2021/10/15 のログ
ご案内:「第三教室棟 屋上」に高梨美子さんが現れました。
高梨美子 > 夜の屋上のベンチに三角座りで煙草を吸う女が一人
表情はボケっとしており、顔を上げて空を眺めているだけで。

「……今日も一人だったなぁ」

どうやって声をかけるのかもわからないし、声をかけても口が悪くて
引かせてしまうこともよくある話で。
別にいいし、と強気な思考を一つ浮かべるものの
すぐにそれは吐き出した紫煙と共に溶けていく。

「……野球見よ」

そして、取り出したスマホを起動させ動画サイトへと飛ぶと
見忘れていた試合の動画をポチりと。

どこか寂しそうに、身体は前後に揺れて。

高梨美子 > 「……たかみん最近調子悪いなぁ。あ、つまったしよ」

推しの球団の推しの選手の調子が最近悪くて
このまま引退か!? なんて、テレビでは言っていたけれど
まだまだ頑張ってほしい、とは思うものの。

「たかみん歳だしなぁ……あ、打った。やた」

上げていた顔と腕をおろして、試合の様子を眺めていれば
推しの選手が大きく打った。それが嬉しくて、小さくガッツポーズ。

「たかみんはまだまだ行けるな」

屋上の寒空の下、試合の音量を垂れ流しにしつつ。
スマホを膝において携帯灰皿に煙草を入れて、もう一本口に咥える。
その先端を能力で炙って火を灯したら再びスマホを手にとって。

「かっせーかっせーた・か・み・ん もえろもえろ、た・か・み・ん!」

スマホの画面を眺めながら、一人なのを良いことに
スマホを持っていない腕を上下に振るって応援。
誰かに見られたら顔を真赤にして俯いてしまうことは請け合いで。

ご案内:「第三教室棟 屋上」に深見 透悟さんが現れました。
高梨美子 > 屋上でベンチに座って野球の応援をしている女が一人
煙草を吸いながら右手を上下に振っている。

深見 透悟 > ひゅーん、と別棟の屋上から飛来する“何か”

『へいへーい、ホタル確保ー!』

馬鹿に景気の良い声だけが、誰も居ないはずの屋上に突如木霊する。

『ってホタルじゃねーじゃん、ホタル族じゃん。
 いや知ってて来たけどね。こんばんはー、幽霊とか出そうな良い夜ですねー!』

ベンチの背後からめっぽう明るく声を掛けるが、野球観戦の姿を見て、はっと息を呑み。

『あらぁ、ごめん、お邪魔しちゃった?』

高梨美子 > 飛来する何かには気づかなくて、機嫌よくニコニコとスマホを眺めていた
のだが、急に屋上にこだました景気の良さそうな声が聞こえた気がして
周囲を見渡すが何もなく、首を傾げてスマホに視線を戻した。瞬間。

「ホタル族でもいいじゃん。受動喫煙がなんだってんだ……いい夜だけどさ」

あれ?後から話しかけられている。と気づいたのは返答し終わったあとで
誰かに見られたかと思うと冷や汗がダラダラ流れて。
その前に、扉を開ける音が全くしなかった、おかしい、と息が浅くなっていく。

「ひぃ! 誰! だれだよ! たかみんいいとこなんだぞ!」

体育座りから前のめりになって駆けて、後ろをばっと振り向く。
声の主を探して視線が動く。
はたして、姿は見えるのだろうか。

『たかみ、スリーランだー!』

そんな実況が、スマホから響く。

深見 透悟 > 『おっ、良いねえその反応!
 そうそう、そういうの欲しかったんだよー、いやー死んでてよかったー。
 幽霊なのに夜間は人と出くわさないから、脅かすこともままならないし?いやいや幽霊冥利に尽きますなあ。』

振り返った少女の横、背もたれに肘を乗せる様にしてニヤニヤとした声を投げる幽霊。
最近めっきり幽霊としてやっていく自信を失いかけていたが、生き返った気分もとい、死に返った気分らしく。
まあそんな気分になったところで姿が見えないのと死んでいるのは別問題なので透明なままだけれど。

『あ、たかみんスリーランだってよ。
 ごめんねえ、良いとこだったのに邪魔しちゃって。ほら、リプレイでもう一度あるから。
 とりあえずそっち見てそっち。』

ちょいちょい、とスマホを指で小突く。
少女からしてみればスマホが勝手に微動する状況。

高梨美子 > 軽快に喋る声はどうやら座っていた横の背もたれから発せられた様子。
視線をぐるぐるとやっても一向に見える気配のない姿。
声の主の言う通り幽霊なのだろうか、と若干表情を青ざめさせる。

