2021/01/30 のログ
妃淵 >  
「───」

背中から陽炎のようなものが一瞬揺らぐ
それは肩を掴まれたことによる苛立ちと、
囲まれてひっそり溜まったフラストレーションが引鉄だった

鋭い、振り抜くような背面の足刀が男子生徒を吹き飛ばし、屋上のコンクリートの上を派手に転がした

「…あれ。これでセイトウボウエイ?になったっけ…───ま、いっか」

囲んでいた生徒達は一瞬呆気にとられていたが、
すぐさま他の男子生徒が掴み掛かってくる

………

……



あとは呆気ないものだった
男子生徒の一人は異能を使おうとした矢先に鳩尾に強烈な前蹴りを喰らって吐瀉物を撒き散らしながらダウン
もう一人は手から炎を燃え上がらせそれを放ったが、慌てたのか実戦…というか喧嘩慣れしていないのか掠りもせず、そのまま股間を蹴り上げられてダウン

女生徒達は…逃げた
自分から喧嘩を売っておいてなんてやつらだ
どうせ先生にでも言いつけにいったんだろう

妃淵 >  
「弱いクセに喧嘩売ってくんなタぁコ」

最初に蹴っ飛ばした男子生徒がこけつまろびつ、といった様子で逃げていく
その背中に向けてんべっと舌を出す

ちょっとすっきりした
同時に背中に揺らいでいた陽炎のようなものがふわりと消え去る
他の二人も…まぁそのうち逃げてくだろう

そしてなにやら屋上の入り口が騒がしい、喧嘩だ喧嘩だ、といった野次馬の生徒達が数名いるようだった

「…はぁ」

ガシガシと頭を掻いて、髪型がやや乱れた

妃淵 >  
ザワつき、どよめき
ちらほら聞こえる二級学生というワード

──公にはそんなものいない、とされていても
学生ならSNSだなんだと、情報源なんかいくらでもある
結局は鼻つまみもの
どうせウリをなかもやってんだろうとチャラついた男子に絡まれたこともある
バカらしいし、アイツに言うとやり場のない怒りを覚えそうだから言ってもいないが
社会の縮図、どころかこの島では社会そのものである学園では
当然、在ることなんだろうと理解る

「…ま、そんなモンだ」

誰ともなしに吐き捨て、踵を返す

「ホラ、どけヨ」

こうなったら猫を被る必要もなし
少女が睨みつければ入り口を塞いでいた野次馬は綺麗に割れる

くだらないことでストレスを貯めてしまった
帰ったらアイツをからかったりしてやろう

ご案内:「第一教室棟 屋上」から妃淵さんが去りました。