2020/08/17 のログ
ご案内:「第三教室棟 保健室」にビシュクさんが現れました。
■ビシュク > 「…………………」
常には穏やかに昼下がりを過ごしているはずの保険医。
一度も、この世界に転移してから見せたことが無かったほどに朱の瞳を吊り上げて不機嫌そうに見える。
先日…気のせいだと思いたかった気配は、少し席を外していた保健室へと濃厚な邪気を血のりめいてベットリとこびり付かせており…嫌でも、昔を思い出す。
ご案内:「第三教室棟 保健室」に窮戯さんが現れました。
■窮戯 >
コンコン、と軽く高いノックの音
保健室の主とは打って変わって、鼻歌交じりにそのドアを開けて入室するのは、
目立つ長身に、耳と尻尾を持つ黒い狐──
「ご機嫌いかが?嵋祝せんせい♪」
口元にニヤついた笑みを浮かべた女はにこやかに前へ
まるで久しぶりにあった旧友に歩み寄るように歩みを進める
その手に何かが入った小さな袋を下げて
「ふふふ。
此方から赴かないと挨拶もしてくれないなんて、ツレないのだから」
つらつらと紡がれる言の葉は、親しみを込めた…馴れ馴れしいもの
■ビシュク > 「――ついさっきから、今に至って最悪になったところだわ。」
目線すら合わせずに吐き捨ててから、目の前の化学教諭の黒狐…窮戯を睨めつけ、保健室の空気がキリキリと軋む…この場に第三者がいれば、あっという間に気分が悪くなりそうな悪空間…
「妖狐堂に闖入するだけじゃ飽き足らず、こんなところまで追いかけてくるなんてね。」
一見親しみに満ちた狐を睨んだまま、手に下げた小さな袋には気づいてても一顧だにしない。
…明確に相手を『敵』と断定した扱いである。
■窮戯 >
吐き捨てられる言葉に小さく肩を上げて、溜息
「あら…同僚にそういう態度は良くないんじゃなかしら。
評判よ?優しくて素敵な保健室の先生。
ホラ、生徒にするみたいな優しい笑顔。私も見たいのだけど♡」
クスクスと、嵋祝にとっては耳障りであろう笑みを浮かべ、黒狐は無遠慮に丸椅子へと腰を下ろす
黒く豊かな尻尾が、ゆらゆらと愉しげに揺れている
「"お友達"が楽しそうにしていたら、一緒に遊びたいでしょう?
今回は…先生ごっこ?ふふ。なかなか似合っているじゃない」
明らかな敵意を向けられようが、動じた様子も見せない
ただただ、愉しげな笑みを貼り付けた表情で銀狐を見ていた
■ビシュク > 「そんなしおらしい態度取ったって無駄よ。
あんたがここに来た時点で災厄の予感ばかりするの。
…他の同僚や生徒には、巧く見せても、私を誤魔化せるわけがないでしょう。あんたの本性は、誰よりも私が分かっているのだから。
…………」
更に視線の鋭さを増す朱瞳。一般生徒ならばそれだけで心臓を握られるような圧も、窮戯にはそよ風どころか爽やかな春風にしか感じられないのが分かっていても、睨まずにはいられない。
「友達顔して擦り寄ってくるヤツほどタチが悪いものは無いわよね。
欠片も嬉しくない褒め言葉をありがと。…………何が目的よ。」
目的は明らか…自身への嫌がらせなのは分かっている、が…
学園を離れれば、見せしめに『イタズラ』を始める可能性すらある黒狐を思い、ジレンマに至る銀狐。
■窮戯 >
「うふふ…まだ、そんな顔がちゃんと出来たのねぇ…?嬉しくなっちゃう」
貫くような視線、投げかけるような言葉にゾクリと身を震わせる
そう、誰よりも知られている筈。同時に、誰よりも知っている──
「昔の貴女を知っている人がいたら、今の貴方と同じような言葉を吐くんでしょうね」
挑発めいた言葉を投げかけつつ、ゆっくりとその長い足を組み上げる
「冷たぁい。あんなに一緒に遊んでいたのに、もう友達じゃない、なんて…。ひどい言葉をよく言えたものね。
…目的?フフ。なにかしらぁ…まぁ、それは置いておいて……」
クスリ、笑みを深める
「此処。良いところじゃない?すごく危うくて、すごく沢山の玩具が遊んでる。
ちょっとだけでもレールが破綻すれば、きっと混沌<カオス>は目の前…そんな島だわ。
───ねえ嵋祝。楽しそうじゃない?また、昔みたいに二人で遊びましょうよ」
手に下げた袋を膝の上に抱えて、撫でるように
その袋からは、否応なく気付かされるような嫌な気配が漂っている──
■ビシュク > 「あんたを喜ばせる気なんてサラサラ無いのだけどね。」
身震いして、愉悦を露わにする窮戯にぴしゃりと。
…誰よりも…それこそ娘たちや息子たち以上に相互に理解しているからこそ、嫌悪が喉奥を衝いて止まない。
―――昔を思い出してしまうから。
「言うでしょうね。業は背負わなければいけないけれど、変えられるもの。……あんたは一切合切変わっていないようだけどね。」
そう、変わらないままだ。
嵋祝から見ても怖気立つほど整った容貌も、人を玩具めいて掌で転がそうとする性情も………表向き友好的な態度を取っておきながら、内心は平然と別のことを考えている二枚舌っぷりも。
「お生憎ね。もうアレを遊びと思えるような性情は私には無いの。
………………………」
薄々気づいてはいた、その袋。十中八九以上の可能性で『ろくでもないモノ』の予感はしながらも、無視していたものを横目で見て。
「―――今言った通り。アレを遊びと思えるような気持ちは、今の私には無い。断るわ。」
