2019/05/02 のログ
佐藤重斗 > 水を汲むには何がいいだろうか。袋にポリタンク、様々な物が思いついたがいまいちピンとこない。
取り敢えずポリタンクでいいか。
そのように思い歩き出すと、こちらに歩いてくる女の子に目を奪われる。

「……すげぇ美人。」

しかし現実は悲しいかな、色気より食い気。
美人のお姉さんも何のその。ポリタンクを探しに足を踏み出した。

花ヶ江 紗枝 >   
「突然話しかけてごめんなさいね。
 何か落とし物でもしたのかしら。」
 
ブレザーの内ポケットから風紀の腕章と生徒手帳を取り出し
手帳を開いて見せた後、仕舞いながらのんびりと話しかける。
このパターンだと大体食い気に突き動かされているか
実際この辺りで何かをなくしたとかそんな理由かなと当たりをつけつつ
少し離れた所で立ち止まって。

「もしそうなら風紀に届けられているかもしれないから
 お話を聞かせてもらえれば力になれるかもしれないのだけれど」

風紀には似合わないようなのんびりとした口調で告げると
顔をじっと見つめて軽く笑みを浮かべた。

佐藤重斗 > 風紀委員。常世学園の治安を守る警察のような組織。
その一員であるお姉さんに話しかけられる。
落し物……?違う、探し物だ。
もしや風紀委員ならばポリタンクの場所を知っているかもしれない。

「落し物じゃなくて探し物だな。
水を汲むためにポリタンクが欲しいんだよ。
何処にあるか知らないか?」

自身が何をしようとしているのかも詳細に。
傍目から見れば自首しているようにしか見えない。
完全に目をグルグルさせながら口を開く。

「腹が減って死にそうなんだよ…。」

花ヶ江 紗枝 >   
「……ぁー」

ある意味予想通りではあるものの、一番困るパターンだった。
とは言えこの時期珍しくないのが困る。

「ごめんなさいね。手伝ってあげたいのは山々なのだけれど
 食堂で提供されるものを持ち出し(テイクアウト)するのはダメって決まってるの。
 ほら、食中毒とか怖いでしょう?
 食堂側も責任を取れないから……」

そう、悲しいかなテイクアウト禁止令。
暖かくなりだした昨今ともなれば尚更許可できない。

「だから食堂の水を持ち出そうと頑張るのは諦めてもらえると嬉しいわ」

先程とは違った溜息を一つ零すと困ったような笑みを浮かべて。

佐藤重斗 > 「…え?」

ポカンとした。比喩表現抜きでポカンとした。
水、だめ?、なんで?、食中毒?
はあああああ?
金がない。水もダメ。家に帰っても何もない。
ならば後はやる事はひとつだ。
ここまで思考時間0,2秒。

「貴方様の奴隷になります!だから飯奢ってください!」

そう。ジャパニーズDOGEZAである。
そして目の前で啞然とするお姉さんに向かって説明する。
自分をプライベートでも仕事でも好きに使っていい。
ストレス発散の話し相手でも可。
だから奢って?
風紀委員は大変な仕事。断られまい。
土下座してまで頼み込む姿に長身美女は。

花ヶ江 紗枝 >   
まるでこの世に神は無いと言われた信心者のように
青年の顔に理解と共に広がっていく絶望を眺め
何だか悪い事をしたような申し訳ない気持ちがこみあげてきた。
いや、自分が悪い訳ではないのだけれど。

「は?」

だからこそ繰り出された土下座に目を瞬かせた。
この子はいきなり何をし始めたというのでしょう。
いや、土下座とは認識できるものの一瞬脳が理解を拒んだ。
土下座までの判断が早くないこの子……。

「え、いや、そのね?
 それは構わないのだけれど……
 とりあえず頭を上げてくれると嬉しいかな」

こめかみを抑えながら苦笑する。
ああよっぽど切羽詰まってるんだなぁこの子。

「OK、じゃあとりあえず食事にしましょうか。
 少し考える時間が必要でしょう?お互いに」

そう言いながらくるりと踵を返し、
食堂の食券売り場の前までくると振り返って

「貴方食べれないものとかある?
 アレルギーとか」

面白がっているような笑みを浮かべつつ土下座している青年に問いかける。

佐藤重斗 > 貴方が神か。
父さん、母さん、俺女神に会ったよ。
目を輝かせながら食券売り場に飛びつく。

「アレルギー、嫌いなもの、共になし。
恩人に出されたものは死んでも食べる所存であります!」

ヤバいこの人のこと好きになりそう…。
冷静に考えたらヤバいこと口走った気がするが、奴隷でもいいかも。
そんな戯言が頭に浮かんで消えていく。

「人に奢って貰えるなんて…この世も捨てたもんじゃないな。
それもこんな美人さんにとか…。
俺、明日死ぬんじゃね?」

あれ?これは頭の中の考えだよな?口に出してないよな?
出してたら通報ものなんだが…。

花ヶ江 紗枝 >   
文字通り食べ物を差し出された犬のような様子に思わず笑みがこぼれてしまう。
こういうタイプの子は見ていて飽きないので嫌いではない。

「変な物を食べさせる趣味はないから安心して頂戴。
 幸い此処の学食、量だけは保証できるものが多いから
 ひとまず糊口をしのぐ程度にはなると思うわ。
 ……貴方が超大喰らいの異能持ちとかでなければだけれど」

