2020/08/24 のログ
■セレネ > 「読書にせよ勉学にせよ、自分の興味のないもの程つまらないものはありませんからねぇ。
何か興味のある本を見つけて少しずつ読んでみる、というのも
読書に慣れる一つの手段だと思います。
やっと覚えた、とは言いますが三年で覚えられた、と考えれば凄い事では?
特に日本語は難しいですから。」
読み書きについての話を聞けば、相手はスラム等の学園とは無縁の場所に居たのだろうか。
己が居た元の世界でもそういった人や子供はザラにいたので平然と受け入れる。
相手の立場には、疑問を抱く事もなく。
「蔵書がないのならそういった事が得意な方を見つけるしかなさそうですね。
怪異は特殊な事例ですし。」
左手のみに嵌められた手袋には、彼の服装も相まって暑そうだという印象しか浮かばなかった。
「二年。という事は先輩になりますね。
私は一年のセレネと言います。」
自己紹介をされ相手の名と顔を覚えながら、己も名を名乗り。
軽い会釈を返そう。
■追影切人 > 「興味のある本、ねぇ……直ぐには浮かばねーが…ま、そういうのが見つかりゃ読書も吝かじゃねーが」
逆に言えば、興味のあるジャンル以外はまず読書なんてしたくない、とも言える訳で。
三年が凄い、と言われても男にはピンとこないのか不思議そうにしており。
「そうか?まぁ、でも俺みてーな二級学生上がりとかって、教養ねーやつも珍しくねーからなぁ」
特に隠す理由も無いのであっさり語る。二級学生から正規学生になる、というのも実際珍しくは無いからだ。
「――特殊な事例っつーか……あーー…ま、”俺がそう”だからなぁ」
左手の手袋の指先で何気なく地面のある一点を指差して。そこから長さ30センチほどの真っ黒な刃が不意に現れる。
異能か魔術と思われるかもしれないが、少なくとも魔力反応は一切無い。
そして、黒い刃は数秒経過すればそのまま地面へと沈み込むように消えていくだろう。
「おぅ、セレネだな。ま、よろしく頼むわ」
まぁ、第一級監視対象と絡んでもロクなことにはならないと思うが、そこは一先ずは黙っておく事に。
■セレネ > 「まぁ、これはあくまで読書に慣れる為の方法ですから、
苦手なジャンルを読むのはまた別の問題になりますけど。」
読書という行為に拒否感を抱かない為の方法の一つを提案しただけ。
それを実践するか否かは相手次第だし、興味のないジャンルについては今回度外視している。
「二級学生…って、確か正式な学生ではない人達の事でしたっけ。」
そういう人達はどの世界でも居るものなのだな。
しかし、それでも彼は今此処に居るという事は学園から認められたという事で。
良い事なのではないか、と相手の事情もよく知らないからこそ思える。
「”そう”?
――!!」
左手でふと地面を指差した。その方向に蒼を向ければ、そこから黒い刃が生えた。
己の異能では何も視えない、捉えていない。
魔法や魔術の類ではない。
彼自体が特殊な事例、即ち怪異やそれに類する者である可能性も充分ある。
というかそれを示す為に行動したのであろう。沈みゆく黒い刃を見つめながら、思考を回す。
「…はい、宜しくお願いします。」
だが仮にそうだとしても、害を成さぬなら問題はない。
変わらず頭の中で色々と思考を回しながら言葉を返し、視線を相手へ戻そう。
■追影切人 > 「慣れ、ねぇ。まぁ、この手の書物を読めるようになるにゃそれも必要か……正直面倒臭ぇが、そうも言ってらんねーか」
嘆息。実践するかどうかはまだ分からないが、少なくとも慣れに関しては必要だろうとは思いつつあり。
彼女の質問に、「そうそういわゆるはみ出し者や落ちこぼれ扱いだな」と、簡潔に頷いて。
まぁ、そういう類の扱いは世界や環境が違っても案外普通に転がっているものだろう。
勿論、男は正規学生になれたのは”監視”の意味合いが強いのだけれど。
「――ま、見ての通り。今のは魔術でも異能でもねぇ。それとは別の特殊能力っつーか”特性”だな。
――ま、よーするに俺が今色々あって怪異に”なりかけ”でなぁ。その解決法を探ってんだ」
肩を竦めてみせつつ。今度は分かり易いように右手の指先から黒い小さな刃を軽く生やしてみせる。
それも直ぐに引っ込むが、少なくともある程度なら制御と操作は可能だ。
「まーそんな訳で、だ。初対面相手に言うのもアレだが、怪異関連でなんか小耳に挟んだら教えてくれるとありがてーわ」
■セレネ > 「いきなり手を付けるより、その一歩や二歩手前からステップアップしていく方が頭に入りやすいかと。
