2021/12/28 のログ
ご案内:「相談室」に崩志埜 朔月さんが現れました。
■崩志埜 朔月 >
クリーム色の壁にブラウンのソファ。
木目調のローテーブルには小さな鏡餅の置物。
ここは個人用の相談室、表には『予約空き』の札。
「クリスマスが過ぎたと思えば、もう年越しの用意というのも
毎年の事ながら忙しないものですね」
暖房の効いた部屋で一人、ぼやくように呟いては手の中のポラロイドカメラのシャッターを切る。
被写体はクリスマス飾りに彩られたもみの木。
復学を目指す少女、黛さんの手伝いによって完成した物です。
綺麗に飾った物ですが、いつまでも置いていられる物では無いのでせめて写真だけでも、と。
本当は、黛さんと飾った日に一緒に撮れたら良かったのですけど。
■崩志埜 朔月 >
アナログな音と共に吐き出されたフィルムをそっと手に取って
光の当たらない机の棚の中へ。
15分か20分ほどでしょうか、じきに浮き上がってくるのを楽しみにしながら、
ストロボをパタンと閉じてカメラもケースに入れて棚の中へ。
「……正月飾りは鏡餅だけで十分でしょうか」
しめ縄くらい買って来ても良いのかもしれませんが、
御大層に入口の前に飾ってしまってはあまりにもいかめしい気がして。
ケトルが鳴けば、カプチーノの粉末を入れたマグカップに湯を注ぎ。
「そういえばシャルトリーズ先生、クリスマスは予定がと楽しそうでしたのに
えらく荒れていましたね……」
なにがあったのでしょう。
想像はついてしまうのですが、知らない事にしておきましょう。
■崩志埜 朔月 >
禁書庫や収蔵庫の整理に駆り出されている教員も多く、
ガラリと人の居なくなった職員室はまさに師走といった様相で。
「こうなると、書類仕事が回ってくるのもいつもの事ですね……」
うず高く積み上がったプリントの群れ。
別段、誰の担当というでも無い雑務の山。
幸いどなたかの予約があるという訳でもありませんし、
1つ1つ、仕分けをしながら崩していきましょう。
……期限を切らした経費申請を紛れ込ませたのはどなたでしょう。
昨年度の予算に織り込むには手遅れなのですが、
まぁ、なんとかしましょうか。
■崩志埜 朔月 >
ところで、です。
クリスマスが終わると何が起こるかご存じでしょうか。
学生街の一角にあるコンビニエンスストアの、
『クリスマスケーキ、ホールケーキ全品半額』セール。
冷蔵庫の中に袋のまま収められた戦利品ですが、
あまり日持ちしないのに買い過ぎてしまいましたね……
職員室に差し入れに、と思ったのですが思いの外誰もいませんし、
用務員の方にでも差し入れてしまいましょうか。
■崩志埜 朔月 > ともあれせっかくですし、一つ頂いてしまいましょう。
手に取るのは一番気になっていた渋皮栗のモンブラン。
プリンカップに収まった栗色は、蓋を開けると小さく香ります。
「コンビニスイーツは、どうしてこうも美味しく進化していくのでしょう……」
罪深い。あまりにも抗いがたい……。
さくりさくりと、スプーンが潜れば直ぐにモンブランは胃に収まっていきます。
ひとつ、ふたつ、みつよっつ。
冷蔵庫の中に残った手のひら大のケーキ群。
被らぬように選びましたが、どれも魅力的ですね……
「……っ!?」
降ってきたのは一種のひらめき。
もしや、半額だったのですから、もう一つ頂いてしまっても実は問題が無いのでは?
ショートケーキは白いのでカロリーゼロとも言えそうではありませんか。
2時間程を費やして書類仕事を片付けて。
鍵を閉める方とは別の手に握られた半透明なゴミ袋の中にはケーキの包装が3つはあったという。
ご案内:「相談室」から崩志埜 朔月さんが去りました。