2021/12/19 のログ
崩志埜 朔月 > 「えぇ、私の学生だった頃には教室に来た事が無かったものですから」

試験前の時期などはかなりピリピリとした空気になっていた事もあったものです。
この時期、暖房の効いた教室は外の寒風に晒されている猫たちにとっても入りたかった所でしょうに、
今思えば、教室のドアを引っ掻く音があったのかも知れません。

クッキーの包装を机におけば、カサリというその音に反応して聡次郎ちゃんも動く。
――過ぎてしまった事ですが、もう少し当時に周りを見る事ができていたら教室にアナタの姿もあったのかもしれませんね。

「……ひ、必殺技ですか?
 そのサタンズズロースさんはおうちに入って何をしていくのです?」

TUBSの噂は聞いていた。
生徒たちに怪我人でも出るのではないかとハラハラしていたので美奈穂ちゃんの雄姿はしっかりと見ていた。
が、うさぎ一匹捕まえられるか怪しい運動神経の自分に何か助言できるだろうか。
猫さん達を相手に美奈穂ちゃんが勝つとなると……どうだろう。

「すこしズルいですが、道具を使ってはいかがです?」

幣美奈穂 >  
「えっ!?
 そうなのですのっ!?」

びっくりしてお目めを大きくしてしまいます。
なぜなら、普通によく入ってきますから、それがここの普通だと思っているのです。

紙をてしてし押さえて、小皿からおやつを頂きながら。
かさりと言う音に耳をぴくぴくっと動かして、好奇心旺盛にクッキーの方に顔を向けまして。
ぴすぴすっ。
中を覗いてみようと、机の上に後ろ足でのっしり。
書類を踏んづけながら、包みの中を覗こうとするのです。

「あともうちょっとだったのですけど・・。
 わんこさんは急にきますし、にゃんこさんは飛んできましたり・・」

尻尾を盛大に振った柴犬わんこさんに押し倒されて顔中嘗めまわされたり、
チンチラにゃんこさんにコーナーポストからのジャンプお腹アタックでモフ倒されたりしたのです。
とても――ほんわかした戦いばかりでした。

「男の子のお部屋に入って、寝顔を見ていくそうですわ。
 でも、遅い時間だそうですから――」

22時前、早い時は21時には就寝する美奈穂です。
夜に暗躍?するらしい犯人さん、捕まえることが出来ません。
いえ、いないのですけど。そんな犯人。

「得意の道具なら、使いましたの」

と、カップを置きまして。
リュックをがさごそ。
そして取り出すのは、愛用のブラッシングブラシ。
柔らかから固めまで、それぞれの好みに合わせて5本もご用意してあります。
うさぎさんに勝った、ブラッシングスリーピングホールド。
得意のブラッシングで気持ちよくさせてすやすやとお昼寝させる技なのです。

崩志埜 朔月 > 「えぇ、今でこそ授業中にわんちゃんが入ってくるのにも慣れましたが」

授業風景も変わった物ですよ、と笑う。
といっても美奈穂ちゃんのいない授業に動物が嬉々として乱入してくる事はあまりない。

中身の無いクッキーの包みをくしゃくしゃと鳴らして聡次郎ちゃんと遊びながら、
TUBSでの美奈穂ちゃんの戦いぶりを思い返す。
闘いと呼ぶにはあまりにもほんわかと優しい物だったけれど、美奈穂ちゃんの中であの8敗は悔しかったのでしょう。
網などの類で捕まえる、というのは違う気がして言いかけた助言を飲み込む。

ふわふわと、やわやわと――

「ブラッシングのスキルを更に磨きましょう……!
 そうすればきっとお腹を見せて転がってくれるはずです」

既にプロ級の撫でテクニックを持っているに違いないけれども…!

「私も似たような方のお話を聞いた事はありますが、
 今の所被害を受けたという事はあまり聞きませんね……
 良い子の所にだけ現れるそうです」

サンタクロースさんというのですが。
えぇ、見た事もありません、いるとも思ってはいないのですが。

幣美奈穂 >  
こくりこくりっ。
慣れちゃったのですと同意です。
島に来るまで学校に行ったことがなかったのですが、学校に来てから普通に動物さんがやってくる。
というので、それが普通だったのですけれど。

「昔は違ったのですのね・・」

へぇ~、というお顔をするのです。
音が鳴れば、ぺしっ、と。
爪ではなく肉球ぺしりっ。
爪を出さないのは、出すと怒られたり追い払われたりすることもあると猫社会の教えです。
美奈穂は猫語は判りませんが、話せる能力者もいますので、
それで彼らも社会に溶け込んできているのです。