「いやいや、幽霊なんていないし。幽霊とか……とにかくいねぇし!」

そうしたらこれは自分が生み出したイマジナリーフレンドということになって

「ああ、ついにボッチ極めてイマジナリーフレンドか」

なんて、一人納得したのだけど。

「え、たかみんスリーラン? うそ」

横に向けていた顔をスマホに戻す。
すると、本当にスリーランを打っていた。
しかも、スマホが勝手に動いた。

「……ひぃ、イマジナリーフレンドじゃないぃ……たかみん打ったぁ」

幽霊と初めての遭遇、そしてたかみんのスリーラン
複雑な感情の中で息が更に浅くなっていく。

「こ、こっくりさんとか……誰かやった?」

もしかしたらそれか、と混迷を極める脳内で回答が導き出された。

深見 透悟 > 『やー、ごめんねえ。姿くらい見せれたら良いんだけどさ。
 こればっかりは俺自身もどうしようもなくって。あ、そんなに怖がらなくても取って食ったりしないし。』

そもそもそんな事が出来るなら声なんて掛けずに取って食ってる。
ケタケタと陽気に笑いながら背もたれを飛び越え、ベンチの端に腰を下ろす幽霊。

『まあイマジナリーフレンドでも良いけど、こっくりさんと同類にされるのは。
 あれって狐狗狸で動物霊の総称って事でしょ?一応俺人間だし。』

うーむむむ、幽霊的には若干プライドに関わると不満げに呻く。
姿を見せられないてのは、こういう不便さもあるのかと場違いに真面目に反省してみたり。まあ反省したところで、だが。

『よーし、じゃあ自己紹介しとこ。
 おっすオラ幽霊の深見 透悟ってんだ。
 お嬢ちゃん……年上っぽいな。てことは、お姉さん……と呼ぶにゃ離れすぎて無さそう。』

はてさてどう呼んだものか、逡巡するように目の前の女生徒を見回して……

『ふーむ。ボインちゃん、お名前は?』

高梨美子 > 「そ、そうなんか……じ、じゃあ取り憑いたりとかしねぇ?」

ああ、ケタケタと陽気に笑う声が横にやってきた。
この言葉の返答によっては過呼吸気味になっている息が本当に過呼吸になるやもしれず。

「……そ、そういえばそうだった。うっかり……してたぁ
 ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

機嫌を損ねただろうかと心配そうな声色でもって横にいるであろう
幽霊に何度も謝罪の言葉を述べる。

「……ふ、ふかみ、な。と、年下なんだ、深見」

なんだかフレンドリーに挨拶してきた。
しかも年下ということが分かってどこかで安心したのか
口調がもとに戻ってくる。

「ぼ、ぼいん……あ、俺は高梨美子
 美しい子ってかいてみこ。よ、よろしく」

とりあえずスマホの電源は切っておく。
推しの球団が気になるがそれどころではない。

「……な、悩みとか。聞いてくれる系?」

思い切って、訪ねてみた。息は相変わらず浅いが。

深見 透悟 > 『取り憑くのは……あー、まだ試した事無いな。
 肩に乗って移動する、くらいは出来るけど。
 まあたぶん無理というか、かなり難しいと思うよ。「いやだー」って思われてたらほぼ無理ゲーって感じ。』

そもそも人に取り憑くより幽体の方がよっぽど便利。
然したる理由も無くそういうことはしないだろう、というのが深見の自己分析である。アテにはならない。

『そんなに謝られる程気分が害してないから。
 ほうほう、美しい子ってかいて美子。美子さんねー。あ、俺も透悟で良いよ。美子さんの方が年上で間違いなさそうだし。
 ほいほいよろしくよろしくー。』

少し落ち着いてきた様子の高梨にほっと一安心。
正直、倒れられたりしたらどうしようかと思った。
スマホを消すのを見て、別に見ながらでも良いのにー、と笑ってみるものの笑顔はきっと見えないだろう。

『ほー、悩み。良いでしょう。どしたん、相談乗るよ?
 肩が凝って辛いのは、たぶん霊障とかじゃないから大丈夫。』

自前の物の所為だと思う、と聞かれてもいないいらん事で太鼓判を押してみたり。

高梨美子 > 「あ、そ……そう。いや、肩に乗ってってそれ憑いてるって言わね?
 いやでも、それ聞いて安心した」

無理と思えば憑いてこれないと考えれば気が楽になって
浅く吸っていた息をゆっくりとしたものへと変えていく。
そうして、ゆっくりと深呼吸をして。

気分を害していないと聞くと、深呼吸を終えた後
ほっと胸をなでおろした。

「よ、よかったー……案外いいやつじゃんよ透悟。ひへへ」

なんだか、この気の抜けたような声を聞くと
怖がっていたのが馬鹿みたいで、うっすらとした笑みを浮かべて
透悟がいるであろう位置に声をかける。
スマホに関しては、後で見れるし、と。

「まじで、ありがとうな。
 いや、その肩こりは前からだわ。知ってるわ」

いらんこと言うな、とツッコミの後
持たざるものの苦労は知らん、と敵を作るような発言をした後は
ゆっくりと息を吐いて、消えていた煙草を携帯灰皿に押し込む。

「いや、さ。俺ってばこう見えて気が弱いわけよ
 しかも口悪いしよ。だから今の所ボッチなわけ」

相手からどう見えているのか知らないが、そう告げて。
煙草を一本取り出して口に咥え、手のひらに火球を作り出すと
それで先端に火を灯す。

「それで、どうしたら友達できるかな―って
 目指せ友達百人?」

小学生のような目標を、照れくさそうに語って。
火球を握りつぶした。