2022/10/24 のログ
ご案内:「畑」に小鳥遊 日和さんが現れました。
■小鳥遊 日和 > 「ふんふふんふーん、ふん…んー…♪」
猫車をごろごろと押しながら畑に向かう。
蘚苔類でなくても、植物の手入れは大好きだ。
ご機嫌な調子で鼻歌すら歌う。 誰かに見られたら恥ずかしいが、
広い畑の中出し、そうそう見つかるようなこともあるまい。
今日もしっかりとメンテナンスをするぞと意気込んで
畑に向かっていた最中、違和を覚えてピタリと動きを止めた。
「んん…? なにか…?」
眼鏡を外して、拭って、かけてからもう一度確認。
やっぱり畑の中で何かが動いている。
手袋を嵌めて、農具を備えたベルトポーチを装備。
戦闘準備OKだ。 常世学園の果実は怖い。
殺人トマトや外道ナスなどの駆除も、大事な仕事の一つだ。
猫車を置いて、”なにか”の元にそっと近づいた。
■小鳥遊 日和 > 「かぼちゃだ…。」
畑の中をかぼちゃが動いていた。
蔦を上手に使い、の畝をするすると移動しているのである。
「うーん、どうしようかな……」
移動するかぼちゃを前に、思案に耽る。
時期が時期だし、もしかしたら魔力を備えた”おばけかぼちゃ”かもしれない。
だとしたら、ただ簡単に駆除するのは難しい。抵抗なり反撃なりされる可能性もある。
戦闘力が高いというわけでもない自分では、かぼちゃを畑に縫い留めるのが精一杯だろう。
動くかぼちゃの移動速度はそこまで早くない。簡単に追いつける速さだ。
「とりあえず大人しくさせればいいわけだから…。」
かぼちゃの前にしゃがみ込むと、手袋を取ってそっと手をのばす。
眼の前の”障害物”を確認するかのように蠢く蔦にそっと手を伸ばした。
そっと蔦に触れ、”自分”がいることを相手に伝える。
蔦は驚いたようにびくりと震えるが、こちらは動かない。
そろそろと、確認するような動きで蔦が手に振れるのをじっと待つ。
■小鳥遊 日和 > つるを確かめるように、そっと指の腹で撫でる。
くすぐったそうに動くつるを抑えるのはちょっと大変だけど、
逃げ出したりしないだけずっといい。
「うん……」
なでたときの感覚、張りはどれをとってもいいかぼちゃのそれだ。
そして、なによりも強い魔力。 指に絡みつくつるの感覚を味わいながら、
まるで犬猫でも撫でるかのように、つるを優しく指で撫でる。
しばらくそうしてから手を動かし始める。 相手が動じないのを確認して、
果実本体にそっと触れた。
「わー…」
手を当てただけでも感じられる、特別濃密な魔力。
思わず小さく声を上げた。 丸々としたかぼちゃの果実の中に、
魔力がたっぷりと溜め込まれている。 この季節ならではなのかもしれない。
「でも、こうして触ってるとちょっと楽しいな…。」
よしよし、と動物の頭でも撫でるかのようにかぼちゃを撫でる。
そうしてじゃれついていると、不意にかぼちゃの中の魔力がうねり始めた。
「――――え…?」
有無を言わさず、魔力の奔流が自分の体に流れ込んでくる。
一瞬とも、数時間とも思えるようなときが終わったころには、
眼の前のかぼちゃは”ただのかぼちゃ”に戻っていた。
「……ううん…」
念のため自分の体を確認する。
胸。大きくなってない。 お尻。もとから大きい。
股間。ちゃんとある。 自分。男性。
「うーん、大丈夫そうかな?」
確認しておかしなところはなかった。
ひとしきりチェックをした後、猫車の方へと戻り、
畑仕事を再開する。
…お尻の付け根からしっぽのように伸びている、かぼちゃのつるに気づかないまま。
ご案内:「畑」から小鳥遊 日和さんが去りました。