2021/10/19 のログ
深見 透悟 > 『何か喋るまでの間に色々と人生半分くらい悟ったような顔してたけど悪いもんでも食ってから来たりした?
 本当に大丈夫か?おっぱい揉ませてくれそうな女の子探す?』

怒られるときはお前だけね、俺逃げるからとしれっと見捨てる宣言を加えて。
自分の返答に対し色々と想像を巡らせていると思しきアージェントの顔を覗き込む。とはいえ覗き込んでいるのはアージェントからは見えないのだが。
ちょっとだけ心配そうな声が間近に聞こえるだろう。

『スポーツじゃねえよ、寒中床水泳は。
 スポーツよりももっとこう……気楽に、誰でも出来る……大衆娯楽みたいなもんだ。
 床とか壁とかすり抜けられれば誰でも出来るし。着替える必要もねーし!』

ごく一部の人間と、大半の幽霊にしか興じることが出来ないものは大衆娯楽とは呼ばないのである。

アージェント > 解決策に胸を揉むという選択肢しかなさそうである目の前で恐らく覗き込んできているであろう透悟さんをジト目で見つつ、寒中床水泳とやらの説明を聞く、

「大衆の意味分かってますぅ!?」

ボクから突っ込んだのはこれまで両手で数えられる程だったのが、足の指まで進出してしまったようだ。
何とも愉快な幽霊に色々と振り回される新鮮な空気を何だかんだ味わいつつ、掌にほぅっと息を吹きかける。

思えば、最初は夜景を見に来ていたはずである。それが、騒がしい幽霊によって悪戯され、様々な話を吹っ掛けられ、実体はないものの、コミカルな動きを容易に想像できるような――

「…ぷふっ」

面白い霊に出会ったものだ、やはりマイペースな足を持つのも悪くないのかもしれないと思いつつ、笑みを突然零す。

深見 透悟 > 『お、おう。何だよ怖い顔して~
 そりゃあ大衆だろ?有象無象魑魅魍魎と同じような意味だろ。
 大丈夫だって、これからメジャーになってくから。
 今はまだ大衆娯楽とは思えなくても、そのうち大流行すっから。ガッポイとか、バッファローゲームみたいに。』

例えがどちらも何とも言えない遊びなのが何とも言えない。
当の本人は上記の二つが大衆の間で流行ったのだという事を信じて疑わない雰囲気を醸している。

『うおっ、何だよ急に吹き出すなよ。こっわ……ん?
 あー、アージェント。そろそろ楽しい天体観測もお開きの時間だぜ。悪いことは言わねえ、帰り支度を始めるんだな。
 そろそろ“良くないやつら”の方も動き出しそうな時間だ。』

突然笑い出した(透悟にはそう見えた)アージェントに若干引き気味の視線を投げたが、急に声のトーンを一段落とす。
透明な顔を険しく歪め、階下を透かすかのように見つめて、

『最近どうにも調子がおかしいからな、まハロウィン過ぎれば元に戻るだろうが、あんまり遅くまで残ってるのはおススメしねーぞ。』

アージェント > 何ともマイナーなゲームと並べられている寒中床水泳の将来や如何に、と言ったような笑い声を上げる。

して、唐突に口からまろび出てしまった笑い声をごまかすべく、もう一度星を眺めていると、ふと声を掛けられる。

「“良くないやつら”ですか…幽霊本人が言うと説得力ありますねぇ…っと」

ボクは手すりから身を起こし、ドアに手を掛け――捻るのを止めた。胸騒ぎがする。

「ハロウィンってやっぱり影響凄いんですかねぇ、ボクでも気配が分かっちゃいました……所で透悟さん」

ふと"いい考え"を思い付き、透明な彼に見えないようにほくそ笑みながら、手すりの上に上り、

「建物内がダメなら、何処を下りましょうかねぇ?――ではっ」

エモーショナルな雰囲気を壊してくれたお礼である、ボクは唐突に手すりから飛び降りる。
――その場に『実はマジシャンだったりするんですよぉ』と書かれたジョーカーのカードを置きつつ

きっと彼から見えなくなったであろう所で、魔術である《ラスト=イリュージョン》を使い、近くの繁華街にテレポーテーションし、着地する。

今日一日の内容が全て後半に集約された感覚、また話せたらいいなぁという思いを胸に、一回学園を振り返ってから、ボクは急いで帰宅する。

ご案内:「第二教室棟 屋上」からアージェントさんが去りました。
深見 透悟 > 『だろ?……おっとぉ、やれやれ思ったより活発だな。
 満月が近いのも原因の一つかぁ……?』

素直に忠告通りに屋上を後にしようとしたアージェントが扉を開ける手を止める。
万一に備え最低限の抵抗をしてやろうと身構えていた透悟だったが、扉は開かれることは無く、少年が静かに手すりへと戻っていったのを見て。

『おいおいおい、何する気だお前!まあそんな自信たっぷりに身投げする奴は中々居ねーが。
 ちょいちょいちょちょい、待て待て待て、万が一しなれたら目覚めが……おまあああああ!』

手すりから飛び降りた事に悲鳴を上げつつ急いで其方へと向かったが。
落ちていくはずの姿は無く、残されたカードを見て。

『ったく、意趣返しにしたって変な事すんじゃねえっての。
 心臓停まるかと思ったじゃねえか……あ、もうとっくに停まってら。
 はぁ、まじ最悪……って程じゃないけど。やだ、おっぱい揉みたい。』

まんまと一杯食わされたことを把握し、悔しみに包まれた闘悟。
両手で顔を覆って、そのまま床下にすり抜けて消えたのだった。

ご案内:「第二教室棟 屋上」から深見 透悟さんが去りました。