2022/07/29 のログ
ご案内:「第一教室棟 保健室」に紅李華さんが現れました。
ご案内:「第一教室棟 保健室」に東山 正治さんが現れました。
紅李華 >  
 おひるのじかん!
 いつも本人ひとりでご飯だけど、今日はいっしょ!

「――さだはるーここ!
 ここ、人家のほけんしつ!」

 いつもといっしょの、くしゃくしゃ顔のさだはる!
 こーぎの後にさそったら、いいよっていってくれたの!

「こっちこっち!
 こっち、すわって!」

 いすをぐいぐい。
 てぃーせっとをだしてー。

「さだはるー!
 のみものはなにがいーい?」

 さだはるは何がすきなのかな?
 きらいなのはすぐわかるけど、好きなのってよくわかんないな。

 ――同僚、先輩にあたる東山教諭をダメもとで誘った昼休み。
 お昼をごちそうするからと、保健室に連れ込むと、観葉植物と生薬のプランターで飾られた保健室。
 椅子と簡易テーブルを用意して、そこに先輩を招く。
 招いた本人は、茶器を手に取って問いかけの返答を待っている。
 頭の上の花は、今日は巨大なお団子ヘアに隠れている。
 団子が大きすぎて、雪だるまかなにかのように見えるくらいだ。
 

東山 正治 >  
東山は基本的に人付き合いは悪い。
理由は簡単。異能者ないし、人外が大勢だからだ。
とは言え、この通り性根が悪い以上非異能者にだって付き合いがいいかと言われれば『No』だ。
この学園においては一人で過ごすことが大半だ。

「……付き合うとはいったけどなァ……」

かといって絶無というわけじゃない。
しつこく誘われれば応じる事もある。
まぁ教師同士の昼飯位はたまにはいいだろうと思ったが
誘われた先は食堂でも何でもない、言うなれば"私室"だ。
何処となく引き攣った表情のまま肩を竦めて辺りに視線を滑らす。

「別に屋上とかじゃダメなワケ?別にいいけど……
 あー……どっちでもいい。李華ちゃんの好みに合わせる」

入っておいてなんだが親しくもない相手の
プライベートの可能性を考えると居心地はよくない。
招かれておいて今更キックアウトするほど育ちが悪い訳じゃない。
促されるままに椅子の上に座れば、適当に頬杖をついた。

「オタクもしつこいね。俺以外にもいただろ」

紅李華 >  
 
「嗯、おくじょー、あついよ?」

 おくじょーだと、ねっちゅーしょーになっちゃうかも。
 うー、さだはるの好きなのが知りたかったのにー。

「んーんー!
 あのね、さだはるがいーの!」

 なかよしのせんせーもいるけど、なかよくしになりたいせんせーは、さだはる!

 ――他にもいただろ、と言われれば。
 身を乗り出すような意気込みで。
 居心地が悪そうな東山と対照的に、心底嬉しそうにしている。

「人家のこのみ――んー」

 じゃあ、りょーぶく、そーじゅつ、にんじーんと。
 んー、あとはちんぴに、とーき――こーぼくも入れようかな。

「――はい、人家のとくせーぶれんど!
 あ、好みでハチミツいれてねー?」

 とんとん。
 てぃーぽっと、かっぷ、はちみつを並べて。

「それとー、これが、おべんと!
 哥哥がね、さだはるの分もつくってくれたの!」

 おべんとばこをふたっつ。
 おはしもふたっつ。

 ――おかれたのは、独特な匂いの煎じ茶。
 ハチミツは大きなボトルで。
 弁当箱は子供向けの可愛らしいものと、もう一回り大きい大人向けのもの。
 ふたを開ければ、李華のものは、可愛らしいキャラクターをモチーフにしたキャラ弁。
 東山に渡されたものは、シンプルだが栄養バランスの考えられた弁当。
 炒飯と春巻きがメインに据えられている。
 

東山 正治 >  
「知ってる。断る理由になるからな」

特に常世はヒートアイランドだ。
簡易なマジックアイテムで外でも熱中症対策は出来ているが
極力空調のいる部屋にいた方が間違いない。
要するに、あの手この手で断りを入れる気だったらしい。
ヘッ、とどことなく嫌味な笑みを浮かべた。

