2020/09/15 のログ
ご案内:「第二教室棟 教室」に干田恭支さんが現れました。
■干田恭支 >
───放課後
すっかり秋らしくなった風が窓から吹き込み、窓際最前列で机に突っ伏すように座っている恭支の髪を揺らす。
恭支の足元にはバケツと布巾。本日の委員会活動は教室清掃。
今居る教室を終えればノルマ達成で、既にそれは果たされている。
委員会への報告までまだ若干の余裕があったため、恭支はこうして自分が磨いた机に突っ伏している。
窓の外へと向けられた顔の先には朱くなった空以外に何も無く、その視線はどこへとも向けられていなかった。
■干田恭支 >
「──……割けないって。」
溜息が漏れ、一拍子遅れて恭支が呻くように呟く。
「風紀も公安も、今のとこ裏渋に捜索隊を派遣出来るほど人員割けないって。」
呟きが続く。
事の発端は昨日裏常世渋谷にて拾った学生証。
半年近く前に行方不明になった恭支の幼馴染のそれを、風紀・公安両委員会へと持って行き幼馴染の捜索を依頼しに行ったのだが。
「……まあ、微妙に管轄違いなのは分かってたけどさ~。」
裏常世渋谷という場所の特異性から、捜索隊の派遣は難しいとの返答を受けたのだった。
そりゃそうだ、と言われた恭支も納得するより他なかった。
落第街や転移荒野などの地続きの危険地帯であればまだしも。あの街はほぼ完全に異世界の様に思えた。
各委員会が公然と行える活動の範疇を超える事は悔しいけれど委員会という集団に末端ながら属する恭支にも理解出来る。
裏常世渋谷の清掃活動しろって言われても無理、って答える。絶対。
■干田恭支 >
「に゛ぃぃ~~~~~」
理解は出来る。けれど、だからと言って納得は出来ない。
仕方無いとは思えど、仕様が無いと諦める事は出来ない。
ようやく手に入れた手掛かりも、結局拾得物扱いで今は生活委員の庁舎にある。
まあ、風紀や公安の下にあるよりは近いだけマシか、とその点だけは受け入れている。
「ぃぃぃ~~~~」
一歩進んだ様で、その実全身は出来ていなかった。
もどかしさだけがぐるぐると体の中で渦を巻いて、声にならない声になって口から呻き声として散っていく。
「……はぁ~~」
そして最後にやり場のない思いが溜息となって零れ落ちる。
今日一日で幾度となく繰り返されたルーティンだった。
ご案内:「第二教室棟 教室」に幣美奈穂さんが現れました。
■幣美奈穂 >
放課後の教室の見回り。
風紀活動のなかでも、美奈穂が得意なほうな活動です。
なにせ、校舎内ですので。
場所が判らなくなっても1階にいけば玄関があるのですから。
そんな1つの教室、扉をこんこんと軽くたたきましてから少し頭を傾けて中を覗き込みます。
「誰かおりますか?
もう放課後なのです。
きちんと帰り支度をすませて、倶楽部活動や帰宅しないといけませんよ?」
教室に残って悪戯などを仕掛ける学生さんがいないか確認です。
■干田恭支 >
「ふあっ……」
突っ伏したまま暮れていく空の向こうをぼんやりと眺めていたら。
唐突に扉をノックされ、少女の声が聞こえ、はっと我に返る。
慌てて突っ伏していた上体を起こし、声のした方へと顔を向けて
「ああ、えっと……生活委員が清掃中。あいや、終わったとこだけど!
ちゃんと戸締りはしてくから、ご心配なく!」
こんな風に見回りをしているということは、風紀委員だろうか。
教師という可能性もあるが、教室内を覗く姿はどうも教師には見えない。
見た目で人を判断してはいけないとは、重々承知しているのだけれども。
■幣美奈穂 >
お顔を傾けてますと、長い黒髪がさらりと揺れるのです。
きょろぉっとゆっくりと見まわしていたら、僅かに聞こえましたお声にびくっ!
