2020/07/01 のログ
■カラス >
「悪い事、ですか。
お父さんは、『知らない方が幸せなこともある。』って、言ったりします、けど。」
オンラインのことはともかく。
理央から聞けば己の養父から言われた言葉を思い出して呟くように言った。
「え、違い、ました? すごい、自信たっぷりで、
名前出すと、話通るって聞いたので、てっきり、えらい人、なのかなって…。
もしくは、すごく、つよい?」
自分の勘違いであった。
顔は中性やや女の子寄りで、自分より背が低いのに荒事が得意だというのも
カラスにとっては信じがたいのだが、怪我や態度を見るとどうにも。
まぁこの島で見目と能力が解離している等は良くあることではあるのだが。
■神代理央 > 「確かに、その様な言葉もあるしそれもまた事実。しかし同時に【無知は罪】という言葉を残した者もいる。最後にどう行動するかはカラス次第だ。私が決める事でも無ければ、御父上が決める事でも無いさ」
最後に自分の道を決めるのは自分自身なのだ、と。
フン、と偉そうに吐息を零して笑うのだろう。
「ああ、いや、その…。まあ、話が通るくらいには、まあ、仕事はしているが…。強く…は、無いぞ。怪我するくらいだし…」
ぬかった。確かに話は通るだろう。何せ悪評ばかりは一人前だ。
普段であれば。或いは違反部活生の前であれば、己の強さを誇示する事もしただろう。
しかし、純粋な目で此方を見つめる彼には、どうにも傲慢さが引っ込んでいる様子。少し困った様な表情で、言葉を紡いでいるのだろう。
■カラス >
今の理央の姿、彼を良く知る人物から見ると意外な光景ではなかろうか。
しかし何分、相手が荒事とは全く無縁だったのが悪かったのだろう。
何かと騒動の絶えない常世学園でありこの島ではあるが、
平和な所にいる生徒もいるにはいるのである。
「あ、あの、強いからいっぱい戦う分怪我したのかなって…。」
相手を貶めたかった訳ではなくしどろもどろになってしまったので
あわあわと手と耳羽根をぶんぶんしながらフォロー(?)をした。
「それに、俺は、全然戦えないので、戦えるの、すごいと思います。」
■神代理央 > 彼の思う通り、普段の己を。或いは、落第街の住民辺りが見れば明日は雨の代わりに駱駝でも降るのか、と首を傾げられるかもしれない。
己の業績を、力を、異能を。全く誇示する事も出来ず、弱り果てた様な少年の姿は。
「…戦う機会は確かに多いが、その、本当に強い訳では無くてな。もっと強い風紀委員も沢山いるんだ。私など、些末なものさ」
フォローすらされる有様。これも謹慎中の所為だ。おのれ上層部。
兎も角、あわあわと色々ぶんぶんさせている彼を見て、クスリと笑みを浮かべれば。
「……戦わずにすむのなら、それにこしたことはない。それに風紀委員は、そういった人達を守るためにいるのだから」
と、静かに語り掛けると椅子に置いてあった彼の鞄を手に取り。
「長い事話し込んでしまった。君の御父上も心配される事だろう。
近くまでは送ろう。といっても、カラスが良ければ、だが」
と、穏やかな表情で彼に鞄を差し出して、小さく首を傾げるだろうか。
■カラス >
「…最近お父さんが、言ってました。良く、風紀委員に逢うって。
俺達みたいなの、守るために、本当にたくさん、ありがとうございます。」
そんな理央の姿も、初対面のカラスからすればそういう人なのだろうであるが。
フォローの最後にそういって黒の青年は頭を下げた。
委員会の職務なのだから当たり前なのかもしれない。
けれども、お礼を伝えることは大事なのだと思ったから、頭を下げた。
と、送っていくと言われると。
「あ、え、先生、待たなくて、良いんですか? 先輩。」
もしかすれば、帰りにバッタリと逢えるかもしれないが。
■神代理央 > 「…礼を言われる様な事じゃない。人々を守るのは当然の義務だ。
だが願わくば。カラスがこれからも出逢う風紀委員…いや、風紀に限らず、人々の為に働く者には、感謝の言葉を伝えて欲しい。
それが受け入れられるにせよ、受け入れられぬにせよ。やりがいに繋がりはするだろうさ」
頭を下げる青年に、小さく笑みを浮かべる。
