2021/10/29 のログ
高梨美子 > にへにへと笑みを浮かべていたのだが
次いだ言葉にはウンウンと頷いて。

「だよなー……なんだろうな
 えー……?透悟なんか思いつく?」

胸の下で腕を組んでみるけれども思いつくことはなくて
カボチャ頭の目に視線を注いで。

「分かんねー……でも、俺としてはどっちにしても複雑かなー
 ……あ゛、流石に透悟の方が良いぜ? 
 だって、えー、あー……とにかく透悟の方が良い!」

失言に気づいた模様。慌てた様子でそういうものの
うまい言葉が見つからなくて、勢いで押し切る作戦に出た。

「おうよ、やってみよーぜー?
 ほいほい……プラスチックなんだ……」

テディベアと入れ替えにかぼちゃを持ってみるとプラスチックだった
なんとなしこっちも被ってみて、テディベアが浮いている様子に
感動したような声を漏らした。

「おー」

深見 透悟 > 『いや、なーんも。 
 物は持てたから遊びに行くのも特に困らなかったし。
 直接触れ合えるようになったとこで何か変わるかな……』

しっかり受け答え出来つつも視線は一点集中
もしかしたら触れられない方がお互いの為かもしれない。

『ま、しばらくは成仏しそうもないし?先の事は後で考えよ。
 ……はいはい、今更フォローしても遅いんじゃい。なんてな、気にしてねーよっ。
 まあ、実体が無い分、リリィの方に軍配が上がる面もあるとは思うしー』

そのリリィにこれから這入るわけだが。
しばしじぃっと見つめた後、恐る恐る干渉し始める。

『よし、やってみっぞ!やってみっぞ!
 一旦自分を散らして、重ねて、隅々まで行き渡らせて――』

宙に浮いた、実際は透悟が持っているリリィに淡く光が灯る。
光がリボンの辺りから始まり、次第に広がっていった後に全体を包み込むように
一度だけ大きく輝いて、光が収まると糸が切れたように地面へと落ちた。

「……あ、いて!」

そしたら、なんか、喋った。

高梨美子 > 「たしかにそうなんだよなー。問題ないんだよなー
 ま、次までになにか考えとくさ」

けらりと笑ってそう告げて。
視線に気づいていたら笑顔でビンタしたかもしれない。

「それもそうだな。これから長いんだし?
 よ、よがったー……いや、透悟の方が優しいぜ?」

こんないい友達が第一号で良かった、と照れくさそうに付け加えもして。
そして、いよいよ入る時間になったわけで、緊張の面持ちで
浮いているテディベアを眺める。

「が、がんばれ透悟!お前ならできる!」

そうして、淡く光るテディベア。
その神秘的な光景に見惚れていたけれど。
糸が切れたように落ちたのを見ると心配した、けど。

「……しゃぁべったぁぁあああ!!」

今日イチの声が屋上に響き渡る。
流石に驚いて後に倒れそうになったけれど我慢。

「はぁ、はぁ……どうよ、動かせるか?」

深見 透悟 > 『あー……でもそうだな、ほら、握手。
 最初んとき出来なかったから、握手はしたいな。』

こういう時視線を悟られないって透明の特権よねー、とか思っていたが背筋が寒くなったのでガン見終了。
そういえば、と初めて会った日の事を思い出しながら、一つ口にして。

『そうそう、人生長いんだし。
 ま、俺はもうドロップアウトしてるんだけどね!!
 へいへい、ありがとさん。んでもリリィも優しいと思うよー』

こんなに大事にされてるんだから、と笑いながら。
そんなリリィに透悟がイン。実際初めての本格的な憑依に透悟もかなり緊張していたりする。

『おうとも、俺なら出来る。なんせ元天才魔術師……!』


ぽすん、と地面に落ちたテディベア。
少しの間落ちた体勢のまま小刻みに震えていたが、

「ちょ、ちょっと待って……立つのってこんなに難しかったっけ……
 ふんぬ……くっ、ちょぉ……うおお…」

意を決して立ち上がろうと動き始める。
ぷるぷる仔鹿のように震えながらも、懸命に足を踏ん張らせて
何せ死んでからというもの、地面に足がついていたことが無いのだから無理もない。

