2020/08/18 のログ
ご案内:「第三教室棟 保健室」にイヴさんが現れました。
イヴ >  
「ママー♪」

ばーん、勢いよく保健室の引き戸を開いて、小さな狐が顔を覗かせる

「あれー…」

タイミングが悪かったのか、母狐の姿はそこにはないようだった

イヴ >  
すん、と鼻を鳴らす
消毒液の香りに混ざって、暖かくて優しいにおい
ついさっきまで部屋にいたらしい

「んー……」

入れ違いかな。と思ったけれど、残っている匂いは母親のものだけじゃない
尻尾や耳の先がぴりぴりするような、不安になるようなにおい

丸椅子にひょいっと腰掛けると、ほんのりと温かい

イヴ >  
以前、一度だけ母親を本気で怒らせたことがある
なぜ怒られたのかは、とても言えないけど

なんだかその時と同じような感じのにおい

「いやなことでもあったのかなー」

ぺたーん、と机の上に突っ伏す
緩やかなウェーブのかかった金髪が流れるように揺れて

イヴ >  
がば、と起き上がる
不機嫌になった女の子には優しくしなきゃいけない
それはご機嫌を取る、とかじゃなくて
ただ可愛い女の子には素敵に笑っていてほしい
小さな狐は素直にそう思える性根の持ち主だった

そしてこのちび狐の中では『母親』も『女の子』の範囲だった

「うん。今日はママのためにボクがご飯つくろう!」

お仕事から帰ってきて、ごはんが用意されていたらきっと喜んでくれるはず

イヴ >  
島の中を散策するお小遣いはもらってる
無駄遣いは当然できないけど、こういう使い方ならきっと怒られたりなんかしない

「んー…んー♪」

ふんふんと鼻歌を奏でながら、よいしょーっと手を伸ばして机の上のペンをとって、
同じく卓上のメモ用紙を1枚拝借

さらさらーっと、今日はまっすぐ帰ってきてね!、と伝言を書き記す
ちび狐のくせに達筆だ。姉達にでも文字の書き方を習ったのかもしれない

イヴ >  
暑い中を帰ってくるのだから、冷たいものがいいかな
それともだからこそアツアツで食べたほうが美味しいものがいいのかな
色々考えながら、ママの大好物はなんだっただろうー、と思い出そうとする

子供たちの作るもんはなんでも美味しいといって食べてくれるし、
そもそも母狐の作る料理もどれも絶品
自分でも作れて、尚且つ喜んでくれそうなもの──

「親子丼!」

ぴこーん、と閃く
ふわふわ卵とたまねぎが甘くておいしい、おだしのしみたごはんと、あっさりとした鶏肉のはーもにー
材料も簡単、調理も難しくない
上手く作れたら、きっと喜んでくれるはず

ぴょんっと丸椅子から降りる

商店街は校舎から出てあっちだったっけこっちだったっけ
わからなかったら、誰かに聞いてみよう

思い立ったら即行動
あぐれっしぶなちび狐はぱたぱたと無人の保健室を後にするのでした

ご案内:「第三教室棟 保健室」からイヴさんが去りました。