2020/09/03 のログ
ご案内:「第二教室棟 教室」に小南 美奈子さんが現れました。
■小南 美奈子 > 放課後の教室には暖かく眩しい斜陽が満ちていた。
今日は学園中の教室に雑巾がけをして、備品のチェックをして、窓を拭いていたら危うく落ちそうになったりして、ひどく疲れていた。
どこの教室かも分からないまま夢遊病のようにふらふらとした足取りで向かったのは何の変哲もない教室だった。
自分の机ではないが、窓際の一番後ろという寝るには絶好のスポットに眼を付けた後は速いものだった。
椅子に座って机にうつ伏せになり、そのまま寝落ちのコンボを決めるのは非常に容易だったのだ。
「う、ぅん……」
爆睡。無防備に睡眠をきめていた。
■小南 美奈子 > 「すょ……すょ」
小さな手を頬に乗せていたが、次第に圧迫感が不快になったのか手を広げ始める。ひんやりとした机は気持ちいいが、硬いのが非常にネックだ。寝心地は最悪である。
頬にかかった違和感を拭う為に頬の反対側に重心が加わる。深い呼吸と共に、自分の片腕が側頭部に乗りかかる。
「ふぁふ……くひゅう」
丁度良いポジションを見つけられたのか、首が少し斜めによるもののすやすやと寝息を立てる。
ご案内:「第二教室棟 教室」に鬼頭隼人さんが現れました。
■鬼頭隼人 > 「まずい、遅くなった」
授業も終わってから暫くが経ち、校舎から人の気配も少なくってきた夕刻。
無人となった廊下をドスドスと巨体を揺らしながら往くのは
詰め襟の制服を首元まできっちり留めたいかにも生真面目そうな風紀委員の生徒。
「むっ」
走っていると思われないぎりぎりのレベルでの早足で教室の前を一つ二つと通過していったが
その途中、三つ目の教室の窓から見えた光景に足を止めた。
別に放課後の教室で居眠りしている生徒がいてもいいとは思う。
思うが、時季が時季である。頭をよぎったのは熱中症の文字であった。
校舎内は空調が効いているが、彼女がずっと屋内にいたとも限らない。
外から戻ってきて帰り支度をしていたらくらっと来て、そうでない保証はどこにもない。
教室内に他の生徒の姿も見えない事を確認すると、教室内へと足を踏み入れ、寝ている彼女の元へと近づいていき
少し躊躇いながらも呼びかけながらその肩に触れて身体を揺すってみようとした。
「…おい、大丈夫か。」
■小南 美奈子 > 大きな足音、高い場所から降る声。人も少なくなってはしゃぐような素行不良の学生はこの時間にそういやしまい。
完全に走っている音でも無ければ競歩程度の速度。一定の間隔で闊歩するそれはなれた者の挙動だ。
真面目な歩き方が染みついた、真面目な学生か教師ということだけは判別がついた。
「うぅん……んん?」
日差しの差す教室でぐっと腕を伸ばして眠る女生徒。熱中症と疑われるそれは単なる疲労からくる転寝だったのだけど。
呼びかけと共に許される体。一瞬かなり不快そうに顰めた眉。
「ふぁ……ぁ、うん……大丈夫。疲れて寝てた……」
まだ寝ぼけているのか、今起きましたと言わんばかりのテンションで友人に接するような口調を彼に向ける。
「ひっどいんだよ。私に学園中の掃除をやれって言われてもうくたくたで……カローシしたらどーしよーってなって」
まだ寝ぼけているのか、伸びをしながら呑気にそう文句を垂れる。
少なくとも彼が心配した事態にはなっていないようであった。
■鬼頭隼人 > 「うっ…」
身体を揺すってみると反応が返ってきた。
どうやら体調不良という感じではなさそうで、それはまあ良いことだ。
「え、ええっと…悪い、余計な事だったみたいだ。」
だがこの反応、自分にも覚えがある。
気持ちよく寝ているのを邪魔された時
頭の中が眠気と不快感でぐちゃぐちゃになっている時のそれではないだろうか。