「ふおおお、りゃあ……!
 ど、どうよ美子さん……!」

どうにかこうにか震える足で二足立ち。
未だ小刻みに震えながらも直立するテディベアが、そこに居た。

高梨美子 > 「お、確かに。これからもよろしくーってな
 握手できたら嬉しいなー」

足をパタパタとさせながらそう呟いて。
次いだ透悟の言葉には笑って。

「でた、透悟の自虐ネタ。
 ひひ、たしかに優しいな。
 愚痴を黙って聞いてくれてたんだし」

笑いながら言われた言葉には、笑顔で頷いて。
そしてやってきた憑依の時間は、終わって。
なんだか透悟の奮闘ぶりに温かい視線を向けてしまう。

「魔術師だったんだ……いや、そうじゃなくて
 がんばれ透悟!までテンカウント経ってねぇぞ!」

両手を握りしめて応援の体勢。
プルプルと震えているものの、着実に立ち上がっていく姿に感動を禁じえない。

「お、おお……!さすが透悟!」

感動で抱き寄せそうになる両腕を引き止めて。
今は見守るのだとベンチから立ち上がってテディベアの前にしゃがんで。

「手、上げられるか?上げたらちょっとずつ引っ張るから」

そう言いながら、テディベアの両手の前にこっちの両手を差し出そうと。

深見 透悟 > 『握手出来なかったの、結構引きずったからな……
 握手はする、絶対するぞ!』

むんっ、と決意を新たにその日を楽しみにする透悟。
その日が近いのか遠いのかは知る由も無いが。

『自虐ネタじゃなくてゴーストジョークっての。
 これからも大事にしたげなよ。……まあ、俺が入っちゃうんだけどさ。』

そして入っちゃった透悟。
幽霊からカボチャを経て、テディベアにクラスチェンジ。

「……“天才”魔術師だからね。元だけど。
 これでも神童とまで呼ばれて崇め奉られてたんだからなー」

それが今やテディベアである。
自分を見守る美子を有難く思いつつ、やたらと広く大きくなった視界に少しだけ酔う。

「へへっ、どんなもんよ……
 手?……オーケー、上げれる。こ、こう……?」

ふるふる、両足が震え続けているがなんとかバランスを保ちながら両手を前に。差し出された手にそっと触れる。
さながら赤ん坊の一人立ちの光景。

高梨美子 > 「おう、勿論。楽しみにしてる」

なんだか力強い声色にこっちも力強く頷いて。
霊感を鍛えてみよ、そうも呟いてみる。

「了解、ゴーストジョークね……うん
 いいよいいよ、今からそのテディベア透悟のだし」

そのために持ってきたのだから、と続けた後は
必死に立たとうとしている透悟を心配そうに見守るのだが。

「へぇ、じゃあ色んな事できるんだ?」

なんて問いかけもしたけれど
今は赤ん坊の独り立ち?を見守ることに専念。

「お、おう……その調子、いいぞ」

そっと触れた両手、それを柔らかく握りしめて
少し腰を上げてゆっくり、ゆっくり後に下がりながら歩くのをサポート。
するのだけど。

「あ、浮けたりしねーの?」

深見 透悟 > 「よ……よし。
 入れた、けど……あまりにも人間の時とも、幽体の時とも勝手が違い過ぎて……
 って、え?リリィ、俺のになっちゃうん?」

それはどうなんだ、と躊躇いが生じ。
その所為で憑依が薄れて足の力が抜けかけて、慌てて踏ん張る。
このテディベア、そこそこ大事な物なのでは……と訝しみつつ。

「出来た、が正確かな……死んでから魔術が使えた試しがなかったし。
 きっとリリィの身体でも使えない……と思う。」

なので“元”天才魔術師を自称するのだった

「なんか美子さんもめっちゃデカく見える……変な感じぃ
 ……いや、ホントすげえわ。」

大きく見える手に握りしめられ、よちよちと歩くのを手伝って貰いながら。
少しだけ余裕が生まれ、足元から顔を上げれば、先刻熱い視線を向けていたお山が前に。
かなりテン上げした幽霊インテディベア。歩く足にも力がこもる。

「さすがに浮いたりはまだ無理そう。慣れてきたら出来る気はするけど……
 まずは自由に動けるようになってからだ。」

高梨美子 > 「お、おう……難しいだろうけど頑張れ。
 ん、ああ……毎回持ってる訳にもいかねぇし
 それに、透悟なら良いなって思ってさ。
 あ、大丈夫なら持って帰るぜ?」

寝るときも笑うときも泣く時も一緒ではあったけど
こっちとしては透悟にあげるなら問題はないと、から、と笑った。
大丈夫なら持って帰る、とはさっぱりと言い切って。

「そっか、まぁ魔術使えようが使えまいが透悟は透悟だし」

なるほど、と頷いたら下のテディベアを見下ろして。
ぷるぷると可愛いテディベアを今すぐ抱きしめたい衝動を
押し殺しつつ。

「そりゃそうだろうよ。ってか、歩いてるの見るの良いな。
 めっちゃ可愛い。もてんじゃねぇの?」

小さなその手を優しく握りしめつつ後にゆっくりと歩く。
顔を上げた様子がなんともまた可愛らしくて、息が荒くなってくる。

「はぁ、はぁ……そ、そうだな。
 まずはなれてからだな! んじゃあ頑張ろうぜ!
 っと、そろそろ行かねえとだな」

一度テディベアの手をゆっくりと離してスマホを取り出して
電源を入れてみると結構な時間だった。

「どする?今日も遊びに行くか?それとも練習するか?」

深見 透悟 > 「が、がぁんばぁるぅ~……
 別に、常にカバンにテディベア忍ばせてる不良、可愛いと思うけど。
 俺なら良いんだ……えっと……
 まあうん、何だ、その……照れる……」

