2020/07/11 のログ
ご案内:「第三教室棟 試験会場【イベント】」に群千鳥 睡蓮さんが現れました。
群千鳥 睡蓮 > 一年の第一期末、座学の筆記試験となれば、静かな会場を満たす緊張感も、どことなく緩いもの。
開始後30分。指先でなぞりながら出来栄えを確かめる。問題ない。解答によどみもない。
編入そうそう、さらっと全てにおいて高得点をマークする女、群千鳥睡蓮。
水面下の必死なバタ足は、人には見せないし、誇らない。
自分にはできて当然。そんな驕慢なまでの自尊心が成したこと。
ぶっちゃけ寝不足で少しねむい。

(……筆記はいいけど、レポートのほうはちょっと不安だな)

頬杖をついて、窓の外を眺めた。空は鈍色。
異能研究分野にも携わっている。一年の前期で編入生、という免罪符はあれど、
提出済みのものには十二分に気を使ったが……どういう評価を受けるのか。
若干の不安。異能学会の人たちも目を通してくださるのかしらん、という興味もあった。

群千鳥 睡蓮 > (なんだかんだでもう一ヶ月かー、早いなあ。
 ほんとにすぐに卒業しちゃいそう)

後期は研究分野にもっと意識を傾けなければ。
そう考えつつも、夏期講習の受講もすでにいくつか決定している。
この学校でしか学べない専門的なカリキュラム。すべてを吸収せねばならない。
学び。成長。変化の糧。餌を食らい無限に成長し続ける意志の獣。なれども。

(…………最初は手帳に記せばいいだけだと思ってた)

群千鳥 睡蓮 > だれかと対面するたびに脳裏に焼き付けられる鮮烈な死のイメージ。
一ヶ月程度の学校生活でも『収集』は順調に進み、
それは更に克明にかつ天命満了への近道をえがく。
疼くような興味。相手の運命を食らう歪んだ独占欲か、単なる知識欲か。
しかし終わった後には虚しさと悲哀の波濤に洗われるばかりの行い。
手帳にすべてを記し窮極にたどり着けば、それさえ喰らえる強さが手に入ると思っていたが。

(いわく……みずからがそう在りたいからそう在る、とあのひとはいっていた。
 それはつまり、あたしの在りたい形を見極めろということだよな……)

月夜に笑った黒猫は、できの悪い生徒にそう知識の水をのませてくれた。
自由の刑に処された罪人は、そうしてひとたび赦され、
再び無明の荒野への服役の可能性を遺したまま、旅の道筋をさだめる。

くるり、と手元でペンを回す。くるくる。

(おとなになる。社会貢献。自立した人格と能力……)

天鳴地動の旅の途、精神病質を患うものが目指す姿かたち。
反社会的性質のあらわれである暴力。武力。異能の濫用。
――罪に問われぬ『聖なる殺人』。それらを封じて一般生徒として過ごす。
枷のなかで強くなっていけば、ギプスでもはめているように、
緋緋色金の精神が手に入るとおもっていた。けども

(なんか違う気は……するよな)

群千鳥 睡蓮 > (あのひとはこういったな、自らの価値をさげるなと。
 あたしに価値をみてくれたひと。まっすぐこの瞳をみてくれたひと……)

おぞましき名で呼ばれていた頃の自分を重ねたうえで視た、
あの悲しくも穏やかな瞳に見いだされたわたしはどんな姿をしていたのだろうか。
人はそれぞれに世界を持ち、その世界に『そのひとが認識したわたし』がいる。
頭脳、武力といった個の能力として、誰にも負けないという自負がある。
今は及ばぬ相手を見ても、必ず凌駕してみせると自らを鼓舞する糧と食らう。
そうして生きてきた。 その自負の反面、自分に、一切の社会的な価値はないものと弁えていた。
だから日向では影に潜むようにして、影の街では自分の在り方を晒していた。

(意外とある……というのは違う。 要するにちゃんとしていなさい、ということだ)

収集のため、打算で近づいた者たちからすればどうだったのだろう。
秘められた刃、暖かな氷、笑顔をつくる太陽に、どこか悲しげだったあの星空は。
その世界にみずからをどううつしているのか。 その世界になにをえがいているのか。
見透かされていたのだろうか。それとも。

ペンは回転数と速度を上げ、五指のなかで動き続ける。

(あのひとは――こわい、といっていたな。
 こわいのに、戦い続けてる。他者のために)

眼鏡の奥の静謐が、みずからの不徳を責める。
否、認識した己がそう見ている。自己嫌悪、自戒、自伐の意識。
記憶の中のその瞳に、ガキの恥を、自覚したのだ。
ペンを掴む。……このままではいられない。

群千鳥 睡蓮 > 強ければ強い能力を持つ者ほど、まるで抱えた力に振り回されるように。
その身に宿した自己矛盾に苦しみ、アンガージュマンに締め付けられてあえいでいた。
なにがそれをそうさせたのか。 桶のたとえを回顧する。
足りていないもの。能力の高さでは補えぬもの。そこから水があふれていく欠点。

