2020/06/16 のログ
ご案内:「第二教室棟 教室」にシャッハ・ルーフさんが現れました。
■シャッハ・ルーフ > ―白いタイルを斜に構えた陽光が柑子色に染める、そんな美術の時間に存在していた時には幾人かが押し掛けるであろう風景に一人。
こう言うのをエモーショナル、とでも言うのだろうか。ボクは一人、教室の端でそんな陽の光を浴びながらカードを弾く。
「…んーっ、長いなぁ…」
時計を見て一言、背伸びをしながら手持無沙汰にて半ば無意識に触っていたカードを箱の中に戻す。
■シャッハ・ルーフ > と言うのも、待っている理由はスーパーの総菜の割引待ち。今日は自炊する気分でもなく、金にも困っている訳ではないものの、消費を抑えられるならば僥倖。少しの時間だと思い、日々のマジックの鍛錬の時間に利用。少なくとも稼ぎ扶持になっている訳なので練習するには損無しである。
「ついでに新しいカードも仕入れるべきだったかなぁ…」
虚空に向かい一言。過ぎてしまった時は戻らない。
■シャッハ・ルーフ > 「もうそろそろ向かうかぁ」
丁度外からタピる、タピらない等という女子の声も聞こえてくる。そう言った流行に乗っかる者が動き出す時間帯なのだろう。生憎自分には流行に乗り遅れる癖があるみたいなので、あまり触れないようにしているものの…、休憩時間、昼休み、果てには授業中にも出てくる話題にもなってくると流石に興味も出てくる。
■シャッハ・ルーフ > 財布の中の小銭達との会話を数巡交わし数刻-
「買ってみようかな!」
結局流行に乗り遅れる事から目を逸らしながら後に重量が減るであろう財布をポケットに入れ、ショルダーバッグを肩に掛ける。
「よっ…おっとと」
痩型の自分には厳しい鞄の重さに思わず声を漏らす。
■シャッハ・ルーフ > 教室の端から端まで歩みを進め、陽光と共に少しばかり教室を照らしている照明のスイッチを消しに行く。
パチパチッ、という心地良い音を鳴らしながら教室がより一層現在時刻に相応しい色に染まる。
「さようなら~」
部屋を出る時の癖なのか、再び虚空に向かい別れの言葉を告げながら自らの影を出口まで移動させ、風景画に有りがちな部屋のドアを閉める。
ご案内:「第二教室棟 教室」からシャッハ・ルーフさんが去りました。
ご案内:「第二教室棟 教室」に城之内 ありすさんが現れました。
■城之内 ありす > 休み時間の教室は騒がしい。特に、実習に移動するような時間ならば、尚更だ。
次の時間は所謂体育の時間。
身体を動かしながら、異能の制御の初歩を学んでいく。
「……………。」
けれど、運動着に着替えるために移動していく生徒たちを横目に、この少女は席から動かなかった。
一緒に移動するような生徒がいて、それを待っているわけではない。
■城之内 ありす > やってしまった。突発イベント、忘れ物、の発生。
こういう時、普通なら…友達に借りたり、先生に言ったりするのだろうか。
けれど、まだ誰とも、友達と言えるほどの関係を築けてはいないし…既に教師はここには居ない。
みんなが居なくなってから、保健室にでもいこう。
少女はそう考えて、できるだけ目立たないように、バックを机に置いたまま座っていた。
ご案内:「第二教室棟 教室」に北条 御影さんが現れました。
■北条 御影 > 「―おや、貴方は移動しないんですか?