「――やっぱり、これをもっと磨かないといけないのですわね――!」

ぱぁっと、晴れやかなお顔です。
自分でもこれの先に道があるのでは、と少し思っていたのです。
暴力的な手段、露とも思っていない美奈穂なのでした。

「――サンタクロース様はそうですけれど・・。
 でも、サンタクロース様は、きちんと委員会や親御さんや、管理人さんに届けているのでしょう?」

またカップをとって、ふーふー。
ちょうどいい具合な温度になってきましたので、くぴくぴと嬉しそうに飲むのです。
サンタクロース様、美奈穂は勿論信じている派です。
島に来る前は枕元でしたが、島に来てからは宅急便で、送り元が「サンタクロースさんより」と
そうやって届いているのですから!

崩志埜 朔月 > 「昔は、そうですね。
 動物が入ってきたらむしろ引っ掴んで外に出してしまうような方ばかりでしたし」

今の職員にももちろん問答無用ではじき出しそうな人はいるけれども。
それには目を瞑ろう。教職員としては寧ろ正しい姿とも言えると自身も思っていることではあるから。

猫語は分からない。
それでも遊んでいるのだと分かるのは獲物を追い詰めるような狩人の眼や
爪を出していない事からもふんわりと理解できた。
分からないなりに、理解できるというのは嬉しい物ですね。

「にゃー」

分かる物では無いと思いながら、口に出してみて我に返る。
なんとも恥ずかしい事をした気がします。
ここにいるのが美奈穂ちゃんだけでよかったです。

「えぇ、磨いた技は無駄にはなりませんし。
 美奈穂ちゃんだけの必殺技を見つけましょう」

きっとその方が彼女には似合う物ですから。

「――もしかしたら、サンタクロースに憧れている誰かかも知れませんね」

サタンズズロースさんは、きっと美奈穂ちゃんの勘違いか美奈穂ちゃんのお友達のいたずらだとは思いますが、
それを私が壊してしまうのはあまりにも無体というものですし。

幣美奈穂 >  
「そ、そんなことしたら、可哀想じゃありませんの・・?」

机の上からどいて欲しいとかお願いはしますけれど。
無理矢理とか、可哀想ですと眉をへにょりとさせるのです。
机の半分ぐらい占拠されると、机が狭くなりますし、
鉛筆動かしていたら横から足が出てきたりするのですが、
困ったとか思ったりはしないのです。

――朔月ちゃん、猫語がっ!?
目を丸くしまして、そしてちょっと尊敬な眼差しをまっすぐに向けます。
美奈穂は、おうちにゃんこさんの二郎三郎宗右衛門ちゃんとしか会話できないのです。

にゃぁご、とにゃんこさんもお顔をあげて、朔月ちゃんにお答えするのです。
書類の上にどっかり、寝転び。

「はいっ!、がんばりますわ!
 やはり、すぐにできるように修練が必要ですわね」

愛用のブラシを持ちまして、うんうん頷きます。
素早く気持ちいい場所を見抜く目も必要でしょう。

「――模倣犯というのですわね。
 風紀委員としまして、今年こそ捕まえませんと・・!」

カップを置いてチョコレートをはむはむする美奈穂。
風紀委員魂を燃やすのです。
もしかして、サンタクロース様が煙突から入るという幻想を信じている人かもしれません。
美奈穂、街に煙突が少ないので、サンタクロース様が煙突からは御伽噺と2年前に気付いたのです。
今は玄関とか窓とか――この前、教えて頂きましたが、通気口からとかから入って来るものなのに。

崩志埜 朔月 > 「そう、そんな扱いをしては可愛そうです。
 勉強だけが学校で学ぶことではありません、
 思いやりや寛容と言った物も大切な学びです」

だから、犬猫が混じったくらいで殊更騒ぎ立てたりはしない。
ヒトか否か。魔術か異能か。
そんな事でいがみ合う文化も未だ残ってはいるけれども、減っては来たと思う。
本当に、この子のような心優しい子がいてくれて良かった。

顔を赤くしながらココアに手を付けて誤魔化しましたが、
聡次郎ちゃんは何かを悟ったように寝ころんでしまう。
……どかすのはあまりにも忍びないので、そのままにしましょうか。