(あたしも……)

天井に向けた指先を軸に、竹とんぼのようにペンを回転させはじめる。

鋼鉄や炎の揺らぎと涙に写し込んだ自分の弱さ。
人格と力の鬩ぎあいに押しつぶされそうだった硝子細工を支えることはできただろうか。
燃えるための舞台を求めた物語の主人公に良い風を送ってやれただろうか。
あのとき、約束をしながらも、前に進めない葛藤を直視するのがこわくて、
再会することのなかった野良猫がおしえてくれた、背を指さされるかのような冷たい後悔。

(徒なやさしさでもなく、安請け合いでもなくて……つまり……。
 …………学ぶべきところは、そこ、か……?)

手帳への収集は続けよう。
比べはすまい。鞘の中の刃を、ひたすらに研ぎ続けることはやめない。
けれどもそれそのものが目的ではない。
真理という強固な言葉ではない。ただの理でいい。この六境にとらえるもの。
識――なぜそう在るのか。 それを学ぶこと。そこに答えがあるだろうか。

闇のなか、頼りない知性の光で、意志の途を照らす。 推進力は『力』。あふれるほどの。

群千鳥 睡蓮 > 見据えたもの。
あまりに漠然としたその、たった一字の単語。
それを学んでみよう。あまりに儚い四年間も、まだ殆どのこっている。
たしか――……睡蓮の花にも、そうした意味合いがあるという。

(妙なかんじ……)

自嘲する。時計を見上げた。
正確な時を刻む機構は変化せど、時計そのものは長く、姿を変えていない。

ペンを掴む。ノック部で、唇をとんとんと叩く。癖だ。

(視るだけでは学ぶのに限界がある。
 ふれあわせて、かさねることかな……)

確実に、積み重ねていけばよい。
そう、ふれあわせて、かさねて――
細めた瞳によみがえる昨日の記憶。ふれあう肌。重なる胸。
熱いシャワー。白と黒。間近に視た赤い瞳。炎。ふれる―――

「…………ッッ」

白い顔が、ぼっと赤くなる。
勢いもあるとはいえなんてことしたんだあたしは。
こめかみをノック部でとんとんと叩いて雑念を追い払う。
暴れ始めた心音を、どうにか抑え込もうと深呼吸しつつ。

(残りも頑張ろ……)

試験期間はまだまだある。やることは山積みだ。
そのすべてを糧にしよう。いつか島外にふたたびはばたく時のために。
必然の落着。さだめられた終わりにむかって、そこで笑うために。
自分で選んだ。すべてを決めてきた。やれるだけをすべてやった。
運命はそうして受け入れるものと、弁えている。

ご案内:「第三教室棟 試験会場【イベント】」から群千鳥 睡蓮さんが去りました。
ご案内:「第三教室棟 試験会場【イベント】」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
「ふぅ…」

試験会場
本日最後の試験が終わり、やや人はまばら

さて自分の出来のほうはと言えば…まあ上々だったかな。という感じ

「さて、夜の準備もして、明日の試験の詰めも一応してー…」

なんだかんだと、学生は忙しい
風紀委員たるもの規範となるべき姿をとらねばならない
赤点なんてもっての他だ

まぁ、その点はさすがに心配ないだろうけれど
常に学園トップクラスを維持する凛霞にとっては赤点はさすがに縁のないものである

伊都波 凛霞 >  
ここのところ不安ごとも多く、やや集中力に難はあったけれど
とりあえずいつもどおりの実力は発揮できた気がする。今日のところは、だが

結局、あの本は見つかっていない
必ず探して返却する、と約束した手前、諦めることはしないけど
どこに消えてしまったのかが検討もつかない

試験が終わったら、本格的に捜索開始しなければ
そもそも本が消えるなんて、普通じゃない
サイコメトリーで追跡しても盗まれた形跡はなかったのだ

スクールバッグに諸々を片付けつつ、同時に思考をまわす
だとしたら、本の行き先にも、あの本の禁書としての性質が関わっている可能性は否定できない

「………」

禁書に詳しい人……
イヤだけど、ルギウス先生に連絡をとってみるべきか すごくイヤだけど

伊都波 凛霞 >  
とにかく、試験が終わってからだ
学生の本分は勉強、それを疎かにしては何も為すことは出来ない

「───ん……ぁ、……」

立とうとして、足元がややフラついた
時折来るようになった、この強烈な、眠気
まるで抗えないような、激烈な睡魔──
緊張感の切れた一瞬だとか、気の緩んだタイミングに訪れるそれは、まるで隙をつかれているかのようで…

「…だめ、保健室……休ませてもらお……」

壁に手つき、やや顔色の良くないまま、歩きはじめる
──睡眠不足も、ここに極まれりかなあ、なんて
己の身に降り掛かっていることにまだ何も気づいていない、そんな様子で

ご案内:「第三教室棟 試験会場【イベント】」から伊都波 凛霞さんが去りました。