ははぁ、さてはサボリですかね。それなら私のお仲間ですね」
教室内から粗方生徒が去っていった頃合いだった。
人が居なくなるのを見計らっていたかのように、ありすが立ち上がる前に声を掛けてくる少女が居た。
赤いショートヘアの、活発そうな少女。
「いやぁ、サボリ仲間ってちょっとあこがれてたんですよね。
一人でサボってても暇なだけですし」
人懐っこい笑顔を浮かべながら、ありすの方に歩み寄ってくる。
このクラスに居るということは同学年、同クラスの筈だが―
■城之内 ありす > 声を掛けられた瞬間、ドキリとした。
どうして移動しないのか、何があったのか、あれこれ聞かれるのは面倒だ。
理由は自分の失敗なのだから、何を答えても悲しい気持ちになる。
けれど、そうではなかった。
「………え?」
私のお仲間。思ってもみなかった言葉。
顔を上げた少女は綺麗な赤い髪の少女を見る。
きっと同じ教室に居たのだろうけれど、こうして顔を見るのは『初めて』だった。
「同じにしないでよ……私は………運動着忘れたの。」
サボリとどっちが重罪かはおいておいて、ありすはそんな弁解をする。
でも、結果的にサボろうとしていたのは事実だ。
「それに、私なんかと仲間になっても、面白くないわよ?」
…無表情なまま、そう告げる。
■北条 御影 > 「忘れ物、と。それは大変。
急いで取りにー…戻ったところで間に合いませんね、これは」
ちら、と黒板上に掛けてある時計をみやれば、既に予鈴が鳴る直前だ。
この子の家が何処だかは知らないが、例え寮だったとしても間に合いはしないだろう。
「あぁ、お気になさらず。私、友達とか全然いませんので、こうしてお話出来る相手がいるだけで十分面白いですから」
自虐的に笑い、更に一歩を踏み出した。
席から動かないありすに向けて距離を詰めて―
「城之内ありすさん、ですよね。
私は北条御影。突然ですが、お友達になりません?
ほら、さっきも言いましたけど、私友達いないので」
す、と無遠慮に手を差し出してなお笑顔。
ありすの気分などまるでお構いなしだ―
■城之内 ありす > 「そ、最悪よもう…。」
なんて言っている間に、予冷は鳴ってしまった。
もう何をしても間に合わないし、逆に言えばあきらめもつくというもの。
「え、そうなの?
そんなグイグイ来る人に言われても全然信じられないんだけど。」
友達が居ない。そう言いつつ恐ろしい勢いで距離を詰めてくる。
勝手に話を進められて、手まで差し出されてしまった。
それでも、名前を憶えていてくれたことは、正直嬉しかった。
「いや、友達、って、そんな簡単なものじゃないとおもうけど。
でも、御影さんが良いなら……?」
表情は変えないまま、その手を取る。
からかわれているのかも知れないと思ったけれど、それでも繋いだ手は温かかった。
■北条 御影 > 「いえいえホントに。不思議ですよねぇ。
仲良くなるのは早いんですけどねー」
疑惑の視線を向けるありすに、わざとらしく首を傾げて苦笑い。
嘘は言ってはいない。決して理解されることはないだろうけれど。
それでも
「はい。お互いが友達だーって思えばそれはもう、友達ですよ。
だからありすちゃんと私はこれで友達。よろしくね、ありすちゃん」
ぎゅ、と握った手に力を込めて満足げに頷いた。
こうして友達になるのは何度目だったかな。
数えることに意味はないと思ってからはあまり考えないようにしているけれど―
「それでですねありすちゃん。
折角お友達にもなれたわけですしー、記念写真とか、どうですか」
余りにも唐突な話題転換。
ぐい、と自前のスマートフォンをありすの目の前に突き出して。
最初からそれが目的だったとでも思えるような強引さである
■城之内 ありす > 仲良くなるのは早いのに、友達は居ない。どう考えても、矛盾している。
握った手のひらは温かかったけれど、どうしても、素直に受け止められなかった。
それで友達になれるなら、友達が居ないはずなんかない。
「………ちょっと……。」
そして御影が唐突に記念写真、なんて言い出したので、ありすは…不審に思ってしまった。
写真を取られて、良かった記憶はない。
異能を発動させた時、ニュースでも新聞でもその写真が使われて…、ずっと、それを言われ続けたのだから。
「ちょっと待ってよ!
いきなり友達とか言われてもよく分かんないし、アレでしょ、どうせ私のこと、からかってんでしょ!!」
不信感と過去の記憶が、怒りを生んでしまう。
立ち上がり、椅子がガタン、と音を立てて倒れた。
…ありすの身体が10cmくらい、大きくなっていることに気付くだろうか。