アレルギー、好き嫌い共に無しとのこと。
出されたものはちゃんと食べる。
素晴らしい教育を受けて育った人のようで何より。

「ふふ、お上手ですこと。
 ひとまずは明日も健康に生きるために
 ちゃんと食べてもらえると嬉しいわ」

ついでにお札を崩してしまおうと諭吉さんを食券機に入れ
好きに選んで?と言うように微笑みかけつつ横にずれる。
この際好きな物をたらふく食べれば良いと思う。

佐藤重斗 > 好きに頼め、そう言われたら遠慮はするな。
そのように両親に教えられてきた。
だからトッピング丼を頼むことにしよう。
値は多少張るが、好きなものを好きなだけトッピング出来る素晴らしい料理だ。
ご飯の上にマグロやイクラなどの海鮮を乗せ、生姜焼きで隠す。
仕上げに小豆と生クリームを大量にかけたら完成だ。
ソレを持ちお姉さんと席に座る。

「いただきます!」

流し込む様に飯を食う。
見た目は悪いが、海鮮の風味と生姜焼きの香ばしさが甘さを引き立てていて最高にうまい。
数分間無言で食べ続け完食してしまった。

「ごちそうさまでした。ありがとうございます。」

そう言って笑いかける。そういえばまだ自己紹介すらしていない。
……自己紹介もせずに飯をせがんだのか、俺は。

「自己紹介がまだでしたね。
俺は佐藤重斗といいます。2年です。」

今更遅い気がするが少し決め顔で言う。
今までの醜態を忘れてくれるよう祈りながら。

花ヶ江 紗枝 >   
「はい、めしあがれ」

トッピング丼という注文したことのないメニューを選んだ青年は
海鮮の上に生姜焼きをのっけたうえにパフェもかくやというクリームをかけている。
正直見た目的にインパクトがすごい。これこういう食べ物だったらしい。
……たぶん今後私が頼むことはないだろう。
けれど美味しそうに食べている様子を見るに意外と味の組み合わせは良いのかもしれない。
飾る事無く食べたいものを掻っ込む当たり花より団子というか……
ああこういう所は男の子だなぁと思う。

「ふふ」

お冷を自分と青年の分、グラス二つに注ぐとテーブルの対面の椅子に座り、
一つを青年の傍に置き、自分は軽く頬杖をつきつつのんびり食事をする姿を眺める。
青年が無心に、けれど美味しそうに食事をする姿を眺めていると
何だか笑みがこぼれてきた。

「本当に美味しそうに食べるのね。
 ああそうそう、一応改めて自己紹介しておくけれど
 私は花ヶ江紗枝。島に来たのは5年前なのだけれど学生としては3年生ね。
 一応この島で風紀委員として活動させてもらっているわ。
 改めてよろしくね。重斗君」

にこにことした笑みを浮かべながら此方も軽く自己紹介。
けれど少し伺うような雰囲気も漂わせつつ質問を続ける。

「ひとまずどうしてそんな困窮しているのか聞かせてもらってもいいかしら。
 言いたくなければ言わなくても構わないのだけれど……。
 一食の代わりに奴隷になりますなんてよっぽどことよ?」

秒足らずで土下座してあの発現する程度には
切羽詰まっていたのだと思うけれど……ちょっと不用心すぎる気がする。

佐藤重斗 > 「金欠です。」

え?というような雰囲気が伝わってくる。
聞こえなかったのだろうか。

「金欠です。」

これについては諦めて欲しい。
ネジが外れると自分でも何をしでかすのかわからないのだ。
伊達に主人公になりたい何て理由で学園に来ていない。

「一食の代わりに奴隷云々は本当ですよ?
男に二言はありませんから。」

そうだ。男は潔く。吐いた言葉を飲み込まない。
それに打算もある。
この学園では何が起こるか解らない。つい先日PTSDを患った少女と話したのも記憶に新しい。
強くなるためには悪くないと思った。