「美奈穂ちゃんは努力家ですから、きっと次は勝てますよ」

勝ち負けがブラッシングにあるのかは分かりませんが、
彼女の手さばきが良くなるのは島の動物たちにとってメリットになるだろう。

「えぇ、でも出てくるのは夜遅くみたいですから
 美奈穂ちゃんはお昼に、夜は私たち大人にお任せしてゆっくり休んでくださいね」

22時など、良い子は寝る時間です。
白黒猫などが護ってくれるとは思いますが、夜に出歩くのはあまり褒められませんから。

幣美奈穂 >  
こくこくっ。

「はいっ、しっかりお勉強しますわ」

真面目なお顔、澄んだ黒い瞳はまっすぐで頷きます。
後ろ足も伸ばしたリラックスした腹ばいにゃんこさん。
目を細めまして、そのままの格好で小皿からおやつをかつかつと。
そしてお顔をあげ、朔月ちゃんを見上げながら口周りをぺろりっ。

「次は――負けませんわっ」

ブラシを握りしめて決然と宣言する美奈穂です。
見てなさい、三丁目のベスちゃん・・!
でも、出会えばわふわふと勢いよく飛び掛かって嘗めてくるのを、
止めたり避けたりもできずに、押し倒されるのですが。
飛び掛かられる前にブラッシングで大人しく寝そらせられるのはいつの日でしょうか。

「・・やっぱり遅いのですの?
 がんばれば22時とかまでなら・・」

どんなに頑張っても、22時では電池切れになっちゃう子です。
それに夜遅くにお外は、不良です。

「あと、わたくし。もう13歳です。
 オトナですわ・・」

一般学校であれば中等部生なお歳、去年までの初等部生相当でしたが、
もうオトナだと思い、オトナポイントを一生懸命貯めているのです。

崩志埜 朔月 >  
「はい、頑張ってくださいね」

決まった科目を受け持つことが無いので、
彼女の受講風景をずっと見守る事は叶わないけれども
真摯に向き合う彼女の瞳を見ていると安心できます。

「お昼間に忍び込むのは目立ちますからね。
 皆が眠った時間に動くならそのくらいか、もっと遅いかも知れません」

育ち盛りの子供が出歩く時間では無い。
そもそも追いかけた先に何かがいるというものでも無いのですし。

「えぇ、13歳。良く眠るとまだまだ身長が伸びる歳です。
 ですから、夜の時間はもう成長の止まった私たちに任せてください。
 お昼に私たちがお仕事を放ってサタンズズロースさんを探すわけにはいきませんから」

年頃の子に、子供扱いは厳禁でしたね。
今になって思えばその若さが羨まし……いえ、私もまだまだ現役です。
――現役ですよね?

幣美奈穂 >  
体質から、9歳まで学校とか幼稚園に行けなかったので、学校大好きな美奈穂です。
お昼からは委員会活動をしますが、午前中は平日、よほどのご用事が真面目に受けます。
1~3限は、島から出た時のためにも一般教養を、4限目は専門授業や特殊授業を選択してます。
そんな精一杯に勉学に励んでいるのです。

「やっぱりお昼には出てこないのですのね・・。
 見回りの時、全身黒タイツなお姿がおられないか探しているのですけど。
 見つからないのです」

もっと遅く・・23時でしょうか?
そんな時間まで起きてたことは、たぶん、1度もないのです。
眉がへにょりとなってしまいます。

「――!
 大きくなるために、残念ですけど夜はお任せいたしますの・・」

ちょっと唇を尖らせてしまいます。
ですが、母親や姉たちのように背が大きくもなりたいのです。
整った容貌ですが、仕草と言うか表情がころころ変わり、子供っぽい美奈穂です。

にゃんこさん、おやつも食べ終わり。
前足で顔周りを吹いて、肉球裏も丁寧に嘗めましてから、
のんびり立ち上がります。
そして――のっしのっし、朔月ちゃんの方へ向かい、よっこらせ、と言う具合に。
お膝の上に乗ろうとします。
ホットカーペットの温かさに気付けば、その上になのでしょうけれど。

崩志埜 朔月 > 学校に行かされている、と思う子も多い。
義務として、否応なしに学びの機関に放り込まれるのだと。
だけれど、ここで学ぶ時間がどれほどかけがえのない物になるのかは私も後になって知れた。
だからだろうか、そんな勉学に一生懸命に向き合うこの子をこうも愛おしく感じるのは。