認められたいという訳じゃない。でも、純粋な感謝の気持ちを向けられるべき相手は、きっと他にもいるのだろうから。
「待ってても良いのだが、委員会の救護室の方が話が早そうだからな。だから、其処に行くまで、という形になるが…」
此の侭待っているよりも、行動を起こした方が早そうだと肩を竦める。実際、此処迄話していても未だ教師は訪れない。
ならば、委員会街に向かう道すがら、知り合ったばかりの後輩を送り届けた方が有意義だろうと思っての事。
■カラス >
「…わかり、ました。
でも、当然でも、ありがとう、ございます。
怪我までして、守ってくださってるので……。
それに、送ってくれます、し。」
言葉を考えに考えて話すせいか、カラスの言葉は酷くたどたどしい。
委員会の救護室に向かう、という話になれば分かりましたと承諾するだろう。
松葉杖等は見当たらないので立ち上がるのは問題ないかと鞄を肩にかけた。
負担にならぬよう他人を抱いて飛べれば良いのだが、
長時間飛べる筋力は青年には無かった。
「えと、じゃあ、無理はなさらない、範囲で…よろしく、お願いします。」
■神代理央 > 「ん。先輩の言葉には甘えておくものだ。ああ、そうだ。帰りがけにクレープでもどうだ?
最近、大通りに新しいクレープ屋が出来てだな。生地が少し厚めなんだが何故か柔らかくて美味いんだ。奇をてらった具材を使っている訳でも無いのに、素材の味が良いのかふんわりとした甘さが口の中でとろけてな。値段が少し高めなのはやはり素材に拘っているからかも知れん。そういう所は見習いたいものだ。ああ、当然奢ってやるぞ。先輩だからな。クレープ以外にも色々とスイーツを揃えているから好きな物を選ばせてやろう。何、夕食前とはいえ軽食だ。御父上も買い食いくらいでどうこう言う事はないだろう?お勧めはイチゴクレープなんだが個人的にはマンゴーも良くてな」
早口である。
とても饒舌である。
青年が相槌を打つ暇も無いかもしれない。
と、我に返ったかの様にこほん、と一息ついて。
「……まあ、帰ろうか」
こうして、出逢ったばかりの風紀委員とキメラの青年は、のんびりと帰路を共にしたのだろう。
クレープ屋によったのかどうか。それは二人の足取りを知る者のみぞ知る事で。
■カラス >
「……神代先輩、甘いモノ、好きなんですね。」
言葉の雨あられに一瞬あっけに取られたが、おどおどしていたカラスがふわりと笑った。
「旬の果物も、良い、ですね。
ありがとう、ございます。クレープは、好きです。」
青年にとっては平和な普段の一日の一コマ。少年にとっては…?
そうして二人は夕日に照らされながら、それぞれの目的の場所へ。
ゆるやかな一日は、こうして過ぎ行くのだった。
ご案内:「第三教室棟 保健室」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「第三教室棟 保健室」からカラスさんが去りました。
ご案内:「第三教室棟 教室」にバジルさんが現れました。
■バジル > これは、ある教室での授業の始まりの光景である。
始業を表すチャイムが鳴ると等しく、ガラララッと勢いよく引き戸を開け、一人の教師が入ってきた。
教壇の前に移る頃に、本日の日直の号令に合わせて生徒一同が本日の授業を始める一礼を行う。
それが終わるなり、両手を教壇につけ、教師は口を開いた…
「やあ!諸君ッ! 息災だったかな?
昨今は天候の変化も激しく、憂鬱とした気分になる時もあろう。
だがッ!これは一時の雌伏を強いるものでこそあれば、やがて過ぎゆくものであるッ。
止まぬ雨はないというものさっ!
諸君らが気に病むことはない。ボクとしては、これを乗り越えることで諸君らの心身が
更に強靭となることを期待するのだがね。
とはいえッ!無理は禁物だとも!
調子が悪い、耳鳴りがする、胸が苦しい、頭が痛い…そんな悩みがあるならば、
すぐに先生に打ち明けていただきたいッ!」
一つ一つ、そんな言葉に大げさなまでのジェスチャーを交えながら、
教壇に身を乗り出す形で生徒に演説を始めた。
なお、授業の時間は既に始まっている。
だのに、この教師はまだ教科書を開く素振すら見せていないのだ。