2022/10/05 のログ
ご案内:「第二教室棟 屋上」に朝宮 小春さんが現れました。
■朝宮 小春 > 過ごしやすい季節になった。
……と、言われて初めて季節が変わりかけていることに気が付くのが、生粋のインドア派の証である。
「……あらあ、ホントだわ。」
とぼけたことを言いながら、もそり、とパンと咥えて空を見上げる生物教師の女。
朝宮小春。研究者崩れの教員である。
本来は異能研究の道を志していたのではあるが、この世界、異能研究はすなわちエリートの道である。
ただでさえ人間そのものに宿る能力であれば、圧倒的な頭脳と倫理観が求められる。
いわゆるクラスで一番頭のいい人間が志す道。
秀才ではあったが、その高みには登り切れなかった女。
今でも趣味レベルで研究は続けてながら、子供を優しく導きつつ。
この島にいる「普通の人間」である。異能も魔術も一切持ちえない。
「すーずしいー……。」
ふわりと流れる風に、気分よさそうな声をあげて。
お昼休みを過ごすには丁度いい。
■朝宮 小春 > 「この前までまだまだ暑いと思っていたんだけどねえ。
嫌だわ、季節が過ぎるのが早い気がする。」
はあ、とため息。
人の良い次女はいい具合に生徒に親しまれ、ある意味生徒に舐められ。
同僚からも頼られ、ある意味仕事を振っても怒らない相手だと侮られ。
まあ、それでも日々元気である。ごはんおいしい。
「……んー、牛乳じゃなくてコーヒー牛乳にすればよかったかしら。」
持ってきた本を開きながらパンをもそりもそり。
■朝宮 小春 > 「………………。」
穏やかな風が流れていく。
包み込まれるような日差しの中、心地よくベンチに座ったまま。
「………………zzzzzz。」
寝落ちした。
かくん、かくんと頭が揺れて、横に30度ほど傾いては元に戻り、逆方向に30度傾いては元に戻る。
ぬるい動き方をするメトロノームのように。
かくん。 かくん。 かくん。
ご案内:「第二教室棟 屋上」にノーフェイスさんが現れました。
■ノーフェイス >
夏の終わり。
つい先日までは空に築かれた山脈のようだった雲も、
ずいぶんとまばらに、穏やかな秋風に流される有り様だ。
流れにあらがって自ら進み、"どこまで行けるのか"の実験中、
たどり着いたその場所で、奇妙なものを見つけた。
ニンゲンの形をしたメトロノーム――放置した理由も見当たらない奇妙な物体がそこにあった。
「………」
煙草を灰皿に押し付けてベンチへ向かうと、そのメトロノームの隣に腰掛けた。
テンポを調整する目盛りの類はついていないようで、
食事の痕跡と本からするに、このメトロノームは栄養を吸収する機能と知的好奇心を持ち合わせているらしい。
実に多機能だ。それに随分と艶めかしいフォルムをしている。
みずからの細顎を撫でながら興味津々に、左右に傾くその寝顔を覗き込んだ。
ふいに流れた風が血の色の前髪を揺らし、その顔を擽るやもしれない距離で。
■朝宮 小春 > かくん。 かくん。
ゆらゆらと揺れながら、人の気配にも気が付くわけもない。
彼女はもとよりどんくさなのだ。
さらりと風が髪を揺らしてその鼻をくすぐれば……。
「ひぅちっ!」
妙な音を立ててくしゃみをして、は、っと身体を起こす女。
寝てません、大丈夫です、とでも言いたそうに首を横に振って……その時点で、隣に人がいることに気が付いて。
「……ぁ、ごめんなさい! その、すっかり眠っていて………。
その、……ごめんなさい、邪魔になってました?」
隣にいる人がうつらうつらしていたならば、さぞかし邪魔だっただろう、と。
おずおずと問いかける。
■ノーフェイス >
「おっと」
ひょいと顔を離してくしゃみを避ける。
鼻粘膜の機能もニンゲンと遜色ない模様。
こんな不思議な物体を放置するとは――勿体のない。
「おはよ」
人懐っこげに微笑んで、覚醒したメトロノームをねぎらう。
"顔見知り"かのようなの女は――落ち着き払うことで、
午睡から目覚めた彼女にも冷静さをお裾分けするよう。
「んーん。 誰かいるなぁ、って思って、暇つぶしに寝顔みてただけ。
