴走か…」


手を合わせて気を遣わせてしまった彼女に頭を下げて謝る。
そして暴走という言葉が引っ掛かったのか繰り返し呟く

藤巳陽菜 > 「異能なんて別に欲しくて手に入れるものでも、理由があって身についてるモノでもないもの。
 ……無理に活用して暴力に使おうとするのも私は好きじゃないし。」

……刀を見せられた。
確かに、異能がなくとも技術があれば風紀委員でも何でもできるだろう。
この島には戦うのが好きな人間が多い。


「大丈夫よ……間違われ別に慣れてるから。
 藪蛇……ああ蛇ってそういう……ちょっと上手いじゃない……。」

そう言いながらも明らかに落ち込んでる……。
あまりメンタルが強い方ではない。

「……暴走って言い方は正しくないかも二年前、朝起きたらこの下半身になってたの。」
 
下半身を覆う袋のチャックを開けば出てくるのは鱗に覆われた蛇の肉体。
異能によって変質した異形の身体。

「なんの前触れもなく急に……新しい学校に入ったばっかりだったのに……
 多分、私のこの異能はこの形に変えるのが正しい効力で今の正しく機能してる状態なんでしょうね。」

制御など出来ない異能。変質したという結果をもたらす異能。