2020/09/04 のログ
■鬼頭隼人 > 「そんなもんか…いや、ですかね。風紀は年中人手不足なんて言われてるようですけど
どこもそう変わらないんですね。」
自分は風紀委員と言ってもまだまだひよっこ、組織の抱える問題やそれを解決するための日々の努力に対する実感はまだ持っていない。
島の現状については訓練過程で教わっていても、そもそも生徒としての経歴もまだ半年も経っていないのだから無理もない。
それだけに実感を伴った彼女の話は傾聴に値するもので、いたく真面目な顔で最後までその話に耳を傾けた。
「いや…うん。先輩だと思ったら、ちょっと緊張してしまって。気を緩めすぎかと思ったけど、そういう事ならもう ちょっと楽にさせてもらいま…もらう。」
先程とは逆に今度は敬語にならないように口調を訂正するという、これまた杓子定規な事をやってしまうのだった。
そしてそこで急に何かを思い出したように腕に巻いた時計に視線を落として。
「っと、さすがにそろそろ行かないと。じゃあ先輩、委員会の仕事があるんで行ってきます。…あーっと、また今度 会ったら、そん時は色々話聞かせてください。俺はまだ新米だけど、愚痴ぐらいならいつでも付き合えるんで。じ ゃ、お疲れ様!」
最後は多少は砕けた口調を取り戻し、来た時と同じように速歩きで夕暮れの教室を後にした。
■小南 美奈子 > 「だから今いる人員で頑張らないといけないし、委員会に参入させる生徒の確保に一部は躍起になっているんだ。
この二学期開始でまた人は増えたようだから、頑張って示しを付けないと」
お互いにだ。半年とはいえ既に新しく入った生徒もちらほらと姿は見えている。学年は同じとはいえ、先に入った者なりに道を示すことが彼にも出来れば良いのだが。
委員会は違えど、愛すべき後輩だ。自分を気に掛けてくれた、偉丈夫の男性。
さして興味の対象というわけでもないが、面倒を見るくらいは社交辞令的にアリだろう。
「スポーツでもやっているかな。階級を気にする風習が風紀ではあるのかな。ともあれ私の前では気を遣う必要はない。
同級生と思って勝手気ままに話しかけるといい。私も同じようにこの調子で話をするから」
ぐっと立ち上がり、伸びをする。固まった骨がこきこきと気持ちのいい音がする。体に悪いと思っていても、中々止められない。将来腰を悪くしたとき苦労しそうだ。
「そうか。気を付けて。これから仕事なら……あまり肩を張り過ぎず、いつもの調子でいると良い。
鬼頭も溜め込むものを溜め込んだり、疲れたりしたらいつでも頼って欲しい。私は先輩だからね」
教室を後にするまで礼儀正しさと砕けた口調を同居させた様相に短く笑い、彼を見送る。
掃除も終えて、自分の仕事はとうに終わった。己も帰ろうと机を正し、自分もまた教室を後にするのだった。
ご案内:「第二教室棟 教室」から小南 美奈子さんが去りました。
ご案内:「第二教室棟 教室」から鬼頭隼人さんが去りました。