「俺は嫌いだけどね」

そのまま本心を吐き捨てた。
変わってしまった世界を、モノを、人を受け入れられない男にとって
如何なる理由があろうと、目の前の"混ざりもの"を許容することはない。

そんなこんなで出てきたカップからは独特の匂いがする。
普通のお茶ではなさそうだ。煎じ茶。何処となく漢方的な匂いを感じる。
どこぞの国には"薬膳"というものがあるらしい。
そう言った類のもののようだ。カップにおろした気だるげな視線は、弁当箱に向けられた。

「…………」

何とも苦い顔だ。
適当にあしらうつもりだったのに
まさか、自分の分まで作ってあるとは思うまい。
此処までもてなされるのは予想外だ。思わず、ため息が漏れた。

「……毒は食わないよ?俺」

ここぞとばかりに減らず口。

紅李華 >  
 
「そーいうとおもった!」

 えへへ、さだはるの言いそーなこと、なんとなくわかってきた!

「人家はさだはる、すきだからいーの」

 ふふん。
 さだはるが本人のこと嫌いでも、本人がさだはるがすきなのに変わんないもん。

「嗯?
 どくも、くすりも、いっしょだよ?」

 ――斜め上に答えを返しつつ。
 もちろん、毒なんて入っていないのは東山教諭ほどの人間ならわかるだろう。
 純粋に、妹の『友人』に向けて作られただろう手作り弁当だ。
 そして、巨大お団子を揺らしながら、李華も椅子に座った。
 

東山 正治 >  
「…………」

別に東山は機敏に疎い訳じゃない。
知っているとも、そういう人間だって。
人の好意に気づかない訳じゃないし
ましてや、こんなにわかりやすい相手…────。


"反吐が出る"。


「気持ち悪ィ」

どんな事情かなんて知らないとも。
どんな事情かなんて知ろうとも思わない。
どんな事情であろうとも、"人のフリ"をしている連中が

────……気持ち悪くて仕方ない。

知っているとも。
どんな事情があって異能者になってしまったのか。
わかっているとも。
致し方なく地球(ココ)にいるんだって違法者が。

知っているからこそ、地球人(じぶんたち)と同じ心を持っているのが
同じだっていうのが、堪らなく気色悪かった。

だからこそ零れたヘドロは、『東山正治』という人間の
内包し築き上げてしまった"何か"に相違無い。

そんなヘドロを忘れたかのように、ヘラリと笑う東山。

「ソイツはそうだ。ま、俺もそこまでされたら頂くさ。
 ちゃんと"教員同士"の礼節位は持ってるつもりだからな」

ずれた答えだ納得はする。
東山はこの世のほとんどが"嫌い"ではあるものの
教員であり、一人の人間である以上最低限の付き合いはする。
軽く両手合わせ、"いただきます"の挨拶を終えればカップを手に取り口にした。

「…………」

ノーはちみつ。思ったより何とも言えない味。

紅李華 >  
 
「――我喜歡你。
 いいの、それでも」

 にっこり。
 みんな、りゆーがあって、すきとかきらいとか、色々ある。
 それくらい、本人にだってわかるもん。

「哈哈哈っ!
 さだはる、はちみつ!
 おさとーもあるよ?」

 さだはるのしぶーいかお!
 うそつきにっこりより、このほーがすきかも?

 ――漢方茶を飲んでしぶーい顔をする東山教諭に、笑いながらハチミツとスティックシュガーを差し出す。
 そして自分は、大量のハチミツを溶かしこんでお茶を飲む。
 携帯端末で弁当の写真を撮ったりもしていた。
 

東山 正治 >  
「そう言うところだっての」

別に彼女だけじゃない。
どいつもこいつも突っぱねているのに
義務で付き合えば勘違いしてくる。勘弁してくれ。
東山は苦い笑みを浮かべたまま首を振った。

「甘いのも好きじゃないの。まぁ、かといってコイツは……
 ……なんだ。流石に独特な味でもしてんな。コレ。よく飲むねェ」

とてもじゃないが毎日飲みたいという味ではないな。
とりあえず口直しに弁当を食べよう。炒飯と春巻き。
随分と中華だな。ちょっとラーメンが欲しい。
男の子ってそういうのだよ。歳で食べた後一時間は動く気激減するけど。

とりあえず春巻きにかじりつくことにした。

「……で、少しは自分で髪を結べるようになった?」