2020/09/30 のログ
ご案内:「第三教室棟 屋上」に日下 葵さんが現れました。
■日下 葵 > 秋空の午後、心地よい風が時折吹き抜ける。
空に浮かぶ真っ白な雲が、その風に流されて東へと移動するのを、
ベンチに腰かけたままぼーっと眺めていた。
「雲の高度も、心なしか高くなったように思いますねえ」
夏の様に、雨を降らせるだけの密度と高さを持った雲はもう見えず、
ほどほどの厚みの雲が空全体に広がり、
時折隙間から青の彩色をのぞかせる程度だった>
■日下 葵 > 「今日はもう講義も警邏もありませんし、帰りましょうかね?」
流れる雲を眺めながら、ぽつり。
パーカーのポケットをゴソゴソとまさぐると、
取り出したのは煙草の箱とライター。
既に本数は半分以下になっていて、
箱の底にはパラパラと落ちた葉が溜まっていた。
そんな箱から一本、煙草を取り出すと、
箱と一緒に取り出したライターで火をつける。
ふぅ、と息を吐くと、白い煙を含んだ呼気が風に溶けていった。
再びフィルターを咥えて息を吸うと、喉を煙が通る感覚。
誰もいない屋上で独り、静かな時間を満喫している>
ご案内:「第三教室棟 屋上」に夢莉さんが現れました。
■夢莉 >
「(あー……まぁバレねぇだろうしいいだろ)」
屋上は、学園内煙草を吸ってもバレにくい稀少な場所の一つだ。
常世学園の生徒は年齢を問わないとはいえ、殆どは未成年、喫煙者は少ない。
何より自分自身が未成年なのもあり、校内に設置された喫煙所で堂々と煙草なんて吸っていれば問題行為扱いになる。
だから、学校に顔を出して煙草を吸いたくなった場合に行くのは大抵こういった”バレにくい場所”だった。
まぁそれでも、普段ならちゃんと誰にも見つからないように裏でこっそり吸うのだが。
最近は、”家族”が増えた事もあって家でも煙草を吸う事を控えていた。
だから、ちょっと我慢できずに。
屋上を上る階段の途中で煙草に火をつけて、そのまま歩き煙草をしながら入ってしまった。
まぁ、こんな時間なら誰もいないだろ、と。
「……あ”」
いたわ。
■日下 葵 > 煙草を咥えて、流れる雲を眺める。
風邪が顔の近くを通る音と、校舎の下や、
街の遠くから聞こえてくる自動車の喧騒、
そういう音だけが届くこの空間は、眠気を誘うのに最高だった。
船を漕ぐように頭をカクッと落とすと、慌てて頭を上げる。
「――おっといけない、服を燃やすところでした」
幸い、まだ灰は落ちるくらいの長さにはなっていなかった。
吸い殻を携帯灰皿に押し込んで、二本目を箱から取り出す。
すると、屋上の出入り口が開く音。
「おやおや、静かな時間も終わりですねえ」
こちらを見てうわ、と言わんばかりの彼女――?を見て、笑った。
私の言葉が届くかは定かではないが、
よほど耳が良くないと聞き取れなかっただろう。
一応気を遣うようにベンチの端に寄れば、視線を宙に戻して、
咥えていた二本目に火をつけた>
■夢莉 >
相手の声は聞こえない。というより、そんなものを気にするのより先に気にする事があったというか。
若干バツの悪そうな顔をし、それから一度煙草を消そうとしてから、相手の口に咥えたものを見た。
あー、なんだ…同類か…
喫煙所事態は学園内にも存在する。嫌煙の風潮が強まっていて肩身は狭い思いをするが、喫煙所内で煙草を吸う分にはそこを利用すればいい。
そういう場所で吸わない奴は、大抵まぁ…そういう事だ。
「…ぁー」
だから、助かったといえば助かったか…?と思いつつ、しかし鉢合わせすれば多少気まずい。
ルール違反を見られてるのだからそれは当然で。
とはいえ顔を合わせてからこそこそするのも癪で。
「隣、いいか?」
