2022/04/27 のログ
ご案内:「第一教室棟 職員室」に東山 正治さんが現れました。
ご案内:「第一教室棟 職員室」に紅李華さんが現れました。
東山 正治 > 東山はあまり職員室に長居はしない。
この場は自分にとって好ましくなかった。
好き好んで"嫌な奴"がいる場所にとどまる必要はない。
ましてや、その異端側が自分ならわざわざ輪を乱すこともない。

「……シャルちゃんは……いねぇな」

喧しい隣の席の教師はいなかった。
相変わらずそこらでは人間人外問わず自らの事務を進めるものばかりだ。
時折談笑したりと、東山にとっては今でも受け入れがたい光景だ。
思わず、口元が苦く歪んだ。

「さて、と……」

ならば長居は無用。
散らかりもしない、物も少ない。
なんとも殺風景な己の机に手を伸ばした。

紅李華 >  
 
「えーと、この後はふたっつこーぎがあってー、その後はほけんしつに戻ってー」

 今日はいつもよりちょっとおしごとが多い日!
 こーぎの準備はできてるけど、ぜんぶしょくいんしつにおいてきちゃった。

 ずるずる。
 うー、髪の毛おもいー。
 だれか結んでくれないかなー。

「――你好ー!」

 がらーっとドアをあけて、しょくいんしつ!
 みんなおしごと中みたい。
 あれ?
 あのしぶーいかおのおじさんはー、

「――さだはるだー!
 めずらしー!
 さだはるー、かみ結んでー!」

 ずるずる、ぺたぺた。
 いっつもしぶーいかおのさだはる!
 あいさつした時くらいしか、会ってないかもー!

 ――李華は、東山に躊躇なく近づいていく。
 自分の髪を引きずらないように抱えながら、後ろから抱きつくように飛びつこうとするだろう。
 

東山 正治 >  
別に何か重要なことを忘れたわけじゃない。
本当にただの嗜好品。引き出しを開けて取り出したものは……。

「あ……?おわっ!?」

はっきり言って自分は浮いた存在だと自覚がある。
この時代において適応することもなく排他的。
職員室でもきっと浮いているだろう。
だから、まさか話しかけるようなバカが今は見えない以上
"そんなことはない"と思うだろう。

まぁ、バカはきた。
背中から気配を感じた頃にはもう遅い。
衝撃と共に体が揺さぶられ、気色の悪い人肌に表情をゆがめた。

「なんだよ急に……!?あのさぁ、李華ちゃん。頼む相手間違えてるって……!」

この新任教師、いったい何のつもりなのか。
張り付く中年の体はまぁ人並。男だからちょっと固い。
ぐいぐいと迫る彼女を無情にもぐいぐい押して引きはがそうとする。

紅李華 >  
 
「やだー、さだはるがいいー!」

 むむ、さだはるが嫌がってる!
 でも本人は、きょーはさだはるがいいのだー。

「きょーは、さだはるにしてもらうってきめたのー!
 だからさだはるが結んで~!」

 ぎゅーってしがみついちゃう。
 本人、力には自信ないけど、さだはる、やさしーかららんぼーにしないのしってるもん。

 ――引きはがそうとしても、しっかりしがみついて離れようとしない李華。
 東山の身体に腕を回して、逃がすまいとホールドしようとするだろう。
 

東山 正治 >  
「なんだそりゃ……おいおい。ガキはねぇんだ、ぞ……!」

それこそがっちりくっついて離れない。
クソ、本当にきっちりくっついてきやがる。
おまけにここじゃぁ目立つから騒ぎを起こしたくないっていうのに。

「(クソ、仕方ねぇな)」

意固地になっても仕方ない。
東山はある一点を除けば譲渡ができる。
引きはがそうとした手も気づけばどうどう、とあやす様に髪を軽く撫でた。

「わかったわかった。言っとくけど、ヘンに結ばれても文句言うなよ?」

はぁ、あまりにも大きなため息だ。
とりあえず観念した。

紅李華 >  
 
「嗯!
 さだはるのすきにしていいよー?」

 えっとー、いすーいすー。
 ゴロゴロ。
 しゃる老師のいすだけど、べつにいいよねー?

「それじゃー、おねがいします!
 さだはるにしてもらうの、うれしー」

 だって、さだはるいっつもいないもん。
 もっとお話ししたいのになー。

 ――隣の席の椅子を引っ張ってきて、目の前に座る。
 なぜか向き合って、きらきらと期待の眼差しを向けているが、椅子を回せば簡単に背中を向けさせられるぞ。
 

東山 正治 >  
「好きにしていいってなんだよ。
 大体、女の子なら自分で自分の髪型位決めて来いよ」

まったく、こう見ると本当に子どもだ。
頭の中も全部根っこからいろいろ吸われてもするのか。
嫌ではあるが一度言った以上は無しとするのが後々面倒だ。

とりあえず道具は……勝手にシャルちゃんのを使うか。

「…………」

目と目が合う。なんでそんなキラキラしてるのやら。

「前向いてどうすんだ。後ろ向きなよ」

くいっ。東山はそんなことに付き合うはずもない。
椅子を回せば無造作に伸びっぱなしの髪を手に取った。
頭頂を支配する異形の証に目を細めた。
奥底で湧き上がるどす黒い感情を押し殺し──────。

シュッ。ヘアスプレーからミスト状の液体が飛んでいく。
かのおしゃれに気を遣う教師の道具なんだ。効果はあるだろう。
髪になじませるようにゆるりゆるりと手慣れた手つきで櫛を解き
スプレーを馴染ませ髪がサラサラになったときにくるりと一つにまとめ
ヘアゴム回して終了だ。雑多な一本結び。凝った髪型なんてやり方知るわけもない。

「……ほら、これでいいか?」