2020/07/15 のログ
ご案内:「第三教室棟 屋上」にオダ・エルネストさんが現れました。
オダ・エルネスト >  
一度失ったものは取り戻せない。
カタチあるものがいつか壊れてしまうように、
昨日まで隣り合ったものは、今隣にない。

その在り方は、古より続く日が星と競い巡るのと同じで
定められた道(ルール)を雷鳴のごとく疾走する。

日々は速く、感じるよりも速く
永遠に続くようなこの日々を駆け抜けていく。

光の速度で消えていき、その一瞬で燃え尽きる幻想。
夢は誰にも知られず、届かぬ、至高の幻想。

「……なんで、お前は俺を助けたんだ」

屋上の柵を背に夕日で伸びた自分の影を見た。
昨日、バイト代で買った自転車は今朝見事に死んだ。
買って十二時間だ。乗ってたのは一時間もない時間だ。

永遠に失った。

―――時が止まればいいと思った。

オダ・エルネスト >  
結果として、遅刻はせずに新たな出会いはあった。
別れと出会いが憑依一体だなんて誰がそんな事を決めたのか。

ギアなしでハイパートリプルXステンレスカーボンボディというめちゃクソ頑丈で重いだけの自転車だった。

「一万二千……百貨店の日雇いバイト代で買った相棒だったんだ……!」

ウィンナーは売れなかったし、あんまり店の人にもいい印象なかった。
祖国の大学で隠秘学を学んでた時だってこんな悲しい気持ちになったことはなかった……!

オダ・エルネスト >  
ため息一つ。


いや正直な話、自転車一つ手に入れれば

"やったー生活圏内広がって色んな場所にいけるしいろんなバイト出来るじゃ~ん!"

って感じからの投資だったわけなんだけど。
期末試験もあるっていうのに、マジ心折れる。

金の無心っていうと国の仕事ちゃんとすりゃーいい話なんだよなぁ。
島の状況を内部組織的に知れるとこ入って「ふぇえ…」ってやってれば支援金ガッポガッポって寸法ではあるんだ。

ただ、自由時間が減るじゃん。

「世界よ、時よ止まれって感じだ」

期末試験の事もちょっと考えたくない。

オダ・エルネスト >  
まあ、なんだ。
真面目に転入してひと月弱くらいは遊んで過ごしたっていうのはある。
最後は名作映画みたいに空飛んだし。
人類の限界の一つには挑戦した気はする。

こうして羅列すると結構十分遊んだなーとは思うわけだ。

じゃあ、なんで動かないのって話だ。

「委員会って何してるんだろうな……?」

転入する時に手続きはした、したよ。
でも、それだけが仕事って訳じゃあきっとないと思うんだけど。

「それもあるが委員会と部活って何がどれだけあるんだ……?」

なんか入島する前に偉い人からパンフレット片手に聞いた気はする。
覚えてないけど。
委員会はともかく部活は凄い多かった気がする。

勉学もそうだが、私はそうこの学園を知らな過ぎる。

「そう、先ずは互いを知ることからはじめなくてはいけないか」

そう!それは夏に燃え上がる恋のように愛へと昇華させていかねばならない。
間違えていたんだ。
この街を楽しみ遊ぶだけでは駄目だったのだ。

「私は先ず、この街を愛さなければならなかったのだ」

汝、隣人を愛せと言うやつだ(違う)。

オダ・エルネスト >  
「愛車(あし)は失ったが、私はまだこの街を歩き切ってもいない……!」

そう、何時までも立ち止まっていてはこの輝きも、私の未来(ものがたり)も勿体ないというものだ!


「知るためには、掴み取るしかない」


餌は口を開けていれば与えられるものではない。
餌は狩りにいかなければならないのだ。

「私がこの学園を知るように」

そう、挑み続けることこそ我が存在の証明、我が存在の《チカラ》の源泉。

「私の輝きをみせよう、そして―――」
「見るのだ。この島にいる者の輝きを」

荒唐無稽な御伽噺を識るために。

オダ・エルネスト >  
「ま、そのためには先ずはお金かぁ……
 働くかぁ……」

大きなため息一つ。
立ち上がって、移動しよう。

ここでにいても成績は手に入らないし、一円のお金にもならないんだ。

さようなら、私の自転車。

ご案内:「第三教室棟 屋上」からオダ・エルネストさんが去りました。