2019/02/04 のログ
■ヨキ > 常世島の異邦人は、その特殊性ゆえにどんな呪いを抱えているとも知れなかった。
恐らくレイヴンも自分の与り知らない苦痛を抱えているのかもしれない……などと、素っ頓狂な想像でハラハラしていたのも束の間。
言え、という短い言葉に、目を丸くする。
「………………、」
その様子に、ヨキは只ならぬ事情を察した。彼には、大っぴらに話が出来ない理由があるのだ。
「……そうか。君、秘してでも菓子を食わせてやりたい相手が居るのだな……!」
違う。
「良かろう、良かろうとも。いくらでも教えてやるぞ。ええとだな、ヨキのお勧めは……」
言いながら、スマートフォンを取り出す。
保存されていたメモを手際よく開くと、そこにはさながら住所録のようにあちこちの菓子店や喫茶店の名前が記されていた。
それもご丁寧に、店の場所に加えて「美味しかったメニュー」の覚書付きだ。
「どこもかしこも、ヨキの行きつけであるぞ。きっと満足出来るはずだ」
にっこりと親しげに笑う。
パフェにケーキにアイスにパンケーキ。
ガイドブック並みの情報量だが、全てヨキの行きつけなのがネックだ。
中にはきっと、レイヴンが贔屓にしていた店名もちらほらと見受けられたりするかも知れない。
■レイヴン >
(とりあえず良い感じに勘違いしてくれたらしい。
わざわざ否定して根掘り葉掘り聞かれるのも嫌なので、否定も肯定もせず無言を貫く。
沈黙は金。)
――悪ぃな。
(こちらもスマホ――は持ってきていなかったので転移させてマップを開く。
彼の目もに乗っている名前を検索し、探し出してはタグを付けていく。
――開いたマップを見れば、常世中の甘いもの情報が片っ端からタグ付けされているのがわかるだろう。
こちらはヨキスイーツガイドの情報を調べるのに集中しているため、チラリと見えるかもしれない。)
お前まさかこれ全部回ったんか。
(タグ付けをしながら問う。
人目に付かないようにと言う制約があるとはいえ、自身でもここまでの数は回っていない。
喫茶店はかち合う可能性があるので慎重に行かねばなるまいが、持ち帰りが出来る店ならあまり気にすることもないだろう、と今日の帰りによる店のめぼしも付けて。)
■ヨキ > レイヴンの手元の画面が垣間見える。覗く趣味などないが、妙に多くの目印が見えた。
それは何と殊勝な、とヨキを大いに感心させ、人知れずレイヴンへの好感度を上げたのだが、全部勘違いである。
「全部? ああ、当然だ。
一日の食事を、それぞれ違う店で済ませたこともあるぞ。
ヨキはこの街が好きなのでなあ、隅々まで回らねば気が済まなんだ。
どこの店でも、大事な学生らが頑張っているからな。余さず回ってやりたいのだよ」
にこにこと話す。
店のリストに時々人名が交じっているのは、ヨキ自身と面識のある教え子の名だという。
「学内で知り合った教え子と外で会うのも、外で知り合った教え子と学内で会うのも、いずれも楽しくてな。
甘いものを食べ歩くのと同じくらい、ヨキの趣味なのだ」
■レイヴン >
(スマホを操作する手がぴたりと止まる。
メモ帳から、彼の顔へと視線が移動して。)
――お前アレだろ、学内の生徒の名前と顔出来るだけ覚えようとするタイプだろ。
(とても楽しそうに話すのは、きっと自分の好きな甘いものに付いて話しているから、ではないだろう。
こいつは生徒が好きなのだ。
甘いものと同じぐらい、生徒のことが好きなのだろう。
――苦労するタイプだと、思う。)
っと、そろそろ休み時間終わるぞ。
次の時間授業ねーのか。
(スマホの画面に映る時間は、もうじきチャイムが鳴り出す時間だ。
つい話し込んでしまったが大丈夫なのだろうか。
スマホをスリープにし、教室の出口へ。)
