2021/10/05 のログ
ご案内:「第三教室棟 ロビー」に深見 透悟さんが現れました。
深見 透悟 > カツーーーーン…… コツーーーーーーン……

夜の校舎内、ロビーの片隅で繰り返し繰り返し、奇妙な音が響く。
人の足音とは違う、異質な物音。例えるなら、シャーペンをひたすら床に落としているような……

………


『いや、実際落としてんすけどね。やーーーーー、暇だわーーーー』

誰かの忘れ物と思しきシャーペンをロビーの片隅で床に落としては拾い上げ、落としては拾い上げるを繰り返すのは、
最近常世島に現れるようになった、“声だけ”の幽霊だった。

深見 透悟 > カツーーーーーン……  コッ……

時々落とし方が悪いのか思うように音が響かない時がある。
その時は大抵直後に舌打ちがする。意外とコツがいるらしい。

『何が悲しくて夜の校舎でシャーペン落とし続けにゃならんのだ。
 かと言って昼間出てきたら幽霊じゃないじゃん?
 だからこうして夜の校舎で誰か驚かそうって腹積もりで居たのに最近はもう生徒の帰宅が早いこと早いこと!』

手持無沙汰を誤魔化すようにシャーペンを落とし続けていた幽霊、飽きて来たのか独り言が増える。
もしかすると“一人ではない”のかもしれないが、単にお喋りなだけという可能性が高い。9割5分くらい。

『せっかくのゴーストライフをエンジョイしてたのに変な噂流してゴーストの立つ瀬を奪ったのは誰じゃっつー話よ!
 いや、我々若干浮いてるから立つ瀬が元からあったかは知らんけど!ハハッ、ゴーストジョーク!』

深見 透悟 > 『はいピッチャー第1球、大きく振りかぶって……』

いい加減シャーペン落としも飽きが確定した幽霊。
廊下に落としてたっきりのシャーペンを拾い上げると、空中でそれが消える。
単に握り込んだだけなのではあるが、幽霊に掛かっている魔術によって“視えなく”なる。

『キャッチャーのサインもベンチのサインも無視してバックネット目掛け投げたァァァァァァ!!!!』

大☆暴★投!
傍目に見れば突然現れたシャーペンが凄い勢いで宙を飛んでいく……様に見えたかもしれないが、割とすぐ壁にぶつかった。
カチャン、と乾いた音と共に再び床に落ちて転がるシャーペン。傷一つない。

『あーくそ、まーじで暇だ。
 何か脅かしがいのある奴とか居ないかな。居残りでも、見回りでも、もうこの際死んでても良いや。』

深見 透悟 > 『居らんかー、生者も死者も居らんかー
 いやまあここ一応ガッコらしいし?ガッコに死者がぞろぞろ居たらそりゃマズいけんど?
 あれ、そしたら俺居るのマズいでは?
 除霊とかされちゃうかね。布にシュシュッとやる感じのやつで。臭いと一緒にさっぱりされちゃう?』

それはやだわー、と床付近を声が右往左往。
実際は床に寝転んでゴロゴロと転がりながら宣っているのだけど見えないから関係ない。
お化けにゃ学校も試験も恥も外聞も何にもないのだ。

『ちゅーかそもそも見えないものを除霊するってどんな感じなのかね。
 やっぱ無差別広範囲で一網打尽的な?幽霊一体に?MAP兵器持ち込む?カ~ッ、頭ロボット大戦かよ。』

実際にやって来そうな生徒が居ない事も無いのが怖いところ。

深見 透悟 > 『くっそー、かくなる上は校内の机という机にタンポポ乗せてちょっとした鮮魚コーナー気分を味わってもらうしかねえな……?』

声の発生元が床から少し高くなった。身を起こしたのだろう。
退屈した死者は形振り構わなくなるという故事もある、と1人でほくそ笑む幽霊。傍迷惑極まりないうえにやることがみみっちい。

『その前にこのガッコの地理が全然把握出来てねえんだよー
 誰か案内してくれねえかな。女子更衣室とか。トイレ?あそこは俺みたいな新参が行っちゃいけねえよ。』

そもそもここがどの辺りなのかも分かっていない。
適当に生徒の後に憑いてふらふらーっと彷徨っていたら辿り着いたフロアである。そして気が付けば生徒たちはみな下校。途方に暮れて今に至る。

深見 透悟 > 『そもそも俺ってば……この場所から動けなくなってない?
 やっばいこれもしかして地縛ってる?我今地縛霊モード?
 道理でさっきから階段昇る気降る気とか全然しねえなって思ってたんだよなー!』

それはただの怠惰なのだけどそれはそれ。
このフロアまで来た時の様に通り掛かりの生徒の肩に乗って移動できればそれに越したことはなかったのだが。
既に現在地の滞在が長引き過ぎて半ばこのフロアの地縛霊となりつつある幽霊。生者で例えれば脚から根が生えた状態。

『くっ、またさっきみたいに思わずふらふら~っと憑いて行きたくなる様なデンジャラスキュートが居れば……ッ!』

小難しい理屈はともかく、ここに来た時は女生徒に釣られただけな幽霊。
だってこの学校女子レベル高いんだもん。

深見 透悟 > 『ま。今日の所は望み薄かねえ……明日の昼まで待つか。
 さーてさーてそれまでなーにしよっかなー』

無い足が重い、というか体全体に疲労感を覚える幽霊。
肉体なんてとっくに別世界で死んでいるから気の所為なのだが、気のせいの割には心当たりがあった。

『ははーん、新人いびりならぬ新霊いびりをしてきてる奴が居るなぁ~ん?
 よっしゃあ、上等じゃい!どっちが格上かはっきりさせてやろうじゃあねえか!!
 来いよベネット!!銃なんて捨ててかかってこいや!!!』

野郎オブクラッシャー
意味不明な叫びは勢いよく遠ざかり。ロビーは本来の静寂を取り戻すのだった。めでたしめでたし。

ご案内:「第三教室棟 ロビー」から深見 透悟さんが去りました。