素直に照れた。そこまで信用されてるとは思っていなかった。
きゃー、と身をよじるテディベア。動きがとてもファンシー。

「この姿でも使えたら、それはそれで面白いけどなー
 魔術を駆使するテディベア。もうアニメや漫画じゃん。」

使えるかなー、どうかなー、と少しだけ期待してみたり。
やっぱり魔術をそれなりに修めた身、使えてた物が使えなくなっているのは何だか心細い。
頭上からの底知れぬ圧力に内心おびえつつ、懸命にいちに、いちに、と歩く。

「えー、モテたら困るなー。
 あ、まさか美子さんも若干メロメロになってる~?」

息が荒い。正直ちょっと怖い。迫力が凄い。
が、そんな恐怖心は面前のたわわに容易く吹き飛ばされるのである。助平パワー。

「えっ、もうそんな時間?
 あー、うー、どうすっかなー。この格好で遊びに行ったら動き遅いし迷惑かけちゃうかもだしなー」

手を離されればぺたんとその場に座るテディベア。
少しの間悩んでから、よし、と結論を出して。

「今日は練習する!」

高梨美子 > 「が、がんばれ~?
 ……カバンの中身圧迫されるから、いい。
 ふへへ、俺も照れた」

透悟が素直に照れたら、こっちまで照れくさくなってしまって
身を捩るテディベアにこっちも身を捩りそうになった。
とってもファンシーで、お持ち帰りしたいと言う欲望が出てきて
圧力が増したかも知れない。

「いいな、それ。少女のピンチに駆けつけるテディベア……!
 それか魔法少女のお供とかもいいな」

やっぱり使えたほうが良いのかな、と透悟の内心を推察しつつ。
まさか怯えてるとは思わなかったこっちは目をギラギラさせて。

「メロメロになってる」

食い気味に言ったとか。
抱きしめたいー、とか少しだけ跳ねてみる。

「透悟ってば優しいな……ん、了解。
 今日は俺も大人しく帰るわ」

根本で消えていた煙草を携帯灰皿に押し込んで
それをポケットに仕舞うと、腰を上げて。

「カラスとかに気をつけろよ? あ、猫とかもな?
 あー……心配だけど。またな!」

迷いを振り切って颯爽と階段へと向かうものの
心配そうに何度か振り向いたとか、それでも、階段を降りていったら
寮まで帰ったのだろう。

深見 透悟 > 「というか現在進行形でがんばっておりまして。
 ……そっかぁ。結構大きいもんなリリィ……
 て、照れんなよー美子さんが先に言ったんだからなー」

仕草は普段の、幽霊の時と変えてないつもりで居る透悟だったが、
見た目がテディベアなので一挙手一投足ファンシーになってしまう。
なんだか圧が増した!?と更に脅えが増しつつも、とりあえずどうにか受け流して。

「そしたら美子さんが魔法少女だぜ。
 サポートくらいなら出来そうだなー、魔術さえ使えれば」

バフとか得意なのでえっへん、と胸を張ってみたり
ちょっと受け流しきれないほどに圧が増してきた気がする

「即答された!しかも食い気味!
 ……まあ、元々美子さんのテディベアだもんね。そりゃそうか。」

あーあー困りますお客様そんな風に跳ねられるとあー
抱き締められたら昇天しそうな気がした透悟なのだった。

「ん、気を付けてね。
 次会う時までにはもっとしっかり動けるようになっとくから!
 ……そしたら、まあ……抱っこくらいは、されてあげない…こともない……」

元々美子さんのリリィだからね、と言い訳がましく告げて。
ぺたんと座ったまま帰宅を決意した美子を見上げるテディベア。
目のやり場に困ってちょっと目を伏せた。

「はーい、またねー美子さーん!
 ありがとー!ホントにありがとー!」

ご案内:「第一教室棟 屋上」から高梨美子さんが去りました。
深見 透悟 > ふんふんと手を振りながら美子を見送って
そして屋上にはテディベアに入った幽霊が残されて。
慣れない事をしてもう足腰立たないのか、座り込んだままだ。

「さっきから薄々考えないようにしてたんだけど。」

ふわふわでファンシーになってしまった自分の手を見る。
感覚がある、というのはとても久々に思えた透悟。
しかし、ここで問題が発生していた。

「……入ったは良いけどどーやって出るんだコレ
 まあ、いいか。とりあえず練習だ練習。リリィの体の感覚、物にしないとな!」


その後しばらく夜の校舎を徘徊することになるとは、まだこの時点では透悟にも読めなかったという。

ご案内:「第一教室棟 屋上」から深見 透悟さんが去りました。