「それにいざという時の為に力をつけたいので。」
「力が足りなくて大切な人が死ぬなんて嫌ですから。」

意志を相手に伝える様に目を合わせる。
非才で非力な自分でも、いつか大切を守るためにと。

花ヶ江 紗枝 >   
「あ、ああそう……」

やっぱり金欠かぁと思わず空を仰ぐ。
まぁ大体年頃の男の子の絶食理由なんて
余程忙しいか、好きな事にお金を使ってしまったかの二つが多い。
……まぁそれは仕方ないにしても。

「そうね、それに関しては後で幾つかお願いしたい事があるのだけれど……」

どうやら呑気な男子生徒がゲーム等にお金を使い果たしてしまった……というような
単純な状態でもないのかもしれない。
何やら事情があるとにおわせる言葉に少々考え込む様な表情を見せる。

「何らかの強くなる手段を欲している。という事なのかしら。
 私が風紀委員であるからこそ、その業務に携わる事でそういう機会があるのではないかと踏んだと。
 つまりはそういう認識で良いかしら」

だとしたら貴方にとっては確かに悪い話ではないわねと苦笑を浮かべて首を振る。
そういう考えを持つ生徒が少なからずいる事も確かだし
現に風紀委員の中にも同じ理由で志願してきた子も少なくない。
全く同じ理由で師事をせがまれた事すらあるのだから
その気持ちは理解できないでもない。

「……本当、貴方って危なっかしいのね。
 放っておくのも考え物かもしれないけれどどうしようかしら……」

余りにも純粋で無防備な有様に他人事ながら心配してしまう。
いつか悪い人に騙されないかなんて。

佐藤重斗 > 「お願いします。」

ただ頭を下げる。
絶対に引かない。諦めない。
……もし断られたらどうしようか。
毎日この先輩を訪ねて頭を下げよう。
そんな決意を滲ませながら言葉にする。

「お願いします。紗枝先輩。」

頭を下げながら考える。
先輩に頷いてもらう方法はないだろうか。
今のままではどうにも弱い。
だから考える。頭を回す。
自分の行動、先輩の言動、目線に仕草。すべての記憶から考える。
そういえば悪い人に騙されそう、と先輩は言った。
ならば…。

「先輩に断られたらスラムとかで依頼受けるしかないな…。」

紗枝先輩にギリギリ聞こえる声でそう言う。
先輩を騙しているようで心苦しいが許してほしい。
働いて返しますから…!

花ヶ江 紗枝 >   
ただ頭を下げる様子と声色から
このまま断っても引きそうにはないなぁと
無意識のうちに左手が髪先を弄びながら思案を巡らす。
こうなったらてこでも轢かないというタイプは何人か知っている。
皆まっすぐで、それ故に酷く傷ついている事が多い。
この子も恐らくはそうなるまで引かないだろう。
傷つくと判ってなお紹介するというのも気が引けるし
此処は無情を承知で断るべきかと思った矢先……

「……」

囁くような声にぴたりとその指の動きを止めた。
溜息を一つ吐くと姿勢を正して向き直り
青年を正眼にとらえる。

「いいわ、二言は無いのだものね。
 自分から言い出したのだもの。
 貴方には私の指示に従ってもらいます。
 相応の覚悟はあるのよね?」

一転、先ほどまでの緩い雰囲気は鳴りを潜め
穏やかながら鋭利な笑みを口元に浮かべていた。

佐藤重斗 > その声に満面の笑みを浮かべ顔を上げる。
だが目の前の女性の顔を見て笑顔が引きつる。
あれぇ?さっきの優しそうなお姉さんは…?
なんで日本刀みたいに鋭い人になってるの…?
もしかしてこの人仕事とプライベートで性格変わる人なのか?
ここまで頼み込み、頭を使っておいて今更なしにはできない。

「はい。覚悟しかありません。
文字通り一から指導お願いします。」

内面と外面を切り離す。気取られてはいないはずだ。
クソ。ご主人様と奴隷から始まるラブコメ的展開も少しは期待してたのに…。
いや、本気で鍛える気はある。でもそれはそれ。これはこれ。

「取り敢えず連絡先を交換しませんか?
お互い知ってた方が便利でしょうし。」

何とかお近づきになりたいです(切実)

花ヶ江 紗枝 >   
「……良いでしょう。
 まず指示は3つ。
 最低限これは守ってもらいます。」

正眼の姿勢のまま、指を一つ立てる。
余計なおせっかいと言われてもこれだけは言っておかなければならない。

「一つ目。
 今後金欠でどうにもならない時は知り合いか講師に、
 最低でも見ず知らずの誰かじゃなく生活委員か風紀委員を頼りなさい。
 生存権の保障の観点からある程度の食事は提供してもらえるわ。
 対価として社会奉仕活動に駆り出されるけれどそこは我慢して頂戴」