■ヨキ > レイヴンと目が合う。
問われるなり目を細め、弧を描く唇でにやりと不敵に笑った。
「愚問だな。
何しろヨキは食べることが好きだが――それ以上に、この学園が好きだ」
何の気苦労をも窺わせない、うっとりとした笑み。
――時刻を指摘されると、その不可思議な表情は常の気さくなものに戻った。
「やあ、すっかり話し込んでしまった。ヨキの方は、職員室で事務仕事だ。
君こそ災難であったな」
スマートフォンを仕舞うと荷物をまとめ直す。
ヒールを硬い床にこつこつと鳴らして歩き、レイヴンの後へ続く。
■レイヴン >
――ッハ、そりゃ良い先生だことで。
(思わず笑う。
趣味と言い教師としての信念と良い。
どうしてこうもいろいろ違うのに、こいつは。)
見付かったから別に構わねぇよ。
――そういや今日なんか用事あるか。
学生通りの路地の奥にいい喫茶店があるんだがよ――。
(廊下を歩きながら他愛もない話。
密かな趣味をばらすわけにはいかないが、まぁお気に入りの店を教えるぐらいなら構わないだろう。
用事がないなら連れて行くし、あるなら店の場所と名前だけ教えて――)
ご案内:「教室」からレイヴンさんが去りました。
■ヨキ > 「ふふん。伊達に『善き先生』と呼ばれておらんよ」
冗談めかして鼻で笑う。レイヴンの心中など、知る由もないままに。
彼の隣をついて歩きながら話していると、不意の誘いに声が明るんだ。
「用事? いや。
――ほう、君のお勧めの喫茶店かね? それは良い。
夕飯の前に何か抓んでしまおうかとも考えたが、それならこのまま腹は減らしておこう。
是非教えてもらいたいね」
学生との交流を尊ぶのと同じほどに、教師との付き合いもまたヨキにとっては大事なものだった。
仕事をてきぱきと片付けて、彼に連れられて行った先の店で――ヨキの鼻と舌は、あのシフォンケーキを嗅ぎ付けたりするんだろう。
何気ない軽やかさで、君も半分いかがかね、などと。
とっておきのスイーツをシェアすることになるのは、また別の話だ。
ご案内:「教室」からヨキさんが去りました。
ご案内:「廊下」に修世 光奈さんが現れました。
■修世 光奈 > 昼休み。食堂で歓談したり、グラウンドで遊んだり…あるいは異能を訓練したりと賑やかな時間。
そんな中、一人廊下で何かの作業をしている女生徒の姿
「んしょ、と。…うーん人手足りないけど…それ以上にもっといろんな人の探し物、見つけたいもんね」
ぺたぺた、と廊下の掲示板に何かのポスターを貼っているようだ。
内容は―――
『探し物、落とし物、見つけます。困ったときはコーナまで!XXX-XXXX-XXXX』
というキャッチフレーズと共に可愛いイラストが描かれたもの。しっかりと隅に生徒会許諾の印は押されていて
今までは口コミでの依頼だったが…端末への連絡などでも依頼を受けれるようにしようと
自分の端末番号をそのまま描いているあたり危機感は薄いが、表情は真剣なもので
■修世 光奈 > 何とかたくさんある掲示物の隙間を縫って1枚1枚丁寧に留めていく。
一つの掲示板に貼り終われば次の場所へ。ちょこちょこと走り回っていき
「むー、ここはいっぱいかな。仕方ないね!」
掲示物がいっぱいだと見ればすぐに諦めて次の場所へ
昼休みだというのにまだ何も食べていないのか、くー、とお腹を鳴らしながらも
自分のライフワークの為だと思うと自然に体が動き、どんどん彼女が抱えた紙の束は減っていく。
このままでは昼が終わる時間になったとしても空腹を抱えながら過ごすことになるが…それは自覚していない様子。
■修世 光奈 > その後、なんとか貼り終わったものの…やはりお昼は食べ損ねた
ご案内:「廊下」から修世 光奈さんが去りました。