難しい本を読んでも今のようにまるっと頭に入らないものですし。」
勉学についても同じようなものだ。
必要なものなら猶更、多少時間はかかるかもしれないが本当に理解するなら必要だろうと語る。
二級学生の説明には、認識は合っていたと内心安堵。
まさか目の前の彼が監視対象だと、そこまでの思考は情報がない為至らず。
「なる、ほど。
だから怪異についての蔵書を読んでいた訳ですね。」
そうし、今度は右手に生えた小さな刃。
相手の特性とは、自在にその刃を生やす事なのだろうか。
「ふむ…分かりました。
私で良ければ出来る限り情報は集めてみます。」
誰か怪異について詳しい人物は居たかな…。
兎も角、やれるだけの事はしてみようとは思う。
これも何かの縁であろうし。
■追影切人 > 「つーと、もっと難易度落した本を見繕うしかねーかなぁ。図書館漁りまたするか…。」
普段全く縁がない場所なので探すのも一苦労だがやるしかない。
とはいえ、まずは自身が理解し易い――手を付けやすい所から、だろう。そこはセレネの言うとおりだ。
「おぅ、勿論おれ自身はまだまだ人間だけどな。じわじわ侵食されて怪異になりかけてるっつーのが現状。
一応、そういう研究者とかに見て貰ったりはしてるが、まぁ現状だと根本的な解決法はねーんだと」
既に怪異の因子と肉体が融合しているせいらしいが、専門的な知識を必要とする解説は正直分かり辛かった。
ともあれ、いきなりこういうぶっちゃけしても困るだけと思われたが、彼女は冷静だった。
「お、おぅ。何かあっさり初対面なのに頼み引き受けてくれてあんがとよ。
まぁ、無理に集めなくても小耳に挟んだりした程度でもいいからよ?…っと。」
そろそろ一度戻らないといけない。かったりぃなぁ、とぼやきつつ本を閉じて小脇に抱える。
傍らに持っていた刀はそのまま鞘ごと左腰に差してからベンチから一足先に立ち上がろうと。
「つー訳で悪ぃセレネ。俺ぁ先に戻るわ。怪異の情報はまぁ、余裕がありゃ頼むぜ。
…あと、そうそう雑談あんがとよ。良い気晴らしになったぜ」
と、悪ガキを髣髴とさせる笑みをニッ、と浮かべてからそちらに手を一度ひらりと振って歩き出そうか。
そのまま、彼女より一足先に校内へと戻っていくのだろう。
■セレネ > 「ふふ、私も個人で探してみますから、そう気を落とさずに。
ネットでももしかしたらそういうサイトとかあるかもしれませんし…。」
スマホやパソコンで調べれば、そういったサイトの幾つかは出てくるのではないか。
むしろ、蔵書を漁るよりネットの方が沢山の情報が見つかるかもしれない。
そっちも探してみるかと頭の端で考えて。
「人から怪異に。
…それはまた、何とも…難しいですね。」
徐々に変異していくというのはどういう感覚だろうか。
それをどうにかしようと奔走しているのなら、彼は人で居たいという事だろう。
「いいえ、割とこういう事元の…あー、別の国でもやっていたので慣れてるだけです。
――分かりました、何かの折にでも分かったらお教えしますね。
…い、いえ。私は別に何もしておりませんよ。では、また。」
笑って言われた礼には、ちょっと気恥ずかしそうに頬を掻いて。
先に戻ると言った背を見送ろう。
ご案内:「第三教室棟 屋上」から追影切人さんが去りました。
■セレネ > ドアが閉まる音と共、ピンと伸ばしていた背を背凭れに預け。
「元二級学生の怪異になりかけている人間、ねぇ。」
誰も居なくなった屋上、紡ぐ言葉は母国語。
今さっきまで浮かべていた表情は消えて、頭の中で情報を纏める。
人から化け物に転じる事例は己が元居た世界では不思議ではない。
だが、なりかけている人間を元に戻すという事例は、少なからず己の知っている限りだと殆どない事だ。
大抵は化け物になれば理性を失って討伐されるか、理性を保ったまま生き永らえるかの二択。
元に戻りたいなんて”人間”は居なかった。もしかしたら諦めていただけかもしれないが。
■セレネ > 「まぁ、やれるだけの事はやってみましょう。
望みは薄いけれど…。」
情報収集をやった上で駄目だったのならそれは仕方のない事だし。
冷房で冷えていた身体も暖まった。
手を何度か握ったり開いたりして感覚を確認すると来た時より狭まっている日陰から出る。
いつも通り、研究室や保健室に寄って怪異についての話を知っているか聞いて。
その後時間があれば図書館にも行こうと頭の中で今後の行動を決めながら己も屋上を後に。
ご案内:「第三教室棟 屋上」からセレネさんが去りました。