慌ててきょろきょろっとします、
怖い人だったらどうしましょう、とちょっと慌てるのですけど。
「あっ、いましたわ・・」
あげたお顔を、まっすぐに見つめてお目めをぱちぱちとするのです。
少し慌てているような感じに、どこかほっとします。
どなったりする大きな大人ではないようなのです。
「生活委員さんですか、お疲れ様ですわ。
・・えと、その机の上。そんなに汚れてましたの?」
つっぷすようにお掃除していたらしいのです。
美奈穂も自分のおうちのお掃除なら嫌いではありませんけれど、
学校の広い場所を掃除するとなるととても大変そうですので、
素直に生活委員会のお掃除を尊敬してしまいます。
「安心してくださいませ。
戸締り終わりますのぐらいはきちんと待ちますわ」
ほんにゃり、柔らかい笑顔を向けるのです。
■干田恭支 >
「ああいや、これは掃除終わったから休憩してたとこ。
まあ、また拭き直すんだけど!」
まさか風紀委員の見回りが来るとは思っても居なかったから。
足元のバケツから布巾を取り出すと、絞って自分が突っ伏していた机を念入りに拭き上げる。
別に寝てたわけじゃないから、涎とかが付いてるわけでもないのだけど。
「それより風紀委員の人……だよね?そっちもお疲れ様!
えっと……ここは俺しか居ないし、出る時は戸締りしていくから大丈夫だよ、って意味だったんだけど。」
待たれてしまった。
少しだけ当惑しつつ恭支は告げる。どうしたものだろう、と。
横目でチラリと時計を見れば、まだ時間の余裕はある。
しかたないちょっと早いけど本部に戻ろう、と席を立って開けていた窓を閉めようと。
■幣美奈穂 >
「あっ、ご休憩中でしたの・・。
それは申し訳ありません」
出しているお顔をぺこりと下げるのです。
椅子に座って、机に突っ伏して眠るなんてとても器用。
そんな風に思います。
座りながら眠るとか、美奈穂にはまだできない事なのです。
あの拭きっぷり・・なんか机がすごいことになっていたのかもしれません。
じっと、目を少し細めてみるのです。
「はい。
教室で悪戯を作っておりましたり・・。
あと、想いが淀みを作っていたりすることもありますので」
淀みがあれば、散らしておくのです。
若い学生が集まるせいか、学校というのはそういうのが生まれやすい土壌でもあるのです。
「きちんと戸締りできているか確認しないといけませんもの。
後で、この教室を見つけられるか自信もありませんし・・」
と、窓を閉めようとされている姿を、顔の向きごと目で追いかけます。
窓を閉めるのをお手伝いしようとはしません・・あの鍵の位置、美奈穂にはちょっと場所が高いのです。
■干田恭支 >
「いやいや、謝られるほどの事じゃないって!
それよりも、淀み?……そういうのが、あるんだ?
風紀委員も色々とやってるんだね。」
悪戯を作るって何だろう、とささやかに疑問を持ったりしつつ。
そちらは置いといて、何となく理解出来そうな方を言及してみる恭支である。
想いとか淀みとか、よく分からないけれど、目に見えない汚れとかそういうものだろうか、と。
「この状況で鍵閉め忘れる程じゃないから!
そこは信用して貰いたいけど。一応、生活委員所属って名乗ってる訳だし。」
たはは、と苦笑いしつつ窓を閉め終えて。バケツを手に持ち、扉の方へと向かう。
■幣美奈穂 >
小首をゆっくりとかくりと傾げさせます。
「はい。もわもわってなんか嫌な感じのとかだと払っておきませんといけませんから。
あっ、でも嫌じゃない感じのはほおっておくのですけれど」
こくり、小さく頷きます。
どちらかといいますと、事前に払っておくのが美奈穂のお仕事。
人が残っていないかとか、戸締り確認などはついでの風紀活動です。
「あと、時々。
他の人の机の中にお手紙を入れていたりする悪戯もありますの。
そういうのは、回収して委員会に提出しております」
もしかしたら、無辜な恋文も回収してしまったこともあるのかもしれません。
「そのカギがきちんとしまっているかを確認しますのが風紀委員のお仕事なのですもの・・」
むぅ。
ちょっと子供っぽく唇が尖ってしまいました。
両手の指先で唇を隠して戻しておきます。
■干田恭支 >
「なるほど。もわもわってしてて、嫌な感じと、そうでない感じのがあるんだ?
なるほど、なるほど。大変だね?」
説明を聞いても全然分からなかった。けれど、情景を想像する事は多少なりと可能になった。
怪異の相手をするのと同じか、あるいは怪異になる前段階のものを相手にするのか。
そんなところだろうと目星をつけて。
「ああ、えっと……それは受け取った個人の判断で良いんじゃないかな。
プライバシーの侵害になるかもだし、単純に忘れ物だったら手間だし。」
そこまでする必要はあるのかな、と首を傾げる。
真面目なのは良いことだけれど、だからと言って反感を買って良い道理にはならないだろうし、と軽く悩んで。
まあ、反感を買ったところでこの風紀委員の少女は気にしなさそうだと恭支は思う。何となく、だけど。
「それは勿論わかるけど……何と言うか、本当に大変だね風紀委員って。」
彼女が言うのはつまるところ、他の委員会への信用は、業務の遂行より下であるということ。
当人にそのつもりは無いのかもしれないが、流石の恭支も若干引き笑いになる他無く。
■幣美奈穂 >
大変だね、と言われますと。
目をキラキラとさせます。
この男子学生さん、もわもわが判る人なのです!