「全身黒タイツの方が外を歩いていたら……そうですね、風紀委員の皆さんに応援を呼びましょう。
 いつも見回り、お疲れ様です」

日中に精力的に活動してくれている事は良く知っている。
だからこそ、夜はしっかり休んで欲しい。
悲しそうに眉を下げる美奈穂ちゃんの頭を撫でてましょう。

「はい、きっと美奈穂ちゃんはもっと背が伸びて綺麗になります。
 私が保証しますよ」

ころころと変わる表情に笑顔が戻れば、こちらも笑顔を返す。

膝に乗ろうとする姿があれば、収まりの良いように少し座り方を変えて。
――少しはしたないかもしれませんが、どなたかが見ているというものでもありませんし。

撫でり撫でり、嫌がられない程度にやわやわとその毛並みを撫でましょう。

幣美奈穂 >  
ココアのカップ、んくっんくっと傾けます。
甘くおいしいです。
お家にも置きたいところですが、お家だとついつい、日本茶にしちゃいます。

「はいっ!
 わたくし、風紀委員ですわ!」

応援、というのに、手をまっすぐにあげましてお返事。
風紀委員ですが、いつも巫女服姿で制服を着ておらず、腕章さえも付けてない事が多いので、
まるで風紀委員らしくないのですけど。
応援に呼ばれましたら、積極的にお手伝いをした派なのです。

頭を撫でらるように手を伸ばされますと、ついつい、無意識に頭を少し近付けるように。
ソファーでちょっと身体が傾きます。
撫でられるのが好きな、スキンシップ多めでパーソナルスペースが狭いのです。

「去年より9cmも大きくなりましたから、来年は150cmにはなります!」

同年齢だと、前から数えた方がいい背丈。
お胸を覗き華奢な体付きなので、近くだと余計に小さく見えたりもします。
花が咲いているようなにこにこと無邪気な笑顔。
陽の気が広がるのです。

にゃんこさん、朔月ちゃんのお膝の上に前足から乗せまして、
そして乗ってからくるりと回り、香箱座りで丸まります。
撫でられるのに合わせましてお耳がちょっと動いてますが、目を細めまして。
リラックスしているご様子です。

崩志埜 朔月 > 「えぇ、それでも一人で何かをすると危ないですから。
 何かを見つけたらまずは皆で一緒に解決です。
 お仕事で動けない時でも無ければ私も車を回しますし、頼ってください」

風紀委員らしからぬ、というよりも祭祀局らしさが勝ってしまう装いのせいで分かりづらいが、
彼女もれっきとした風紀委員の一員。
かくいう私も所属こそしていませんが、
足代わりのお手伝いくらいとして活動には参加しているのです。

「妹がいたら、美奈穂ちゃんのような子だと嬉しいですね。
 成長期ですからね、今が伸び盛りです」

可愛らしく、無邪気な笑顔の可愛い女の子。
思わず周囲の人も笑顔になるような不思議な魅力がこの子にはある。
異能の才を持たない私にでも分かる、暖かな雰囲気のような物がそこにはあります。

膝の上で丸くなった猫を抱え、小さくひとくちココアを口に含み息をつく。
失踪や不登校、少しナーバスな話題が職員会議で上がりがちだったせいだろうか。
この子を見ていると、猫を撫でていると、心が癒される。

(これでは、どちらがカウンセラーなのか分かりませんね……)

猫さんには、かないません

幣美奈穂 >  
「一人で・・」

と、そうして見るのは、朔月ちゃんのお膝の上のにゃんこさん。
美奈穂、にゃんこさんやわんこさんと一緒に見回りしていることが多いのです。
本人は至極真面目にお仕事してるのですが、他の方からは散歩に見えていたりも。
あと、活動範囲が存外狭いのです。
校舎と委員会街と学校近く商店街、あと公園ぐらい。
たまに係の仕事が来たときなどは、お車で送り迎えして頂いたこともあるのでしょう。
電車の乗り換えも心配な方向音痴具合ですし、
歓楽街も数か月に一回行くぐらいです。

「はいっ、見つけたらホイッスルぴっぴーしまして呼びますわ。
 妹ですか?」

と少し首を傾げさせますが、年齢的にちょうど上の姉様とご一緒な朔月ちゃんです。
ちゃん呼びになっているのも、姉の面影を見てしまうからかもしれません。
チョコレート2つめを頂きながら、手を伸ばしてにゃんこさんの頭をなでなで。

背中や頭を撫でられてご満悦なにゃんこさん。
ぴぃ~、ぐるぐるぐる、ごろごろごろと賑やかに嬉しそうに喉を鳴らします。
居心地のよく、他の部屋よりちょっと暖かい場所と知った野良にゃんこさん。
今後も、訪れることがあるかもしれません。

ココアを飲み干しまして、ごちそうさまでした、とカップを机に置きまして。
満足げに口に残る余韻を目を細めて楽しむ美奈穂です。
くしくも、そのお顔。お膝の上のにゃんこさんとどこか似ているのです。