…………
あくまで笑顔のままだろう黒狐には、見える。見えてしまった。
表面上、窮戯が鼻を摘まんで唾棄したくなるような神気を纏う今の銀妖狐の奥の奥、更に奥底に……消えかけそうでいて、それでも存在する窮戯の『トモダチ』だったものが。
■窮戯 >
「……そう。あくまでも先生ごっこに勤しむのねぇ…」
ざぁんねん。と肩を竦める
そんな素振りを見せながらも、その答えは当然予想していた通りのものだろう
今の彼女が、過去の自分を認めるわけがない
「楽しかったこと…あの頃の高揚感、忘れられるワケもないでしょうに。
そんな頑なな貴女も素敵よ嵋祝…。必死に、必死に見ないフリをして…本当に可愛らしくって。
愛おしい」
僅かに頬を紅潮させながら、呪いのような言葉を吐いてゆく
見えているのだ。そこに。あの頃のままの色を持った彼女が
言葉では届かないだろうか?では手を伸ばせば?それを振り払われた次は──
まるで鬼ごっこのよう。考えるだけで愉しい。愉しい。愉しい
「──ま、いいわ。
無理やり遊びに誘ったって、乗り気でなければ愉しむこともできないでしょうし。
やっぱり貴女には……もっと自分を思い出してもらわないといけないもの」
そう言うと、手元の袋を机の上へと乗せて
「フフフ。これ、お土産。貴女の大好物♪
これからも同僚として宜しくね、ビシュクせんせい?」
にっこりと満面の笑みを浮かべる、黒い狐
その心中は覗き込んでも何も見えない程に暗く、昏く、深い闇だ
■ビシュク > 「分かり切ってることを聞くんじゃないわよ。
あんたのことだもの、聞く前から分かっていたんでしょう?」
茶番もいいところ、と言わんばかりに切って捨てて、昔と全く変わらないドス黒さを見据える。
「今思えば、なんであんな下らないことに熱を上げていたか分からないわね。あの陰陽師には今では感謝しているわ。馬鹿狐に仕置きしてくれてありがとうってね。」
恍惚と体に指を這わせ、遥か過去の想い出に身を焦がす化学教師狐の癇を逆撫でする言葉を向ける。
『いいこちゃん』になってしまった昔の同胞狐…
投げた言葉が愉悦と絡み合い、それですら窮戯の歪んだチカラになりうるが、それを深く考えれば逆に囚われる。
「金輪際乗り気にも、思い出すこともないでしょうけれどね。
―――――…………」
表面上揺蕩う、黒狐の愉悦の奥…昏く燃え盛る憎悪と大蛇めいた粘着質の執念を認め…
半ば以上確信めいた思いで、断ずる。
目の前の邪狐とのやり取りはこの先とても長くなるだろう。
「さっさと行きなさい。二度と顔を出さないで。」
本来ならば、そのような土産など受け取りたくもない。
…けれど、目の前に置かれたソレも、また過去の自分の業が巡り巡ってきたものだろうと思えば、突っ返しもせず…
■窮戯 >
「フフ。答えがわかっていても確認する作業は無意味じゃないでしょ?」
提出前に答案を見直すのと同じ。そう言ってやはり狐は嗤う
「──あの陰陽師…ね」
その言葉を聞くと、数瞬。その表情から笑みが失せる
余計なことをしやがって
彼奴のせいで友は変わり、見る影もなくなってしまった
それどころか、剰え無二の友であった自分を封じるような真似まで
かの一族が生きながらえていたならば、一族郎党その細枝に至るまで呪い尽くして──
ふ、とその顔に笑みが戻る
ゆらゆらと尻尾を揺らしながら、ビシュクの言葉を愉しげに受け止める
「あーあ。知己が顔を出したっていうのに、本当に冷たいわぁ…。
フフフ…心配しなくてももう"確認は済んだ"わ。帰ってあげる」
じ…と血の色の瞳が朱瞳を見つめる
その奥の、ドス黒いなにかまでを見通すように
…やがて笑みに目を細めると、立ち上がって
「過去の友人として警告だけしておいてあげる。
ごっこ遊びで、あまり『大事なもの』を作らないようにね」
クス…と最後に小さく笑みを零し
置き土産を残して、カツカツとヒールを鳴らし、黒い狐は保健室を後にした
───
「大事なものは、増えれば増えるほど…… 弱くなる わよ?
これ以上貴女が弱くなっちゃあ…張り合いがないんだから」
部屋の外で小さく独りごち、保健室のドアを一瞥すると、狐はやはり愉しげに、校内へと姿を消した
■ビシュク > 「そんなところで教師ぶるんじゃないわよ。似合わない。」
不正解の跳ね線を入れる際に悦ぶような趣味は、銀狐には無いのだった。
「……………っ……」
一瞬本性を覗かせた窮戯の力の圧と、自身の今のチカラを感じながら、結界を総動員。この瘴気が保健室から少しでも漏れ出せば、何があってもおかしくない―――
「見るんじゃないわよ、怖気が立つわ。
………そんなことは、言われないでも分かってる。」
分かっていても、止められないし、愛おしい。
過去の自分とは180度違う業を負った銀狐は、悠然と去っていった瘴気まみれの黒狐の背中へ追い出すように視線を突き刺しぶつけて。
――――
「…………ごめんなさい」
目の前に置かれていった袋…
べっとりと、黒狐の瘴気と
『それいがいのナニカ』がこびり付いたその袋を、白衣が汚れるのも厭わずに。
次に誰かが保健室に来訪するまで、ずっと、ずっと、俯き抱きしめていた―――
ご案内:「第三教室棟 保健室」から窮戯さんが去りました。
ご案内:「第三教室棟 保健室」からビシュクさんが去りました。