「そうなのです!。
どこでもわもわしてるか、勘で見つけないといけませんの!」
こくりこくりっ。小さく何度も頷くのです。
お手紙のことになりますと、首を横にフルフルとふるのです。
「もしかしたら、そのお手紙が物の怪の召喚陣かもしれませんもの。
開けたら、机の中にみっちり詰まってしまったりしますと。
大変です」
符であったり、西洋陣であったり。
呪いの文言などもあるのです。
怪異に近い世界で生きていると、油断大敵なのです。
中にはなんかよく分からないポエムとか。
「あなたにお米(『ひとめぼれ』)です」とかいうのとかもありますが。
うつろ、お米好きな人のお手紙の方が多いのですけど。
もちろん、美奈穂もお米さんは大好きです。
「わたくし、ずっと風紀委員してますもの。
放課後当番なら慣れたものですわ!」
えっへん。
どこかどや顔風な雰囲気です。
規則通りに真面目に手順通りにするのです。
■干田恭支 >
「あ、見つけるのは勘なんだ……」
もわもわを感知する能力があるとか、そういう事じゃなかった。
なるほど、それで一部屋一部屋確認して回るのか、と納得する。
「いやまあ、心配は分かるけど……まあ、いいや。
机の中に物入れたまま帰る方が悪いんだろうし……」
長期連休前に菓子パンを机に入れたまま帰る奴とか●ねばいい。
委員会の先輩がそんな事を以前口走っていたのを思い出し、多少の同情はしつつも恭支は目を瞑った。
これで机の中に物を置きっぱなしで帰る生徒がひとりでも減ってくれればいいな、とちょびっとだけ期待しつつ。
「俺も大概だねって言われるけど、君も相当だね……
ま、いっか。それじゃあ風紀委員さん、俺は生活委員の本部に戻るから、ここの戸締りはお願いします。」
折角いるのだから後はお任せしちゃおう、とちゃっかりとバケツを片手に教室から退散しようとする恭支である。
■幣美奈穂 >
「なんとなく、こっちでもわもわする・・とかいう感じですわ」
嫌な感じのもわもわはこの校舎の中からは感じません。
もっと離れた場所でならなんとなくある気がするのですけど。
もう一度、教室の中を確認するのです。
「はい。
それに、机の中のものはきちんと持ち帰るよう指導されてますもの」
置きっぱなしは事故の元。
体操服とかも大変なことになったりします。
全部の机を調べたりするわけではないのですけど、何か違和感があると調べるのです。
若い恋心・・は『想い』が残るので、比較的見つけられてしまいやすいのです。
「・・そうなのですか?
あっ、はい!
忘れ物ないですか?、閉めちゃいますわよ。
閉めたら明日の朝まで封印いたしますから、簡単に入れませんわ?」
男子学生さんが教室を出るのをきちんと確認しましてから。
教室の扉を閉めて鍵をかけます・・そのカギの上を指で軽くなぞり、見えない陣を書いておきます。
こうしておけば、夜半にこの教室に怪異が入ってくることもないでしょう。
■干田恭支 >
「なんとなく、で良いんだ……」
恭支にはよく分からないが、それで良いのだと言われればそうなのだろうと信じる。
そういう性分なので、多少疑ったりすることはあっても簡単に言及したりすることはしない。
「されてたかな、どうだったっけ。
人によっちゃ受けてる授業が多いだろうけど……まあ、ロッカー使えば良い話か。」
各階にロッカールームがあったのを思い出す。
貴重品や教科書その他諸々はそちらに放り込んでおけば机に物が残る事も無いだろう。
廊下の端にあったりするので、いまいち活用しづらいのが難点と言えば難点だけれど。
「もともと掃除のために入っただけだから忘れ物は無いよ。
必要なのは、これだけ。」
確認してくる風紀委員の少女に、手に持っているバケツを示す。
他の清掃用具は各教室に備え付けられてるものを使うから、ほぼ身一つと言っても過言じゃない場合もある。
「ありがとう、風紀委員の人。
って……さすがに風紀委員の人、じゃ味気ないか。
俺、干田恭支。この春入学したばかりの1年生。君の名前は?」