崩志埜 朔月 > 「はい。にゃんこさんやわんこさんも頼りになりますが、
 わんこさんに車を運転してもらう訳にもいきませんから」

この子なら乗せて走り抜けてくれそうなわんこもこの島にはいるけれども。
それでも一人でというのは心配にもなる。
行き会うのがただの全身タイツであればまだしも、歓楽街にはもっとシンプルに危ない人がいる。

「はい、見つけたらぴっぴーです。
 私も兄はいますが、妹はいませんので……
 いたら過保護にしてしまいそうです」

姉妹というには少し歳は離れているけれども、彼女の親しみやすさにそう思ってしまう。

背中、頭に顎の下。
ここですか? こちらはいかがでしょう。
ノックして頂ければ、いつでもお迎えいたします。

喉を鳴らす猫を膝に抱いていると、時間は過ぎていき
――気づけば日も傾いて。

「そろそろ、時間ですね。
 おうちまで送りますよ、美奈穂ちゃん」

幣美奈穂 >  
「――」

言われまして、まどろんでいるにゃんこさんの前足をちょいっとつまみ出しまして。
その肉球を見ます。
お車、運転したことありませんが――足が届きそうにありませんわね。

「運転は難しそうですわね・・」

うんうんっと頷き納得する美奈穂なのです。
歓楽街にも迷子になる美奈穂、お役目で《穴》の封印やバリケードを確認しに行くときは、
がっちり守られながらです。
穢れや邪なモノにはとても強い影響を与えるのですが、
普通の人などには無力に近い美奈穂。
歓楽街とかは危険な所です。

「ぴっぴーです」

御口元を指で揃えた両手で隠しまして、くすくすと笑います。
一緒に言うと、ちょっと楽しくて。

どんどん、体勢が崩れてのびーんとしてきたにゃんこさん。
リラックスしてお腹も見せるようになってきてます。

「あっ、本当ですわ!
 ――今日はご相談に乗っていただきまして、ありがとうございます」

立ち上がり頭を下げて丁寧にお礼を言いましてから。
カップとかを流し台に運んでおこうと。
あとは帰り支度、美奈穂はにんじん型のリュックを背負うだけだなのです。
にゃんこさんも、帰る気配を感じたのか。
くわぁっとあくびをしながら伸びをしてお膝から降りるのです。

崩志埜 朔月 > 飲み終えたココアのマグカップを美奈穂ちゃんから受け取り、流しで洗って逆さにして乾かす。
気持ちよさそうに眠っていた膝の上の猫を起こすのは忍びなかったのですが、雰囲気を察してか自分から降りてくれました。

「ごちそうさま、ですね。
 忘れ物はありませんか?」

この相談室自体、許可の元とは言え完全に私の私物化しているので、
鍵といえば持っているのも私の持っている物と職員室のスペアくらい。
忘れ物があっては次に来るまで回収もできません。

玄関の側でにゃんこさんをお見送りして、車に乗り込みましょう。

「夕飯までには間に合わせますが、安全運転です。
 シートベルトをお忘れなく」

紺色の乗用車、教員くらいしか乗り付ける人も居ないので、
一目で自分が出勤しているかが分かると噂のモノ。

山の向こうに陽が完全に落ちてしまう前にと、エンジンをかけるのでした。

幣美奈穂 >  
ついでにと、机の上も整えておきます。
お掃除好きな美奈穂です。
あと、にゃんこさんが、なんやこれ、と。
今更ながらホットカーペットをふみふみしているので好奇心が逸れているので。

「はいっ、忘れ物ありませんわ」

リュックを背負いまして、準備万端。
忘れ物がないかもきちんと確認します。
扉を開ければ、まず出るのが、にゃんこさん。
悠々自適。
先を歩き、振り返りまして。
そしてまた先に歩き。
玄関を出れば、たたっと駆けだして暗がりに走っていくにゃんこさんです。

「んしょ」

シートベルトを付けますが、ちょっと大きく首にかかりますので、
前側を両手でぎゅっと握る感じになります。
電子機器と相性が悪い体質ですので、電子関係の調子が少し悪くなるかもしれませんが。

「あっ、商店街の・・公園のとこの路面電車の駅からすぐですの」

お家賃の高い学生街に住んでいる、美奈穂なのです。
送っていただきまして、お見送りしてからお夕食のお買い物をしてお家に帰る美奈穂なのでした。

ご案内:「相談室」から崩志埜 朔月さんが去りました。
ご案内:「相談室」から幣美奈穂さんが去りました。