とりあえず声をかけた。
■日下 葵 > 「どうぞ~、ちょうど話し相手が欲しかったところです」
近くまで来て、隣に座ってもいいかどうか問う彼女
――いや、彼?をちらりと見やる。
その口許に咥えられた煙草を見ると、
先ほど開けたベンチの隣をトントンと叩いて、座るように促した。
ふぅーっと息を吐くその様子は、
まるで”人に見られても気にしませんよ”と言わんばかりだった。
「そんなびくびくしないで下さい。
ここに風紀委員が警邏で来ること、そんなにないですから」
何なら教員も隠れてここで吸っているようです、
なんて言葉を口にするのは、バツの悪そうな彼の顔を見たからだろうか>
■夢莉 >
「おぅ‥‥」
言われれば一人分ほど距離を離して、煙草を吸う。
何時もの味だ。香辛料と紅茶の、独特な甘みのある煙草の味。
何度か違う煙草を吸ってみたが、結局この煙草を吸い続けている。
思い入れ深さか、未練がましさか。
あー、ヤダヤダ。
犬も食わねえ事ばかり最近考えやがる。
そんな事を考えながら、隣にいる相手の言葉に頬を掻いてから……
「話し相手、ねぇ……
つっても初対面の相手に話す事m…
あ? ビクビク? してねぇが?」
言葉に反応した。
ついムキになるのは、何時もの癖だ。
■日下 葵 > 「いいじゃあないですか。
私ちょうど暇してたんですよ。とりあえず自己紹介しましょう」
少し距離を開けて彼が隣に座ると、煙草を指で挟んで笑う。
「私は日下葵です。”あおい”と書いて”まもる”です」
彼が煙を吐くと、風に流されて少し独特な香りが鼻についた。
有名な銘柄の煙草なら匂いで分かったが、
彼の煙草はそのどれでもないようだった。
「え?私を見たときバツが悪そうに煙草を消そうとしていたのに?」
ムキになって少しだけ語気を荒げる様子を楽しそうに眺めると、
その表情の移り変わりを観察する>
■夢莉 >
「してぇねぇよ。
消そうとも、バツも悪くも。
ヤニに頭でもヤッてたんじゃねぇのか?」
面白げにこっちを見られると、つい口が悪く返してしまう。
初対面の相手に流石に失礼だとは後で思ったものの、口から出た言葉は戻せない。
まぁ…これで気分を悪くするならさっさと出ていくだろ。
はぁ、と息をつき、とりあえず…名前だけは名乗っておくことにした。
「…ヘンな読み方だな。
…夢莉。夢に……利用の利にクサカンムリつけたのでユウリ。
苗字はねぇ。」
育ちが悪いんでな。と、付け足し。
■日下 葵 > 「あら、そうですか?
なら私の見間違いかもしれませんねえ?」
必死に、というか少しイライラした様子で返事に、
(いやぁ面白いなぁ)なんて思いながら話を聞く。
「ユーリ、なるほど、夢莉さんですか。
以後、よろしくお願いしますね。
名前についてはそうですねえ、
『女なのに男みたいな読み方する女みたいな漢字あてやがって』
とはよく言われます」
変な読み方、と言われてしまうと、そればっかりは同意する。
一般的な読み方とは言い難い。
「そうなんですね、となると、二級学生から入学、って感じでしょうか」
苗字はない。そういわれると、うなずきながら質問してしまった。
もし彼が嫌そうな顔をしたら、それ以上は聞かないでおこう>
■夢莉 >
「ケッ」
なんとなくわかった。
コイツ、オレの嫌いなクソ上司にそっくりだ。
「だとしたら何か問題あるか?
言っとくが正規の手続きで入ってるから裏なんざねぇよ。
とやかく言われる筋合いもねぇし。
それにお前、見た感じ未成年だろ。
煙草なんざ吸ってんじゃねえよ。ホーリツ、知らねえのか?」
あんまりにもあんまりなブーメランである。
目の前の女性…のように見える彼も見た感じ成人してるようには全く見えないのに。