よくねてたね。 お疲れ? それとも、この風のせいか」
湿気もまだ名残があるとはいえ、涼しげな風に撫でられると心地よい。目を伏せて深呼吸。
「ねぇ…秋のこういう絶妙に暖かい時のこと、なんて言うんだっけ」
■朝宮 小春 > 「…はい、おはようございます。」
穏やかに微笑みながら、顔見知りだと思われる女に声をかける。
へへへ、と、恥ずかしそうに頬に手を当てながらはにかんで。
これが彼女のある意味、冷静で。
「……お疲れかどうかと言えば、そうですね、ちょっと寝不足かもですけど。
……そう、風が気持ちよくて。」
ふわん、ふわんと、違和感が浮かんでは消えていく。
まあいいか、と思考を放棄するのに幾分の時間もかからなかった。
「ふふ、それはよくわかりますよ。小春日和。………私の名前ですからね、良く知っています。
秋っぽくないね、なんて言われますけどね。」
ころりと笑う女教師。
■ノーフェイス >
初対面か顔見知りかなんて、どうでもいいこと。
こちらもまた、違和感に言及することはなかった。
ともすれば与えている自覚すらないのかもしれない気安さで。
「こはる……」
呼んだ。確かめるように。
「読書」
指をさしたのは、本。
「食欲」
パン。――牛乳。
「……実り?」
くるくる、と指を回して、そのシルエットをなぞる。
「秋。 柔らかくて、暖かくて、でもすこし、さびしい季節だよね」
背もたれに深く体重を預け、脚を組み、あらためてそちらを向き直る。
「キミはそういうひとではないの?」
■朝宮 小春 > 相手の言葉を、後ろから追いかけるように反芻する。
「それはまあ、最近ちょっとまた重くなった気はしますけどぉ。」
ひぃん。確かにそういう秋の言葉もありますが。
ちょっと最近体重が増えたことを気にしているのか、相手の言葉にひぃ、と怯えた顔をして。
もちろん実りの方も豊かなのだけれど。下着はちょっとキツ目になってきた。
「………ああ、秋ですか。
そうですね、………周りの人からは春の雰囲気と言われますけど。
私は秋の方が合ってはいるんですよね。別に、何か寂しいとか、そういうことではないんですけど。」
まあ、どっちにしろ家から出ないから関係ないんですけどね。と舌をぺろ、と出して笑う。
警戒心など持ち合わせているわけもなく、明るく笑う。
■ノーフェイス >
「フフフ。ボクはよく実ってるほうがスキだから大丈夫だよ。
柔らかくて、暖かくて、でも少し…
ところで、スポーツの秋って言葉も、あるんだろ? 日本には」
ふふん、と楽しそうに笑う。
女は、少し身振り手振りが過剰で、演技をするようだ。
話をふる時にも、少しわざとらしく、相手を視たりする。
そちらの番、手の内を見せて、と誘うように。
「……小春」
言葉を聞き終えてから、改めて名前を呼ぶ。
「春とまちがえてしまう、秋。
……ぴったりなんじゃない? その名前。
ボクも、たしかにちょっとした感触だと、そうだね、桜の花も似つかわしいような……でも。
キミが気付いてないだけで、キミは秋らしいなにかを、その実りの奥にもっているのかもしれないから。
ああでも」
はたと気づいたように、秋空を見上げた。
「間違っても冬じゃないな、キミは。 白雪姫じゃあない」
流し目、唇のまえに指を立てて。
「だってキスで目覚めなかったもの」
■朝宮 小春 > 「いやよく実ってるって。
うう、そう、スポーツしないといけないんですけど………。」
とほほ、と少し渋い顔をする。腕を動かしても最近肩が痛くなる女。
スポーツの秋に全く覚えがない数年を続けている。
うーん、と腕を回そうとしても、ギシギシと身体から軋む音がするようだ。
「………ふふ、そうですね。
私もそう思ってます。どっちにしろ、過ごしやすくて眠っちゃうようなくらいの気温が一番私に似合ってるんですかね。」
えへへ、と照れたように笑いかけて……。
「いやちょっとなにまってくらさ。」
嚙みながら自分の唇を押さえて、ふわぅ、と真っ赤になる。
ちょっと何言ってるんですか! とツッコミながらも、冗談ですよね、って視線で訴えかけてみる。