2020/06/24 のログ
ご案内:「第二教室棟 保健室」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
「───……ん」

真っ白いシーツの中、眼を覚ます
薄ぼんやりとした意識の中、考えることは……

「…今、何時…?」

時計を探す、がカーテンに仕切られていてわからない
部屋の灯りが点灯しておらず、それでいて明るいということは…午後に差し掛かったところだろうか

伊都波 凛霞 >  
仰向けに寝ながら、ゆっくりと身体を動かそうとすると右腕激痛が走る
それで思わず顔を顰めると、顔にも

「いったた……あー……そっかそっか…」

右腕に添え木と吊り布、肌のあちこちに包帯と絆創膏といった姿で
登校することになってややいつもとは違う種類の視線を浴びまくり、
講義の途中で熱が出て、保健室で休んでいたことを思い出す

伊都波 凛霞 >  
凛霞の声を聞いた常勤の保険医がカーテンのスキマから顔を見せる
おはようございます、と苦笑すると、保険医は優しい笑みで状態を確認する
試験前だからって無理に登校せず休んでいてもいいのに、ともっともなことを言われ、ごもっとも、と思わざるをえない

保険医がカーテンから引っ込み、しばらくすると
水とタオル、新しい包帯に…そして錠剤を用意してくれた

自分でする?と聞かれれば笑顔でそれを肯定し、何かあれば呼んでね。と保険医は一時部屋を留守にするようだった

伊都波 凛霞 >  
「ん…っ、ぅ…‥いっ、た、た……っ」

ゆっくりと上半身を起こすと、あちこちに出来た擦過傷と背中の打ち身が激しく痛む
熱が出ていたのもあって全身ひどく汗ばんでいた

効き腕が使えないというのはやや不便だ
リボンを解いてシャツを脱ぐと汗で包帯が肌に張り付いていた

手を伸ばしてタオルをとり、ひとまず汗を拭うことにする

伊都波 凛霞 >  
「(…こんなにされたの、はじめてだなー……)」

汗を拭い、包帯を剥がしながら、やや気落ちして表情を見せる

反省点はいくらも思い浮かぶ
一つは…友人を傷つけられ、やや気負ってしまったこと
冷静に徹していたつもりが、冷静になれていなかった …と、思う

風紀委員として、戦闘行動に参加するならば、そこに勝ち負けの概念はない
効率的かつ被害を最小限に抑え、無力化・制圧する──そうでなければいけない

仇をとろうとした、勝ちに拘った、負けないという気持ちが滲み出た

「──はぁ」

余りの未熟さに、ため息すら漏れる

伊都波 凛霞 >  
包帯を取り替える
片腕が使えないのはやや大変だが、指は使える

汗でふやけた絆創膏を剥がすと擦過傷がひどい痛みを訴えてきた
これから消毒液でもっと痛い思いをするんだぞと自分に言い聞かせつつ、それらも替えてゆく

「………」

反省点は、まだまだ浮かんでくる
前者に追随するものとして、制圧しようとするには対象の情報が少なすぎた
同時に、なぜ風紀委員を襲っているのかも、推察するべきだった

あの怪異、黒触姫との接触で一番感じたこと
それは悪意というよりも一種の無垢さを感じる言動だ
何か邪さを感じさせない、直情的な物言いや行動の数々は…"余地"を感じさせる
言い換えるならば子供。それとと似たような、可能性や、伸びしろと言い換えられるもの

伊都波 凛霞 >  
それでいて尚且言葉が通じる
つまり一応の意思の疎通が可能であること
怪異なんて言葉も通じないモノが多い中、あれは違った

「…ダメだなー、ダメダメ……」

思い返せば返すほど、失点が見つかる
おまけに引き際を見誤って試験前だというのにこんな始末だ

汗を吸って重くなったタオルを水の入ったボールへ戻して、下着をつける
着替え持ってくればよかったな…なんて思いつつ。汗まみれのシャツとにらめっこ

伊都波 凛霞 >  
とまぁ、気落ちするのは結構大事だ
落ち込み、傷ついて、自分の失態を目一杯憂う
だからこそ次に生かせる、より成長できる。より強靭になれる
気にするな、だけでは成長には繋がらない
失敗した過去に蓋をしては、人は強くなることはできない

痛み止めの状態を口へ放り込んで、水で流し込む
たっぷり汗をかいてしまった身体に、冷たい水分が心地よい

「──さて、とりあえず……どうしよっかな」

この場合のどうしよっかな、はこれから先の身の振り方というよりも、
汗でべっちょりのシャツと下着をどうするかといったことなのだが…
さすがに下着やシャツまで借りるわけにはいかないし…いっそ体操着か?

「……起きてから考えよう!」

ぽふん、再びベッドへと倒れ込む
失敗したとはいえそれはその時の自分の精一杯
それで疲れた自分は、もう少しだけ、休ませよう──

伊都波 凛霞 >  
しばらくして、カーテンの向こう側からは凛霞の小さな寝息が聞こえ始める
この間、保険医が席を外していたのは、ある意味幸運だっただろう

常世の教師などは魔術に精通するものも多く、古くを辿ると魔術と医学は切り離せないものだった
故に、保険医がこの場にいたならば

カーテンの向こう、ベッドの脇に置かれた凛霞のスクールバッグ
その中にある一冊の本の、異質な魔力の増幅に、気づいてしまっただろうから──

ご案内:「第二教室棟 保健室」から伊都波 凛霞さんが去りました。