有無を言わせぬ口調とはこういう事かと知らしめるように
反論する隙すら与えず言葉を連ねる。
口を開こうとすれば冷え冷えとした視線を向けられることになるかもしれない。

「二つ目。
 手段と目的を切り離してはっきりさせなさい。
 この学園では異能や魔術との共存を教育の主題に置いている事は知っているわね?
 その中には当然、強い力を持ったそれらとの付き合い方も含まれるの。
 そのために訓練施設や、講師もいる。
 それでもなお風紀委員に属して活動を行いたいというのであれば
 私の奴隷としてではなく、直接風紀委員に所属なさい。
 私が事務方の風紀委員だったら貴方、年中書類仕事になるわよ。
 そうでなくてもあの子達、忙しすぎて最近殺気立ってるんだから」

そこまで一方的に告げていた硬質の声がふと緩む。
顔を上げたなら再び柔らかい笑みを浮かべているのが目に入る。
嫌いではない。そのこざかしさも、貪欲さも。
きっと彼には彼なりの矜持があって、今こうして頭を下げているのだろう。
矜持の為に頭を下げられる子はきっと優しくなれる子。
だからこそ……

「三つめは……
 ――もっと自分を大事になさい。
 この学園には色んな人がいるの。
 その中には言霊使いや契約術師だっているし、
 異邦人街にいけば倫理観が一致する相手の方が珍しい位。
 軽く吐いた言葉で文字通り一生拘束される可能性だってないとは言えないのよ。
 そうなったら、貴方が大切な人を傷つける側に回る事すらありうるの。
 私みたいに悪い人に捕まったら碌な事なんてないわ。
 ……そんな事の為に強くなりたいの?」

受け入れがたいと知っていても告げる。
少し疲れた様な声色は、過去の自分に思いを馳せているような
目の前の人物と同時に、どこか遠い世界の誰かに語り掛ける様な声色で……

「こんなこと言われても納得できないだろうとは思うけれど……
 最低限すら自分の命を守れない人が、自身を対価にしても誰かを救うなんてできないの。
 少なくとも私達はそんな被害を出させないために、この島にいるのだから」

佐藤重斗 > 目の前の女性の話を聞いて心にグサリと刺さった。
確かに少し考えなしだったかもしれない。
そしてその言葉から彼女が本当に自分を心配していることが分かった。

「……はい。」

それしか言葉が出ない。
彼女の話し方やトーンから彼女に昔何かがあった事を悟ってしまった。
ああ。この女性は俺とは違う。
過去に何かがあり、それでも生きている強い人なのだ。
だからこそ申し訳なく思う。
彼女に辛い過去を思い出させてしまったことに。
彼女にそんなことを言わせてしまったことに。
彼女に……そんな顔をさせてしまったことに。

「そうですね。まずは自衛の力をつけられるように頑張ります。」

いつか力をつけて彼女を守れるように。
それを目標の一つに入れるぐらいは許してほしい。
彼女も、もう自分の大切なのだから。

花ヶ江 紗枝 >   
「……めんどくさい”風紀委員(ご主人様)”からの”上から指示(アドバイス)”は終わり。
 あとは貴方がどうしたいか、ね」

目を閉じて微笑むとゆっくり椅子から立ち上がり、
胸元から名刺を取り出すと裏にして机の上に置く。

「”誰かを守る為に強くなりたい。”
 そう言える貴方は貴方が思っているよりきっとずっと強い。
 それは貴方の望む強さではないかもしれないけれど……
 大切な子に大丈夫って、言ってあげられる日が来ることを願っているわ」

そう穏やかに告げるとくるりと踵を返し歩き始める。
何だか可哀そうな表情をさせてしまった。
本当に自分は悪い人間だと思う。

「あ、そうそう」

食堂の出口付近でふと足を止め、振り返る。
その顔には悪戯を思いついた子供のような笑みが浮かべられていて……

「もし何かあったらまた貴方にお願いするわね。
 これからよろしく。重斗君」

小さく肩の高さで手を振ると、今度こそ振り返る事無く食堂を後にした。

佐藤重斗 > 自分に背を向け歩いて行く背中を見送る。
いつかあの背中を守れるように。
これから頑張っていこうと思う。

「……そういや、俺が異能も何も無い一般人並の人間だって言い忘れたな。」

ヤバい仕事を持ってこられないだろうな…。
そう戦々恐々しながら風紀委員の手続きをするために歩みを進め始めた。

佐藤重斗 > また機会がありましたらよろしくお願いします。
私書庫でのメールも勿論OKです。

ご案内:「食堂」から佐藤重斗さんが去りました。
ご案内:「食堂」から花ヶ江 紗枝さんが去りました。