反射的に起こしてしまった事を詫びつつ、とりあえず触れるために近づいていた身体を一歩後ろに下げた。
「掃除…あぁ、生活委員の活動か。」
掃除、そう聞いて一瞬怪訝そうな表情を浮かべたが、そこで彼女が腕につけた腕章が目に留まる。
「…いや、まてまて。学園中なんて、委員会総出でも一日で終わるもんじゃないだろ。
なんだ、あんた嫌がらせでもされてるのか。」
だとしたら見過ごせない。
話を聞くために適当な椅子を引っ張ってそこに自らの巨体を乗せると、続きを促すようにして。
■小南 美奈子 > 「別にいい。んーっと……えーっと。
キミの異能ならすぐに終わるだろうって言われたのが発端で、いやがらせじゃあないはず。
私もほいほい生返事で受けたのも悪いんだけど」
なんか急に面談めいた様相を醸し出してきた。次第に覚醒しつつある意識の外、彼の言葉と勢いにただならぬものを感じつつある。
「操作系の異能や魔術で、雑巾くらいの重さならワンアクション分の命令を与えるだけで掃除が出来るっていうのが割れたせいで、一人掃除をさっきまでしてて……下級生の子達から尊敬のまなざしで、パイセンすごいですって感じに言われて、後に引けなくなって……」
上からの無茶振り、後輩からの羨望。板挟みになった己はこうして疲れ果てるまで掃除に及んだのである。
「…‥で、うん。あなたは風紀委員だよね。……あ、よくみたらすごくおっきいね」
やっと頭が冴えてきての第一声がコレだ。
■鬼頭隼人 > 「ほぉ?…いやだとしてもだ、能力があるからって一人でやらせるって言うのは酷いもんだ。
なんだ、生活委員会はそこまで人手不足なのか。」
彼女の口から自分の異能についての説明を受け、なるほどそういう能力であれば
確かに学園中の掃除を一人でというのもあながち不可能な話ではないと納得しかけたが
雑事を一人に押し付けるという姿勢はけしからんと、ただでさえ元々が不機嫌そうに見える顔をさらに険しくさせて。
そして話の中に下級生という単語が出てきたため
あ、この人ひょっとしなくても先輩だったと気づいて少し居住まいを正そうと浅く掛けていた椅子に深く座り直して。
「……ん?あ、あぁ、そうだ…です。まだ訓練上がりの新米だけど。一年の鬼頭です、よろしく。」
ただこの話、おだてに乗ってしまった彼女にもそれはそれで問題があるのでは?
そう考えると荒くなりかけた鼻息も収まっていくのだった。
と、そこへ今度は自分の事に話題が移ったので、ついでに互いに名前も分からないのはなんだろうと先に自己紹介を行って。
■小南 美奈子 > 「掃除を担当している人は特に少ない。汚いし汚れるし実入りにはならないから。わたし達掃除係は常に人手不足。
あなた達風紀委員も島中のパトロールだので巡回するのにも苦労していると聞いているし、それと同じようなもの。
でも、わたしが今回やったから、次は別の誰かが複数人で掃除をするかもしれない。わたし達はそうやって回っているから。
ウザいけど、頼りにされるのは悪い気分じゃあないから、平気。愚痴は吐きたくなるけど」
便利屋のように扱われることも日常茶飯事のような口ぶりである。不満はあれど、誰が命令したとかそういった告発をする様子はない。
――といったところで相手が敬語に切り替わったのを聞き受けて、自分の言葉から察したのだろうと判断。
とあれば彼は一年坊主かそこらなのだろう。その予想は概ね当たっていた。
「別に、そのままの口調で構わない。礼儀は重んじていないし、個人間のやり取りなら気にする必要もない。
私は三年の小南。よろしく。その大柄な体で謹厳実直なのは、とても好感が持てるけど、気が良すぎるのも考え物。もっと肩の力を柔らかくすると良いわ」