2020/11/04 のログ
白泉椿丸 >  
「興味は沸いたかしら?――フラスコが端まで回ったら、最後に見た人が宙へ放ってネ。

 そうそう、配ったのど飴だけれど…効果はのどのいがいがや痰切り。のど枯れにも効くわ。
 寒いと思った時に舐めると、口の中に飴がある時だけあなた達を温めてくれるの」

味は好きなフルーツになるわよとウィンク。
バチコンッ★と良い音がした。

「魔女薬の道具はフラスコや鍋だけじゃなく、大布や虫眼鏡と多岐に渡るわ。
 授業の予定としては、今回と次回は大よその基礎と基本知識。
 次々回くらいで…そうね、傷が早くふさがる軟膏を作製しましょうか」

生徒たちがフラスコを見終わったころを見計らい、最後の生徒にそれを放ってもらう。
フラスコは小さな緑の輝きを纏いながら消え、次の瞬間には乙女の手中へと納まった。
この乙女は森の魔女である。

忘れてはいけない。"魔女"なのである。

「傷が早くふさがると言っても、その速度を指定するのは製作者であるアタシたちよ。
 上限はアタシの方で定めさせてもらうけれどネ」

乙女はにこっと笑うと、授業の補助資料としての配布物に手を付けた。

白泉椿丸 >  
◆魔女薬科

素材や環境から魔法を構築し、薬に落とし込む製薬技術の一部。
製薬目的に合わせて正しい魔具や印を選び、それに適応する媒体素材の見極め。
また、自然を通して採取できるエッセンスや魔素を結晶化させ、存在としての安定を目指す。

授業内容に 講義・実験・実習・野外 を含む。

通常授業の必要用具として―――…




そんなような事を皮切りにした内容の冊子を、出席者全員に配布し終える。
乙女はその内容の一部をピックアップして朗読し、注意点をあげた。

「魔女薬に関しての本はあまり出ていないけれど、"薬草と天気術"という本で座学の先取りは出来るわ。
 著者のサイトに行くと50ページが無料で読めるから、気になる子は試してみて。
 表現が豊富で文章の柔らかい人なのよ。きっと気に入るから」

座学の"大よその"先取りが出来るだけ、という事は言わずにおいて。
まばらに飛ぶ疑問や質問に答えつつ、魔女薬科教師としての白泉椿丸は、ここから再始発である。

ご案内:「第二教室棟 教室」から白泉椿丸さんが去りました。